小さな筋肉で囲まれた不安定な関節
寝違いは、首の周りにある肩甲挙筋(首と肩甲骨をつなぎ、肩を耳の方に近づける筋肉)、半棘筋(首を後ろと横に向ける筋肉)、そして胸鎖乳突筋(首を前に倒し、前に回す筋肉)のどれかが緊張して、捻挫のような症状になることを言います。
首の骨(頚椎)は、7つの骨でできていて、他の脊髄の骨に比べて、1つ1つが小さく、とても柔軟性に富んでいますが、周りの筋肉は何本もの小さな筋肉でできているため、可動域は大きいけれども、とても不安定な関節なのです。
軽い症状ならストレッチを行えばすぐにほぐれて治りますが、筋肉の硬直が強すぎた場合や、首の骨の歪みがある場合は、首の骨を支えている筋肉が頚椎をずらしてしまい、神経繊維が集中している関節包を刺激して痛みを感じます。この場合、2、3日しても痛みは治まりません。ひどい時は僧帽筋(首の後ろから肩甲骨と背中にある筋肉)が緊張して、首を回すと背中の方まで激痛が走るような症状が出ます。
2、3日しても痛みが残っていたり、背中まで痛むような場合は、早めに専門医に診てもらった方がよいでしょう。
後ろにグルグルは逆効果。前に動かしてストレッチ
こうした症状が起こるのは、主に運動不足や老化などで筋肉が衰え、柔軟性がなくなっているということなので、日頃から次のようなストレッチをしておくと予防に効果的です。
①正面を向いて、右の肩を落とし、左肩に耳をつけるような感じで首を横に曲げ、そのまま10秒ほどおきます。
②①の状態で15度ぐらい前方向に頭を倒し、そのままさらに10秒おきます。
③右腕を左斜め前に伸ばします。
以上、①~③を左右3回ずつ行ってください。
寝違いを起こすと、肩や首が痛いからと、よくストレッチ代わりに肩や首を後ろ向きにグルグル回す人がいますが、後ろに回すと筋肉をさらに硬直させるため、余計に症状がひどくなります。ストレッチをする時は、筋肉を後ろではなく、前に動かすことが大切です。寝違いを起こしたら、適切な治療を受けてからストレッチを行ってください。
Dr. ロバート・ジョー D.C.
UCLA卒。スポーツカイロプラクティック認定士。