(2019年12月16日号掲載)
『Ford v Ferrari』 で伝説的カーデザイナー役を好演
今年の10月8日に49歳になったマット・デイモン。22年前の『Good Will Hunting』以来、35回以上もインタビューしている、まさに息子のような存在なのである。新作の『Ford v Ferrari』では、テキサス出身の元レーサーにして車のデザイナー役を好演。相手役のクリスチャン・ベールのまたもやの50ポンド減量、特殊なロンドンの訛りをマスターしての渾身の役作りに対して、いつもの人懐っこい丸いルックスで、ほとんどベールの引き立て役として自然体で応対。マットらしい深い洞察力に基づいたチームワークと言えるのではないだろうか。
「そりゃあスピードには目がないけれど、普段の生活ではテスラを低速度で安全運転している。撮影とはいえ、レース場のピットで猛スピードで走り抜ける車のものすごい振動を感じた時は、身震いがしたね。ライバルのフェラーリのピット前にさり気なくネジを落とすアイデアは監督のものだけれど、極度のプレッシャーが続くレースの場面で、コミカルな気分転換となっているだろう。ハッスルに次ぐハッスルのレースは、映画ならではのスリリングで豪快なものだし、当時の男たちの同志愛、ライバル意識なども今見ても全く古く感じさせない。
クリスチャンとの大格闘シーンは、クルーたちに”ボーン対バットマン”なんてちゃかされたおかげで、スタントマンなしの、かなり本気なファイトに挑戦した。しかし、やっぱり同じ俳優同士だから、スーパーの買物袋から固いボトルや缶詰などでなく、トイレットペーパーなんかを選んで殴ったりと、瞬間的にそれなりの配慮をしたね。
フォードの社長を演じたトレイシー・レットを乗せてのレースカー試乗の場面はCGでなく、本格的に運転して撮影したのだが、あれはスリリングだった。一応トレイシーは演技上焦りまくって脂汗を流しているが、実際は2人で極上のスピード感を狂喜して味わっていたのだよ」と、イタズラっ子のようなうれしそうな表情を見せて、レーサー体験を懐かしがっていた。
まもなく、親友であるベン・アフレックとの待望の共演作『Jayand Silent Bob Reboot』が公開される。こちらも大いに楽しみにしたい。
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