クリス・パイン / Chris Pine

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(2023年3月16日号掲載)

芸能一家で育ったインテリ俳優

クリス・パインと成田陽子さん

初めての主役『Star Trek』 (2008)でカーク船長役を凛々しく演じ、ハリウッドの若手二枚目トップリストに加わったクリス・パイン。両親、祖父母が俳優という芸能一家に育ったが、大学入学までは俳優にならないと決意していたと語っている。
 
「父(ロバート・パイン)からは『俳優業は長い道のりの上、失敗、批判、拒絶に頻繁に襲われる厳しい職業だ』と警告されていた。父はテレビ番組『 CHiPs』(1977〜83)で巡査部長を演じて人気者だったものの、俳優生活の難しさをよく分かっていた。僕はUCバークレーから英国のリーズ大学に編入したのだけど、このあたりで俳優熱が加熱して演劇を学ぶようになった。命を賭けてやりたい仕事はこれだと確信したのだが、今になって妙に若い時に俳優にならなくて良かったとつくづく思う。それなりの教養が備えられたからね(笑)。初めての撮影現場で(俳優の)ジョージ・C・スコットに会えたのは最高の栄誉だったし、以後先輩たちの例えようもない才能やテクニックを目の当たりにしては栄養として吸収していった」。

クリス・パイン

完璧な生活が保証された街で夫ジャックと幸せな日々を送るアリスが、狂った世界に迷い込んでいく『Don’t Worry Darling』。クリスは同映画でカルト集団のリーダーを怪演。

『Jack Ryan: Shadow Recruit』(2014)ではCIA捜査官役と、カーク船長に続いてアメリカのヒーローを演じたことについては、「どちらも完全な愛国者で、星条旗に敬礼するタイプだろう。僕は超左派だからそのあたりには同調しかねるが、9・11のような事件が決して起こらないように国を守る、という信念には強く同意する。どちらも人気映画シリーズの続編だが、(前作と比べて映像などが)格段にハイテクになってきたのが特徴だろうね」と答えてくれた。
 
新作映画『Don’t Worry Darling』(2022)では、ハリー・スタイルズ演じる男性らを導くカルト集団のリーダーを演じている。
 
「ダークでひねりが効いた風刺劇で、映像の美的センスが素晴らしい。主演のフローレンス・ピューのずば抜けた才能には、思わず『どんな両親から生まれたの?』と聞いてしまった。いろいろな出会いが僕の生活を豊かにしてくれる。人生は短い。できる限り自分のベストを尽くしてエンジョイするべきというのが僕のモットーだ」。
 
ちなみに最近はハリウッド一のダンディーと称賛されているが、その背景にはイタリア人の姉妹のスタイリストの存在があるようだ。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2023年3月16日号」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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