脚本家/監督 グレッグ・バーランティ

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感受性豊かで、謙遜な「希望の星」

Greg Berlanti
ノースウエスタン大学劇作家課程卒。映画用脚本が『Dawson’s Creek』(WB)創作者の目に留まり、スタッフライターに登用された。2000年、『The Broken Hearts Club: A Romantic Comedy』がサンダンス映画祭で好評を博し、業界紙から前途有望な監督、”Ten to Watch”の1人に選ばれた。Dawson’sでの実績が認められて、弱冠30歳でWBお抱えプロデューサーに。02年から『Everwood』、04年『Jack & Bobby』を創作・総指揮
 
Photo:©2005 The WB Television Network.All rights reserved.

繊細な外見からは想像できない筋金入りの脚本家・バーランティの作品は、視聴者に媚びず、生きるために大切なことを伝える。2000年以来、業界から若手有望株として注目され、04年『Jack & Bobby』で勇気と底力を証明。巨匠ノーマン・リアーも絶賛する青年の素顔とは?

『Jack & Bobby』が打ち切られ、心にぽっかり穴が空いたような気がします。

バーランティ(以下B):最終回まで信念を貫いて、最高の作品に仕上がったので悔いはありません。観ていた若者が、いつか良い作品だったと振り返ってくれたらうれしいですね。

今年は『Everwood』に専念?

B:4年目に番組がどう展開して行くかを見て、いつまで続けるか決めます。新しいものを作りたくなるかしれません。

アイデアがテレビ番組になる過程を教えてください。

B:人物から入る人、『CSI』のような環境から入る人、色々です。私は人物中心のドラマが好きなので、登場人物と何を伝えたいのかを考えます。それを撮影所に売り込み、登場人物・環境・パイロットの筋が固まった所で、今度は複数のテレビ局に売り込みます。時々、こんな番組よく作ったな!? と思うのがあるでしょ? 局の言いなりになって脚本家が信念を貫かなかった証拠です。

『Everwood』は自叙伝ですか?

B:母はまだピンピンしていて、迫力ありますよ!(笑)。親に何でも言える家庭で育った点が自叙伝かな…? WBに父親と息子の絆を描いたドラマがなかったし、現代社会が抱える難問を田舎ではどう処理するかが書きたくて生まれました。

若くしてハリウッドの「希望の星」と絶賛されていますが、実績はいかに積まれました?

B:月並みですが、運と努力ですね。『Dawson’s Creek』のケヴィン・ウィリアムソンに気に入られて、スタッフライターになって以来、温かく見守ってもらいました。信頼に応えなければと、1歩1歩地道にこなしてきました。

幸運の女神が微笑むまでの生活は?

B:タイプの試験をごまかして派遣されたものの、すぐバレて。何とかクビだけは免れましたが(笑)。数カ月稼いでは、籠って書くというサイクルを繰り返しました。限界と思って就職したら、書く時間がなくて…。ハリウッドサインの真下に住んでいる時、バレーにある保険会社から帰宅して、見上げるのが情けなくてね。ハリウッドにいるのに業界で働けない、ハリウッドがどんどん遠ざかって行く…。でも、心の準備ができるまでに10本書きました。

誰かお手本はありますか?

B:ニール・サイモンの脚本は繰り返し読みましたね。『Jack & Bobby』のファンだとノーマン・リアー氏(『All in the Family』でテレビ界に旋風を巻き起こした巨匠)にお誉めの電話をいただいた時は、頑張って良かった! と思いました。最終回にカメオ出演までしてもらって。リアー氏の作品は、必ず大切なメッセージが入っています。それが時代の流れに逆らうものでも、主張する勇気のある筋金入りの脚本家です。見習わないとね。

[業界コボレ話]
米国の地上波6局(ABC・CBS・NBC・FOX・UPN・WB)は、毎年1月と7月にテレビ評論家を招き、「Press Tour(内見会)」を開催。昼間は制作陣と出演者が評論家の質問に答え、夜は和やかな雰囲気の中で、歓談の機会を設ける。
04年夏、初めて参加した内見会で誰よりも印象的だったのは、グレッグ・バーランティ。WBの意欲作『Jack & Bobby』について、熱っぽく語り、才能・情熱・人柄がキラキラ輝いていた。大統領になるボビーの生い立ちを、現在と40年先のドキュメンタリーの組み合わせで綴った番組にも感動。
このページの初回を飾るのは、この人しかない! と粘って1年。『Jack & Bobby』が打ち切られ、時間ができてインタビューに応じてもらったのは、皮肉としか言いようがない。

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