(2020年11月16日号掲載)
英国映画界きっての特級美男子
ジュード・ロウに初めて会ったのは、映画『Gattaca』(1997)でのインタビュー時。特級美男子の彼が車いすの障がい者を演じるとその悲惨さが際立つ、というのを計算しての配役だった。「ヘイ、ジュード!」と呼びかけてみたら、その挨拶には慣れきっているはずだろうが、うれしそうに笑顔で応えてくれた。『Jude the Obscure』というトーマス・ハーディの小説とビートルズの歌『Hey Jude』の両方から名付けられたそうだが、正統派美男がごまんといる英国映画界でもずば抜けての眉目秀麗故に早々とスターに。ルックスに頼らない演技力も高く評価されている。
コロナ渦中は『The Nest』『The Third Day』『The New Pope』と3本の映画、TVシリーズに主演のジュードも47歳。さる9月、ロンドンの自宅とZoomでつないだインタビューを紹介しよう。
「コロナ渦で、最近生まれた赤ん坊を含めて6人の子どもたちとの濃い時間が持てたし、家の中の整理や庭の手入れなどに時間を注いでいる。藤棚はすっきり刈り込んだし、盆栽も生き返った。人生を振り返って深呼吸するという至極貴重な時間を過ごしているんだ。
6人の子供を持つなんて夢にも思っていなかったが、実は僕の両親は2人とも孤児で、とても寂しい思いをして育った。だから僕は、ロウ一族の子孫繁栄に努力しているというわけさ。それに、小さい赤ん坊がそばにいると、僕自身も若返るという恩恵もあるしね。昨夜、ロンドンのレストランで両親も含めて24歳の長男から0歳の赤ん坊まで家族全員が集まって食事をして、大いに盛り上がった。またコロナ規制が再開するようだから、しばらくは大勢の集まりはできそうもないのは寂しいね。
役を選ぶ基準? 同じような役は繰り返さず、少し恐くなるような、脅威を感じるような役を選ぶことにしているよ。非合理で一笑に付してしまうような状況下で逃げ惑う人間ってな役に魅力を感じるね。それから演技って、70パーセントは相手の話を聞いている時に実力が判明するもので、自分が叫び狂ってるような時は演技というより単なる反応だと思うんだ」と深い話もしてくれたジュード。間もなく、『Fantastic Beasts and Where to Find Them 3』の撮影に入るそうだ。
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