遠回りして古巣ブロードウェイに戻る
Holland Taylor
フィラデルフィア生まれ。ベニントン短期大学で演劇を勉強。卒業後、22歳でブロードウェイに進出、15年舞台経験を積んだ。80年、『Bosom Buddies』でテレビ界にデビュー。テレビ代表作は『The Powers That Be』『The Practice』で、99年『The Practice』の判事役でエミ-賞助演女優賞を受賞。現在はCBS『Two and a Half Men』で活躍中。映画代表作は『Romancing the Stone』『Legally Blonde』。
Photo:©Robert Boets/CBS ©CBS Broadcasting Inc.
気高い雰囲気で番組の格を上げる貴重な俳優、ホランド・テイラー。80年『Bosom Buddies』でテレビデビュー、その後、エミーまで受賞したが、すべての道はブロードウェイにつながっている。
『The Practice』でエミー賞を受賞されましたね?
テイラー(以下T):名前が読み上げられた時、大先輩のナンシー・マーシャンと聞こえました。エスコートに突っつかれて、何が何だかわからないまま舞台に立って「一夜にしてスターになりました!」と挨拶しました。何もかも夢の中の出来事のよう。
『The Practice』のキトルソン判事役は、クリエーターのデビッド・ケリーの創造?
T:私の役作りとデビッドの思惑が一致して、複雑な役になっていく経過が面白かったです。熟年のちょっときわどい女判事役なんて、そこらに転がっていませんよ(笑)。あの役でエミーをいただけたのは、最高の名誉。
巨匠ノーマン・リアーの『The Powers That Be』で上院議員の夫人役をしておられた頃からのファンです
T:あの番組は、NBCの宝の持ち腐れで、1年しか持たなくて。議員と愛人の間にできた娘が主役でしたが、蓋を開けてみたら私の役がどんどん重みを増した番組。
『Bosom Buddies』に出演を躊躇したって本当ですか?
T:舞台では名前も売れていたので、「今さらテレビ?」というためらいでした。今でも、古巣の舞台が1番好き。毎回違うエネルギーの動きを、観客と一緒に体験できるのがたまりません。私が入った頃は、舞台俳優って、どんなに有名になっても食べて行くのは至難の技。今は知名度が高いことがブロードウェイでヒットする条件なので、映画やテレビで名を売ることが前提になってしまって。私もハリウッドで長年下積みして、やっと舞台に戻れそう(笑)。
ご両親は反対されました?
T:父は労使関係の弁護士、母は画家でした。父は私にタイプを習って会社勤めをしてほしかったようです。でも去年、タイプが打てるようになったんです。卒論は手書きという訳には行きませんから。
卒論? 何を勉強されました?
T:心霊心理学です。母を亡くして、自分の歳を感じて…。「生きるとは?」「生きる上で大切なこととは?」を勉強して修士号を取りました。
どんな役がお好きですか?
T:自分にないものを演じることはできないから、複雑な女性に惹かれます。どんな役でも1度はやってみたいけど、私はメリル・ストリープのような七変化はできません。メリルはどんな役でもこなす天才ですから。
お手本は誰ですか?
T:人生を楽しむためのユーモアと知恵を両親から学びました。俳優としては、恩師ステラ・アドラーの影響が最大ですね。
俳優志望の日本人に何かアドバイスをお願いします
T:ステラ・アドラー演技法を教えている先生に弟子入りして、小劇場で良いから場数を踏むこと。オーディションの数をこなすより、エージェントを見つける方が現実的で近道だと思います。
[業界コボレ話]
05年の新番組で、早々とキャンセルされた作品・時間帯変更など、最新の動きを報告しよう。
ABC『Hot Properties』、CBS『Threshold』、私は結構気に入っていたFox『Reunion』と『Killer Instinct』が、キャンセルの憂き目に遭った。さらに、最近息絶え絶えの『Joey』はベンチ入り、NBC唯一の自信作『My Name is Earl』が取って代わった。激戦の火曜9時は、ABC『Commander in Chief』とFox『House』が重なっていたので、時間帯移動は大歓迎だ。
熱狂的ファンはいるものの、一般ウケしなかった理由で、ABC『Alias』とFox『Arrested Development』は、いずれも今シーズンで番組が終了することとなった。