【俳優、脚本家、プロデューサー、監督、音楽家】
デビュー作 『: Due South』
最新作 『: Eastwick』
『Due South』で律儀な騎馬警官を演じたポール・グロスは、1994年以来私の「死ぬまでに会いたい人」リストの首位を維持。やっと叶ったグロスとの対面は、期待以上!カナダの自然もさることながら、長年の異文化体験も器の大きさに加担しているのだろうか?
『Due South』では、カナダの大自然の中で活躍していたフレイザー騎馬警官が、シカゴで父を射殺した犯人を探す、いわゆる「陸に上がった河童」役だった。最新作『Eastwick』では正反対の、得体が知れない実業家ダリル・ヴァン・ホーンを演じる。「『Due South』終了以来、毎年シリーズ出演依頼はありましたが、3年かけた映画が終わったことだし、すぐに手をつけたい企画もなかったので、ちょっと中休み。それにこの役は演じ方が無限大で、チャレンジだと思って引き受けました」と久々の米シリーズ出演について語る。
カナダでは舞台/映画/テレビ、何を手掛けてもヒットする国民的英雄グロス。「『DueSouth』の宣伝にあちこち引っ張り回されたのには面食らいました。カナダでは、宣伝予算なんてありませんから(笑)。今回は業界が一変したことに驚きました。地上波局は、崖に向かって突進しているような感じで…」と鋭いコメント。
米芸能界にカナダ人が多いと気が付いたのは、『Due South』の好演を観て、グロスの経歴を調べて以来。カナダ文化を長年礼賛してきたグロスに聞く2度とないチャンス。「うーん、ここが違う!と指摘するのは…、例えば英雄の観念が違うことでしょうか?カナダでは『Rambo』制作などあり得ません。歴史が浅いし、常に隣国と比較されるので、米国のここが良くないから、その逆をやるのがカナダ!という、極めて消極的な定義です。カナダ首相が『kinder, gentler nation』を目標に掲げることは考えられません」と、41代ブッシュ前大統領のスローガンを持ち出す。そのものずばり! だから、目標にならないと言うことだ。
カナダ陸軍戦車隊司令官だった父親の赴任先、米国、イギリス、ドイツ等を幼い頃から体験。礼儀作法はイギリス仕込みだが、ワシントンDCの高校時代「長除法辺りから、数学は捨てました。科学系は全滅ですから、『芝居しかない!』と決めました」と語るグロスだが、先生の後押しが大きいという。14歳からCFで活躍、ギャラを貯めてアルバータ大学の演劇科に進んだ。
しかし、思春期に異文化体験を重ね、母国や自分を見つめ直したことが、今日につながっていると言う。「1週間だけでもカナダの首相になれたら、国外に出たことのない人に切符を発行して、海外からカナダを振り返る企画を実行したいです。外に出て初めて母国を知るものです」と語る。
『Due South』映画化の可能性については、「あの窮屈な制服が辛くて…」と笑う。えー、凛々しい騎馬警官姿が売りなのに?!
★★アメリカTV Q&A
Q:米国テレビのゴールデンタイムは?
A: 毎晩、午後8時から11時までですが、ゴールデンタイムではなく「Primetime」と呼ばれます。この3時間は、地上波局にとって、広告費を稼ぐ一番貴重な時間だったのですが…。
午後10時枠にドラマを放送しているのは、ABCとCBSのみになってしまいました。NBCは今秋から平日午後10時枠を『The Jay Leno Show』で埋めています。ドラマは制作費がかさむからですが、業界関係者はNBCの諦めの象徴と解釈。『Friends』『Seinfeld』『ER』で地上波局のトップの座を満喫した局のなれの果て。
FoxとCWの「Primetime」は、午後8時から10時までの2時間ですが、放送時間にテレビの前に座って観る視聴者は減る一方=広告費収入が激減すると「Primetime」概念は意味を失い、消失する可能性があります。
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