片山晋呉 / プロゴルファー

ライトハウス電子版アプリ、始めました

シンボルマークのカウボーイハットでコースを席巻する、プロゴルファー・片山晋呉。日本でのトッププロの地位を確立した今、次なる狙いは米ツアーでの勝利。今回は、6月12日から15日にかけて、ラホヤのトーレー・パインズで行われたツアーに挑戦するためにロサンゼルス入りした片山プロに、トーランスのライトハウス本社で話を聞いた。

賞金王を奪回して
日本一に返り咲きたい

僕は昔、10カ月間ぐらいサンディエゴに住んでいたことがあるので、ロサンゼルスやサンディエゴは来やすいという感覚がありますね。特にロサンゼルスは日本人の方も多いし、美味しい日本食レストランもたくさんあるし、僕はアメリカの中ではロサンゼルスなら生活できるかなと。
 
特にゴルフをする環境を考えたら、南カリフォルニアはすごくいいと思いますね。コースも住んでいる所から近くて、セルフですぐにできるし。日本のゴルフ環境のことを考えると、すごく恵まれていていいですね。
 
最近、女性も含め若い子たちがゴルフをプレーするようになりましたよね。若い人が出て来るのは良いことだと思っています。そうやって底辺が広がることで競技人口も増え、レベルも上がると思うし。皆さん楽しさがわかってきたのかなと思います。
 
僕は小さい頃からずっとゴルフを続けているけど、未だにゴルフ以上に楽しいことが見つからないですよ。試合でスコアが出なくてもやっぱり楽しいですね。ゴルフの楽しさっていうのは、実は自分の思うように行かないっていうところなんです。普通は自分の思い通りに行かないとムシャクシャしちゃうじゃないですか。でも、僕の場合、思い通りに行かないのがゴルフだと思っているんで。だから、逆に思い通りに行った時のうれしさが何とも言えないんです。あと、日差しの中、1日何時間も外にいるわけですから、自然の素晴らしさをかみ締めたりとか。そういうところがいいんじゃないかと思いますね。
 
5月に日本プロゴルフ選手権大会で23アンダーの大会・自己最多アンダーで優勝しました。ゴルフ自体の手応えは、今、とてもいいです。(プロゴルフ選手権は)日本のメジャーな大会なので、狙って勝ちに行きました。これで24勝になって、あと1勝で永久シードを日本で取ることになるんで、アメリカから帰国してすぐの大会でも勝つ勢いでやって、まず25勝を夏前までに達成したい。
 
あとは、今年は賞金王を奪回して、また日本で1番に返り咲きたいなという思いがありますね。やはりこうなってくると、「日本」というタイトルで、あと何個タイトルが取れるのかなとか、そういうことを考えて日本ではやっています。
 

トーレー・パインズは
楽しんでいきたい

いよいよ世界、アメリカで挑戦ということになるんですが、今年に入って調子がいいので、(USオープン・トーレー・パインズ大会では)そんなに意気込まないで自分のペースで力を発揮できたら、終わった時には結構いい順位に付けているんじゃないかなと思っています。
 
トーレー・パインズは、高校生の時に世界選手権があったので、その時に行ったぐらいですが、長くてタフなコースだなという印象が強くあります。世界ランキング上位の選手と対戦するわけですが、自分がどれだけやれるか、どれだけ楽しめるかってことが、僕にとってとても重要。それに成績が付いてくればすごくうれしいです。
 
結構、僕は調子いいんで、キリキリ緊張するような大舞台でも、多分楽しめるだろうなぁと。トーレー・パインズまで応援に来てくれる日本人の方には、日本人プレーヤーもちょっとはやれるんだな、というところを見せられたら幸せですね。
 
世界には出て行くたびに叩きのめされて、いつもはダメなのかなぁと思っていましたが、自分と世界の技術の差が、ちょっとずつ縮まってきていると思います。あとはアメリカに長期滞在して戦い続けるための体力、気力、意欲が出てきたら通用すると思うんです。
 
課題はたくさんありますが、まずアメリカに腰を落ち着けて戦おうという気持ちになっていない自分が1番の課題でしょう。世界で勝つためには、小さい頃からこっちにいないとダメなんじゃないかな。日本で大人になってしまうと、色々な要素が日本人になってしまいます。どうしても「アウェイ」感が出ますし、メンタルな部分がかなり大きいです。ワケもわからないような時にこっちに来ておくと良いと僕は思いますけど(笑)。
 

40歳までは
日本のトップにいたい

今までで1番キツかったと思うような経験? プロに入ってまったくダメだった時期が2年間ありました。今思うと、それはとても良い経験だったんですけど、その時が1番キツかった。
 
そういう時は、自分で自分を励ますしかないんですが、なかなか立ち直れないですね(苦笑)。最近はメンタルトレーニングもしているので、自分で悪くなった時に立ち直すコツだったり、こういう風に考えようという自己暗示ができるようになって、随分助かっています。自分はできると信じるしかないです、最後は。
 
ゴルフをやっている方にアドバイスですか? ゴルフがうまくいかないのは当たり前なので、うまくいった時の快感を楽しむことですね。小さいカップに向かって大人が無我夢中でプレーする姿って、すごく無邪気ですよね。ゴルフをやったことがない人も、1回始めると止める人は少ないので、簡単ではないですが、ゴルフの楽しさを感じてもらえたらと思います。
 
僕は今、35歳なんですが、40歳までは自分が日本のトップだという思いとプライドを持ってやりたいと思います。今後5年くらいはトレーニングをして、身体のケアをたくさんして、40になっても、まだトップを張っていけるゴルフをしたいと思います。
 
僕はゴルフを通じて世界の舞台に出るようになったのですが、読者の方にゴルフというものに少しでも注目していただいて、これから日本人選手がたくさん出て来るのを応援してほしいなと思います。

◆ PROFILE ◆

かたやま・しんご
1973年1月31日生まれ、茨城県出身。2歳半よりゴルフに興味を持ち始め、中学時代にジュニア大会優勝。ゴルフの名門校・水城高校に通いながらナショナルチームに所属。日本大学へ進み、日本アマや日本オープン・ベストアマなど33のタイトルを獲得した。椎間板ヘルニア手術を乗り越え、98年サンコーグランドサマーでプロ初優勝。2000年には年間5勝を挙げて賞金王に。
公式サイト:www.club45.net

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