治療には内服薬やレーザー手術
不妊症とは、通常避妊をしない状態で1年間妊娠しない場合と、出産経験がなく2回流産を経験した場合を指し、全米ではカップルの6組に1組が不妊症だと言われています。原因は数多くありますが、女性側の原因としては子宮内膜症、子宮筋腫、排卵障害など、男性側の原因としては精子の数や質に問題がある場合があります。
子宮内膜症は、卵子の着床や生産に支障を与えますが、その原因については詳しく解明されていません。治療方法は、ホルモン薬で治す方法とレーザー手術があります。子宮筋腫は子宮壁の平滑筋にできる良性腫瘍で、通常痛みを伴い早期流産を引き起こす可能性もあります。これは筋腫を取り去る筋腫核出術で治療できます。排卵障害は卵巣が卵子を排出しないケースで、内服の排卵誘発剤で治療できます。
卵子をまったく排出しなくなると、自力での妊娠は無理になります。生理が不順な人は20代で卵子を排出しなくなる人もいます。女性100人のうち1人の割合で35歳以前に更年期障害が起こると言われています。
ほとんどが簡単な治療で克服
男性は毎日の生活の中で気をつけるべきことがあります。まず熱気を避けること。サウナ、ジャクジーなど高温に身をさらすと3カ月先までの精子に支障が出ることがあります。局部は締め付けずゆったりとした状態にして、熱がこもらないようにします。また酒やタバコもよくありません。これは男性だけでなく女性にも言えることです。お酒ならビールかワインを1日グラスに1杯。タバコは禁煙するのがベストです。
不妊症は大抵の場合、簡単な治療で克服できます。なかには1カ月で妊娠する人もいれば、原因によっては数カ月かかることもありますが、85%から90%のカップルは治癒すれば、いずれ妊娠します。しかしどうしても克服できない場合は、体外受精という手段もあります。体外受精では男女の選択も可能ですし、遺伝子が原因の先天的病気(ダウン症など)も早期発見できます。
妊娠を考えている人は、妊娠を試みる前の段階から通常のビタミンとともに葉酸を摂ることをおすすめします。葉酸は処方箋なしで薬局で買えますから、1日最低でも1000μgを、妊娠を考えている2、3週間前から取り始めるといいでしょう。35歳を過ぎて妊娠を計画している人は、すぐに不妊専門医に相談しましょう。
べス・アン・エリー 医師
不妊治療スペシャリスト。南カリフォルニア大学卒、ウィスコンシン大学メディカルスクール卒。南カリフォルニア大学にてインターンの後、ハワイ大学で助教授として教鞭を執る。1995年、生殖医療専門センター設立。内分泌学の専門家として21年の経験を持つ。