不整脈(Irregular heartbeat)

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頻拍で突然死に至ることも

正常な心臓は、通常1分間に60回から80回程度、規則正しく収縮して血液を全身に送り出しています。このリズムがなんらかの原因で乱れたり、極端に速くなったり遅くなったりすることがあります。これを不整脈といいます。不整脈には、もとになる病気が別にあってその合併症として現れるものもありますし、不整脈以外にはまったく異状のないものもあります。
 
例えば、心筋梗塞や心筋症などで心臓の筋肉が障害を受けていると、不整脈が現れやすくなります。心臓には異状がなくても、ホルモンや自律神経などのバランスが崩れるような病気の場合に、合併症として不整脈が現れることもあります。また、心臓病などの治療のために使っている薬の副作用で起きることもあります。
 
不整脈の症状には、普通の脈よりも速く打つ頻拍と、ゆっくり打つ徐脈の2種類があります。頻拍が起こっていると、心臓は空回りをしていますから、身体に必要な血液を十分送り出すことができません。そのため、めまいや失神発作が起こり、重篤な場合には心停止が起こります。この心停止による突然死で、アメリカでは毎日約1000人の方が亡くなっています。
 
逆に脈が極端に遅くなる徐脈が起こっている場合にも、身体に十分な血液や酸素が供給されませんので、疲労感、息切れ、めまいなどを感じるようになります。大半の人々は「ただの疲労」とか「老化現象」と考えて、心臓に問題があることになかなか気づきません。

めざましい進歩を遂げる治療法

不整脈の治療は、近年めざましい進歩をとげました。極端に遅い脈に対しては、心臓に電気刺激を与える「ペースメーカー」という装置を体内に埋め込みます。逆に1分間に150回以上という速い脈が起こる場合には、その原因となっている心臓の筋肉の一部を焼くことによって不整脈が起こらないようにします。その他に、突然死に至るような不整脈が起きても、それを5~10秒で止める装置「ICD-埋め込み型除細動器」も、一般にも知られるようになりました。
 
不整脈があっても、治療の必要がないか、様子を見ていれば良いという場合も、たくさんあります。しかし、時には、突然死を起こすような怖い心臓病が隠れている場合もあります。自覚症状があったり、健康診断などでとった心電図に不整脈が現れたりしたら、1度、専門医の診察を受けられた方が良いでしょう。

藤村おさむ 心臓医
熊本大学医学部卒業。元ニューヨーク州立大学医学部教授。現デザートリージョナルホスピタル不整脈部長。

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