『Friday Night Lights』ロケ現場レポート!

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新年特別企画

Zach Gilford
シカゴ出身。ノースウェスタン大学卒業後、映画『The Last Winter』『Rise: Blood Hunter』やテレビ『Law & Order: Special Victims Unit』等を経て、『FNL』のナイーブな高校生マット役で活躍中
 
Adrianne Palicki
オハイオ出身。俳優を目指してLAに。『Lost in Space』の映画化で、ジュディー・ロビンソン役を射止めた他、TV『North Shore』『CSI』『Smallville』などに出演。『FNL』の不良女子高生タイラ役で活躍中
 
Scott Porter
ネブラスカ出身。オーランドのユニバーサルスタジオで芸能活動を始め、東京ディズニーランドでも働く。『Altar Boyz』『Toxic Audio』で数々の賞候補に挙がるほどの実力派。『FNL』で半身不随の元スター選手を演じる
 
Taylor Kitsch
バンクーバー出身。2002年、NYでシーラ・グレイの門下生となり、03年故郷に戻り、映画『Snakes on a Plane』『The Covenant』などに出演。TV『Godiva』『Kyle XY』を経て、『FNL』のティム役で活躍

「Friday Night Lights」
Fri 21:00-22:00(NBC・Drama)

 
オースティンの大学のアメフトチームのコーチとなったエリック・テイラー(カイル・チャンドラー)は、ディロンに残した家族とチームが気になっていた。1年で州チャンピオンにまで育て上げたチームが、後釜コーチのえこひいきと軍隊式訓練で元の木阿弥になったと知り、舞い戻って来るのだが…。
半身不随のジェイソン(ポーター)、スターの座を追われたマット(ギルフォード)、チームを追い出されたティム(キッチ)、殺人事件に巻き込まれたタイラ(パリッキ)など、悩み多き高校生が赤裸々に描かれる

私の好きなアメリカが詰まった『Friday Night Lights』(FNL)。2006年秋から欠かさず観ている。残念ながら視聴率は今ひとつで、これほどの秀作も生き残るのに四苦八苦。
制作陣、キャスト、広報にも友達ができ、ロケ現場に招待された。シーズン2の撮影が始まったばかりの現場でお目にかかったのは、主役エリック・テイラーを演じるカイル・チャンドラー以下、若手俳優4人。
美しい学園都市オースティンで、初日に案内されたのはマット(ザック・ギルフォード)の粗末な家。撮影班が動くのも苦労するほどの空間しかないが、本作がリアルなのは地元の民家や建物を借りて撮影しているからだ。父のイラク出征後、アルツハイマーの祖母の世話をしながら、フットボールの練習に励む高校生マットを演じるギルフォードは、画面と変わらない好青年。
「番組のファンとして、今後何がどうなるか? と心待ちにしています」と語るのは、番組のドキュメンタリー式撮影の関係上、放送を観るまで、編集時にどのカットが使われるか不明という裏の事情がある。

ポーターの初めての本格的芝居

夕方、タイラ役エイドリアン・パリッキと会った。舞台風の即興の芝居については、「ゲスト出演するベテランでさえ、戸惑っているのを見ると、いかにユニークな撮影をしているか改めて感じます」と言う。
夏休みにゲスト出演した『Supernatural』で、自由に動き回っていたらNGが出て、「テープが貼ってある位置で台詞を言わなくちゃいけなかったんだ!」と再認識。本作はカメラが役者を探してくれるので、自由に動き回れ、自然な芝居ができる環境になっている。
出番がないにも関わらず、わざわざ来てくれたスコット・ポーター。シーズン1はいきなり半身不随になり、両親やガールフレンドを気遣うあまり、自分はおざなりにしていた。やっと自分と向き合い、「ディロンにいるべきか」「コーチ助手を続けるべきか」などを考える。
「自分をありのまま受け入れた時、新たな人生が始まると体験者から学びました」と語る。車椅子の演技はスタントマンを使わず、自分でこなす頑張り屋さんだが、「これが初めての本格的な芝居」という発言にびっくり。数年前、東京ディズニーランドで歌って踊った体験や、規律正しい日本から戻って来た時の逆カルチャーショックについても語ってくれた。
インタビュー後、中古車販売店でのシーンを見学させてもらったが、撮影は真夜中まで続いた。お疲れさま。

テレビ経験の浅い僕らを信用してもらっている

2日目は、荒れ野原を撮影のために整備した球場に案内された。番組終了時には、地元に寄付する予定とか。
スターになる要素を持ちながら乱行が祟り、チームから追い出され、波瀾万丈のシーズンを送るティム役のテイラー・キッチ。父親に捨てられ、親代わりの兄にも見捨てられ、どんどん深みにはまって行く。おまけに、新任コーチはティムの宿敵スマッシュに肩入れする。
本日のシーンは、二日酔いで練習に現れたティムへの体罰。8回目にやっと監督からOKが出て、キッチより撮影を見ている方が疲労困憊してしまった。
大人に裏切られてきたティムは人間不信。自暴自棄になりかけている時に、信頼していたテイラーが戻って来る。「チャンドラーは役者として尊敬できる大先輩だから、今後のからみが楽しみです」と語る。
舞台風の撮影方法は役者に自由を与える反面、場面を把握する責任が重くのしかかるが、「テレビではまだ経験の浅い僕らを信用してもらっているので、やり甲斐があります」と話すキッチは、あれだけの重労働をこなしたにも関わらず、涼しい顔だ。
翌日、観光にと思って立ち寄った街角には、見慣れたベースキャンプが。町中至るところで撮影しているのに、オースティンの地元民は意外にも無関心。私が番組の宣伝までして、帰途についた。

[業界コボレ話]
放送作家ストの真っ最中に行われた海外の放送局向けインタビューは大盛況。現在、主にABCで放送中の番組に出演する俳優70人が5分間、1対1の質疑応答に応じてくれた。なかには最近のスキャンダルに関する質問を恐れてレポーターを1人に限定する「おっかなびっくり」組や、当日のドタキャン組もあったが、楽しい4日間だった。
これまで多数のインタビューをしたが、放送用となると俳優の緊張度が高い。私はテレビレポーターではないので、相手が気持ち良く発言できる雰囲気作りが仕事。しかし、顔の知れたレポーターともなると、自分がどう映っているかが優先で、俳優に気を遣う余裕などない。「どんな質問をしているのだろう?」と考えてしまった。

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