楽しいイベントやショッピングが続くこの時期は、何事もなく愉快に過ごしたいもの。とは言え、ホリデーシーズンから年末年始に犯罪が増えるのは、日本もアメリカも同じこと。一見対策が難しく思える犯罪でも、実はちょっとした注意で防ぐことができるのだ。今回は、その対策を紹介しよう。
アメリカの自宅における防犯対策
防犯アピールが重要
空き巣は英語で「Burglary」。家やアパート、部屋、オフィスビルなどに、物品を盗む目的で無断侵入する犯罪のことで、重罪(Felony)として扱われる。
空き巣の侵入を防ぐ方法はいくつかあるが、どれも100%防げるというわけではない。いくつかの方法を組み合わせ、被害に遭わない可能性を高めるしかないのだ。
彼らが狙うのは、金持ちの家ではなく「侵入しやすい家」。だから、庭に犬を飼ったり、セキュリティーシステムのサインを表示するなどすれば、侵入される可能性は一気に下がる。つまり、「うちは空き巣対策が万全」と、常日頃からアピールしておくことが大切なのだ。
空き巣を防ぐ有効法
空き巣は、長期間の留守宅だけを狙うわけではない。住人が近所の人と立ち話している間でさえ狙われることがある。だから、少しでも家を空ける時は、施錠することが防犯の大前提。
鍵は、鉄の棒がドア枠の穴に入り込むデッドボルト式のものをおすすめする。アパートなどでよく見る、ドアノブの回転にロックをかけるものだけでは安全性は低い。だから、これら2つの鍵を両方取り付けることが理想的だ。空き巣は、ドアを外から触っただけで鍵の種類を判別する。デッドボルト式の鍵は破りにくいため、空き巣の抑止力にもなる。
鍵を”秘密の場所”に隠して、家族で使い合うケースがある。玄関のマット下や植木の鉢の下などに隠すパターンが多いが、これは御法度。空き巣は、必ずそういう場所をチェックするからだ。
また一軒家などでは、裏庭に通じる裏口にスライド式の窓が設置されている場合が多いが、このタイプのものはとても外しやすいことから、空き巣が好んで侵入する場となる。だから、窓枠の上下を留め金で固定したり、窓枠に穴をあけピンなどを刺すことでスライド幅を小さくするなどして、セキュリティー性を高める。
さて、空き巣はまず、侵入しやすい家を外から物色する。その時に、家の中が良く見える状態だと、家の構造や住人の家族構成、年齢層などを把握しやすい。もしシニアだけの家だとわかると、後日その家が標的になる可能性が高まる。家の中が容易に見えないように気を付けることも大切なのだ。
また、家の周りには、長いハシゴや台などを置かないようにすること。それらは、空き巣の侵入を手助けする道具となるからだ。実際、家の脇に放置してあるハシゴを使って、2階の子供部屋から侵入した犯行例も多い。もしそこに子供がいたと考えただけで、背筋が凍る。
空き巣はどこにでも潜んでいると思った方がいい。隣家との境界として使われる樹木や垣根などは、空き巣の絶好の隠れ場。樹木や垣根の手入れは定期的に行い、その内部がきちんと見えるように手入れを怠ってはならない。
長期間外出時の注意
長期間家を留守にする時は新聞社や郵便局などに、郵送物の配達ストップを依頼すること。たまった郵送物は、その家が長期留守中であることを公言しているようなもの。幸い最近では、各社インターネットで簡単に依頼できる。
また、「特別パトロール依頼書」を提出することも有効な対策の1つ。この依頼書は、大体どこの警察署にも用意されており(警察署によるので、事前に確認が必要)、用紙に必要事項を書き込んで申請しておけば、留守期間中に特別パトロールをしてくれる。パトロールの優先順位は低いものの、すべてのパトロール車に依頼の情報が流されるので、大きな事件が発生していない限り、常に警察官は気にかけ、重点的にパトロールしてくれるのだ。
また、車はガレージに入れず、ドライブウェイに駐車する。2台所有している場合も、1台はガレージ、1台はドライブウェイと分けた方が良い。ドライブウェイに駐車することで家には誰かがいるというサインとなり、犯行の心理的抑止力となるのだ。
日頃から親しくしている隣人に家の監視を頼むのも得策。もちろん「互いに信用し合っている」ことが大前提で、日頃あまり話したこともないのに頼むのは、逆に危ない。
ちなみに長期間の外出ではないが、夜遅くに帰宅する予定のある場合は、門灯、ラジオ、テレビなどにあらかじめタイマーをセットし、暗くなったら作動するようにしておく。家に誰かがいるように見せかけることも有効なのだ。
隣人見張りプログラム
市民の安全を守る警察だが、いつも自分の家を優先的にパトロールしてくれるわけではない。では、常に見張ってくれる人は誰か。自分も含めた周辺の隣人だ。そこに目を付けたのが、「Neighborhood Watch Program」。これは、ロサンゼルス郡内のコミュニティーでここ20年間ほど増え続けているプログラムで、コミュニティー、ストリート、ブロックなど、大小さまざまな単位で結成され、住人同士で不審人物の徘徊などに注意を払おうというもの。もし不審人物や事件を目撃したら、即警察に連絡する。そうすることで、犯罪の被害を減らすことができるのだ。
このプログラムは、数軒単位の小さなエリアでの結成も可能だ。だから、このプログラムをまだ導入していないエリアに住んでいるのなら、最初は自分が発起人になって向かいや両隣などに声をかけ、小さなサイズで始めれば良い。
結成方法は、まずプログラムの導入に前向きな数軒を確保する。確保したら最寄りの警察に行き、学校で麻薬撲滅の授業をしたり、コミュニティーの治安維持をコーディネートする「コミュニティー・ポリスオフィサー」と呼ばれる警察官を訪ねる。そして彼らから、どのようにプログラムを遂行すればいいのかの具体的運営法の指示を仰ぐ。プログラムが始まると、警察官はアドバイザーとして地域コミュニティーと密接に接触。プログラムの参加者らで行う防犯ミーティングなどにも積極的に出席し、周辺の防犯対策を具体的に伝授してくれる。
このプログラムに入っていれば、例えば長期バケーションに出たとしても、近所が留守を見張ってくれる。配達された新聞や郵便物を破棄してくれたり、留守宅前に車を停めてくれたりと、そのコミュニティーのニーズに合った方法で防犯体制を築くことができるのだ。
またこのプログラムは、自ら犯人を検挙するのが目的ではなく、犯罪を発見する「目」となり「耳」となることが目的であるため、子供や女性、高齢者でも参加できる。
貴重品にはIDマーク
色んな対策を講じたにもかかわらず空き巣に入られ、不幸にも盗難に遭う場合もある。その後の処理を少しでもスムーズにするために、貴重品には、あらかじめIDマークを作り、目立たない所に貼っておくことをおすすめする。
IDマークとは
①商品名
②モデル
③形状・色
④価格(価値)
⑤購入日時(時期)
⑥購入場所
を記載した小さなシールのこと。そして、写真を個別に撮影し、IDマークの内容と共にコンピューターなどに記録・保存しておく。
空き巣に遭った時、警察の取り調べで思い出せることはそんなに多くない。あやふやな記憶で盗難品を申告するより、手元の記録と写真を提出すれば、情報の正確性は高まり、盗難手続きもスムーズになる。また警察署によっては、質屋やフリーマーケットなどを重点的に巡回し、盗難品を探す警察官が常駐している。記録と写真をそのまま渡しておけば、彼らも見つけやすいというわけだ。もちろん、保険会社へのクレームにも役立つ。
空き巣と遭遇!
空き巣は誰もいない家を狙うが、時に住人と犯人が遭遇する場合もある。その場合の最も重要な注意点を2つ紹介しよう。
帰宅した時、家の中に誰かがいる気配がある場合、絶対に家には入らないこと。犯人と接触することで、彼らが凶器などを使って身体に危害を加える可能性が高まるからだ。その場を速やかに離れ、安全な場所から警察に通報する。「家の中に誰かいる」ということは、「現在進行形で重犯罪が遂行されている可能性がある」ということ。これは捜査の優先順位が非常に高い。
夜寝ている間に侵入された場合は、犯人に絶対に逆らってはいけない。この場合も何かしらの凶器を持っていると考えるのが妥当で、犯人の欲している物を速やかに把握して満足させ、一刻も早く犯人を退散させるように努める。間違っても、自分で捕まえようと殴り合いをしたりしないように。
空き巣に遭わないための具体策
・わずかな時間でも、家を離れる時は必ず施錠
・玄関やキッチンのドアなど、外につながるドアには、最低1インチ以上の溝のあるデッドボルト式の鍵を取り付ける
・ガレージ、パティオ、ゲストルーム、バックヤードのフェンスドアなどには、良質で頑丈な鍵を取り付ける
・玄関のドアには、広角レンズ付きの覗き窓(ピーピングホール)を設置し、訪問者を確認した上で解錠する
・引っ越したら、既存のドアや鍵類はすべて処分し、新しいものに換える
・鍵は、玄関マットや植木鉢の下には置かない
・スライディング式のドアや窓は留め金などで固定し、簡単に外れないようにする
・家の周りには、ハシゴや台を置かない
・家の周辺の垣根や植木は、定期的に刈り取り、内部が見えるようにしておく
・外から見えやすい所に、アラーム会社のサインを表示する
今も変わらず犯罪都市のロサンゼルス
LAPDによると、2007年の殺人、レイプ、強盗などの重犯罪件数は、06年に比べ4.7%減少。05年比で約11%、02年比では約30%も減少している。年々治安が向上しているロサンゼルス市だが、犯罪実数は07年で12万7000件。日本で1番犯罪が多い東京のデータと比べても、いかにロサンゼルスの犯罪件数が多いかがわかる。
犯罪を半減させた
一時期、ロングビーチは犯罪が多発し、治安がとても悪かった。同市にはロングビーチ市警があるものの、あまりの治安悪化で単独警察署では治安維持に限界が来た。そのため一時、ロサンゼルス郡保安局に警察権を委託。保安局が参入することで、ギャングやドラッグの蔓延が抑えられた。
同時に、市と市民が協力し「Neighborhood Watch Program」を積極的に導入。それまで犯罪を恐れていた住人が見張り番となることで、空き巣や強盗が何と45%も減少したのだ。
ロサンゼルス郡全体の犯罪頻度と検挙率
IDが盗まれたら
空き巣や車上荒らしにかかわらず、クレジットカードやソーシャルセキュリティー番号などの重要個人情報が盗まれた時は、速やかに次の行動をとる。
1. クレジットカード会社に連絡し、カード利用をストップする
2. 最寄りの警察に盗難届けを出し、レポート番号をもらう
3. 次のクレジットビューロー3社すべてに連絡する。これらに連絡することで、ID 詐欺や詐称の可能性があるとしてアラート(Fraud Alert)をかけ、盗まれた個人情報が悪用されないかをモニターしてくれる。アラートは3カ月間有効で、その後自動的に無効となる
・Equifax:☎1-800-525-6285:www.equifax.com
・Experian:☎1-800-301-7195:www.experian.com
・Trans Union:☎1-800-680-7289:www.transunion.com
※クレジットビューローとは、個人・法人の信用情報を提供する会社で、企業や公的機関がこの3社を利用する。個人のあらゆるクレジットヒストリーを保有し、ソーシャルセキュリティー番号をベースに個別識別を行う
4. 小切手の盗難や不正利用に関しては、次の機関に問い合わせる
・CheckRite:1-800-766-2748
・International Check Services (ICS):1-800-526-5380
・TeleCheck:1-800-710-9898
・CrossCheck:1-800-552-1900
・SCAN:1-800-262-7771
車における防犯対策
カージャック・車上荒らしの防犯車の盗難理由は「足確保」
カリフォルニア州の刑事訴訟法では、車内に人がいる状態で金品を強奪すれば強盗となり重罪。人がいない時に、車を壊して車内の物を盗む場合は、400ドル以上なら「Grand Theft」、400ドル以下なら「Petty Theft」、車が盗まれたら「Auto Theft」と、犯罪の種類が異なる。
カージャックの目的は、車や車内の金品。だが最近のデータによると、犯行理由の第1位が「Joy Riding」だと言う。「Joy Riding」とは、A地点からB地点へ行くための交通手段確保のためだけに車を盗むこと。このように呆れた理由から盗む例も多いのだ。
最近の車はセキュリティーが充実しているため、自分の車の周りを不審者がうろついていたり、仮に乗っていたりしても、近付かずにアラームやパニック装置を遠隔作動させることで、周囲に犯罪を知らせられる。また、昔のように簡単に鍵をこじ開けられなくなったため、犯人自らドアを破っての車上荒らしも減ってきた。
多発する犯人との遭遇
犯人は簡単にドアを開けることができなくなった。しかし逆に、犯人と遭遇する可能性が高くなったという。犯人がドライバーが戻って来るのを待つようになったのだ。犯人は、ドライバーが戻って来たら、銃やナイフを突き付け金品を要求する。
犯人が待ち伏せした場合、犯人との接触は避けられない。そんな時は、絶対に犯人に抵抗してはいけない。大声で叫んだり、助けを呼んだりすることもダメ。そうすることで犯人自身もパニックとなり、必要以上に暴力的になる。
1番重要なのは、犯人の要求を十分聞き、それに無条件で従うこと。犯人の話す英語は「Give me your key!」や「I need your money!」など単純なもの。しかも彼らは、はっきりと要求するから、落ち着いて聞けば要求の内容は判別できるはずだ。また、焦って何度も聞き返すことはご法度。犯人は一刻も早くその場を離れたい。だから、何度も聞き返すことで犯人は逆上し、時にはわざとわからない振りをして時間を稼いでいると疑われ、さらなる犯罪につながる可能性がある。
犯人が欲しいのは金品。それらを速やかに渡すことで、人命への危険度は下がる。だが、渡す時にもいくつか留意点がある。
車の鍵を要求された場合、手渡しは禁物。犯人の足元などに放り投げる。カバンや財布を要求された場合も、口を開けて逆さにし、中身をバラまく。そうすることで、犯人が金品を拾う間に、サッと逃げることができる。手渡しだと逃げる暇がないため、特に女性の被害者はそのまま車に乗せられ、レイプなどの性犯罪につながる可能性もあるというのだ。
カージャックや車上荒らしに遭った後は、車のレジストレーションなどから、犯人が被害者の家に侵入して来ないとも限らない。事件後は鍵を新しいものに取り替え、アラームシステムを導入するなどのセキュリティー対策を万全にしたい。
走行中のカージャック
走行中にもカージャックは起こる。その手口はこうだ。犯人はフリーウェイを走行しながら、狙いを定めている。目当ての車を見つけたら、その後に付いて走る。そして、フリーウェイ出口で減速し始めたところで、わざと追突してくるのだ。ビックリした被害者は路肩に車を寄せて、車外に出る。そこを襲われ、金品だけでなく、時には車ごと盗まれる。
このような被害に遭わないためにも、通常の走行中から後続車には注意を払いたい。こういったことを意識することで、それまで十分な車間距離があったのに、出口に入ったと同時に急接近して来る車は、常識的に考えても不自然と判断できる。また、不自然な運転の車に追突されたわけだから、被害者も自ら進んで車外に出ることはなくなる。危険を感じたら、相手の車種やナンバーを車内から控え、速やかに最寄りの公共の場所に駆け込み、助けを求めよう。
カージャック、車上荒らしの予防と留意点
・夜間、ショッピングモールなどに駐車する場合は、障害物のない明るい場所を選ぶ。モールの入り口近くが理想的
・ショッピングが終わって車に戻る際は、周囲を注意深く確認する
・後部座席もきちんとチェックしてからドアを開ける
・外から見えるところには、携帯電話、ハンドバッグ、ショッピングバッグなどを置かず、必ずトランクに入れる
・走行中に後を付けられていることに気付いたら、最寄りの公共場所(ガソリンスタンド、ショッピングモール、レストラン)、あるいは警察などに入り助けを求める
・事故に遭っても、現場の治安が良くないと思われる場合や、相手が少しでも不審な態度や行動を取るようなら、絶対に車から出ず、最寄りの警察に行って被害レポートの作成を要請する
・走行中に車が故障し、警察や修理工、AAAなどを待つ時は、必ず車内で待つ
Intersec
2211 Corinth Ave. #308,Los Angeles
310-477-6766
www.IntersecUSA.com
インターネット利用時における防犯対策
情報を盗むスパムメール
ネット関係で最も多い犯罪は、スパムメールによる個人情報の漏洩・盗難だ。スパムメールとは、大量に送られてくる広告メールや不必要なジャンクメール、ウイルス感染ファイルを添付したメールなどのこと。
最も多いのが、銀行を装ってメールが送られられてくるパターン。そのメールには、「User ID」や「パスワード」の確認・変更を催促する文面が記載されている。受け取った本人は、銀行からのメールなので完全に信用してしまい、指定ウェブサイトで情報を入力・送信。その瞬間、個人情報が第三者に流れてしまうケースだ。
スパムは見破れる?
巧妙にできているスパムメールを見破るのはなかなか難しいが、送信元のアドレスを確認すればわかる場合がある。例えば、銀行からのメールなのに、送信元が●●●@yahoo.comなど、その企業のドメインからのメールでない場合、スパムメールと疑っても良い。
最近では、スパムメールを極力排除する「スパムフィルター」というシステムが標準化されており、契約プロバイダーなどで対応してくれる。Yahoo!やHotmailなどの無料Eメールサービスでも、その設定ができるようになっている。完全にスパムメールを排除するのは困難だが、対策を講じる価値は大いにある。
「鍵マーク」がカギ
ネットでの買い物やオンラインバンキングには、何となく不安が付きまとう。しかし、実はそれらで個人情報が漏洩することは意外にも少ない。それよりも、むしろ運営側がちゃんとした会社かどうかを慎重に見極めることが重要となる。
クレジット情報やID情報などは、通常SSLという暗号化されたページから送信する。そのページの右下(ブラウザーによっては、アドレスバーの横)には、サイト運営会社の存在や正当性を認証した小さな「鍵マーク」が表示され、これが通信が暗号化されている証拠となる。従って個人情報を入力する場合は、まず「鍵マーク」があるページかどうかを確認しなければならない。もし「鍵マーク」が出ていなければ、絶対に重要情報を入力・送信してはいけない。
「鍵マーク」をクリックすると、その運営会社の詳細が表示される。もし、そこに書かれてある社名とウェブサイトの社名が一致しなければ、ウェブサイトが偽物である可能性が高い。初めて買い物をするウェブサイトや、ネットサーフィンで偶然見つけたウェブサイトなどは、一度この方法で信憑性をチェックするのが有効だ。
Eメール画像は解読されにくい
Eメールは暗号化されていない平文のため、送受信の際に盗まれる可能性がある。もちろん、盗まれたテキストは誰にでも読める。だからEメールでの個人情報の送受信は、絶対に避けるべきだ。しかし、どうしてもせざるを得ない場合は、情報を紙に書いてスキャンし、画像としてメールに添付して送ると良い。画像ファイルは、メールの世界では無秩序な文字の羅列として表示されるため、盗まれても解読されにくいのだ。
課金を脅すアダルトサイト
アダルトサイトと聞くと何となく怪しいニオイもするが、合法的ビジネスとして運営しているサイトはほぼ問題ない。一方怪しいサイトは、いくつか画像や動画を見ただけで支払いを催促してくる。なかには「あなたのIPアドレスから、あなたの情報を入手しました。もう支払いから逃げられません」などと、脅迫めいた警告が出る場合もある。
しかしこれらは、ただの脅し。クレジットカードや個人情報を入力しなければ、基本的に請求は成立しないし、第一IPアドレスでは個人の特定ができない。だから、完全無視すればいい。しかしこういう警告が出てしまうと、慌ててお金を支払ってしまうのが人の性。被害は後を絶たない。
ずっと残る私の情報?
オンラインで買い物をしたら、サイトの運営会社には、自分の個人情報やクレジット情報が残っている。頻繁に同じサイトで買い物をするのであれば良いが、それっきり買い物をしないのに情報が残っているのは気持ちが悪い。だからと言ってアカウントをキャンセルしても、個人情報も完全に削除されたかどうかは確認できない。こればかりは、その会社に電話をかけたり手紙を書くなどして、直接削除を依頼するしかないのだ。
700 S. Flower St. #1470, Los Angeles
☎ 1213-891-9170
www.L-XS.com
外出時における防犯対策
被害の最多は置き引き
ロサンゼルス在住の日本人は、何かと日本からの客をアテンドする機会がある。その際、彼らに防犯の心得を伝えておくと、ロサンゼルス滞在はさらに楽しいものとなる。
日本人観光客が最も遭う犯罪は置き引きだ。人気観光スポットのリトルトーキョー、ハリウッド、サンタモニカなどでは、置き引きやスリが多発している。例えば、レストランで食事をする際、女性はカバンを自分のイスの背もたれに掛けることが多いが、背後にあるため視界には入らない。そのため、食事や会話に夢中になっている間に盗まれる。
また、ホテルのレセプションで宿泊手続きをする際、カバンを床やイスの上に置いて必要事項を記入する人が多いが、この手続完了までの数分間に盗まれるケースが多々ある。場合によっては複数で犯行するため、数秒でなくなることも。
ハリウッドのチャイニーズシアターでは、スターの手形に自分の手を当てて記念写真を撮る人が多いが、両手を手形に当てるということは荷物を地面に置くということ。この時もかなり危険だ。
クラブやバーなどで酒を飲むと、気持ちも大きくなり、誰とでも気さくに話せるような気分になる。そこでよく起こる犯罪が、その場で知り合った人にお金を騙し取られることだ。少し会話をして相手の不安感を取り除いた後、犯人は名刺を差し出し、自分が怪しくないことを示す。相手が信用したところで、「ちょっとお金を貸してくれる? 明日返すから」とくる。言われた方は信用してしまっているので、やすやすとお金を貸してしまうのだ。名刺の情報はすべてウソ。翌日名刺の会社に電話しても、もちろんかかるはずがない。しらふの時は絶対やらないことでも、酒が入るとつい騙されやすくなってしまう。
「ここはアメリカ」を意識する
これらの犯罪に巻き込まれないためにも、観光客には「ここはアメリカ」ということをきちんと認識させ、常に気持ちを引き締めて過ごしてもらうことが必要だ。レストランでもホテルでも、荷物は絶対に身体から離してはならないし、どうしても手を離さなければならない時は、必ず誰かに見張ってもらう。
また、見知らぬ人からの不審な頼みごとや誘いには、はっきりと「NO」と言うことが重要。日本人は、相手の親切心を傷付けたくないため、何かと直接的に断ることをためらう。しかし、「車に乗せてあげようか?」「案内しようか?」などと善人ぶって近寄り、犯罪を犯す不審者が多いのは事実。常に気を抜かず、注意を怠らないこと必要だ。
307 E. 1st St., Los Angeles
☎ 213-613-1911
littletokyokoban@sbcglobal.net
在ロサンゼルス日本国総領事館発行「安全の手引き」
在ロサンゼルス日本国総領事館は2年ごとに、「安全の手引き」という小冊子を発行している。日本からの観光客だけでなく在留邦人にも役立つ防犯内容が満載で、1家に1冊は必ず常備したい。その中からいくつかを抜粋する。なお入手方法については、同領事館に問い合わせが必要。ウェブサイトからダウンロードして入手することもできる。
1. 空港での安全
・多数の荷物がある場合、いくつかに分けて運ぶよりキャリーワゴンなどで1度に運ぶ
・チェックインは、小さな手荷物を手に持ったまま行うか、それが困難な場合、足に挟むなどして手元から離さない
・搭乗前のスクリーン検査では、ゲート式の金属探知機に反応してしまうと再検査の必要があり、先にX線装置を通過した貴重品に目が届かなくなる。1回でパスするように貴金属類をきちんとはずした上でスクリーン検査を受ける
2. ホテルでの安全
・一流ホテルだからといって安心してはいけない
・チェックインやチェックアウトは、手荷物を手に持って行うか、足に挟むなどする
・エレベーターに乗る時は、怪しい人物と2人きりにならないようにする
・ドアにはチェーンをかけ、室外の人とのやり取りはチェーンをかけたまま行う
・ロビーなどで意図的にコインをばら撒いたり、スーツケースを倒したりして周囲の注意をそらし、置き引きやスリを働く者がいるので注意
・アメリカは、室内に現金を置いていると清掃員へのチップと勘違いされる場合がある
3. 屋外での安全
・記念撮影時は、荷物に気を配る
・貴重品は、数カ所に分散させて持つ
・人前で現金を見せない
・バッグの留め金は、自分の身体の方に向けて置く
・現金を要求された時は自分で取り出さず、犯人に場所を教えて取らせる。自分で取り出すことで、犯人は武器を取り出すと勘違いし、暴行や銃撃してくる可能性がある
4. 運転中での安全
・急な割り込みや後方からのハイビーム点滅などの運転が原因で、発砲事件につながるケースがある。強引かつ威嚇的な運転はしない
・フリーウェイや夜間の路上で立ち往生しないように、日頃から車両チェックを怠らない
・一般道では、車外からのひったくりや信号待ちの時に強盗が乗り込まないように、窓を閉めロックする
・トランクに荷物を入れるところを見られないようにする
・ヒッチハイカーを乗せない
・信号などで停止中、通行人が質問のために近寄って来ても、窓を開けて対応しない
住居での安全
・外出時は必ず施錠する
・夜間は、屋外の門灯などを一晩中点灯させておく
・緊急電話をスムーズにかけられるよう、911や所轄警察署、友人、家族など、緊急連絡先リストを作り、電話の脇に備えておく。携帯電話にもこれらを登録しておく
・普段から近所の人とは親しくし、相互の信頼関係を築いておく
350 S. Grand Ave. Suite 1700, Los Angeles
☎ 213-617-6700
www.la.us.emb-japan.go.jp/web/home
※このページは「2008年11月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。