子供の下痢(Diarrhea in children)

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乳児の下痢は急速な脱水に注意

下痢は子供に大変よく見られる症状です。病院の統計では外来で診る子供の9%が下痢だと言われています。しかしその大半は、何の心配もないケースが多いので、どういう種類の下痢が注意を要するのか、正しく知っておくことが必要だと思われます。
 
軽い下痢と重い下痢の見分け方についてですが、軽い下痢とは、食欲に変化がなく、発熱や嘔吐、体重減少のないものです。こういう下痢は、数日で治まるのが普通です。そのような下痢は、家で脱水症状に気をつけて様子を見ましょう。
 
医者に診てもらう必要がある下痢は、症状がどんどんひどくなる、体重減少がある、便に血が混じる、だるそうな感じが強くなる、息使いが荒くなる、尿の回数が著しく減少した時などです。簡単に言えば、脱水の心配がある時と、
O-157、赤痢など重い伝染病が疑われる時です。
 
下痢で1番恐いのは脱水です。大人は体内の水分量が多いので、簡単に脱水状態にはなりませんが、乳幼児、特に乳児は簡単に陥ることがあり、わずか1晩のうちに脱水で命を落とすこともあります。下痢と嘔吐が同時にある時は、急速に脱水を起こすことがあるので、特に注意が必要です。

水と一緒に野菜スープも

脱水症状の早期の見分け方は、顔色が悪く不機嫌、手足が冷たい、尿の回数や量なども大切な印です。1番良い指標になるのは、体重の減少です。体重の減少が5%程度以下なら軽い脱水、5~10%の減少で中度の脱水、10%以上の減少は重い脱水ということになります。ですから嘔吐や下痢が始まったらすぐに体重を量っておくようにしましょう。
 
下痢になると、水分と同時に、体の細胞が活動していく上でなくてはならない電解質が一緒に失われます。ですから脱水状態になりそうになったら、ただ水だけを与えるのではなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質の補給を忘れないでください。特にカリウムは重要で、キャベツやニンジンに多く含まれていますから、野菜スープを飲ませてあげれば、電解質の補給につながります。

大里メディカルクリニック
大里雅治医師

ローマリンダ大学医学部卒。UCLA大学消化器専門医修了。米国消化器学会、米国内科学会公認専門医。

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