シャーリーズ・セロン / Charlize Theron

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体重の増減も自由自在の演技派美人女優

映画『Tully』は、3人目の子どもを産んだ母親が生活に疲れ果てた時、タリーという夜間ベビーシッターが助けに現れ、2人の女性の間に温かい友情が育っていくというお話。あの元スーパーモデルのシャーリーズ・セロンが40ポンドも太って母親役に挑んだという点でも注目の映画である。
 
「最初に脚本を読んだ時は全く興味が湧かなかったの。でも、世の中の母親のほとんどが子育てに疲れ果てている状態で、この映画で脱出口を見つけたり、夫たちがもっと理解してくれるようになったら、少しは役に立つのじゃないか、と考えて承諾したの。私自身が子どもを2人育て、母親の忍耐、そして全ては子ども優先、という状況を体験しているのも大きな原因でしょうね。毎朝5時45分の目覚ましで起き、子どもたちを起こしてランチボックスを作り、7時のバスに乗せ、7時30分に全てが終わるまでの怒濤の時間がすっかり習慣になったものの、その間は歯も磨かない時もあるほどで…。古いスウェットパンツにボロのTシャツのままバス停に行く私の姿は、他の親たちにとっては見慣れた光景でしょうね(笑)。

女優

『Tully』ではハリウッドきっての美貌を隠し、疲れきった3児の母を完璧に演じて見せたシャーリーズ。

私にとってのタリーは自分の母親。『3時間ほしい』と言うと黙って子どもたちの世話をしてくれるの。祖母(自身の母親)と孫(自身の子ども)の関係も私に違う愛情のディメンションを与えてくれたわ。子どもたちは私の祖国、南アフリカに頻繁に連れていってローカルの文化や風習に触れさせているの。毋と私はアフリカ語で喋るのだけれど、子どもたちはそれを自然に覚えて、急に言葉を発したり。アフリカの食べ物も大好きで、友達が来ると『見かけはまずそうだけど、おいしいんだ』なんて勧めているのを見るとにんまりしちゃうわね」。
 
目の前の彼女は映画撮影後、40ポンド以上も減量。スリムバディーを11年余りも契約しているディオールの服に包み、『Tully』の面影は全くない。あらためて演技派美人女優の意志の強さを痛感した。ショーン・ペンと婚約までして別れてからもう3年近くになる。
 
「デートをしたいというケミストリーがゼロなのよ。今のところ子どもと一緒にいるだけで100パーセント満足。恋愛用のスペースはないわね」と、毅然とした表情で答えてくれた。

 

 

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

 

(2018年6月16日号掲載)
 
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2018年6月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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