編集部がニューオーリンズに行ってきました。フランスやアフリカ、カリブ…ガンボスープのように多文化が混ざり合ったこの街は、どこにもない個性を貫く一方で、多様性を受け入れる懐の広さも魅力でした。というのも、とにかく人があたたかい。みんなハートフルな笑顔でもって包み込んでくれる。だから、ここに来たら、いろんな人と話して欲しい。きっと帰る頃には、またどこからかジャズが流れてきて、センチメンタルになる、そんな街です。刺激的な街で起きる、予測の尽かないエブリデイ。ソウルフルで、スパイスの効いた2泊3日を、どうぞ。
1. 次の街角を曲がれば♡ ハッピーな驚きとワクワク。
フレンチ・クォーターは、ハッピーなサプライズがギュッと詰まった、まるで宝箱のような街だと思う。フランス植民地時代の名残を残すこのエリアにはセント・ルイス大聖堂やジャクソン広場、アイアンレースのバルコニーが美しいポンタルバアパートなど、歴史的な見所もいっぱいあるけれど…ノスタルジックなこの街は、ただ歩いているだけで楽しい。こじんまりとした路地裏でコーヒーを飲んだり、パカパカと馬車に揺られて散歩したり、ストリートミュージシャンの演奏にスイングしたり。たまに、一緒に歌おうなんて誘われちゃったり。次の街角には、予測の尽かないワクワクが待ち構えているから、行き先は決めずに、ただブラブラ。それが、ニューオーリンズ!
Canal St.、Esplanade Ave.、Rampart St.、Mississippi Riverの4辺で仕切られたエリア。中心に位置するのが、ニューオーリンズ戦争の英雄アンドリュー・ジャクソンを記念したジャクソン広場。その周辺には、アメリカ最古のセント・ルイス大聖堂や、1849年の建設当時、アイアンレースのバルコニーなど、革新的なデザインを取り入れたポンタルバアパートといった観光スポットが集約している。
2. トムソーヤー気分でミシシッピを冒険クルーズ。
せっかくだし、ミシシッピ川をクルーズしたいと思いたって、現存する数少ない蒸気船「ナッチェス号」へ。クレオール料理のビュッフェを楽しんだ後は、デッキで流れゆく絶景を眺めながらボーッと。船内に流れるジャズの生演奏がなんとも心地いい。夜なら、グラミー賞にノミネートされた「Dukes of Dixieland」が演奏していたりするから、さすが!ニューオーリンズ。できれば、無料で乗船したい! そんな無鉄砲な!? トムソーヤー野郎には、公共交通機関である「Canal Street Ferry」がおすすめ。対岸の町Algiers Pointを往復しているけど、観光スポットはないので、あくまで冒険目的で。
Toulouse Street Wharf behind Jax Brewery(乗船場所)
☎ 504-586-8777
▶ 営業:毎日11:30am、2:30pm、7:00pm
▶ ランチ付きクルーズ:$46(一般)、$41.50(シニア)、$23(6~12歳)、$9.50(2~5歳)
※クルーズの種類により異なるのでウェブを確認
www.steamboatnatchez.com
3. ひと目見て、車を走らせた 並木道のトンネルを抜けて。
ひと目見て、行ってみたいと思ったのが、こちらの写真。樹齢300年の並木道のトンネルを抜けると、そこには映画『風と共に去りぬ』を彷彿させる白亜の邸宅が…。ミシシッピ川流域には、18~19世紀にかけて、奴隷を使い、綿花やサトウキビの栽培を行っていたプランテーションが点在。その多くは南北戦争の時に失われてしまったけれど、「Oak Alley Plantation」は、現存する中で、最も美しいプランテーションのひとつ。ヨーロッパ風の優雅な建物と壮大な農園を巡るツアーは、豪華絢爛な生活の裏にあった、奴隷たちの悲しい記憶を伝える。これもまた、ニューオーリンズを語るに欠かせないワンシーン。
3645 Highway 18, Vacherie
☎ 225-265-2151
▶ 営業:毎日9:00am-5:00pm ※閉館は、シーズンにより異なるのでウェブを確認
▶ 料金:$25(一般)、$10(13~18歳)、$7(6~12歳) ※13のCajun Encountersから送迎バス付きのツアーあり
www.oakalleyplantation.org
4. 断言しておこう! ニューオーリンズの料理はうまい。
どこの店で食べても、とにかくうまい。それも、涙が出るほど。アフリカやフランス、スペインなど、多国籍な文化が融合したこの街では、ほかの都市にはない鮮やかな食文化でもって迎えてくれる。代表的なのが「ケイジャン料理」と「クレオール料理」。基本的に、ケイジャンが庶民派な田舎料理なのに対し、クレオールは富裕層が楽しんだ都会料理という位置づけ。スパイスやハーブをたっぷり使ったソウルフードは、魚介をメインにしたものも多く、濃厚な味わいがやみつきに。ほんと、LAにもあったらいいのにって思う店ばかり。
5. お願い、どうしても、泊まりたいホテルがある。
なんとしても泊まりたいホテルがある。あの「Ace Hotel New Orleans」だ。1928年に建てられたアールデコ建築のビルを、わざわざリノベーションするというこだわりよう。最先端のデザインを取り入れながらも、ヴィンテージ家具やシャビーシックな壁に、そこはかとなく退廃美が漂う。そのアンニュイな駆け引きにこそ、らしさが爆発していて、いちいちセンスがいい。館内にはライブハウスもあり、「Crew Mess」など、注目のアーティストが演奏するので、実際、ホテル滞在だけで満足してしまう。危ない。
600 Carondelet St., New Orleans
☎ 504-900-1180
もうひとつが、「Hotel Le Marais」。バルコニーでモーニングコーヒーを飲み、中庭で読書をすれば、フレンチ・クォーターの住人になった気分。とにかく最高。
717 Conti St., New Orleans
☎ 504-525-2300
6. ドゥー・ユー・ノウ、チコリコーヒー?
6:30am、こんな早朝からすでに行列。こちらは、ニューオーリンズの名物カフェ「Cafe Du Monde」。もはや粉砂糖のピラミッド!? 中に埋もれていると言ってもいい、揚げたてドーナツ「ベニエ」が有名だけれど、もうひとつの主役がチコリコーヒー。チコリというハーブを効かせているのだが、これが独特の苦味にハマってしまう。
800 Decatur St., New Orleans
☎ 504-525-4544
▶ 営業:毎日24時間
そして、この名物カフェに追いつかんばかりに勢いがあるのが、「District Douts Sliders Brew」。ドーナツの間に豪快にハムを挟んだ「クロックナッツ」が大人気で、とろ~りチーズ&甘酸っぱいラズベリージャムとの超絶ハーモニーが、たまらない。こちらのチコリコーヒー、後味すっきりで、クロックナッツとも好相性。
2209 Magazine St., New Orleans
☎ 504-570-6945
▶ 営業:毎日7:00am-9:00pm
7. Throw me something! ハッピー♡争奪戦カーニバル
ニューオーリンズといえば、米国最大のカーニバルのひとつである「マルディグラ」。毎年2~3月に行われる謝肉祭のことで、最終日には、巨大な山車による豪華絢爛なパレードが繰り広げられる。この山車から、紫・緑・金のビーズネックレスやコインが投げられるのだが、その争奪戦がすごい。これらをたくさん手に入れると幸せになれるという噂が広まったため、「Throw me something!」と、みんなアピールしながら手に入れるのだ。編集部が行った時は、シーズンではなかったけれど、バルコニーからネックレスが降ってきた。ラッキー♡
www.mardigrasneworleans.com
8. ブードゥー、死者の街…ゴーストバスターズ!
ブードゥー教って、ご存じ? ニューオーリンズでは、今でも多くの人が信仰している、アフリカを起源とする民間信仰で、人形に針を刺して相手を呪う儀式などがあることからミステリアスな宗教とも。街には、至るところでスピリチュアルリーディングが行われているし、媚薬オイルや謎のハーブを売っているショップも。また地下水位が低く、水害が多いこの街では、埋葬ではなく、建物の中に棺を入れる墓地が多いことから「死者の街」とも。そんな経緯もあって、“吸血鬼ツアー”や“幽霊屋敷ツアー”といったオカルトツアーもいっぱい。勇気を出して、“ゴーストバスターツアー”に参加したけど…いや、あれは、多分…違う、な。
ブードゥー人形の販売や占いも。
612 Dumaine St., New Orleans
☎ 504-522-2111
▶ 営業:毎日11:00am-7:00pm
9. ついでに、アートっていう深夜のとっておき。
写真の看板に導かれるままに入ってみると、そこには、地元アーティストによる絵画やアクセなどバラエティー豊かな作品がずらり。写真家のヴィンセントは、「大好きなニューオーリンズの街の空気感を切り取りたいんだ」と熱く語ってくれたり、隣のブースでは、このギャラリーを描いたマグネットが売ってたり。地元愛の深さに感動してしまう。深夜までオープン。ライブ巡りのついでにアート、っていう気軽さが良い。
613 Frenchmen St., New Orleans
☎ 504-912-6668
▶ 営業:月木~日6:00pm-12:00am
10. いいバイブス感じてる? エブリデイ、ライブ天国。
ジャズだけでなく、ブルースにロック、ヒップホップ、多彩な音楽が響き渡るバーボンストリート。まずは、初心者でも入りやすく、最新の音楽事情が分かる「21st Amendment Bar」からスタート。
725 Iberville St., New Orleans
☎ 504-378-7330
▶ 営業:日~水2:00pm-11:00pm、木~土2:00pm-1:00am
サクッとバーボンストリートを楽しんだら、よりドープな音を求めて、今アツいと言われるフレンチメンストリートへ移動。地元のツウっぽい人に思い切って聞いてみる。どこかいい音やってない?「『Cafe Negril』なら、ジャズファンクやアフロキューバンで踊れるし、しっとり大人ジャズを聴きたいなら『Bacchanal Fine Wine&Spirits』がいいね。中庭で音楽を聴きながら、極上のワインも楽しめるよ。」なんてファビュラス!どうしよう、またひとつお気に入りが増えてしまった…。
11. ベストカクテルを決めようじゃないか。
なんてったって、アルコールの飲み歩きOKなフレンチ・クォーター。さぁ、飲むぞ!とバーボンストリートに繰り出して、気になったのが、行き交う人が持っている緑のグラス。あの~それ何ですか?「これは、手榴弾がぷかぷか浮かんだ「Hand Grenade」と呼ばれるカクテルだよ。フルーティーな甘い口当たりで、飲むほどにおいしさが爆発するぜ!」。オーナーのパムに聞いてみたところ、「メロン味ではあるが、レシピは非公開」とのこと。そのほかにも、街のシンボルであるfleur-delis(ユリの花)や女神など、いろんなデザインのグラスがあるから、集めてみても面白いかも。でも何より、カクテルに浮かんだワニをサメが食べちゃう!?「Shark Attack」が一番気に入った!
12. ユニークでいて、センスがいい、このショップが気になる。
ケイジャン料理にハマったあなた。作ってみたーい!よね?なら、「Roux Royale」へ直行を。ジャンバラヤなどの味付けに欠かせない調味料はもちろん、レシピ本に食器も勢ぞろい。まさにニューオーリンズの“巨大キッチン”なのだ。ハラペーニョ味のピーナッツバターやジャクソン広場という名前のコーヒーなど、気になる商品がありすぎて…爆買いするよね。
600 Royal St., New Orleans
☎ 855-344-7700
▶ 営業:毎日9:00am-10:00pm
そして、「Ace Hotel」にある「Freda」も気になるお店のひとつ。アクセサリーや雑貨など、ローカルブランドを中心にそろえたラインナップは、デザイン重視でありながら、どこか陽気でいてユニーク。そんな南部クリエイターのソウルが詰まっていて、こちらも長居必至。
600 Carondelet St. Suite 130, New Orleans
☎ 504-309-7515
▶ 営業:月~土10:00am-8:00pm、日11:00am-7:00pm
13. 巨大ワニ、発見! 私と彼の距離は、1m♡
なんだって!巨大ワニが見れるんだって? 野生動物に目がない編集部は、そんな噂を聞くなり、スワンプツワーを予約。野生動物の宝庫である湿地帯をボートで巡るこのツアー。これが単なる観光だと、侮るなかれ。ワニとの距離が近い。マシュマロを付けた棒にジャンプするのだが、その高さでジャンプできるなら、ボートに乗れるんじゃないのか!?って疑ってしまう(ぐらいの迫力)。さらに網目のような水路を奥へ奥へと進めば、湿地帯ならではの珍しい植物や野生動物が続々。ラクーンにヘビ、豚に至っては、ガイドさんがよしよしするシーンも。みんなで仲良く共存、そんな、ラブ&ピースなツアーです。
55345 Highway 90 E.,Slidell(ツアー現地住所)
☎ 504-834-1770
▶ 営業:7:30am-7:30pm
▶ 料金:送迎バスあり $56(一般)、$36(12歳以下)、現地集合 $29(一般)、$19(12歳以下)
14. お土産探しに行ったら、この街が好きになった。
アメリカ市場最古の「フレンチ・マーケット」で、お土産探しをスタート!一見、アジアにもありそうな雑多なマーケット(失礼)にしか見えないが、ディグってみると、お宝ザックザク。しかも、マグネット屋のエドゥアルドは、「カトリーナの被害の時は、日本が支援してくれたしね」って、おまけしてくれたし。何だかとても居心地がよくて、心あたたまるマーケット。お土産探しが、いつの間にかおしゃべりに夢中になって、気づけば3時間…。
700-1010 Decatur St., New Orleans
☎ 504-522-2621
▶ 営業:毎日10:00am-6:00pm
15. 路面電車 ゴトゴト、ゴトゴト 日帰りトリップ。
都会の喧騒から離れてゆっくりしたい。そんな日は、路面電車にゴトゴト揺られて「オーデュボン公園」へ。緑豊かな園内には、動物園もあり、ゾウやホワイトタイガー、キリンなど、2000頭以上の動物が出迎えてくれる。ユニークな動物の彫刻もあり、インスタ映えするショットだって楽しめてしまう。実は、「ルイ・アームストロング公園」も、隠れスポット。フレンチ・クォーターから徒歩すぐなのに、驚くほど静かで別世界のように感じられる。ルイ・アームストロングなど、地元の音楽に貢献した有名ミュージシャンの像があるので、アート散策しながら芝生でごろり。
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2018年4月16日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。