スピリチュアルカウンセラー・江原啓之

ライトハウス電子版アプリ、始めました

海外暮らしで大きな経験と感動を

今、「SMAP以上に忙しい」と言われ、日本中で引っ張りだこの江原啓之さん。『オーラの泉』(テレビ朝日系)や『天国からの手紙』(フジテレビ系)など多くの番組に出演し、執筆本は40冊以上におよぶ。「人間の本質はたましいである」というスピリチュアリズムを伝え、その愛にあふれた温かいメッセージが熱い支持を受けている。東京での講演の合間に、LA在住者のためにライトハウスの独占インタビューに応じてくれた。

海外で生きる人は人生の「熱心な勉強家」

LAには多くの日本人の方が住んでおられるそうですが、皆さんにはそれぞれ、その土地とのご縁があると思います。海外暮らしはなかなかできるものではありませんが、これも一つの「学び」の方法。私たちの人生は「学びの場」です。私たちはこの世で喜怒哀楽、感動を繰り返しながら、自分の本当の姿を見つめ、愛を学んでいますが、皆さんのように異文化の中にあえて身を置く人というのは、とても熱心な勉強家なのだと思います。

日本の外で暮らすと逆に日本をよく知るもの。ですから、日本の良さを知っているのは海外の人が多いですよね。日本にいる人は井の中の蛙で、外にいる人の方が良さも悪さも知ることができる。それは一つの大きな学びですね。

それに、アメリカは最も物質主義的価値観の強い国でしょう。そこで暮らすことも大きな学びですよね。逆にアメリカ人にもアジアや日本の文化を好む人がいますが、それは物質主義的価値観の反動だと思うんです。アメリカでは、サービスも目に見えたサービスじゃなきゃダメ。たとえば相手に何かを渡す時でも、「はい、ここに置いてあげたからね!」って、ものすごいパフォーマンスを見せる(笑)。日本人はそこで物言わず、スッと置く。その人のわからないところで、そっと気遣いをするというのは日本の文化、「陰徳」ですよね。でも、アメリカは目に見えないものを理解する文化ではありませんから、「私はあなたのためにやってあげた」と主張する。そういう違いがありますね。

日本は高い精神性を持つ「たましいの国」だった

日本語の独特な表現に、「お茶が入りましたよ」というのがあります。アメリカではあり得ない表現でしょう。英語では「私があなたにお茶を入れてあげました」ですからね。この日本語を直訳したら、お茶が勝手に入っちゃったっていう超常現象みたいなものですから、何言っているのって思われる(笑)。このような例からもわかるように、日本はもともとスピリチュアルな国なんです。本当はこれを日本から輸出しなければならない。でも日本は戦後、悪い物質主義的価値観に陥ってしまった。アメリカの良いところは取らず、悪いところばっかりまねしちゃったんですね。

日本人は戦後、食べる物もない貧しい状態だったでしょう。カッコいい冷蔵庫や車もない。広い家もない。憧れていたのは全部物質だったのね。だって、アメリカのテレビドラマなんかを見ると夢の世界だものね。でも、最近は「舶来品」って言葉があまり使われなくなった。それが当たり前になってきたからです。だからこそ今、日本はまた、精神世界にもう一度戻る時が来ていると思います。

ぼくが提唱しているスピリチュアリズムとは「温故知新」、古き良きものを取り戻そうという作業です。今までが悪いというのではなく、これをまた一つの反省材料にすればいい。今まで物を追い求めていく時代があって、その結果を見ているわけですから。でも、「日本には日本の文化がある」ということを、みんな再認識してきているように思いますね。「精神性」という点では、日本人はもともと高かった。だから、外国の人たちはそれを求めているところがあると思います。

「物」や「力」の前で「いい子」になる現代人

ところが今、日本は物質の波に飲まれ、「物」や「力」が神になってしまっています。目に見えない陰徳は失われ、「いじめ」を始め、子どもの犯罪なども増えています。犯人は、実は近所で評判の子や、頭のいい子であることも多い。でも、彼らは力の前でいい子だったの。力の及ばないところでは自分の本質を出すんです。この問題はアメリカでも共通していると思いますね。お金や権力、法律の前ではすごくいい人でも、弱者に対しては非常に手厳しいというような。

法律とは、もともと人間の理性でなければならないのに、締めつけるものになっています。本来、愛と理性があれば、法律などいらないはず。生活の中で、交通ルールくらいは必要だけれど、締めつける法や脅す法があるっていうのは人間として情けないですよね。

日本人には、もともと「お天道様の下を歩けない」「バチが当たる」「良心の呵責」といった観念がありました。これ、全部誰も見ていないの。自分の中に自浄能力を持っていた。目に見えないものに対する「敬意」を持っていた。しかし、今の時代、その美徳が随分失われてしまいました。

また、日本の独特な概念に、言葉や音にたましいが宿っているという「言霊」「音霊」がありますね。昔、商家の人が、なぜ「スルメ」を「アタリメ」と言っていたかというと、「(お金を)擦る」に通じて縁起が悪いから。言葉には力があり、その言葉を言っていると、本当にそれが実現するとがわかっていたのです。日本には「エナジー信仰」があったんです。

暮らす舞台はどこでも同じ「人生の地図」を持とう

おすすめの1冊『スピリチュアルな人生に目覚めるために―心に「人生の地図」を持つ』(新潮文庫)幼くして父を、十代で母を亡くし、若くして人生の不幸を味わい尽くした日々。それが変わったのは、18歳で霊界の啓示を受け「人生の地図」 を手にすることができたから。自らの経験をもとに、現代人こそ「スピリチュアルな人生」に目覚めよ!と本音で語る。

海外暮らしには、言葉の問題など不自由な部分もあると思いますが、「海外に住んでいるから」というこだわりは捨てること。人間、どこにいても生きることに変わりはありません。「どう生きたいのか」ということが一番大切です。

ぼくがいつも言っているのは、「人生の地図」を持つこと。生きる上で、自分自身の地図、人生の目的をちゃんと持ちなさいということです。旅行でもそうですが、目的地がなければ、そこにたどり着くことはできないでしょう?

それともう一つ、アメリカに住んでいて、もし日本に帰りたかったら、迷うことなどありません。帰ればいいんです。仕事だって何とかなるの、いくらでも。迷ってしまう人は、アメリカに行った時に何とかなったってこと、忘れているんですよね。アメリカに住んでいたこと、それが強みでしょう?最初は右も左もわからず渡ったのに、その時の苦労がトラウマになっているのか、また同じ苦労をしたくないのか(笑)、帰ることをためらっている。でもアメリカに行った時に比べれば、100倍も楽なはず。

アメリカもそうですが、日本も今、仕事は何でもあります。まず最低限、食べていく分が稼げればいい。そこからまたスタートすればいいんだから。あとは想像力です。10年後、20年後にどうしていたいか、夢を具体的に描き出し、それを実現させるための方法を計画する。そうすれば、その人生の地図に沿って、それに近い幸せが必ずやってきます。

これから持ちたい地球は一つの国という概念

最新DVD『江原啓之のスピリチュアルバイブル』シリーズ(集英社)ロンドンを舞台に、人生の羅針盤となる法則を解説した第1弾「あなたとあなたの愛する人の歩む道」、ニューヨークを背景に「波長の法則」「カルマの法則」について語りつくした第2弾「あなたはなぜ人生につまずいてきたのか」に引き続き、「守護の法則」について語った第3弾が秋に発売の予定。

アメリカで生活されている方の中には、お子さんの教育問題で悩む方も多いようです。親御さんは、〝お膳立て〟にこだわるものなので、特に海外で暮らすと言葉や学校など、いろいろと悩まれると思います。でも大丈夫。「完璧にやろう」などと緊張しないで、今あるベストを尽くせばいい。学ぶ子はどんな環境でも学びます。巣立った後もずっと勉強を続けます。この環境も必然。その子にとっての大切な学びなのですから、完璧でないからといって、親として無責任だと思わなくてもいい。子ども本人の力に委ねることは、子どもに対する尊重です。人間って意外と傲慢なんですよ。お膳立てする方がいいと思っている。それは逆に言うと、子どもに対する束縛です。親が与えられるのは、愛情とマナー、そしてカルチャーだけ。あとはその時のベストを尽くせばいいのです。

人生、どこにいたって苦しいのは一緒です。だったら、どうしたいか考える。人生なんてあっという間ですから、楽しまなくちゃ。ダラダラと悩んでいる時間なんて、もったいない。海外で暮らすっていうことは、「一粒で二度」美味しいんですよ(笑)。だったら、それを満喫しないと。海外で暮らすというチャンスを利用して、そこでしか得られない、大きな経験と感動を手にしてください。

国や国籍に意味など、本当はないんです。本来は一つ。これから世界に求められていることは、地球という一つの国にならなければいけないということだと思います。そういう意味では、海外に出るということは、自国の内側を見ること、そして外側を見ること、そういった経験と感動の学びがあるわけです。

ぼくは、たましいの成長のために、海外生活とまでいかなくても、海外旅行をすることをすすめています。「この世の中でもっとも不幸なのは、旅行をしないこと」と言った人がいますが、本当にその通りだと思います。

私もアメリカはまだ、ハワイとニューヨークしか行ったことがありませんが、ロサンゼルスにもぜひ訪れてみたいですね。

(2006年10月1日号掲載)

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