ブラッドリー・クーパー / Bradley Cooper

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(2018年10月16日号掲載)

レディー・ガガを主演に迎えた初監督の心境は?

俳優

映画『A Star Is Born』は、今まで既に4回映画化された、破滅に向かうスターと新人歌手とのロマンスだ。9月中旬、トロントで、ブラッドリー・クーパーに初監督への想いを語ってもらった。
  
「すでにアイコンとなっている映画を再び映画にすること自体が巨大な挑戦だったが、過去の4本に対するオマージュとして、究極のラブストーリーを作り上げたいと思った。実は子どもの頃から監督になりたいと思っていたし、2015年8月に映画の仕事を中断し、ロンドンでの『The Elephant Man』の舞台を398回も公演した後、僕は心身ともに燃え尽きてしまったのだ。ここから新鮮な脱出をするには監督を手がけることだと決意し、恩師でもあるクリント・イーストウッドが監督をする予定だったこの作品を譲り受け、低予算かつ42日間という短期間で撮影をすることになった。

女優

「レディー・ガガは慣れないノーメーク状態にもかかわらず、無我夢中でアリーの役を演じてくれた」という『A Star Is Born』。

レディー・ガガを主演に使いたかったが、女優経験がないと、スタジオは難色を示した。でも、僕の判断を信用してほしいと説得したよ。オーディションする段になって彼女の家を訪れた際、濃いメークで現れた彼女に、化粧を全て取ってくれと言った。素肌の彼女は思ったよりずっと美しく、自然の魅力に溢れていたから、そう伝えると顔中を輝かせて喜んだ。僕は彼女の鎧を取り除きたかったのだ。
  
僕が演じたジャクソンは、アル中でドラッグ中毒の下り坂のスターゆえ、意識してカメラを避ける姿勢を取った。逆にアリーは急上昇中のスターだから、常にカメラの真正面から捉えて、強烈に放つオーラをスクリーンに映してみた。クローズアップが多いのは2人の情熱のほとばしりや息遣い、官能美を間近で見せたかったから。その代わりステージのシーンはほとんど遠くからのワイドで撮影している。1日5時間ほどしか寝る時間がない、忙しい監督業だったが、演じる役が不健康で不機嫌な状態が多く、寝不足の顔が良い効果を上げたと思っている。撮影していくうちに音楽の趣向が変わって、カントリーからハードロックになり、もしそのまま6カ月撮影していたら、ヘビーメタルになっていたかもしれないね(笑)」。
   
これからも俳優を続けるが、のめり込みたいような企画があったらもちろんまた監督をしたい、と爽やかな表情を見せていた。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2018年10月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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