オークワフィナ / Awkwafina

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(2020年2月16日号掲載)

アジア系女優初のゴールデングローブ主演女優賞!

オークワフィナと成田陽子さん

「2018年、『Ocean’s 8』のプレミアで、サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェットと、スターの名前が呼び上げられて、私の番になったら『ええと…アーク…?』なんて読めなくなっていて笑ったけど。この名前は、16歳の時にラップ歌手としてのステージネームとして思い付いたの。シャイでぎこちなかったから、”Awkward”と、ボトル水『Aquafina』をごちゃ混ぜにして”Awkwafina(オークワフィナ)”にしたわけ」と話してくれたオークワフィナ。
 
続いて、『Crazy Rich Asians』に出演後、『The Farewell』で中国に住む祖母を訪れる中国系アメリカ人の女性を演じ、ゴールデングローブの主演女優賞を受賞。もう名前を読めない人はいないくらい有名になったが、当人は自虐的で、「どうでも良いことよ」と変な顔をしてみせるのである。

オークワフィナ

『The Farewell』では、祖母に末期がんの事実を伝えるか否かで葛藤する主人公ビリーを熱演したオークワフィナ。

これまで私と撮ったツーショットも全ておバカな顔で、オスマシするのを嫌う様子がほほ笑ましい。中国系アメリカ人の父と韓国人の母の間にニューヨーク市で生まれた彼女。本名は漢字で書くと「林家珍」と、林家三平みたいでおかしいが、4歳で母を失くすと、かなり父方の祖母の世話になったそうで『The Farewell』の役は心底身につまされたそうだ。
 
「ガンで余命短い祖母に、事実を伝えないアジア流の優しさはよく分かる。ただ、この話を祖母とエルサルバドル人の叔母に話したら、祖母は黙ってうなずいていたけれど、叔母は『絶対に伝えるべきよ!』と情熱的に抵抗していたわね。中国語はほとんど話せないから必死で勉強したけれど、箸を落とすと賭けで負けるとか、家の中で傘を開くとバチが当たる、みたいな迷信は結構知っているのよ。
 
祖母は毎日陽気な顔で『死ぬのが待ち遠しい』なんて言うけど、アジア人の死に対する姿勢は健康的で良いと思う。中国でのロケで、クルーが老人たちに常に尊敬の心を持って接するのを見て、中国で老人になろうかと思ったりね。映画で祖母と別れる場面では本当に泣けるか心配だったけれど、リハーサルから泣きっ放しで、本番では号泣で呼吸困難になったほど。ここまで役が乗り移ったのは初めてで、演技って深いなと痛感したわ」。
 
さっぱりとして才気に溢れたアジアの星、オークワフィナに乾杯!

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2020年2月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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