幼児期に発症する遺伝性の疾患
皮膚が痒くて赤くなっているからといって、必ずしもアトピー性皮膚炎であるとは限りません。アトピー性皮膚炎とは、ぜんそくやアレルギーとともに幼児期に発症する遺伝性の疾患であり、皮膚炎だけ遺伝する人もいれば、3つの症状を併発する人もいます。アトピー性皮膚炎に似た症状の皮膚炎は多いので、皮膚科で正しい診断を仰ぐことをおすすめします。
アトピー性皮膚炎は、乳児の場合、たいてい頭皮、頬、オムツをする辺りに出て、通常、赤くなってかさぶたを形成します。この場合はモイスチャークリームを塗る程度で、特別な治療は必要としません。これで症状が緩和しない場合には、ヒトロコルチゾンなど、弱性ステロイドクリーム配合のクリームを処方します。
年齢が上がるにつれて、首の後ろや膝の後ろ、肘の内側など屈筋周辺が荒れるようになり、まぶたや耳にもよく症状が出ます。成長するに従って症状は軽くなり、半数の患者は10歳までに完治します。ですが一生患う人も、わずかながらいます。
年を取るほど治療は難しくなり、通常ステロイドが最も適した処方になりますが、副作用があり、長期間使用すると皮膚線が出たり、まれに副腎に影響することもあります。ステロイドを含有しないタイプの新しい薬も開発されていますが、また別のリスクを伴います。アトピー性皮膚炎はバクテリアの温床になることも多く、ステロイドとともに抗生物質を処方するケースもあります。
モイスチャライザーは入浴後の潤った肌に
アトピー性皮膚炎は、治療して良くなっても、症状が再発することがあります。再発を防ぐには、常に正しいスキンケアを行って皮膚を補強することが重要です。時にはオートミールを使った入浴や、モイスチャライザーを塗るだけでも違ってきます。モイスチャライザーがその効力を発揮するには湿り気が必要なので、乾いた皮膚に塗っても効果がありません。ですので、風呂上がりの潤った肌に塗るのが最適です。
正しい治療とスキンケアを行えば、ほとんどのアトピー性皮膚炎は改善します。
ハーバード大学内科卒。USC皮膚科レジデンシー。USCメディカルスクール講師。