(2022年4月16日号掲載)
「Parallel Mothers』で高い評価を得た
新作『Parallel Mothers』(2021)で4度目のオスカーにノミネートされ、受賞は逃したものの素晴らしい演技を見せてくれたペネロペ・クルス。『Vicky Cristina Barcelona』(2008)では見事に助演女優賞を受賞。スペイン人女優としては初の栄誉だった。
初めてペネロペ・クルスにインタビューしたのは『All About My Mother』(1999)の時。既に25歳だったが英語がまだ話せなったせいか、幼稚園児のように頼りなく、キョロキョロと周囲を見回して全く落ち着かず、成熟が早いヨーロッパの女性にしては珍しく少女のようにあどけなかったのを思い出す。しかし翌年、共演したマット・デイモンと交際に発展すると、次に共演したニコラス・ケイジともロマンス。さらに2年後にはトム・クルーズとのめくるめく恋が世界中に知られ、「スペインのセクシー美女」としてセレブの仲間入りを果たした。そんな流れもマシュー・マコノヒーを最後に、結局2010年に結婚した相手は同郷の男優、ハヴィエル・バルデム。現在11歳のレオという息子と、8歳のルナという娘がいる。
『Parallel Mothers』ではフォトグラファーとして成功している女性を演じた。独身で妊娠、出産し、産院で同じ日に出産した若い女性と知り合う。共にシングルマザーだったため2人は親しくなるのだが、後日、赤ん坊の取り違いが発覚…。ここまではよくあるドラマなのだが、名匠ペドロ・アルモドバルの手にかかってストーリーは思いがけない方向に進む。
「今まで演じた役の中で、最も難しかった。脚本を読んでまず打倒されるような衝撃を受け、そして撮影中は心身が消耗していくのが感じられて。もし自分に子どもがいなかったら、絶対にここまで演じられなかったと思う。ペドロとはこれで7回目の映画だけれど、今回は毎シーン気を失いそうな役作りをしたし、彼が最後に支えてくれるという信頼関係がなかったら到底できなかったでしょうね。知らない街で会った他人の子どもを勝手に抱きしめたり、母性愛を過剰に持っている私だから、演じるのがすごく辛かった」とコメントするペネロペは、最近やっと出演依頼に「ノー」と言えるようになり、ワーカホリックな生活を捨て、子どもたちの成長を直に見守る毎日を楽しむようになったそう。
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