ミシェル・ファイファー / Michelle Pfeiffer

ライトハウス電子版アプリ、始めました

5年ぶりにスクリーンに帰ってきたベテラン女優

成田陽子とミシェル・ファイファー

約5年間スクリーンから消えていたミシェル・ファイファーが、今年は『Murder on the Orient Express』と『Mother!』 そしてロバート・デ・ニーロと共演したテレビドラマ『The Wizard of Lies』の3本で相変わらず妖しく美しい姿を見せてくれた。1958年4月日生まれだから来年まもなく60歳!
 
ロンドンで行われた『Murder on the Orient Express』のプレミアに露出度満点の銀のドレスで現れ、11月の夜の冷たい風に吹かれながらも艶やかに微笑むプロ意識に感嘆。

  

ミシェル・ファイファー

アガサ・クリスティーの同名ミステリー小説が原作の『Murder on the Orient Express』。ミシェルは謎めいた未亡人の役を演じている。

「やっと子どもたちの世話が終わったものの、家で絵を描いたり庭の手入れをしたり、思い立った時に旅行に出かけたりというマイペースにすっかり満足して、映画の現場に戻る興味とかエネルギーが湧いてこなかったのね。でも久しぶりに胸が高鳴るような企画のオファーを受けて3本も次々に出演してしまい、結局私は女優をしている時が一番バランスを保つ生き方ができるのだなと納得したの。特に『Murder on the Orient Express』は昔から敬愛して止まないジュディー・デンチと一緒に仕事ができるというだけでもう小躍りしたいぐらい興奮して、最初に会った時は感激して泣いてしまったほど! 毎日彼女に会えるのがうれしくてならなかった。ジュディーは毎朝誰よりも早く来て、誰とも公平に接して、優しくて、時間があるとシェイクスピア劇などのクイズを始めて、(監督兼主役の)ケネス・ブラナーと答えを競うのね。その駆け引きがおかしくて、私は私で彼女の博識に感動したり、誰もがジュディーを心から尊敬して、和気あいあいの現場だったわ。ジョニー(・デップ)もジュディーの前では少年みたいに健気に振る舞って何とも微笑ましい光景を見せてくれたし。汽車の中での乗客全員の表情を見せる長いテイクでは私がNGを出したらみんなに迷惑をかけるとすごく緊張して、まるで素人の気分になったりもしたし、歌を口ずさむシーンではあまり長く歌ってないので喉がからからになったり。そういう時にケネスのポワロ役用の巨大な髭を見ると噴き出しそうになって心が安らぐという効果を発見したのよ」。
 
次は本物の汽車の長旅をしてみたいとしっとりと微笑むミシェルであった。

 

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

  

(2017年12月16日号掲載)
 
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2017年12月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

「成田陽子が行く!ハリウッドスタァ取材日記」のコンテンツ