ティモシー・シャラメ / Timothée Chalamet

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(2021年5月16日号掲載)

舞台仕込みの高い演技力を誇る、絶世の美男子

ティモシー・シャラメと成田陽子さん

「しばらくの間、人に会うたびに『桃食べられる?』って聞かれてうんざり。もちろん食べられるけれど、あの場面を思い出さずには食べられないね!」。『Call Me by Your Name』での、マスターベーションの相手に桃を使ったシーンは、衝撃だった。
 
フランス人の父親を持って生まれたため、毎年の3分の1以上をフランスで過ごして育ったティモシー。実際の名前の発音は”ティモテー”だそうで、実際『Call Me by Your Name』で共演して実生活でも大の仲良しになったアーミー・ハマーは、いつも「ティモテー」と呼んでいるとか。
 
さて、見る見るうちにオスカー候補の若手演技派に躍り出たティモシーには既に4回ほど会ったが、最初から文学的表現を取り入れ、少し斜めに構えて話を進める、とびきり知的な人物であった。小さい頃からCMに出て、その後、舞台の魅力に取りつかれ、すぐ演技力を認められたせいだろう。高校生の時から芸術性の高い会話をしていた成果がうかがえる。もちろん両親、祖父母のほとんどがハーバード大など名門校を卒業して作家になったり、制作者やパフォーマーになったりと、その育ちも大いに影響しているだろうが。

ティモシー・シャラメ

60年代のベストセラーSF小説を映画化した『Dune』で、ある惑星の貴族出身の若者、ポールを演じるティモシー。

「僕が通った高校は『Fame』のモデルになった高校で、僕は完璧なまでの劇場っ子だった。ここで舞台装置から照明、エキストラ、ミュージカル、シェイクスピア劇まで、重要な技術を学んだよ。高校3年の時にドラマ『Homeland』の役をもらって、そこからテレビと映画の道に進んだ。でも本当は舞台が好き」と、あくまで自分はアーティストであると強調した。
 
私生活でもマドンナの娘とデートしたかと思うと、おそらくフランス語でジョークを語り合うであろうジョニー・デップの娘とくっ付いたり離れたり、スターに必要な女性遍歴という栄養もたっぷり吸収している。また、花模様のタキシードや奇抜なデザインのスーツが少女漫画の美少年のようなルックスとスレンダーな体によく合って、レッドカーペットでは超人気者。劇場で鍛えた優雅な身のこなしも手伝い、実にゴージャス!
 
お次は『Dune』『The French Dispatch』などの話題作に主演するほか、ロンドンで『4000 Miles』という舞台劇に挑戦するなど、前途洋々なのである。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2021年5月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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