ピロリ菌や遺伝子も重要な危険因子
胃ガンは胃の内壁にある細胞で発生しますが、40歳以上の男性に多く、日本、韓国、チリ、アイスランドで特に多く発生しています。アメリカでは死亡原因第7位で、日本よりは低いですが、食生活や食品の保存方法の違いによるものではないかと考えられています。
原因はまだ不明ですが、ピロリ菌に感染するとリスクが高まることがわかってきました。ある種の抗生物質でピロリ菌を全滅させると、リスクを最低限に抑えられる可能性があります。またアルコールやタバコ、塩分の多い食べ物やくん製食品も危険因子です。それ以外に遺伝的な体質も重要な原因だと考えられています。身近な家族に胃ガンになった人がいる場合は、1度医師に相談することをおすすめします。
日本人でも、アメリカで生まれた人は、日本で生まれた人よりもリスクは低いのですが、これは食生活の違いのほかに、日本にはピロリ菌保菌者が多いことも影響していると考えられます。
初期発見が鍵ピロリ菌検査を
胃ガンは初期段階ではほとんど自覚症状がなく、それが治療を困難にしています。自覚症状としては、食欲不振、体重の減少、腹痛、胃のむかつき、胸焼け、吐き気、嘔吐(血を含むことも)、ゲップ、少量の食事で肋骨の下辺りに満腹感を感じるなど。
検査には、バリウムを飲んで行うエックス線検査、内視鏡検査、病理組織検査などがあります。内視鏡検査は麻酔を使い、所要時間も5分から10分で済みます。回復時間を入れても30分ほどで終わり、入院の必要はありません。
胃ガンと診断されてから5年以上の生存率は20%ですが、これは多くの場合、診断時にはすでに末期に入っている患者が多いためです。治療には手術、化学療法(抗がん剤)、放射線療法がありますが、進行ガンには効果が低く、初期段階で発見すれば生存率も高くなります。
家族に胃ガン患者がいるなど危険因子のある人は、ピロリ菌検査を受けることをおすすめします。またビタミンCやE、緑茶などの抗酸化物質も、確実なデータは出ていませんが、予防につながるとみられています。
USCメディカルスクール卒。シーダーサイナイ病院で内科の研修を終え、UCLAで胃腸専門を担当。消化器・肝臓内科・内科専門。