祐真キキ / 女優

ライトハウス電子版アプリ、始めました

『HEROES Reborn』出演は通過点。世界規模で活躍し、世界に貢献したい

英語は非ネイティブ、コネも演技の経験もないままハリウッド女優を志し、単身渡米した祐真キキさん。100回以上オーディションを受けた末、大ヒット米テレビドラマ『HEROES Reborn』の主要キャストの座を掴んだ経緯や人生の目標など、キキさんの生き様に迫りました。
(2017年7月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版掲載)

すけざねきき◎京都府生まれ。高校在学中にアメリカに1年間留学。23歳でハリウッド女優を志し、単身渡米。現在は日米を行き来しながら、女優活動を続ける。2016年5月には、熊本地震の復興支援のため、ロサンゼルスでチャリティーイベントを主宰した。

―女優を目指した理由は?

祐真キキさん(以下、祐真キキ):小中学生の頃からいじめを見ると放っておけない性格で、ドキュメンタリー番組で世界の難民問題や環境問題を見ては、「いつか世界を救いたい」と考えるような子どもでした。ただ高校卒業後、明確な将来の目標が持てないままフリーターをしていた時、今時間のあるうちに世界の現実を見てみたいと思い、タンザニアにバックパッカーとして行くことにしました。タンザニアに決めたのは、日本でスワヒリ語を教えていた知り合いがいたからという、なんてことのない理由。そこで出会ったのが、南スーダンで環境問題の解決策を探るアメリカ人の慈善活動家でした。彼の話を聞いて、私も慈善活動をしたいとは思ったものの、自分一人にできることには限界があるという厳しい現実に気が付きました。
 
1カ月経って帰国後、自分の将来を考え直した時、幼い頃は子ども向けテレビ番組『天才てれびくん』に出たいと思うほどの目立ちたがり屋だったことを思い出し、まずは有名になってその知名度を生かして、人道支援活動をしようと決めました。

―女優の中でも、なぜいきなりアメリカで、ハリウッド女優を志したのですか?

祐真キキ:世界を救うには、世界規模で有名にならなければいけないと思ったからです。それなら一番手っ取り早い方法がハリウッド女優。アンジェリーナ・ジョリーのように世界に影響力を持つ存在になってから慈善活動をすれば、多くの人に世界に存在する問題の深刻さを伝えられるし、解決もできると思ったんです。
 
ですから私の目標は、ハリウッド女優になることではなく、世界規模で有名になること。正直、有名になれれば、女優でなくてもどんな職業でも良かったのですが、女優という仕事は、次にどんな役柄を演じるか分からないワクワク感が魅力。興味が多方面に分散しがちな私には、ぴったりだと思っています。

現在はテレビ東京の深夜ドラマ、「コードネームミラージュ」に出演するなど、アメリカのみならず、日本のテレビ番組でも活躍中。

―仕事をする上で最も大切にしているポリシーは何ですか?

祐真キキ:仕事に何かしら役立つ可能性のあることであれば、自分の興味の範囲内でなくても挑戦することが大切。実は、米NBCテレビドラマ『HEROES Reborn』で主要キャラクターの一人「刀ガール」を演じるチャンスに巡り会えたのは、サンタモニカで殺陣(たて)のクラスに通っていた時に同じクラスの受講生の母親が、同番組のキャスティングディレクターの友達だったことがきっかけなんです。日本でも殺陣はやっていましたが、アクションの演技に興味があったわけではなく、女優という職業を目指す上で「もしかしたら芸の足しになるかも」くらいの気持ちで始めました。でも、せっかく身に付けた技能を無駄にしたくないという思いから、アメリカに行っても続けたことが、結果、ビッグチャンスにつながりました。
 
それから、私が大切にしているもう一つのポリシーが、プラス思考。『HEROES Reborn』出演契約を掴むまでの渡米後約3年間は、エキストラなどをして生計を立てながら、時間を見つけては100回以上オーディションを受けました。いくら落ち続けても終わった後は、毎回「今日の私、最高!」と自信満々で会場を去っていました(笑)。だから挑戦し続けて来れたのかな。

―どうしたらそんなプラス思考になれるのでしょう?

祐真キキ:自分がやるべきことを100%やりきれば、自然とポジティブなエネルギーが湧いてきます。そうすると、楽しい時は全力で楽しんで、悲しい時はしっかり悲しむようになる。そうして感情が豊かになっていくと、演技力にプラスになるのはもちろん、人に対して自分の意見もすらすら言えるようになります。
 
アメリカに来てから特に感じるのは、意見を率直に伝える重要性。例えば、スケジュール調整をお願いする時に「申し訳ないんだけど、この日程は再調整してくれるとありがたいです」と伝えると、アメリカでは「ありがたいと言う程度なら、スケジュールの変更は必須ではない」と捉えられることが多々あります。日本人特有の丁寧さは大切なアイデンティティーですが、自分がどうしたいのかは明確に伝える必要があります。

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

祐真キキ:『HEROES Reborn』に出演できたことは大きな収穫ですが、世界的に有名になって世界的な問題を解決するための人道支援活動をするという目標においては、一つの通過点。女優として認知されたことで、今は日本からもテレビドラマの出演依頼をいただき、日米を行き来しながら女優活動ができるようになりました。でも日米の2国間を超えた、もっとグローバルな場で「祐真キキ」の名を広げたいです。そのためにも、今勉強しているのがスペイン語。英語圏以外の国で活躍するためにも、この言語の習得が直近の目標です。
 
※このページは「2017年7月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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