真の芝居好きが集まるシカゴで修業
Paul Adelstine
シカゴ出身。英文科を主席で卒業した後、ジョン・キューザックのNew Crime Productionsで舞台経験を積む。キューザック主演の『The Grifters』で映画デビュー。
90年代『Cupid』『ER』『Without a Trace』『Scrubs』などにゲスト出演。2005年『Memoirs of a Geisha』に出演後、『Prison Break』に抜擢された。
昨年の話題作『Private Practice』の小児科医役で活躍中。06年、『Gilmore Girls』のパリス役を演じた個性派女優ライザ・ウィールと結婚。
ポール・エーデルスタインとの初対面は『Memoirs of a Geisha』の撮影現場。その後の活躍は目を見張るものがある。『Prison Break』の冷血漢は殺されてしまったが、主演のウェントワース・ミラーに「蘇らせたいキャラクター」と言わしめた。『Private Practice』では、小児科医に変身。女優ライザ・ウィールとの結婚も吉報だ。
私が応援する俳優さん同士が結婚するなんて、感激! 今、公私共、最高潮ですね!
エーデルスタイン(以下A):ライザがよろしくと。ライトハウスのインタビューがとても楽しかったそうです。ストや業界の現状を考えると、仕事にありつけるだけでもありがたいです(笑)。『Prison…』のケラーマンが殺されて、どうしよう? と思っていた矢先、『Private…』の面接が転がり込んで、1週間後には決まりました。
小児科医のクーパーは、ケラーマンから180度転換ですね?
A:邪魔者は情け容赦なく消す極悪人でしたが、素顔が見え隠れするケラーマン。視聴者受けなどお構いなしに演じられた楽しい役でした。どの役にも必ず自分との共通点があるものですが、クーパーに近いと悟った点では、冷血漢からの180度転換は貴重な体験と言えます。でも、役作りは結構難しくて…。
シーズン1から最も成長が顕著な役ではないでしょうか?
A:クーパーは、インターネットで出会った得体の知れない女性とデートして、危ない橋を渡っていましたからね。医者という社会的地位と私的行動のギャップが誰よりも大きくて、成長したように見えるのでは?
相手が事務局長シャーロットとは意外でした。
A:人間ドラマが得意な創作者のライムズは、不似合いな人間をくっつけて観察するのが常套手段なので、このコンビになったのでしょう。傷付くのが恐いから、仕事に逃げていたシャーロットとクーパー。殻を破ったらどうなるか楽しみです。
『Grey’s Anatomy’s』は、まともに観られないシーンが急に増えて食傷気味ですが、『Private…』はまだ安心です。
A:どうしたら良いか解らない難問に、さまざまな意見や観点を提示して、視聴者に考えてもらうのが趣旨ですから、目を背けるシーンは押さえないとね。
俳優になろう! と思われたのは?
A:小さい頃から音楽や芝居に興味があり、20歳の時にひょんなことからジョン・キューザックの劇団に行ってやみつきに。大学を1年休学して、2本芝居をやりました。芝居で食べて行けるかが不安で、結局、卒業証書を手にしてから、劇団に舞い戻って5年。シカゴでCMや映画の端役をやって、オーディションでLAに来るようになりました。出稼ぎを6年して、LAに越して4年足らずです。
シカゴは芝居を学ぶには、素晴らしい環境と聞いています。
A:NYのような過当競争はないし、LAみたいに狂気の沙汰(笑)ではない。洗練されている上、サークルが小さく温かい環境です。スターになるのが目的ではなく、真の芝居好きが集まって来ます。舞台経験を積みながら、生活したい人には最高ですよ。オススメします。
[業界コボレ話]
オバマ大統領に決まり、「この国は変わるんだ!」ムード。イラク攻撃を弁護できず、里帰りの度に責められて、肩身が狭かった私の喜びは殊更だ。同時に、この国の健全さに新たに感激した。
ブッシュ現政権の不始末を批判する映画『W.』を選挙前に公開できるのも健全さの証拠。ブッシュの取り巻き3人(誰かはご想像に任せる)に底知れぬ恐さを覚え、ワシントン総入れ替えの必要性を再確認。
ニュースを観ない私は、ティーナ・フェイが茶化して初めて、恐~い副大統領候補を観た。何と、政治風刺劇は、ほとんどがペイリンの発言をそっくりそのまま。候補者や政治家の「地」をお茶の間で見極められるようになったことも、オバマ勝利に繋がったのかも。