アメリカの学校制度・教育制度

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アメリカの学校制度や教育制度は、日本とは大きく違います。公立の学校は、管轄の学校区の取り決めに従って運営されています。学校のある地域によって学制や学期などが異なります。小学校から高等教育まで、日本の教育制度との違いを正しく理解しておきましょう。

アメリカの学校・教育制度

日本の教育制度とは異なるアメリカの学校システム

アメリカの学校制度や教育制度の特徴は、各州に教育行政が委ねられていることです。公立の学校は、管轄の統一学校区(Unified School District)または学校区(School District)によって運営され、カリキュラムや教科書、休校日などが決められています。
 
義務教育期間も州で変わり、日本では、満6歳の誕生日を迎えた後の最初の4月1日から、満15歳の誕生日の後の最初の3月31日までの合計9年間ですが、カリフォルニア州は、6歳から18歳までの12年間が義務教育期間となります。公立小学校のほとんどが、就学前クラスであるキンダーガーテン(K)を併設しているので、5歳から就学が可能です。また、2012年からトランジショナル・キンダーガーテン(TK)というプログラムがスタートし、4歳で、その年の9月2日~12月2日の間に5歳になる児童であれば、就学が認められています。公立学校は、入学できる学校が住所によって決められており、地域によって安全面も変わり、学校ごとに成績にも差があるため、まずは居住地を選ぶことが重要な課題となります。
 
アメリカの教育制度に詳しい教育コンサルタントの原田誠さんは、アメリカと日本の教育の概念の違いは、就学前教育にあると言います。「日本でいう幼稚園であるプリスクール(通常2~5歳を対象。多くを私立校が占める)やTKなどは、義務教育が始まるキンダーガーテンの準備プログラムに当たります。友達を作るなど社会性を伸ばすことはもちろんですが、何よりもアカデミックな面が重視されています。アルファベットを習ったり、本を読んだり、社会や理科などの教科を学ぶクラスを設けているところもあり、キンダーガーテンで学ぶ準備を整えることが、来たる小、中、高での成果、そして大学進学にもつながっていくため、アメリカでは非常に重要な期間だと考えられています」。

アメリカの学校での学年

アメリカの学校では学年のことをグレードと呼び、日本の小学校1年〜高校3年にあたる12年間が、グレード1〜12に相当します。アメリカの義務教育は、日本の幼稚園年長にあたる歳から始まります。このグレードをK(kindergarten)と呼び、グレードK〜12が一般的な義務教育期間で、「K-12」と略称されます。小・中・高12年間の分け方は、地域によって異なります。一般的なのは、グレード1〜5を小学校、グレード6〜8を中学校、グレード9〜12を高校とする分け方です。また、グレード1〜8は「プライマリー・エデュケーション」、9〜12を「セカンダリー・エデュケーション」、高校は、「ハイスクール」や「セカンダリースクール」と呼びます。高校4年間は、それぞれ別称があり、グレード9を「フレッシュマン」、10を「ソフォモア」、11を「ジュニア」、12を「シニア」と呼びます。
 
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アメリカの公立学校と私立学校の違い

アメリカの学校は、大別して公立学校と私立学校に分かれますが、アメリカの公立学校にはいくつか種類があります。「チャーター・スクール(Charter School)」は、教師、保護者、地域のリーダー、企業などの民間が、自主的に開設し運営する学校です。授業料は無料で、従来の公立校に課せられた制限を受けない自由な教育を望む人たちが提唱して設立されました(JBA〈南カリフォルニア日系企業協会〉「カリフォルニア子女教育ハンドブック」2018年3月改訂より)。ほかにも数学や科学など、ある分野に特化したプログラムに力を入れたり、障がい児と健常児のインクルージョン教育を行ったりなど、さまざまな形態を持つ「マグネット・スクール(Magnet School) や、学習に問題を抱える生徒や中途退学者などを対象にした「オルタナティブ・スクール(Alternative School)」もあります。そして、日本では認められていないホームスクーリングもあり、さまざまな事情から通学できない子どもが家庭で学ぶことができるのも、アメリカならではの教育制度と言えるでしょう。
 
公立学校と私立学校の大きな違いは学費ですが、アメリカは私立学校の質が高く、より多様な教育プログラムを提供している学校が多くあります。「少人数制指導が受けられ、生徒一人一人に合った方法で教えています。特に駐在で渡米したお子さんで、限られた年数で最大限の成果を上げたいのであれば、学校を選ぶ際の選択肢に一つに入れてもよいと思います(原田さん)」。

全寮制の私立学校

全寮制の私立学校(ボーディング・スクール)では、学習面だけでなく、課外活動や集団生活を通じて人間としての成長も24時間体制でサポートしてくれます。駐在員の家庭では、親が日本へ帰国しても、子どもがアメリカに残ることを希望した場合に、活用されています。


充実した学校プログラムやサポート

学校区の教育方針や学校によって異なるものの、アメリカの公立学校には、日本では考えられないような充実したプログラムやサポートがたくさんあります。「ELD(English LanguageDevelopment)」は、外国人の児童・生徒を対象にした英語教育プログラムです。カリフォルニア州の公立校では、英語を母国語としない児童・生徒に対し、入学してから30日以内にCELDTテスト(California English Language Development Test)という英語言語力発達テストを受ける必要があり、この結果によって学校が、ELDプログラム参加が必要かどうかを判断します(同「カリフォルニア子女教育ハンドブック」より)。
 
またアメリカには、算数や芸術など、さまざまな分野において、特別な能力を持っている生徒をさらに伸ばすためのギフテッド教育(Gifted Education)というプログラムや、学習面において何らかの理由で遅れている生徒をサポートする特別支援学級(Special Education)などもあります。「ギフテッドクラスに入る生徒が、全ての面において能力に秀でているわけではありません。例えば、発達障害があっても、ある教科で素晴らしい能力を発揮する生徒もいます。ギフテッド教育は、その生徒の才能や能力を伸ばす教育、特別支援学級は、上手く能力を発揮できない生徒に合ったプランを提供し、足りない部分を補ってあげる教育と理解するとよいでしょう(原田さん)」。
 
また障がいがあったり、特別の支援が必要な生徒の場合は、「個別学習プログラム(IEP:Individualized Education Program )」があり、教師や専門家によるチームで対応してくれます。さらに、生徒の学習面や生活面において何か問題があれば「アセスメント」と呼ばれる査定を依頼することが可能な学校もあります。「『アセスメント』とは他者からの評価で、保護者や教師などにインタビューを行い、生徒の問題点を明確にし、それをどうサポートしていくかを具現化していくものです。アメリカの教育制度の良い点は柔軟性があること。つまり多くの選択肢があるのです。(原田さん)」。
 
プログラムやサポートの有無、そして内容は、学校区によってまったく違うため、まずは管轄の学校区のウェブサイトをチェックしたり、可能であれば足を運んで情報収集をするとよいでしょう。

習熟度別クラス編成で学力に応じた指導を実施

アメリカの高校は大学と同様、単位制。それぞれが異なる時間割に基づいて授業を受けます。主要教科は習熟度別で、学力に合ったクラスを履修できます。卒業に必要な単位を取得すれば、グレード12が終了前に卒業も可能です。進度が速い生徒の多くは、大学レベルの内容が学べるAPコースに挑戦します。ただし、高校卒業に必要な単位と大学進学に必要な単位が異なる場合があるので注意が必要です。

アメリカで370万人が利用 ホームスクーリング

アメリカでは、家庭を拠点に学習を行う在宅教育(ホームスクーリング)が認められています。安全面や教育の質など、学校に対する不満が主な理由ですが、全米で約370万人の生徒がこの制度を利用しています。
 
学習方法は、自習や保護者から学ぶだけでなく、家庭教師を雇ったり、部分的に学校のクラスに参加するなどさまざま。オンラインで授業を提供する業者もあります。また、学校に所属し、スポーツなどの課外活動に参加することもできます。

アメリカの発達した障がい者教育

アメリカには日本よりも進んだ障がい者教育制度があり、学校はIDEA(個別障がい者教育法)により、個々の課題を見極め、適切な支援を無料で提供することが義務付けられています。
 
日本では「やる気がない」「能力が低い」と見過ごされる生徒も、アメリカでは科学的な診断により学習障がいや発達障がいと認定され、支援が受けられる場合もあります。学習/発達障がいの認定を受けた生徒には、個別教育計画が作成され、個々に合った特別な教育プログラムが無償で提供されるのが特徴です。

取材協力・監修:教育コンサルタント 原田誠(http://www.macscareer.com/)
 
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アメリカ・カリフォルニア州の学校への入学・編入手続き

必要書類一覧

  • 入学願書
  • 親・保護者の身分証明書
  • 出生日を証明するもの。1通(出生証明書、パスポート)
  • 住所を証明するもの。2通(運転免許証、公共料金請求書、不動産税納税書、賃貸契約書、車両保険書、住宅保険、政府機関からの手紙)
  • 健康診断書、 口腔衛生診断書
  • 予防接種:DTP(ジフテリア、破傷風、百日咳三種混合)、ポリオ、MMR(はしか、おたふく風邪、風疹)、B型肝炎、水疱瘡、ツベルクリン(アメリカ内において入学前1年以内の結核テスト結果または医師による証明書)

※学校区によって必要書類は異なります。管轄の学校区に連絡して確認しましょう。
出典元:外務省 諸外国・地域の学校情報 州・地域の詳細情報(2016年12月更新)

アメリカの学校に行く子どもを持つ親の必読書!

「カリフォルニア子女教育ハンドブック(2018年3月改訂)」は、JBA(南カリフォルニア日系企業協会)が作成した学校ガイドです。カリフォルニア州の教育事情から学校選び、入学手続き、日米のカリキュラムの違い、ボランティア活動にいたるまでを詳しく説明しています。www.jba.org/educationから無料でダウンロードできます。

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