(2022年2月16日号掲載)
60歳を超えても若返りが止まらない
今年の8月で64歳になるマドンナの最近の若返りぶりがすごい。修正?と疑ってしまうようなツヤツヤお肌に、昔から好みの黒革の衣装に網タイツ、眼帯、さらに36歳年下の恋人をステッキ代わりに神出鬼没。シニアのお手本を目指しているのか、お遊び精神なのかはともかく、ひたすら「エイジズム」と戦っている姿は勇ましくもあり、ちと痛くもある。
初めて会ったのは『Evita』(1996)の時。37歳のマドンナは20代のようにすべすべの白い肌に豊かな金髪で、びっくりしたのは「借りてきた猫」みたいに良い子ちゃんだったこと。べらんめえの姐御を想像していたのだが。
「エビータと私には、共通点がたくさんあるの。田舎出身で、10代で家を出て自立して生き、さまざまな物議を醸しながらそれをスエネルギーにしてきたところ。そして、パフォーマンスが何よりも好きなところ。私はエビータに取りつかれてしまった。『Don’t Cry for Me Argentina』を歌うブエノスアイレスのプラザ・デ・マヨのバルコニーの場面では、実際に彼女が立った場所を使いたいと製作者たちが何度もリクエストしたのだけれど、返事はノーばかり。そこで私はエビータの衣装を着て、彼女らしいと思った香水を付けて、大統領に面会に行ったの。彼は私のほとばしる情熱を見て、イエスと言ってくれた。実際のバルコニーでの撮影で私はエビータとして、マドンナとして、勝利の興奮を味わったのよ」。
『Swept Away』(2002)出演の時は、同作監督の英国人、ガイ・リッチーと結婚しており、「英国って最高!礼儀正しくて、教養があって、歴史にあふれている」と大礼賛。自分の求める対象しか目に入らない性質があからさまだったが、それが彼女のパワーの源なのだなあと感嘆した。一方、英国のロイヤルロマンスを描いた『W.E.』(2011)を制作、脚本、監督した時は「英国の端整な美意識をエレガントに見せたかった」と述べ、静かで知的な側面を見せてくれた。
以来、映画からは遠ざかっているが、2018年に化粧品会社「MDNASKIN」を設立すると、自信たっぷりにモデルを務め、「冒険心、ノースモーク、ノー太陽、エクササイズ」がモットーと訓示。現在、自伝映画も企画中で、さぞかし気合いが入っていることだろう。
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