トム・クルーズ / Tom Cruise

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(2022年7月16日号掲載)

永遠のメガスター

映画『Top Gun: Maverick』での圧倒的なアクション、戦闘機への愛、ダントツの興行成績、60歳を目前にしての超人的若々しさなど、数々のパフォーマンスから、「来年のオスカー賞は全てトム・クルーズに!」などと言う熱烈なファンたちの応援まで…。世界レベルの沸点にまで達したその人気は、ハリウッドの歴史初の快挙と言えよう。
 
「8歳から映画の世界で働こうと決意していた。小学校の時から学芸会の舞台に出て基礎を学び、18歳になってロサンゼルスに移ってエージェントを探し、すぐに『Endless Love』(1981)の役を得た。人生で一番ハッピーな瞬間だったね。演劇の専門的な学校などには通わなかったけれど、出演した全ての映画で僕は他の俳優たちの技能、クルーの仕事、原作から映画化されるまでのプロセスなどを必死になって勉強した。ロケで旅に出れば、その土地の文化に触れたり人々と交流したりすることに努め、それらが今の僕の貴重な栄養源になっているんだ」。

トム・クルーズと成田陽子さん(1988年)

1988年、青春ラブストーリー映画『Cocktail』が公開された頃の若かりしトム・クルーズとの1枚。今も昔も変わらず、笑顔がまぶしいイケメンなのである。

トムはやたらと真面目なコメントを力強く言うため、聞いている時は、「いやぁ、すごい内容だ」と思ってしまうのだが、後でテープを聞くと、同じようなことばかり繰り返し言っていることに気が付く。しかし、対面時のインパクトはとにかく強いのである。おまけに私の肩に手を回して「娘さんは元気にしてる?」などと「殺し文句」を投げかけてくるところは、ほとんど政治家レベルの記憶力と自己PRの手腕と言えよう。
 
そして、今回の『Top Gun: Maverick』でのコメントもパワーにみなぎっていて、話を聞いているこちらも疑うことなく激しく頷いてしまったのである。
「4歳の頃から飛行機に乗りたかった。21歳の僕は『Top Gun』(1986)で実際の戦闘機を操縦して夢がかなった喜びを味わえた。毎年のように『続編を』とせがまれていたが、僕の中で『前作をしのぐ作品が作れる』という自信が生まれるまではやりたくなかった。ストーリーが全てだからね。ちなみに、今回もパイロット役の俳優たちに3カ月の飛行訓練を行って、戦闘機の偉大さを体の芯から味わってもらった。かけがえのない経験だったに違いない」。
 
永遠のメガスター、トム・クルーズに乾杯である。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2022年7月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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