eastern youth(イースタンユース)

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内なる激情を率直に表した曲と、全身で訴える渾身のボーカル。歌詞も楽曲タイトルも日本語のみの最新アルバム『365歩のブルース』を引っさげて、今年2度目の米国ツアーを敢行したロックバンド、イースタンユース。打算のない、魂のこもった彼らの音楽は、アメリカでもファンを着実に増やしている。ロサンゼルスでのライブ直前に話を聞いた。
(写真:左から田森、吉野、二宮)
 
 
打算をつぶして、正直に、嘘をつかず、
エネルギーに直結したものを歌にし

 
吉野寿(ギター・ボーカル)、田森篤哉(ドラム)、二宮友和(ベース・コーラス)によるスリーピース・ロックバンド。1988年に札幌市で結成。92年に自主レーベル「坂本商店」を立ち上げ。97年、『青すぎる空』でメジャーデビュー。2003年、全米31カ所を回るツアーを敢行。06年に自主レーベル「裸足の音楽社」を設立。これまで10枚以上のアルバムをリリース、日本におけるエモーショナル・ハードコアの先駆け的バンドとして、ASIAN KUNG-FU GENERATION、サンボマスターなど、多くのロックミュージシャンが彼らからの影響を公言している。
公式サイト www.hadashino-ongakusha.jp

人生棒に振らないと
バンドなんかできない

吉野:「イースタンユース」という名前は、本当は札幌の東2丁目出身という意味です。小学校から友達だった田森と中3くらいから曲を作り始め、22歳で東京へ。建築現場のバイト仲間の二宮が加わり、そこから16年間はあっという間でした。
 最初は昼働いて週1で練習、月1回くらいショーをしました。バンドをやっていると、時間の融通がきかないから正社員にはなれない。人生棒に振らないと、バンドなんかできないですよ(笑)。でも、どうしてもバンドをやりたくて。「うお~!やるんだ! いい曲できたから聞かせてやろう!」って感じで。で、その反応が自分に跳ね返ってきて、またやる気になる、それの繰り返しです。
 誰でもそうですが、「自分で生きている」っていう実感が欲しいじゃないですか。僕の場合は子供の頃に、エレキギターと出会った。自分の内面を外に出して外部の世界と関わり合うための、いい装置を見つけちゃったわけです。今まで音楽を使って世の中と渡り合ってきたし、これからもそうしようと思っています。

他との関わりを
実感すると頑張れる

吉野:毎日失敗したりずっこけたりして、いろんなこと考えて生きているけど、歌を作る時はそれを打算抜きに音楽に変換することを考えます。「格好良く」とか「流行っている」とかは意識的に排除するし、テーマも絞らない。そうではなく、「生きていて、なんかもやもやしてわからないもの」を形にする。それは格好悪くていいし、単純なものでいい。それを通じて、僕らは世の中と関わり合っていくんです。普段嘘をついても、歌を作る時には嘘をつきたくない。それでだめなら、だめでいいと思っている。打算をつぶして、正直に、エネルギーに直結したものを歌にしたんです。
 僕は音楽でしか自分を提示できない。だから一生懸命やって、音楽で社会と関わりたい。「俺はここにいて、こういう人間で」ってことを部屋で考えるだけだと、そこだけの話で終わる。でも、無目的だけどそれをドカーンと表に出してみると、他人との関わりができる。「うるせー」とか「なんかちょっといいね」とか思ってもらえますから。この関わりを実感すると、これからも頑張って生きていこう、と思えます。
 
(写真:11月3日、シルバーレイクのSpacelandにて)

曲の1番いい表情を
引き出す演奏を考える

二宮:僕の場合は、曲が何を言っているかを意識しています。それをどれだけ出せるか。曲の1番いい表情を引き出すような演奏を考えます。迷いや波はありますよ。やる気が出ない時もある。でも、できない時でも、気にもしないでいれば、自然に元に戻りますね。楽しんでやるべきだと思います。
田森:疲れたら、やっぱりたくさん食べて寝るのが1番ですね(笑)。
吉野:辞めようと思ったら、「じゃあ辞めれば」ってこと。辞めるのは簡単だもん。無理して頑張らなくてもいいと思う。辞めて次のことを探せばいい。辞められない人がやり続けるだけです。海外にいる日本人は、目的があって、生まれた町を離れて来ているんだと思います。だから皆うまくいくといいな、と思います。
田森:頑張ってください!
二宮:来年アルバムを出したら、またこちらでライブもするかもしれないんで、その時はよろしくお願いします。

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