男女で違う自覚症状早めの治療が肝心
性病にはさまざまな種類がありますが、男女で症状も異なります。男性は、排尿時の痛みや残尿感、尿道からの膿、陰部の腫れ物やできものなどがあります。膀胱炎や尿道炎と勘違いする人もいますが、40代以下の男性がかかることはまずありません。40代以降になると前立腺肥大の可能性もありますが、若い人の場合は9割が性病です。
女性の場合は、男性と似たような症状もありますが、1番多いのは色や量・匂いなど、おりものの変化です。おりものに異常を感じても、すべてが性病とは限りませんので、早めに検査を受けることが肝心です。雑菌性膣炎やカンジダも、おりものに変化が見られますが、性病ではありません。
完治する性病には、淋病、梅毒、クラミジアがあり、完治しないものにヘルペス、HIV、場合によって完治するものに、B型肝炎とHPVがあります。HPVは子宮頸ガンのウイルスで、B型肝炎と子宮頸ガンは性病と思われていませんが、実は主に性的感染によります。B型肝炎は唾液や精液で感染するため、キス、まわし飲み、まわし食いでうつる可能性があります。B型肝炎には予防接種があり、アメリカの子供は接種が義務付けられています。
年に最低1回は定期検診を受ける
子宮頸ガンがウイルス性だとわかったのは、ここ5年から10年で、2005年に予防接種が開発されました。6カ月から1年以内には受けられるようになります。B型肝炎とHPVが場合によっては完治するというのは、自覚がないまま、自然に治ってしまうケースがあるからです。HPVの場合、4割は1年以内に自己完治し、6割が異常の出たまま持続し、そのうち悪化した人が子宮頸ガンになります。B型肝炎の場合は、慢性化するのは大人の場合20人に1人で、残りは自覚がないまま治ります。
病気の種類によっては、自覚症状が出ないことが多いので、年に1回は検診をおすすめします。また1年に3人以上の性交渉パートナーがいると、統計的に性病になる可能性が高いので、年2回から3回検診した方が良いでしょう。予防にコンドームが有効なのは言うまでもありません。
シカゴ医大卒。UCデービス・レジデンシー卒。家庭医療・医学専門。