インディ・ジョーンズも、もう75歳!
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75歳になって、ますます気難しさをワザと見せるようになったのはハリソン・フォードの一種の照れであり、自己軽視の一種なのだろう。しかし、話題作『Blade Runner 2049』の会見での彼からは、82年に公開され、自身が出演していた『Blade Runner』 の続編となるこの作品への情愛が滲み出ていた。
「ネタバレになるかもしれないが、レプリカントと人間は生物学上、全く変わらないのだよ。ひょっとしたらこの部屋の中にもレプリカントが何人もいるかもしれないのだから!」と記者たちをおどかして喜んだかと思えば、「人は、僕がシリアスなドラマに出なくなったと文句を言うが、『Blade Runner 2049』も『Indiana Jones 』の5作目(まもなく撮影に入るそう)も、単なるアクション映画ではなく、人間の多様な感情や人生の機微をドラマチックに描いた作品だと思う。どちらも僕にとっては本当に豊かな内容のドラマなのだから」と、出演作への考えも話してくれた。また、「アクションシーンは自身への肉体的挑戦だから、いつまでもやりたいと思うけどね『Blade Runner 2049』のブタペストで行ったロケでは、暇さえあれば自転車を駆って、街の細々とした場所や美しい自然を見て回った。これは肉体的にも精神的にもいい刺激になった」と、シニアのお手本のような生き方も語ってくれた。
さらに、「劇中における未来の風景はかなり無機質で寂しいものかもしれない。でも、これは演出のために敢えてオーバーにそう見せているんだ。それによって、人間の持つ豊かな資質や正義への欲望をビビッドに描けていると思わないかい? そういう崇高なテーマが全編に漂っている、オペラのような作品だと僕は信じている」と重ねて同作品への思い入れを口にした。
何度も墜落事故を起こしては世間を騒がせている、ベテラン飛行機パイロットとしても知られるハリソン。「飛ぶのは何よりも好きだ。周囲への責任は持ちながら自己をコントロールし、永遠に続く空を自由自在に飛び回る解放感は何ものとも比較出来ないシロモノだ。僕の人生の重要な部分でもある。飛行機を操縦しているとテクノロジーの進歩を痛いほどに感じ、生きていて良かったと叫び出したくなるほどだ」と、全く懲りないヒコーキ野郎なのであった。
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(2017年11月16日号掲載)
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2017年11月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。