口臭(Bad breath)

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歯周病や虫歯も原因に

口臭と言っても、その原因や背景はさまざまです。通常健康な人の口腔内にはおよそ100種以上の細菌が住んでいます。これらは外部から侵入する病原菌をシャットアウトする、という役割を担っていますが、その活動の結果、虫歯を作ったり、歯周病を発生させたり、あるいは口臭の元になるガスを発生させたりします。口腔内にいる細菌の種類や数は年齢、生活習慣や口腔内環境の変化、食生活の変化によって変化します。
 
歯周病は歯の周りの組織、つまり歯を支える歯槽骨や歯茎などに起こる細菌感染による慢性的な炎症反応です。細菌に抵抗して免疫細胞を含む血清成分、浸出液、血液の漏出、および組織の壊死が起こり、これらの炎症の産物が口臭の原因物質です。歯を磨くことはこのような細菌を減らすという意味で、ある程度は口臭の対策となり得ますが、それを促進している歯石の除去を始めとした治療が適切に行われなければ、対策としては不完全です。
 
虫歯がある場合や、以前行われた虫歯治療でかぶせたものが合っていない場合、食べ物の残りかすや歯垢がたまりやすく、自分できれいにできない部分が出てきますから、やはり口臭の原因となります。また、歯の表面だけではなく舌の表面にも細菌がいます、舌の表面の状態によっては細菌が増殖し、独自の臭気を発生させます。
 
このほかにも口臭の原因として考えられるものは、口腔粘膜の病変や、歯並びの悪さ、唾液の量や質、内科的原因で起こるものなど多岐にわたります。

柔らかい歯ブラシで

口臭の予防としては、歯を正しく磨くことを基本に、6カ月に1度のプロフェショナルによるチェックアップとクリーニング、そして口臭の原因と思われる要素を1つ1つ精査して対処していく必要があります。
 
歯ブラシは柔らかめのものを選んでください。口の中の汚れに限って言えば柔らかい歯ブラシで取れない汚れは、硬いものでも取れません。歯の表面は曲面なので硬いブラシの毛先は歯と歯の間や、歯と歯茎の境目に届かずに歯の根元や歯茎を削ってしまうことになります。柔らかいブラシの先を歯と歯、歯茎との境目に、揺すり入れるように入れて汚れを掻き出すように磨くと、効率良く磨くことができます。

織田潤 歯科医
千葉県出身。ノースウエスタン大学歯学部卒業。1990年。トーランスで開業。

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