車のパーツ、英語で何て言う?(活かす!イングリッシュ Vol.37)

キャズ・カワゾエ

以前、日本から来たばかりという駐在員の奥さんが、車の免許を取りに行き、実地の運転テストの前に、試験官から「これは、何?」と、バックミラーを指差され、迷わず “Back mirror” と答え、「あなたの車のバック(後ろ)には、鏡が付いているのか?」と突っ込まれたという話を聞きました。
 
そう、英語では、バックミラーとは言いません。
 
以前もこのコラムで書きましたが、何かの名前がカタカナだと、それが正しい英語だと思いがち。でも、実際には違うことがよくあります。なんたって「日本語英語」という言葉があるくらいですから、日本語で作られたウソ英語というのは、氾濫しているわけです。
 
特に、車なしでの生活は考えられない南カリフォルニアで暮らす人たちには、毎日お世話になる「車」のパーツを、正しい英語で覚えていただきたいですね。でも、正しい英語と言っても、イギリスとアメリカでは、また表現も違ってくるので、今回はアメリカで使われる表現をご紹介します。

車のパーツの正しい英語表現 (アメリカの場合)
 
バックミラー rear-view mirror
フロントガラス windshield
ウィンカー blinker or turn signal
サイドブレーキ parking brake or hand brake
ナンバープレート license plate
ハンドル steering wheel
バックギア reverse

ちなみに、ペダルの「アクセル」は、正しくは “accelerator” と言いますが、口語で「アクセルを踏め(急げ~!)」という場合は、”Step on the gas” と言います。そして「パンク」は “flat tire”。
 
2010年度、急ぐこともパンクのようなアクシデントもないような、平穏な一年にしたいですね。
 
(2010年2月1日号掲載)

英語のDress・Dressingの意味と表現例(活かす!イングリッシュ Vol.36)

キャズ・カワゾエ

さて、新年も明け、皆さん、クリスマスの頃はアメリカ人たちとの付き合いなどで、パーティだの、ディナー会などと、着飾って出かけることもあり、お正月ともなれば、日本人のお友達のお家に新年のご挨拶に伺ったりと、これまたちょっと着飾ってお出かけ…と、何かと「ドレスアップ」することも多かったことでしょう。
 
オシャレする、着飾るという英語、”dress up” はもう日本語ですが、この “dress”、実は服以外にも使われているのですよ。
 
例えば、誰でも知っている単語で “dressing”、そう、サラダにかける、あの「ドレッシング」ですが、これも “dress” が語源です。

“dress” & “dressing” を使った表現例:
 
For this party, I really need to dress up. 
このパーティには、本当に正装をして行く必要がある。
 
Your outfit is a bit much, you should dress down a little. 
あなたの服はちょっと行き過ぎ、少し簡素にするべきだ。
 
My doctor changed my dressing at the clinic. 
私の医者は、診療所で包帯をかえてくれた。
 
This dressing makes this chicken really yummy.
この詰め物が、チキンを本当に美味しくしている。
 
My mother dressed the meat for dinner with spices. 
私の母は、スパイスを使って夕食用のお肉の下ごしらえをした。
 
The gardener dressed our back yard nicely. 
庭師が、きれいにウチの裏庭を刈り込んだ。

と、このように、状況によって”dress” “dressing” は、服以外のことを表現するのに色々と使えます。
 
あと、普通に「~を着る」という意味でも使いますから、”wear” の代わりに用いることも可能です。「ハロウィーンでは吸血鬼の衣装を着た」を “I wore a vampire costume for Halloween.” と表現する代わりに、”I dressed like a vampire for Halloween.” と言えば、意味は同じです。
 
(2010年1月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

“This is it.”の意味や使い方(活かす!イングリッシュ Vol.35)

キャズ・カワゾエ

ポップの王様、マイケル・ジャクソンが急死して数ヶ月…。『THIS IS IT』と銘打ったロンドン・ツアーに向けて、彼の亡くなる寸前まで続いていたコンサート・リハの様子などが映画化され、ツアーと同じ、『Michael Jackson’s THIS IS IT』というタイトルで公開されました。
 
私はまだ観ていませんが、素晴らしい映画だと、感動を呼ぶと評判です。そして、このタイトルの『THIS IS IT』。日本でも、そのまま「ディズ・イズ・イット」と、邦題もカタカナのままで、訳されていませんが、使う状況や言い方によって、色々と違う意味になる表現です。
 
まず、マイケル・ジャクソンのツアー名(映画のタイトル)は、すべて大文字で表記されていますが、これは、使う側の意図で、普通に書くならば、”This is it.” 中学生レベルの日本語訳にすると、「これがソレ」になっちゃって、その時の状況が伴わなければ、意味がわかりません。’It’という単語は、状況によって、何か特定なモノを指す場合と、色々なものを漠然と指す場合があるからです。

“This is it.” の意味・使い方

■マイケルのツアーのタイトルには、こういう意味が含まれていたと思うのですが、「これで決まり」「これだよ、コレ!」「こうでなくっちゃぁ~」という、何かスゴいもの、素晴らしいことを指す。
 
■物事の終わりや何かがなくなる時に使うと、「これで最後」「これで終わり」という意味。自身の最終ツアーのタイトルは、結果的には、命の終わりも意味していたとは、ナンだか暗示的。
 
■何か残り少ない物を指し、「これしかない…」「これっぽっち」という意味に。
 
■何かを探している際に、ソレが見つかって、「あった」「コレだ!」と指す時。
 
■何か特定な物を受け取る時に。相手からその物を差し出され、「これですよ」「こちらが、そのモノです」。一番シンプルな日本語訳の「これがソレ」に近い使い方。

1987年、マイケル・ジャクソンが、初のソロ・アーティストとして来日し、日本全国縦断ツアーをした時、私は日本で主に英語の詞を書く作詞家でした。日本の歌手の人たちの英語の歌の発音指導のトレーナーなどもやっていて、そういう流れからなのか、突然、マイケルのツアーのプロモーターから直接、マイケル・ジャクソンのツアー通訳の仕事のオファーをもらいました。
 
当時、作詞家として、そこそこ仕事をしていた私は、1カ月以上の日本全国を回るというスケジュールが、どうしてもイヤで(あと、ギャラがイマイチだった)、その仕事を断ったのですが、あの時、仕事を受けていたら、どうだったんだろう…と、ポップの王様の急死を受けて、20年以上昔のことに思いを馳せたものでした。
 
ツアーには同行しなかったものの、東京公演には出向き、マイケルのステージを観てきました。あれから20余年。今回の追悼映画、『THIS IS IT』がDVD化されたら、すぐにでも観たいと思っています。
 
(2009年12月1日号掲載) 

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

おもしろ単語:政治編(活かす!イングリッシュ Vol.34 )

キャズ・カワゾエ

先月、このコラムでは、オバマ大統領が訴えている ‘change’ をテーマに、通常の「変わる」という意味以外で使われる ‘change’ について書きましたが、今、ちょっと政治が熱いので、今月は、政治に絡まる英単語で、面白いと思うものをご紹介します。
 
例えば、私がハイスクール時代、歴史だか、政治経済のクラスだったかは定かではありませんが、「ダイエット」という単語が、日本の国会の意味だと知った時は、ものすごく驚きました。当時ティーンエイジェーの私にとって、「ダイエット」と言えば、「痩せること」だったわけですから、それが「国会」だなんて、かなりのインパクトを受けたものです。
 
同じように、今回のこのコラムでは、誰でも聞いたコトがある単語で、日常生活でもよく使うにもかかわらず、政治の世界で使われると、普通の世界で使うのとは、まったく違う意味を持つ単語達をご紹介したいと思います。

政治界のおもしろ英単語:
 
the Diet (国会、議会)
アメリカなら “Congress”、イギリスなら” Parliament” と呼ばれる
party (政党、党派)
厳密に言うなら、”political party” ですが、政治界なら ‘party’ だけで「政党」と通じる
bill (議案、法案)
新たに提出される、可決前の政治案
act (法令)
上記の ‘bill’ が通ると、’act’ となり施行される
the Cabinet (内閣)
アメリカでは、大統領顧問委員会のことを指す
the House (下院)
厳密には “the Lower House”、「上院」なら”the Upper House” と言う

ちなみに、アメリカでは連邦上院議会は “the Senate” 、連邦下院議会は “House of Representatives” と呼ばれます。「内閣」も、アメリカと日本では使う単語が違い、鳩山内閣ならば “the Hatoyama Cabinet” なのですが、オバマ内閣の場合は “the Administration” を使うので、 “the Obama Administration”となります 。
 
国によって政界の表現が違うのも、面白いですね。
 
( 2009年11月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

英単語changeを使った英語例文(活かす!イングリッシュ Vol.33 )

キャズ・カワゾエ

2009年1月、アメリカに民主党のオバマ政権が誕生。大統領選挙中、候補者だったオバマ氏が民衆に訴えていたキーワードは、’change’ で、それまでの共和党政権から「変革」し、新しい時代への「変換」を約束し、それまでのアメリカ国民達の生活を「変える」ことを訴えました。
 
そして、この秋、日本での総選挙では、政府与党である自民党が歴史的大敗をし、政権が民主党へ移行、日本でも’change’が起こりました。
 
日本人なら誰でも知っている、簡単な単語の’change’ですが、ただ単に「変える、変換する」という意味の他にも、いくつか面白い意味、使い方があります。それなので、今回は、この、2009年を象徴するような単語、’change’について、書いてみたいと思います。

単なる「変える」以外の ‘change’ を使った例文
 
I need to change the baby. 赤ちゃんのおむつを取り替えなくちゃ。
>厳密には、’change the baby’s diaper’ ですが、わざわざ「おむつ」’diaper’ まで言わなくても、’change the baby’ だけで通じる。
 
The women in their 50’s tend to have the change. 50代の女性は更年期を迎えやすい。
>冠詞の ‘the’ をつけて、「更年期」という口語。’the change of life’ とも言う。’the change of voice’ なら、「男の子の声変わり」
 
Do you have change for a dollar? 一ドルを小銭に替えられますか?/一ドルでおつり、ありますか? 
>冠詞の ‘a’ も ‘the’ も付けない。’small change’ なら、「小銭」。

ごく当たり前の使い方なので、あえて例文などは書きませんでしたが、乗り物を乗り換える、服を着替える、季節が変わる、そして気分転換をするのも、’change’ を使って表現できます。
 
時は10月、もうハロウィンです。What do you want to change yourself into this year?(今年は、あなたは何に変装するのですか?)ま、わざわざ ‘change’ を使わなくても、誰かにハロウィンの仮装を何にするかを聞くだけならば、”What is your costume?”(コスチュームは、何?)って、簡単な表現でも、通じますけどね。あくまで ‘change’ にこだわって使うと、‘change 誰それ into なになに’で、「誰それを何という別物に変える」という意味になるので、こういった表現が使えるでしょう。
 
(2009年10月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

和製英語の文房具(活かす!イングリッシュ Vol.32)

キャズ・カワゾエ

「夏休みだぁ~」と思っていたら、あっという間に9月です! 
 
学生さんたちや、子供を持つ親御さんたちは、新学年に向けて、新しい文房具などを揃えるのに、忙しくされていませんか?
 
そこで今回は、文房具の和製英語の正しい英語表現をご紹介します。
 
「はさみ」や「消しゴム」などは、そのまま英語にしないでしょうが、カタカナが使われている文房具は、それが正しい英語名だと勘違いしがち。「ボールペン」が”pen” だけで通じること(正しくは”ball-point pen” ですが、今は多くの人が”pen” と略しています)くらいは、アメリカ在住の皆さんならご存知でしょうが、他の文房具はどうですか?

和製英語の文房具の正しい英語名
 
セロハンテープ Scotch tape
ホッチキス stapler
シャーペン mechanical pencil
マーカー highlighter(蛍光ペンの場合)
ルーズリーフ filler paper(loose-leaf paper なら通じる)

ちなみに、日本とアメリカでは、鉛筆の硬度と色の濃さの表示が違い、日本の「HB」に匹敵するのは 、”number 2 pencil” と呼ばれています。これは知らないと、まったく意味不明。ぜひ、覚えておいてくださいね。
 
(2009年9月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

“何時から何時まで”など…between を使いこなす(活かす!イングリッシュ Vol.31)

キャズ・カワゾエ

中学校くらいで習った単語、’between’。通常、前置詞として使われ、場所や位置、時間などの「~間に」という意味で使われたり、性質やキャラクターなどが曖昧で、「~と~の間くらい」というような意味で使われたり、物事を区別したり、関係を表すのに「~の間で」という意味で使われます。
 
また、副詞としても使われ、その場合は、「二つのモノの間に」や、「間を隔てて」という意味になります。
 
いずれにせよ、何かと何かの関係、それが時間だったり、距離だったり、性質だったりしますが、二つのモノの間や、関係を表すのに使われ、アメリカ生活の中では、けっこう便利に日常で使える単語でしょう。
 
ただ、間違えやすいのが、例えば「2時から3時までの間は家にいるよ」と言うのを、”I’ll be home between 2 to 3 o’clock.” のように、’between X to X” と、’to’ を使ってしまうこと。正しくは、”I’ll be home between 2 and 3 o’clock.” と、’and’ を使わなくてはなりません。じゃなければ、”I’ll be home from 2 to 3 o’clock.” と言うのが正解です。
 
また、「ブラッドかレオなんて、選べない!」なら、”I can’t choose between Brad or Leo!” というのも間違いで、正しくは “I can’t choose between Brad and Leo!” と、これも ‘and’ を使わねければなりません。*私なら、レオです<笑
 
日本人的には、「○○から○○まで」や、「何時から何時まで」というと、’to’ を使いたくなるでしょうし、「○○か、○○のどっちか」なら、’or’ だと思いがちでしょうが、お間違えのないように。
 
と、このあたりの使い方は、ごくごく普通ですが、この他、’between’ を使うと、面白い表現もできます。今回のコラムでは、それをご紹介しましょう。

‘between’ の使い方例:
 
I’m between apartments. (引っ越し先を探し中)
Read between the lines. (行間を読め)
It’s between you and me. (2人の秘密)

特に、’between apartments’ の使い方は、’between jobs’ とすると「職と職の間=求職中」、’between boyfriends’ なら、「前の彼氏と、これから作る彼氏までの期間中=彼氏探し中」となるので、ストレートに「無職」だとか、「彼氏いない」というよりは、聞こえがイイかもしれません。
 
ただし使う時には、冠詞の ‘the’ は付けないでくださいね。’the’ を付けてしまうと、例えばアパートなら、「アパートの建物と、建物の間にいる」という意味になってしまいます。そういう点に気をつけて、こういった便利な ‘between’ の使い方、してみて下さい。
 
夏の終わりには、今 ‘between’ にいる人が、それが住むところでも、職場でも、学校でも、恋人でも、 ‘between’ の向こう側に辿り着けますように。
 
(2009年8月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

英語で挨拶~お久しぶり!最近、どう?(活かす!イングリッシュ Vol.29&30)

キャズ・カワゾエ

●この記事で紹介する「”お久しぶり!””最近、どう?”など英語の挨拶表現」

Long time no see. ご無沙汰~/お久しぶり(長いこと会ってないよね)
—Same here. ホントだね
What’s happening? What’s up? 最近、どうしてる?
—Not much. あまり変わりないよ

世界中、どこの国でも、「挨拶(あいさつ)」というのは、大切なことだと思います。
 
日常生活の中で交わされる「挨拶」は、人と人とのふれあいの第一歩。挨拶一つで、相手の印象が変わったり、その日、相手がどんな気分でいるかが感じられたりするものです。
 
どうしても、「英語の挨拶」と言われると、日本の学校で習った、”Hello. How are you?” とか “How are you doing today?” という、型にはまった「挨拶英語」が頭に浮かぶかも知れませんが、日本語の挨拶でも「こんにちは」の次に続くセリフが「最近、いかがですか?」「お忙しいですか?」「お久しぶりですね~」や、関西の人なら「儲かりまっか?」だったりするように、色々とパターンがあるのです。
 
私の留学時代、日本人の友だちが、「アメリカ人に、”What’s up?” って聞かれて、思わず、上を見ちゃったけど、あれって、何?」と聞かれたことがありました。”What’s up?” なるほど、日本語に訳してみると、「上にナニがあるの?」と聞かれたと思いますよね。でも、これも、気さくな挨拶の言葉。
 
この場合の ‘up’ は、口語での、「(物事)が起きている、起こっている」という意味で使われているので「何が起こっているの?」と聞かれていることになります。で、実際には、普通に歩いていたりで、何も「コトが起こっている」わけではなくても、この “What’s up?” は使えます。「どうしてるの~?」「元気?」という感じで、特に若者の間で気軽に使われる「挨拶」なのです。

気さくな「挨拶」の例
 
What’s happening? (最近)どうしてるの?
Long time no see. ご無沙汰~/お久しぶり(長いこと会ってないよね)
What’s new? (この頃)なにか新しいことある?
How’s it going? どんな感じよ(全般的に)?

上記の Long time no see 以外の文には、lately(最近)や nowadays(この頃)という単語を付けると、もっと具体的に、相手の近況を聞くことになります。
 
と、アメリカ人たちが気さくに口にする「挨拶」をご紹介したところで、次回は、こう挨拶された時、どう答えたら良いのか、その「返事」について、書きたいと思います。相手から気さくに挨拶をされても、答えられないんじゃ、困りますものね…。
 
(2009年6月1日号掲載)
 
前回、このコラムでは、「気さくな挨拶表現」をいくつかご紹介しました。日本の学校で習った、”Hello. How are you?” とか “How are you doing today?” という、型にはまった「挨拶英語」ではないけれど、アメリカにおいて、ごく日常的な会話で使われる表現です。
 
そして今回は、それらの挨拶に対しての一般的な「返事」の例をご紹介したいと思います。あくまで、差しさわりのない返事の例です。
 
挨拶された時の「返事」の例
 
What’s happening? What’s up?  (どうしてる?)
—Not much. (あまり変わりないよ)
 
Long time no see.  ご無沙汰~/お久しぶり(長いこと会ってないよね)
—Same here. (ホントだね)
 
What’s new?  (この頃)なにか新しいことある?
—Nothing much. (そうでもないよ)
 
How’s it going? どんな感じよ (全般的に)?
—Good. (いいよ)
—So so. (まぁまぁ)
—It’s all right. (大丈夫だよ)
—Same old, same old. (まったく相変わらず)注:普通、2回繰り返して言う
 
と、いくつかの例を挙げてみましたが、これは、普通に考えられる挨拶への返事の例で、一般的なもの。差し障りのない返事なのですが、例えば、新しい彼氏ができたのならば、What’s happening? や What’s new? の問いかけには、”I got a new boyfriend, and it’s going great.(新しい彼氏ができて、イケてるのよ~)” などと答えたり、”Long time no see.” と言われた相手を、実際には先日見かけていたら、”Yeah, but I saw you at the mall the other day.(そうだね、でも、この前モールで見かけたんだよ。)” などなど、状況によって、返事はさまざま。
 
そして、最後の例文の “How’s it going?” は、全般的な状況をたずねているので、実は病気や怪我をしたなど、なにか悪いことが起きている場合ならば、”It’s terrible. My car is broken and I can’t get around.(良くないよ。車が壊れちゃって、動きがとれないんだ)” と、これまた近況を伝えるのが返事となるわけです。
 
挨拶は、コミュニケーションの基本、上手に英語の「気さくな挨拶」をしたり、挨拶されたら「返事ができる」ようになりたいですね。
 
(2009年7月1日号 掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

go は’行く’だけじゃない(活かす!イングリッシュ Vol.28)

キャズ・カワゾエ

私が高校留学をしてきて間もなく、国語(英語)の授業で先生が、黒板に GO と書き、「皆さんが Go と使うのは、実際にどこかに移動する以外で、どんな時でしょう?」みたいな質問をしました。まだ英語がヘタクソだった私は、授業を聞くだけだったのですが、クラスのみんなは、一斉に「しゃべる時~!(When we say something~)」とかなんとか、返事をしました。
 
そして英語生活のビギナーだった私は、英会話では、go = say で使えるということを知りました。
 
日本の英語の授業では、そんなことは教わっていなかったので、留学後30年ほど(!)が経過した今でも、このときの衝撃というか、「ヘェ~、そうなんだぁ」という驚きを覚えています。
 
“go” は、誰でもが知っている簡単な言葉だし、毎日のように使うことがあるものですが、この “go” 、実に色々な使い方があります。
 
今月は、”go” と言えば、地点A から地点Bまでの「移動」や、物理的にどこかに「行く」と頭にインプットされている人たちに、”go” は「行く」だけじゃないことをご紹介しましょう。

面白い “go” の使い方例:
 
This treasure goes for 0.00 at a store.
(この宝物は、お店では500ドルで売られる)
He goes by a different name.
(彼は別名を使っている)
The buddha statue goes to the temple.
(仏像は寺に納められる)
My kid needs to go!
(ウチの子、トイレ行きたいの!)
One year has gone by.
(一年が過ぎ去った)
My pet is gone.
(私のペットが行方不明/死んだ)

他には、「物事がうまく行く」という「行く」も、”go” を使って、”It went well.(うまく行った)” や、”It went bad.(ダメだった)” などと使えますし、なにかに挑戦する人に対して「頑張れ!」「やっちゃえ!」という応援の時も、”Go for it!” などと言えます。
 
また以前、このコラムでも書きましたが、「デートする」は、”go out” ですし、たかだかアルファベット2個の “go” ですが、色々な表現が出来るものなのです。Well, I’ve gotta go now.(じゃ、失礼します)
 
(2009年5月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

英語での「お金」の呼び名・表現例(活かす!イングリッシュ Vol.27)

キャズ・カワゾエ

4月と言えば、働く大人たちにとっては避けて通れない「税金申告」の月! もうすぐ締め切りだぁ~と、焦って昨年度の領収書をまとめて計算をしている人も、少なくないでしょう。特に今年は、100年に1度の大不況と言われているのですから、皆さん厳しいはず。日常のたわいない会話にも、何かとお金のことが話題に上がるかも知れません。
 
そんなわけで、今月のお題は”money”「お金」。日本語には、それほど「お金の呼び名」というか、「あだ名」のようなものはないと思うのですが、英語には色々とあります。

お金の呼び名・表現例

cash: 日本語にもなっていますね。「現金」という時に使います
buck: 「お金」という名詞のほか、ドルを数える単位としても使います
bill: 「紙幣」という意味ですが、「請求書」という意味もあります
dead presidents: 紙幣に死んだ大統領たちの顔が印刷してあるため
bread: 「パン」という単語ですが、スラングでは「お金」を意味します
dough: こちらは、パンを焼く前の生地のこと。こちらもスラング

“buck” と”bill” は、1ドル以上ならば複数形にして使いますが、 スラングの “bread” と “dough” は、必ず単数形で使います。
 
お金の呼び名には、ほかにも “greenbacks” というのがありますが、これはちょっと古い言い方で、今の若い人たちにはあまり使われない表現。アメリカ紙幣が緑色のインクで印刷されていことから、この名が付いたそうです。
 
また「呼び名」とはちょっと違いますが、 “grand” と言うと、「1000ドル」という意味のスラングになります。なので、「1000ドル」を “One thousand dollars” と言う代わりに、 “A grand” と言っても、同じ意味になります。
 
新聞の求人広告などや中古車販売の広告で目にする”K” の文字も、「1000ドル」を表す言葉です。例えばサラリーが40K/yrとあれば、年収4万ドルの仕事という意味です。
 
例え手元にあるお金が少なくても、色々な呼び名を使えばたくさんあるよう…には思えませんよね。早く景気が回復することを祈るのみです。皆さん、踏ん張りましょう。
 
(2009年4月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

dateの意味とは~日付?デート?(活かす!イングリッシュ Vol.25&26)

キャズ・カワゾエ

単純に、”date”と聞くと、1番に頭に浮かぶ日本語の意味は、なんでしょう?「日付」ですか?それとも、彼女/彼氏と出かける「デート」でしょうか?
 
もちろん、”date”の前後の文章で、その意味は確定されて行くのですが、今回は、バレンタインデーも近いコラムということで、「日付」ではない方の”date”の意味や使い方をテーマにしたいと思います。
 
一般に、日本語で「デート」というと、異性と出かけるロマンチックなこと…。その「出かける行動」自体を指すのですが、英語で、”date”と言うと、もちろん、日本語と同じ「異性を誘って出かけること」を意味しますが、「誘った相手」「一緒に行く人」という意味もあります。
 
日本語では、「デートに行く相手」のことを「デート」とは呼ばないので、知らなければ、例えばパーティーなどで、 “Who is your date today?” と聞かれたら、どう言う意味なのか、わからない人がいるかもしれません。この場合なら、「今日、パーティーに一緒に来たお相手は、誰?」という意味となります。男性にも、女性にも使える言葉です。
 
ということで今回は、「出かける行為」のデートではなく、日本語では使わない”date”、「デートの相手」という名詞について、ご説明しましょう。

人間を指す、date を使った例文

Where is your date? (あなたのデート相手は、どこ?)
Mary is my date tonight. (メアリーは僕の今夜のデート相手)
What is your date’s name? (デートの相手のお名前は何?)
He was a really bad date. (彼はマジでひどいデート相手だった)
Will you be my date at the party? (パーティーの時に、同伴してくれる?)
 

以上のように、 “date” は英語でも、彼女/彼氏とするデートの行為自体も示します。次回は、「誰それをデートに誘う」や「デートがあるんだ」といった、日本語で使われるのと同じ意味の、「デート」という言葉の使い方をご紹介しますね。
 
(2009年2月1日号掲載)
 
先月は、日本語でも理解されている「デート」=「異性と出かけること」ではなく、その出かける「相手」を意味する”date”の使い方をご説明しましたが、今回は”date”が付いた面白い言葉と、「出かけるデート」という行為を示した場合の “date” の意味や使い方をご紹介しましょう。
 
例えば “blind date” と言えば、blind =目が不自由、という意味ではなく、「デートする相手が分からない」ということからできた言葉で、誰かのお膳立てでするデートのこと。つまり、「面識のない人とするデートという行為」。良くテレビのコメディ番組などで、友だちに紹介されて「ブラインド・デート」をしたら、絶対ゴメン~と言ったような、とんでもない相手が来て、困ったというようなエピソードがありますよね。
I don’t believe in blind dates.(ブラインド・デートってものは、信頼していない)
 
そして “double-date” と言えば、「2組のカップルが一緒に出かけるデート」のこと。仲良しの友達同士が、どちらかと言うと、ロマンチックな雰囲気ではなく、スポーツイベントや、コンサートなど、大勢で盛り上がった方が楽しい場合にするデートですね。
 
Let’s double-date for the party with Kathy and her boyfriend.
(パーティーには、キャシーと、彼女の彼氏と一緒に、ダブルデートで行こうよ)
 
また、これは大人の男女の世界ではなく、子供を持つ親たちの間で使われる言葉ですが、”play date” と言う言葉があります。こちらは、「子供同士を一緒に遊ばせること」という意味です。
 
言葉自体を知らなくて、親でもなく、ただ単に「プレイデート」と聞くと、何となくプレイボーイ雑誌に出て来る女性(って、アレは、playmate なのですが…)を連想させられるので、学生や独身の若者ならば、”play date” と聞いても、すぐには意味がわからないのでは、と思います。

dateの意味や使い方例

go on a date with ~ (~とデートをする)
ask ~ on a date (~をデートに誘う)
break a date with ~ (~とのデートをの約束を破る)
have a date with ~ (~とデートがある)
 
“date” は動詞でも使えますから、I dated that girl.(あのコとはデートしたことがある)や、I date too much.(デートし過ぎ)などという風にも使えます。
 
I’ve never had a date before. と言うと、「行為としてのデートをしたことが無い」=「デートの相手がいたことが無い」…で、前回と、今回、このコラムでご説明した “date” の意味を、両方使っている文になりますね。同じく、I had a wonderful date yesterday. も、「素敵なデートをした」
「相手が、素晴らしい人だった」で、これまた “date” の意味、両方を表します。
 
バレンタインデーも終わって、季節は春。できれば、後者で使いたい表現です…ね?
 
(2009年3月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

新年の決意を英語でする(活かす!イングリッシュ Vol.24)

キャズ・カワゾエ

子供の頃は、お正月になると、親と一緒に「今年の決意」というものを書かされた記憶があるのですが、読者の皆さんは、いかがでしょう?
 
私自身はいつの間にか、新年に「今年はこうしたい」という決意をすることを忘れ、元旦は母校USCのフットボールゲーム観戦をするというパターンになっているのですが、2009年は、新たな決意を持って臨みたいと思っています。
 
そこで、今回のお題というか、読者の皆さんにご紹介する英語フレーズは、新年の決意。
 
「決意」「決心」という英語は、日頃の生活では、 “determination”や、 “decision” を使うことが多いかと思いますが、新年の「決意」という場合は、 “resolution” という単語が適当です。
 
なので、「私の新年の決意」は、 “My new year’s resolution” となり、「~しようと決意する」場合は “to do ~” と続き、「~になろうと決意する」のならば “to be ~” に、自分のしたいこと、なりたいものを付けます。

◎新年の決意の例文
 
My new year’s resolution is … (私の新年の決意は…)
to lose weight. (痩せる)
to get married. (結婚する)
to find a better job. (もっと良い仕事を見つける)
to be successful. (成功する)
to be rich. (お金持ちになる)

などなど、一般的に考えられるような例文をご紹介いたしました。これらを参考に、皆さんには、それぞれの決意を、英語でしていただければと思います。そして、素晴らしい新年をお迎えください。
 
私は、08年は2度の手術・入院を経験し、とにかく医者通いの1年だったので、 “My new year’s resolution is to get better” ですね。
 
(2009年1月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

“急いで!”という時の英単語・英語表現(活かす!イングリッシュ Vol.23)

キャズ・カワゾエ

12月のことは「師」も「走るくらい忙しい」月ということで、「師走」と呼ばれますが(注:この「師」の意味については、「師匠」「先生」または「お坊さん」の意味などの諸説があります)、都会で暮らす現代人は、12月でなくても忙しい毎日を送りがち。そして、毎日の色々なシーンで、知らない人に「急げ」と言うのには躊躇してしまいがちな日本人は、相手に「急いでくれ、早くして(Hurry up. Do it fast.)」などと言う代わりに、「自分は急いでいる」と言う形で、相手に自分の気持ちを伝えることも多いでしょう。

*急いでいる事を、相手に伝える表現
 
I’m in a rush. (急いでいます←”I’m in a hurry” に近い表現)
I’m running late. (遅れているんです=だから急いでいる)
I’ve got a tight schedule. (予定がびっしり=時間がない)
I’m swamped. (手も足も出ないほど多忙=だから急いで!)

これらの表現は、誰かに自分が急いでいるコトを伝えるほか、自分自身の予定が詰まっていたりで忙しく、人の面倒は見ちゃいられない、頼み事など聞いていられない…と言う「お断り」にも使えますね。いずれにせよ、年末の多忙な時期には、使う頻度が増える表現ではないでしょうか。
 
大忙しのクリスマス準備が終わったら、皆さんがゆっくりと素敵なホリデーを過ごせますように。
 
(2008年12月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

“食べ物”の英単語を使った面白い英語表現(活かす!イングリッシュ Vol.22)

キャズ・カワゾエ

さて、11月。季節感のない南カリフォルニアにも、すっかり秋の気配が漂い、月末にはサンクス・ギビングと、食の季節の到来です。そんな秋の話題を考えていた先日、まったく食とは関係のない、テレビのタレント・コンテスト番組を見ていて、当コラムのお題を見つけてしまいました。
 
その、私が見ていたタレント・コンテストでは、ある出場者が素晴らしいパフォーマンスをしたので、観客は拍手喝采を贈り、大声援を受ける出場者も、両手を振り上げ、観客たちをさらにあおったため、拍手は鳴り止まず、会場が静まらない状態になっていました。そして、しばらく経っても、会場は盛り上がったまま、うるさくて、出演者にコメントするジャッジたちも、その大騒ぎに口をはさめず、困ってしまう一幕があったのです。
 
その時、ジャッジの1人が、ちょっと呆れたように、 “Yeah, milk it. Milk it.” と言っているのを聞いて、「おぉ、今度は食べ物を使った英語表現をお題にしよう~!」と、ひらめいた次第。なので、今回は、食べ物を使った英語表現を幾つか、ご紹介しましょう。
 
まず、このお題をひらめかせてくれた、 “milk it” という表現ですが、これは「引き出す」「しぼり出す」という意味。

なので、私が見ていたテレビ番組においては、このセリフを口にしていたジャッジは、歓声をおくり続ける観客と、それをあおる出演者に、「あぁ、気が済むまで、好きなだけ、騒ぎなさい…」といった、ちょっとシニカルな気持ちで、 “Milk it.” と言っていたのでしょう。
 
では、以下に、いくつか食べ物を使った表現を、例文と一緒にご紹介します。

食べ物を使った英語表現

●butter 誰それ up (誰それに、お世辞を言う)
●Stop buttering me up. (私を褒めちぎるのはやめて)
●a beef about 何なに (何々に不平がある)
●Do you have a beef about me? (私に文句があるの?)
●a pickle (困った立場、窮地)
●I’m in a pickle. (私はマズイ状況にいる)

また “egghead” という表現がありますが、日本語で、卵=つるつるの頭=シワがない…と連想すると、頭が悪い人のようなイメージを感じますが、英語だと、「知識人、インテリな人」のことを、 “egghead” と言います。いっぱい知識が詰まった人になっちゃうわけです。
 
(2008年11月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

On the ~を使ったさまざまな英語表現(活かす!イングリッシュ Vol.21)

キャズ・カワゾエ

通常、英語の”on the ~”と聞くと、”on the desk” (机の上)や、 “on the shelf” (棚の上)のように、「何かの上」とか、「~の上に載っている」という意味を連想しますよね。日本で中学校の頃に、こういう基本的な英語表現を習った記憶、ありませんか?
 
でも、例えばレストランで、”It’s on the house.” とウエイターに言われれば、ここでは house は「家」ではなく、そのレストランのことを指し、この文章の意味は、「これは当レストランからのサービスです(=無料)」という、うれしい内容で、物理的に何かがhouse(レストラン)の上に載っているという意味ではありません。
 
“on”という言葉は、たったの2文字なのに「何かの上に」という意味のほか、「何かに付着している状態」や「身に付けている」、「(日時や機会を意味して)~に」、「~に沿って」などなど、その後に続く単語で、百面相のごとく違う意味となります。

それなので今回は、”on the ~”で使われるイデオムで、「何かの上」以外の意味でもって、日常生活で遭遇しやすい英語表現などをご紹介します。

on the ~ が使われる英語表現

● on the job (職場で、働きながら)
● on the line (電話中)
● on the way (途中)
● on the spot (現場で、即座に)
● on the run (逃走中)

上記の「タダ」「無料」という表現ですが、 “It’s on me.” と誰かが言えば、それは「私のおごり」という意味になります。 “on me” と聞いて、不思議な顔で、何が載っているの?と、相手の頭上を見上げないように…。
 
また、スラングなのですが、「生理中」のことを、 “on the rug” と言います。 “rug” (敷物)の上…。うう~ん、わかる気はしますが、すごい表現ですよねぇ。
 
(2008年10月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

“タイヤがパンク”など便利な英語「flat」(活かす!イングリッシュ Vol.20)

キャズ・カワゾエ

日本語でも、英語でも、1つの単語、あるいは言葉で、たくさんの意味を持つものがあります。例えば日本語の「抜ける」という言葉。
 
何かが突き抜ける、詰まっているものが取れる、会などを離脱・脱退する、トンネルなどを通り抜ける、また、人より能力などが飛び抜けている、安心したりして力が抜ける、ボ~ッとしていたり、ドジを踏んだ時の間が抜ける、何かが記載漏れされている場合など…、ひと言で「抜ける」と言っても、使い方で、その意味は変わってきます。炭酸飲料のガスも「気が抜ける」と言いますよね。「コーラのフタしておいてよ、気が抜けちゃう」って風に。
 
そしてこの「コーラのフタしておいてよ、気が抜けちゃう」を英語にすると、”Put the cap on the coke, it’s going to be flat.” となり、ソーダ水の気が抜ける状態を、“flat”という単語で表現するのです。
 
皆さんは、普通に“flat”と聞くと、「平らな」という意味を思い浮かべると思うのですが、炭酸飲料が“flat” になる…。ブクブクしていないから、平べったい飲み物になるって感じでしょうか。面白いですね。
 
そして、この“flat”、さまざまな顔を持つというか、色々な意味を持つ言葉なんです。皆さんは、“flat”と聞くと、ほかにはどのような意味を思い浮かべますか? 同じ単語でも、こんなに意味が違うということで、例文を紹介しましょう。

flatを使った色々な意味の英語例文

The ground is flat. (地面が平べったい)
Her shoes are flat. (彼女の靴はかかとが低い)
He is flat broke. (彼は一文なし)
The flat fee. (均一料金)
Her voice is flat. (彼女の声は元気がない)
My feet are flat. (僕は扁平足)
I’ve got a flat tire. (パンクした)
The note was flat. (音符が半音低い)
The picture was flat. (あの絵は深みがない)
Her chests are flat. (あの子の胸はペッタンコ)

このように、1つの単語の意味を調べていくと、色々な意味が学べたりします。皆さんも、夏休みのちょっとした時間を使って、辞書を引いてみませんか? 表現力が豊かになること、間違いないですよ。それとも…、 “Is your brain totally flat?” (脳みそ、完全に抜けてます?)
 
(2008年9月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

「陸上競技」や「短距離走」は英語で?(活かす!イングリッシュ Vol.19)

キャズ・カワゾエ

気が付けば、もう夏真っ盛り…。この原稿が掲載される頃は、北京・オリンピック開催間近ですが、果たして、ミャンマーの人権問題や、地震だの洪水だので、社会的にも、自然災害の面からも、さまざまな問題を抱えた中国においてのオリンピック、無事に開催の運びとなるのでしょうか…。

などと、開催間近のオリンピックの心配などを少ししていますが、この原稿を執筆中の7月上旬、アメリカのTVでは、出場選手選びの真っ最中で、各種球技や、水泳や陸上競技などの選考会の様子が放送されています。
 
読者の皆さんも、球技なら、バレーボールやサッカーなど、英語でご存知でしょうし、水泳競技ならば、自由形は”Free Style”で、背泳ぎは”Backstroke”など、競技名をご存知でしょう。陸上競技の名前となると、どうでしょう。ご存知ですか?
 
だいたい、この「陸上」という言葉も、直訳にして “on the ground” だと、大ハズレもいいところ。正しくは “Track and field” と言い、日本語からはまったく想像がつかない表現です。
 
ですから、その競技名も、マラソンや、ハードル、リレー、そして高飛びのハイ・ジャンプくらいまでなら聞いたことがあって、ご存知の方も多いでしょうが、「砲丸投げ」とか、「棒高跳び」とか言われると、スラッと英訳、できますか?
 
陸上関係者の方やこっちの学校で陸上をしていた人ならともかく、一般の人は英語で言われたなら、チンプンカンプンかもしれません。そこで今日は、耳慣れない陸上競技名を英語でご紹介しましょう。
 
「陸上競技」に関連した英語:
 
砲丸投げ・the shot put
棒高跳び・the pole vault
円盤投げ・the discus
ヤリ投げ・the javelin
3段跳び・the triple jump
10種目競技・the decathlon

ちなみに大人気の陸上競技、短距離走ですが、一般的に100m、200mなどの「短距離走」のことは、”sprint”と呼び、それぞれの競技で走る距離別で、例えば100m走ならば、”100m sprint” や、”100m dash”などと言います。
 
これで、この夏のオリンピック観戦、陸上競技に関しては、英語表現の知識が少し付いたでしょうか? ま、「見てりゃわかる」って言われちゃえば、それまでなんですが~。
 
(2008年8月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

“John Doe”や”Jane Doe”など人名の付く英熟語(活かす!イングリッシュ Vol.18)

キャズ・カワゾエ

日本語で、人名の付く言葉と言うと、あまり思い浮かばないのですが、英語では、例えば、よく犯罪ドラマなどを見ていて、死体が出て来た時に聞く言葉で、”John Doe” や、”Jane Doe” というのがあります。これは、その死んでいる人の実際の名前ではなく、死体に付けられた「仮の名」のことを指します。
 
でも、「仮の名」とは言え、死体の呼び名。John さんも、Jane サンも、イイ迷惑というか、何だか縁起が悪い感じですよね…。
 
辞書を引くと、この “John Doe” は、英国で、元土地所有占有訴訟において用いた原告の身元不明の名前のこととありました。または、訴訟などで名前を明らかにしない場合の、男性側の仮の名。そして、その女性版が”Jane Doe”です。
 
つまりは「身元不明者を指す仮名」「当人の名前を隠す場合に使う偽名」という法用語で、必ずしも死体を指すわけではなく、日本語で言うところの「名無しの権兵さん」という感じなのですが、TVドラマなどでは、頻繁に、身元不明者や、本名を隠している人の呼び名として、使われています。
 
でも日本では、犯罪ドラマで身元不明の死体のことは「仏さん」などという表現を使っていて、”John Doe” や ”Jane Doe” といったような、決まった呼び名はなかった記憶があります。
 
そして、よく考えてみると、英語では人名の付く熟語が結構あるのに、日本語では、「名無しの権兵さん」以外、思い浮かびませんでした。 そこで今回は、人名を付けた、面白い言葉・英熟語を紹介しましょう。
 
人名のつく英語の熟語:
Uncle Sam 米国政府、典型的な米国人
the Adam’s apple 喉ぼとけ
John Hancock (口語)自筆のサイン
Good Samaritan (比喩)情け深い人

そのほか、スラングですが、”the John” と、男性名の John に the を付けると「便所」という意味になります。ちょっとガラの悪いスラングなので、女性は普通、使いません。
 
それに、スラングとは言え、「便所」ですよ。「死体の呼び名」に続いて、John サンってば、かなり気の毒ですよね…。でも、実際に使われている言葉です。”I have to go to the John.(便所行って来る)” ってな感じで。
 
(2008年7月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

英単語”sign”のいろいろな意味(活かす!イングリッシュ Vol.17)

キャズ・カワゾエ

先日、娘の小学校のお友達の日本人ママから「キャズさん、サイン、お願いしてもいいですか?」と聞かれ、「え、この人、私の本を持ってるの?」と、一瞬思ったのですが、そのママさんがお願いしたかったのは、学校関係の書類への「サイン=署名」。
 
お恥ずかしながら、自分のレコードを出していたり、TVやラジオに出演していた経験や、著者として10冊以上の本を出している私は、時たま「サイン」を頼まれることがあり、今回サインを頼まれた時には、日本語で言われたこともあって、自書へのサインかと誤解してしまったわけです。
 
そこで思ったのは、「サイン」は、誰でも知っているような簡単な単語だけれど、意味は色々とあるもんなぁ~と思った次第。
 
実際、昔、私がパーティーか何かで談笑していた時に、男の子から突然 “What is your sign?” と聞かれて、「“サインは、何?”って…。サインは…V?」と頭をよぎり、「でも、そんなわけナイわよね。だけど、このサインって、ナンのこと?」と疑問に思ったことがありました(著者注:大昔、「サインはV」という日本のTV番組があったのでした。←コレを知っている人は、もう「若くない」ですね。 笑)。
 
それで、”What do you mean, my sign?” と聞き返すと、”Your astrological sign.(星座だよ)” と言われ、「おお、なるほど~」と、理解した次第です。そう、ここでは「サイン」は、「星座」という意味で使われていたのです。
 
アメリカで生活していると、ハンコを使わない代わりに”sign”をするのはしょっちゅうですが、そのわりに、”sign”の持つ、色々な英語の意味、けっこう知らない人もいるのではないでしょうか?
 
なので、今日のお題は”sign”の意味のご紹介です。

英単語”sign”の持つ、面白い意味たち

手まね、身振り (sign language=手話)
十二宮、星座位置 (astrological sign=星座)
標識 (street sign=道路標識)
目くばせする (make a sign with my eye=ウインク)

そのほか、病気などの「前兆」、仲間同士の「合図」「合い言葉(まさに“サインはV”だ~!)」、街中で目にする広告看板、または、何かがあった後の「痕跡」なども、 “sign” を使えます。神様のお告げも “sign” ですね。
 
ただし、日本語で芸能人にお願いする「サイン」、あれは、英語では “autograph” と言います。文頭で書いた「サイン」のお話は、日本人のママから「サイン、お願いできますか?」と言われたため、私は誤解してしまったわけです。
 
(2008年6月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

OK!だけじゃない!Sure! All right! Certainly! (活かす!イングリッシュ Vol.16)

キャズ・カワゾエ

アメリカで暮らしていて、友人との英語での会話や、出かけ先などで英語を使うときに、皆さん、結構しょっ中、”OK.” と返事していませんか?
 
日本語にもなっている、この「オーケー」、便利ですよね。でも、”Is this good?(これでイイですか?)” “OK.(オーケー)”、”See you tomorrow.(また、明日ね~)” “OK.”、”Can I ask you this?(これ、頼んでもいい?)” “OK.” と、何から何まで「オーケー」だけの返事では、あまり頭が良さそうな印象は与えません。
 
何を言われても “OK.” としか答えられないようでは、社会人として、ちょっと恥ずかしい…。ましてや、立派な大人ならば、ちょっとした返事でも、たまには “OK.” 以外の表現を使いたいと思いませんか?
 
例えば、 “OK.” の代わりに”You got it.(その通り)” という返事をする人がいます。また、”OK.”ではなく、”Okey Dokey.”と言う人もいて、こっちは「おおきぃどぉきぃ」と聞こえますから、日本語っぽくて「ナニ、それ?大きい土器?」と、言われてビックリした経験がある人もいるのではないでしょうか。”Okey Dokey.”は、単なる “OK.” の口語で、ちょっとユーモラスな表現です。
 
両方とも、日常で使える表現ですが、日本人が、普通に返事で “OK.” の代わりに使うのならば、以下の表現などが無難かと思います。

OKと同じ意味の英語表現

All right. けっこうです/その通り/それでイイ
Alright. 上記 All right の短縮形
Sure. 確かに/いいですよ
Certainly. いいですとも/そうでしょう(ちょっと硬い表現)
Of course. もちろん/いいですよ
No problem.  問題ないですよ/けっこうです

冒頭の “You got it.” なども含め、これらの表現は、 “Thank you” の返事で使うと、「どういたしまして」という意味になります。
 
また、イントネーションによって、単なる「オーケー」とは、意味が変わって来る場合もあるので(例えば、”Sure?”と質問形になると「本当に?」という意味になるなど)、こういった、日常会話で頻繁に使われる表現は、自分の生活の中では、英語を使うことに気を取られ、見落としてしまう場合もありますが、テレビや映画ならば、他人同士の会話を観察できるわけですから、こういったシーンではこういう返事もするんだ…と、お勉強してみてください。OK?
 
(2008年5月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

「とっても疲れた」ときの英語表現(活かす!イングリッシュ Vol.15)

キャズ・カワゾエ

前回、「ウンチ」の英語表現について書きました。そして、その中で、動詞でも使える単語で“poop”という言葉をご紹介しましたが、その後、ハッと気がついたことがありました。
 
英語の口語では、「とっても疲れたとき」には、“I’m so pooped.”という言い方もするのです。
 
それで読者の方が、万が一、アメリカ人のお友達が“I’m pooped.”と言ったときに、その意味を「オレ、ウンコまみれ」と誤解したら、どうしよぉおおお~と、今回は、前回のフォローもかねて、「とっても疲れたとき」の英語表現について書かせていただきます。

というコトで、上記のように「ウンチする」という意味以外で、とっても疲れたときにも“poop”という単語を使うことができるのですが、この「とっても疲れた」という表現の、“I’m pooped.”では、“poop”という動詞は受動態で使われています。
 
一般的な「私は疲れた」という“I’m tired.”と文法は同じで、「何かによって疲れる状態になった」ことを表すので、「疲れた」という表現は、どんな単語を使っても受動態になります。
 
ですから、例えば「私の赤ちゃんったら、しょっちゅうウンチするんだもん」は、“My baby poops all the time.”となり、「坊やのウンチの世話で、私はもう、すっごく疲れちゃった」と言うならば、“I’m so pooped from taking care of his poop.”となる訳です。

「とっても疲れたとき」の英語表現

I’m exhausted. 疲れきった
I’m beat. ヘトヘトだぁ
I’m bushed. ひどく疲れた
I’m tuckered out. 疲れ果てた
I’m burned out. 疲れて、へとへと

これらに“a little(少し)”や“kind of(まぁまぁ)”などの表現を修飾すれば、メインの「疲れきった」という意味を弱め、“I’m a little beat.”“I’m kind of exhausted.”などと言い、単に「疲れた状態」を、バラエティー豊かに表現できたりもします。
 
(2008年4月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

ウンチを英語で言うと!?(活かす!イングリッシュ Vol.14)

キャズ・カワゾエ

え~、わたくしも、人生けっこう生きていますが、先日、未だかつてないビックリ体験をしてしまいました。後から考えたら、けっこう笑える話なのですが、その時は本当にビックリ。今日はそのお話です。
 
その日、私は外出をしようと、自宅コンドミニアムのエレベーターに乗ろうとしたのですが、足下に変な物を発見…。ふと足を止め、覗き込んだら…「く、臭い~~!」。どう見ても、巨大な茶色い粘土のような固まりは、「ウンチ」。
 
「な、なんで、こんな所にウンチがぁ~? でもって、これ、誰の?」という疑問がわいた訳ですが、まだオムツが取れない息子を持つ私が見て、これが犬のものだとしたら、ものすごく大きな犬じゃなきゃあり得ない、というサイズ。ウチのコンドに巨大犬を飼う人はいない…。じゃ、これって?
 
と、信じられないシチュエーションに頭はパニックしながらも、メンテナンスの兄ちゃんを捜して、事情を伝えたのですが、何たってエレベーターに巨大なウンチ、でしょ?英語が母国語じゃない兄ちゃんに、「エレベーターにウンチがあるの!」がなかなか通じませんでした。
 
最初は、学術用語じゃないけれど、丁寧な英語の言い方で「ウンチ」と言ったのですが、それじゃわかってもらえなくて、その次にくだけた言い方の「ウンチ」で言って、それでも通じなかったので、最後は“There is a huge poop in the elevator!”と叫んで、わかってもらえました。
 
でも、私の言った言葉、相手にわかってもらえても、兄ちゃんは「んな、バカな~!?」とけげんそうな顔。「それって、犬の?人の?」って聞き返されたけど、そんなの私が知るかぁ~ってんで、「とにかく、チェックしておいてね」とお願いして、私は出かけたのでした。
 
それで思ったこと。たかが「ウンチ」ですが、日本語でも「ウンコ」「便」「クソ」などと、違う呼び名というか言い方があるように、英語にもいくつかの表現があり、ちょっと臭い話題ですが、今回のお題は「ウンチ…を英語で言う…」にしました。

「ウンチ」の英語表現

「feces」 普通に言う「糞便」「排泄物」
「stool」 「大便」。便器という意味でも使われます
「shit」 俗に言う「クソ」。日本語の悔しい時の「クソッ」と同じ
「crap」 これも「クソ」。動詞にもなります
「poop」 子供の「ウンコ」、動物の「フン」など。これも動詞になります
*鳥や獣の「フン」は、他に「dropping」とも言います

ね、たかが「ウンチ」でも、色々な言い方、あるでしょう。そして、私がエレベーターで見た「巨大なウンチ」ですが、上の階に住むご老人が、我慢できなくてしちゃったということを後から聞きました。同じ階に住む人が、ちょうどエレベーターの中で、そのおじいちゃんがしゃがんでいる所、見ちゃったんですって。ひえぇ~、その方がインパクト、すごいよね。
 
その後、エレベーターはきれいに掃除されたのですが、しばらくものすごく強力な消毒液の匂いが取れませんでした。
 
それにしても、エレベーターに乗る時に何気に足下を見て良かった。携帯で電話中とかで、足下を見ないで乗っちゃって、踏んづけたりとか、息子がダッシュで走って乗って「ビッチャ~ッ」て、転ぶとか、あり得ることですもん。想像するだけで恐ろしい。あぁ、本当に踏まなくて良かった…。
 
でも、この話、よく考えたら、かなり笑えますよね。いきなりエレベーターにウンチ、ですもん。小学生の娘に「あ母さんがね、今日、エレベーターに乗ろうと思ったら、床におっきなウンチが落ちてたの」って話したら大爆笑。涙流して笑ってましたもん。
 
皆さんもエレベーターに乗る時は、くれぐれもご注意くださいね。
 
(2008年3月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

英語の告白表現とアメリカのバレンタインデー(活かす!イングリッシュ Vol.13)

キャズ・カワゾエ

●この記事で紹介する「バレンタインデーに使える、英語の告白表現」

Will you be my only Valentine?
(私だけのバレンタイン=愛しい人、になってくれる?)
My cupid is aiming at you.
(私のキューピッドは、あなたを狙っている。)

新年が明けたなぁ~と思ったら、もう2月。ゔゔ、歳と共に、時間が経つのは、どんどんと早くなってしまいます…。そして、歳と共に、だんだんと縁が薄れて行く感があるのが、バレンタインデー。いまだに、バレンタインデーには、素敵なカードと花束を贈ってくれる我が御主人に感謝をしつつも、もう「バレンタインデー」と聞いても、わくわく感もなく、「あぁ、(子供の学校に持っていかせる、クラス全員分の)プレゼントを用意しなくちゃ」と思うのって、ちょっと寂しい気がします。
 
と、いきなり横道にそれてしまいましたが、そう、2月のメインイベントと言えば、バレンタインデー!
 
日本では、チョコレート業界の策略(?)で、バレンタインデーには、女の子が男の子にチョコレートを贈るっていう「形式」が作られちゃっていますが、アメリカでは、ちょっと違います。

アメリカのバレンタインデー

もちろん、バレンタインデーに、意中の相手に告白をするという、バレンタインデーの本道を貫く人もいるでしょうが、この「告白」も、必ずしも女性から男性ではなく、男性から女性に、というのもありなのが、アメリカのバレンタインデー。
 
そして、告白と一緒に渡すプレゼントも、チョコレートは人気の一品ですが、日本のように必ずチョコレートとは限らず、アメリカで人気なのは、大人ならばバラの花束や宝飾品など。そして、若者ならチョコレートもそうですが、何かキャンディー類などです。
 
また、アメリカのバレンタインデーが、大きく日本と違うところは、女の子同士でカードを贈ったり、単なるクラスメイトや、会社の同僚たち、つまり、これといった特別な好意がない「タダの友達」にも、キャンディーなどのプレンゼントを贈ったりすることです。これが、日本の「義理チョコ」類と違うところは、日本では必ず女性から男性に贈るという一方通行なのが(ま、だから、日本には「ホワイトデー」と言って、男性から女性にお返しをする日があるのでしょうが)、アメリカでは、男性から女性へのプレゼントもあり、というところ。
 
まぁ、どちらかというと、バレンタインデーに、友達や同僚などにローリーポップや、ひと口チョコレートなど、ちょっとした贈り物をするのは、男性よりも女性の方が多いと思いますが、幼稚園や小学校などでは、クラスのみんなに贈り物をするので、バレンタインの日には、男の子も女の子も、たくさんのキャンディーをもらって帰ってきます。
 
私自身、留学して間もない高校時代に、女友達からバレンタインのカードをもらって、ビックリした記憶があるし、大学時代にクラスメイトの男の子から、手作りのバレンタインカードをもらって、「え? ひょっとして、この子、私のこと、好きなの?」と、ドキッとしたこともあります。また、友達の友達だった男の子から、「付き合ってほしい」と書かれた告白のカ-ドをもらい、それがきっかけで付き合い始めたこともありました。
 
なので、アメリカのバレンタインデーは、日本よりも内容がバラエティーに富んでいる分、何かをもらって「エ?」と、ときめいてみたり、特別な意味はないプレゼントなのに、深読みをして「ゲッ、マジかよ?(いらないよ、こんなヤツから…)」と思う場合もあるかも。また、実は告白の気持ちが入ったプレゼントを、ただのバレンタイン儀式の贈り物と思って、「ど~も~」と、相手の気持ちを汲めなかったりと、悲喜こもごもな日となる可能性があるわけです。
 
相手に対して、特別な感情がない場合に使える「社交辞令」なフレーズは、“Happy Valentine’s Day!(バレンタインデー、おめでとう!)”。このフレーズは、クリスマス時期の“Merry Christmas!”と同じように、気軽に使われますが、1つご注意なのが、英語で「バレンタインデー」は、“Valentine’s Day”と、「’s」が付くこと。気をつけてくださいね~。
 
と、ひと通りバレンタインデーにおけるアメリカ文化を綴られていただいた上で、読者の中には、もちろん学生さん、独身者も多い訳で、元作詞家の私としては、ここで皆さんに、バレンタインデーに使える英語フレーズをプレゼント、とばかりに、英語で愛の告白表現を作りました。

バレンタインデーに使える、英語の告白表現:

Will you be my only Valentine?
(私だけのバレンタイン=愛しい人、になってくれる?)
My cupid is aiming at you.
(私のキューピッドは、あなたを狙っている。)
On this Valentine’s Day, I want you to know my feelings for you.
(このバレンタインの日に、私からあなたへの気持ちを知ってほしい。)
I wish to make this Valentine’s Day very special with you.
(このバレンタインの日を、あなたと特別な日にしたいと願っています。)
Starting this Valentine’s Day, I want to be more than a friend to you.
(バレンタインデーを始めに、私はあなたの友達以上の存在になりたい。)
On this Valentine’s Day, I want to send my love to you.
(このバレンタインの日に、私の愛をあなたに届けたい。)

さぁ、今年のバレンタインデーは、どんな日になるのでしょうか。
 
(2008年2月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

ブルーは憂鬱、グリーンは嫉妬…色にまつわる英語表現(活かす!イングリッシュ Vol.12)

キャズ・カワゾエ

ホリデームードで盛り上がる街中は、キラキラの電飾で飾られ、まぁ、カラフルなこと!なので、このコラムも彩りのあるお題にしようと、今回は色を使った英語表現のご紹介。

まず、例えば今の時期、街中の盛り上がりに付いて行けずに、ちょっと気分が落ち込んでいる時などには、ブルーという色を使った表現ができます。でもブルーは、もう日本語でも「ブルーな気分」などと言って使われるので、広く知られていると思いますし、逆に今では「ブルー」なんて言い方は古い日本語表現になっちゃって、若者は使わないかも知れませんね…。英語では、今でも普通に使えます。“I feel a little blue.(ちょっと憂鬱な気分)”という感じで。
 
ところが、これが“out of the blue”となると、まったく意味が変わり、「突然」「出し抜けに」というコトを表現し、日本語の四文字熟語の「青天の霹靂」という言葉を彷彿とさせます。
 
そしてまた、恐怖やショックで血の気が引く様は、“white”を使って、“white as a sheet(シーツのように白い)”という表現があります。これも「顔面蒼白」という言葉を思い出させますよね。また、日本語でも物事をハッキリさせる時に使う「白黒」は、英語でも同じように使います。
 
その他、よく聞く英語表現で色を使ったものでは、「ヤキモチを焼く」とか「深く嫉妬する」という時に使う“green”があります。“green with jealousy(ものすごくヤキモチを焼いている)”や、“green with envy(めちゃくちゃ羨ましがっている)”がそうです。同じく、greenを使って、“green thumb”と言うと、「園芸が得意」という意味になります。
 
そして、“yellow”には口語では「臆病な」とか、「恐がり」という意味があり、“yellow-belly”と言うと「臆病者」。
 
また、人が元気な状態、顔色が良いことを、“in the pink”と表現します。

色を使った英語表現の例

He was green with envy.(彼はすごく妬んでいる)
She turned white as a sheet.(彼女の顔色は真っ白になった)
Out of the blue, the car hit me.(突然、車にぶつけられた)
Nothing is so black and white.(何事もそう白黒ハッキリはしないさ)
That kid is too yellow to dive.(あの子は臆病過ぎて飛び込めない)
She has a green thumb.(彼女はガーデニングが得意)
I was sick but now I’m back in the pink.(病気だったけど、今はもう健康を取り戻したよ)

というコトで、色鮮やかに新年を飾らせていただきました(の、つもり)。2008年度も皆様にとって、実り多い1年となりますように。
 
*余談ですが私が40歳になった誕生日、私は日頃、超ポジティブ人間で通っているのですが、この日はなぜか気分は「ブルー」を通り越し、“I feel grey… I’m beyond feeling blue…”と、1日中、凹んでおりました…。なんだかね、自分の実年齢と気持ちにギャップを感じちゃって。ま、それを過ぎたら、また元気、“back in the pink”で、むっちゃ元気な40代ママになりましたが(^^)
 
(2008年1月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

水割りは英語で?など、お酒にまつわる英単語(活かす!イングリッシュ Vol.11)

キャズ・カワゾエ

●この記事で紹介する「お酒にまつわる英単語・英語表現」

Whisky on the rocks, please.
(ウイスキーをロックでお願い)
Scotch and water.
(スコッチの水割り)

さぁ、12月!街中が活気づくホリデーシーズンです。賑やかなクリスマスの装飾、お店に入れば流れるクリスマス音楽に、心がワクワクするのは、私だけではないでしょう。
クリスマス・パーティーや、大晦日のニューイヤーズ・イブのパーティーなど、お酒を飲むコトも増えると思いますので、今回のお題は、お酒にまつわる英語です。

ウイスキーなどを氷で割って飲むのは、日本語でも「ロック」や「オン・ザ・ロック」と言うので、ご存知の方も多いと思いますが、氷割りは英語で“on the rocks”。そして、水割りなら飲みたいお酒の酒類を言って、それを水と一緒にください…となるので、“○○ and water(○○の水割り)”というような言い方になります。
 
水以外のもの、例えばソーダなどで割ってほしい時も、“(お酒)and(ソーダ)”という順で、お酒の種類と割ってほしい飲み物を“and”でつなげた言い方になります。
 
また、そのまま飲むのは日本語でも「ストレート」と言いますが、これは英語でも同じで、“straight”でも、ちょっと気取って言うなら“neat”という英語の表現を使います。
 
“Give me malt whiskey. Neat.(モルトウィスキーをくれ。そのままで)”なんて渋い言い方は、若者には似合いません。
 
そして、若者で思い出すのが、大学のパーティーなどで、普通のジュースだと思って飲んだら,お酒が入っていたりすること。学生時代、飲めない友達とかに、お酒入りのジュースとか、飲ませた記憶はありませんか?
 
こういった、いたずらというか、お酒が入っていないと思った飲み物にお酒を入れるコトは、“spike”という英語表現を使います。“Oh, my God! Someone spiked my drink!(ゲッ、誰か私の飲み物にお酒入れた!)”。
 
逆に、通常お酒が入っている飲み物のアルコール抜きがほしい場合は、“virgin”という単語を使います。ハードリカー通の人にはわからないかも知れませんが、イチゴやバナナを入れたフルーツ系のカクテル、お酒抜きでもおいしいのでアルコールに弱い人にはおすすめの飲み方です。カクテルグラス、外から見ただけじゃ、お酒が入っていないなんて、わかりませんからね。

お酒をオーダーする時の英語表現

“Whisky on the rocks, please. (ウイスキーをロックでお願い)
“Scotch and water. (スコッチの水割り)
“I want rum and coke. (ラム酒のコーラ割りがほしい)
“I’ll have bourbon, straight. (バーボンをストレートでもらおう)
“Can I have a strawberry daiquiri, and make it a virgin. (ストロベリー・ダイキリをもらえますか? アルコール抜きにして)

ではでは、今年のホリデーシーズン、いずれの飲み方にしても、飲んだら乗らないで、節度を守って、楽しいお酒にしてくださいね。
 
(2007年12月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

招待された時に知っておきたい英語での会話表現(活かす!イングリッシュ Vol.10)

キャズ・カワゾエ

気がつけば、もうハロウィーンも終わり、一気にホリデーシーズンに突き進む11月…。
 
これから年明けにかけて、サンクスギビングのディナーやら、クリスマスパーティーやら、忘年会やら、ニューイヤーズ・イブ・パーティーやら、新年会やらと、お食事会やパーティーにご招待される機会が増えるでしょう。
 
忘年会や新年会は、日本人社会での慣習なので、呼ばれたらどうすればいいかなど悩むこともないでしょうが、アメリカ生活にまだ慣れていない人は、アメリカ人のお宅からサンクスギビングの食事会やクリスマスの集まりなどに呼ばれた場合、戸惑ってしまうことでしょう。
 
また、このような年末のイベントとは関係なく、例えばアメリカに駐在して間もない家族がアメリカ人ボスや同僚から自宅での食事に招待されたとしても、呼ばれた方は、「何を着ていこう」「何か持って行った方が良いと思うけど、何が良いんだろう?」などなど、考え込んでしまうのではないでしょうか。
 
そこで今回は、アメリカ人からご招待を受けた時に使える英語のフレーズを、いくつか提案します。

まず、普通に招待をされたら、英語での返事は“Thank you very much.”でオッケーですが、行けるなら“I’d love to come(ぜひ行かせてもらいます)”とひと言つけると、相手に喜ばれそうです。
 
また服装に関しては、たいてい「ちょっとオシャレした程度」で問題ないと思いますが、ひょっとして正装のゴージャスなパーティーかも…と気になるのなら“Should I dress up?(ドレスアップするべきかな?)”という聞き方は、どうでしょう。
 
そして、日本では誰かのお宅に行く時には忘れてはならない「手みやげ」。これは、アメリカではどうすれば良いのか、持って行く義務はあるのか、持って行くとしたら何が常識的なのか…など、1番の悩みどころになりそうですよね。
 
基本的に義務はないのですが、ご招待に対するお礼と感謝の思いを込めて、何か持って行くのは、招待された側の思いやりが伝わるので、素敵なこと。なので、やっぱり手ぶらではない方が良いでしょう。
 
でも、何がイイか見当がつかない…あぁ、困った、こんなことじゃ、招待なんか受けるんじゃなかった、などと悩まないでください。ストレートな物言いのアメリカ人社会、招待を受けた後に、相手に聞けばいいんです。

「何を持って行けばいいか」の英語表現

Do you need anything?(何か必要な物、何かありますか?)
What should I bring? (何を持って行けばいいですか?)
Should I get something?(何か持って行きましょうか?)

こう聞けば、何か必要なら、そう言ってもらえるでしょうし、何も必要ないならば、“Nothing, that’s OK.(いらない、大丈夫)”、“Don’t worry about it.(心配しないで)”などと、相手もストレートに返事をしてくれるでしょう。ま、でも、いらないと言われても、ワインくらいは持って行くのが、よろしいかと思いますが。
 
(2007年11月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

“手とナス”で破傷風?笑える医学系の英単語(活かす!イングリッシュ Vol.9)

キャズ・カワゾエ

 日本人の友達と食事をした時、その友達から、彼女の知り合いの人が破傷風にかかって、ひどい目に遭ったという話を聞きました。彼女曰く、大変な思いをしたことや、医療費がすごかったことよりも、今時、破傷風になったということに驚いた、ということです。
 それを聞いて、私が自分の手を出して広げ、ボソッと「テトナス…」と言ったら、彼女は自分の手を見て、「へ? “手とナス”ですか?」と目を丸くして言いました。私は不謹慎にも「プッ」と笑い、「破傷風のことは、英語で“tetanus”って言うの。でも、“手とナス”って覚えたら、絶対に忘れないでしょ」と話すと、彼女は「へぇ~っ」とビックリしたような、感心したような顔をしました。
 「そうですよ、キャズさん、私なんて、絶対にそんな難しい英単語、知ることもないですもん」と答えたので、「じゃ、コラムでそういうテーマで書いてみようかなぁ」と思いついたのが、今回のお題。

「破傷風」は、“tetanus”と書きますが、日本語発音の「手とナス」で通じるものです。ちょっと「手」にアクセントを置けば、完璧でしょう。実生活では、多分、ほとんど使うことはない単語かもしれませんが、知識として覚えておいてください。というか、日本人の友達と、お酒でも飲んでいて、話題がちょっと途切れたら、「ねぇ、破傷風って、英語で何て言うか、知ってる?」と聞いて、笑いを取ってください。
 今回は、他にいくつか、日本語で覚えたら、笑える単語をご紹介します。私が医科系の通訳をしている関係で、仕事で出てくると、頭の中で日本語になるとおかしいなぁ~と密かに笑っている医科系の英単語です。
 
日本語に置き換えると笑える医科系の単語
 
tetanus(テトナス/手とナス) 破傷風
tendon(テンドン/天丼) 腱
tonsil(トンシル/豚汁) 扁桃
*tonsilsだと扁桃腺
 

 扁桃の“tonsil”が「とんじる」ではなく、「シル」ってトコが微妙ですが、こういう風に覚えたら、忘れないでしょう? “ton”にアクセントを置いて発音します。複数形の“tonsils”(トンシルズ)になると「扁桃腺」なので、こっちは風邪を引いた時に使うことがあるかもしれませんね。
 最後に、京都風のアクセントで覚えてください。「パンくれやす」、“pancreas”=すい臓。ちょっと無理があったかな? お後がよろしいようで…。
 
(2007年10月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

“Will You?” 単語2つで英語での会話力が劇的に変わる(活かす!イングリッシュ Vol.8)

キャズ・カワゾエ

前回のこのコラムでは、誰かに手助けしてほしい時の簡単な表現について書きましたが、今回はその延長で、誰かにお願いしたいこと、頼みたいことがある時の表現について書きたいと思います。

“help”を使う、何か助けてほしいまで行かない状況、例えばハリウッドスターに偶然会って「サインをください!」と言う場合や、満員のエレベーターに乗ってボタンまで手が届かないので、誰かに行きたい階のボタンを押してほしい…という状況なら、たった2つの英単語で、あなたの思いを通じさせることができるでしょう。
 
それはシンプル。“Will you?”。この“will”と“you?”だけで、たいていの場合、大丈夫です。
 
例に挙げたスターにサインをお願いする場合、正しいというか、丁寧な英語表現ならば、“Will you give me an autograph?(サインをいただけますか?)”となりますが、これは「スターに対して、紙とペンを差し出している」というシチュエーションなら、常識的に「サインをお願いしている」とわかるので、“Will you?(いいですか?)”と言うだけで、相手にはあなたの気持ちが通じるはずです。
 
まさかハリウッドスターが、見知らぬ人から紙とペンを差し出されて、自分の電話番号を教えるとは思えません(って、一般人でも、それはないよねぇ…)。
 
また、エレベーターのシーン。荷物で両手がふさがっていて、ボタンを押せない場合は、誰かがいたら、自然にその人に行きたい階のボタンを押してくださいと頼むことになりますよね。この場合も、あなたの頼み事はわかりきっているシチュエーションなので、“Will you push the button for me?(ボタンを押してくれますか?)”と、全部言わなくても、“Will you?(頼めますか?)”と言えば、相手は“What floor?(何階?)”と、あなたの行きたい階を聞き返してくれるでしょう。
 
そうなれば、あとは行きたい階の数字だけを告げればオッケー。でも、“Three, please. Thank you.(3階をお願いします。ありがとう)”と、行きたい階の数字のほか、“please”と“Thank you”を付けて丁寧に言えれば、好感度アップって感じですね。
 
一般的なお願い/頼み事の表現:
 
Will you do it for me? (それ、やってもらえますか?)
Can you just do this? (これ、ちょっとやってくれる?)

もし何かお願いしたい、頼みたい相手が見ず知らずの他人ではなく、友達だったりする場合ならば、“Will you?”という丁寧表現ではなく、“Can you?(やってくれる?)”という、気さくな表現を使っても大丈夫でしょう。
 
(2007年9月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

「ちょっと手伝ってくれますか?」手助けが欲しい時の英語表現(活かす!イングリッシュ Vol.7)

キャズ・カワゾエ

アメリカで暮らしている人なら誰でも、いや、たとえ日本に住んでいる人でも、自分の身に危険が迫った時などは、大声で“Help!”“Help me!(助けて)”、または“Somebody help!(誰か助けて)”などと叫べば良いコトくらい、ご存知かと思います。

でも、例えば両手が大荷物でふさがっていて、自分の車に乗り込むのにドアノブに手が届かない、ちょうど通りかかって目が合った誰かにちょっと手を貸してもらいたい時。また、マーケットで棚の1番上の奥にある商品に手が届かず、店員さんも見当たらない時に、すぐ横で買い物をしている、見ず知らずの背の高い人に「取ってくれませんか?」と頼む時には、英語でどう言えば良いのでしょう。
 
たいていの人は、本当に誰かに助けてほしい時には、“Help”を使うとわかっていると思います。ですが、“help”を日本語にすると「助け」という訳が出てくるため、気軽に使うのはちょっと大げさな気がして、何か事件にでも巻き込まれているのならともかく、些細なことで相手に“help”を使って話しかけることに抵抗を感じる人がいるかも知れません。
 
でも、アメリカではお店に行くと、店員さんたちは「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」という意味で、“May I help you?”と“help”を使ってお客さんたちのニーズに応えようとしています。この“help”は、何の緊迫感もない日常において、誰かに何かを手伝ってもらいたい時にお願いするのに、普通に使える英語表現なんです。
 
実際、言葉を覚え始めた2歳児などは、自分ができないことを手伝ってもらいたい時、“Help.”と言って、しょっちゅう大人の手を引いているものです。子供の言葉で言うならば、誰かに何かを「やって」とお願いする定番なのでしょうね。
 
ですから、ごく当たり前の日常のなかで、ちょっと誰かに手を貸してほしい時などは、遠慮せずに“Will you help me?”と、英語で手助けをお願いしてみましょう。また、“help”を使うことで、相手にはあなたが、何か手助けが必要だということが伝わります。上記の車のドアノブの場合でも、マーケットのシーンでも、「ドア、開けてくれますか?」や「棚の上のモノを取ってください。背が足りないのです」と、すべてを言わなくても、“Will you help me?”と言って、視線をドアに向けたり、棚の上を指差せば、相手には意思は伝わるでしょう。

ちょっと何かを手伝ってほしい時の英語表現

Will you give me a hand? 手を貸していただけますか?
Can you help me a little? ちょっと手伝ってくれますか?

もちろんどんな場合でも、手助けしてほしい相手に声をかけるのは、“Excuse me.(すみません)”で始めてくださいね。まず相手に声をかけ、注意を引いて、それから必要な“help”を求めてください。
 
(2007年8月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com

Howを使って“いつ?”を聞く(活かす!イングリッシュ Vol.6)

キャズ・カワゾエ

 クルマ社会のロサンゼルス。クルマの点検、怠っちゃ、いけませんよね。
 私も先日、自分のクルマのオイルチェンジをしました。そこで、「どれくらいの時間で終わるのかなぁ?」と、思った時の英語表現って、アメリカ生活が短い人には難しいかもしれないと思い、今回のお題にすることにしました。

例えば、クルマを修理に出した時、「これって、いつ終わるの?」と、英語で聞く場合、ストレートに「when」を使って“When will this be done?”と聞けます。
 または「いつ(車を取りに)戻って来ればいい?」と、言う場合なら、“When should I come back (to pick up the car)?”と言えばいいでしょう。
 「何時に?」と聞くなら、「When」の代わりに「What time」を使えばいいのですが、どちらの場合も、何となく「いつ終わるの?」「何時にできるの?」というダイレクトな表現、修理が終わる時間を、具体的に、キチッと相手に尋ねている感がします。
 実際に「いつ終わるのか、クルマを見てみなくちゃわからない」場合なら、「いつ?」「何時?」と「when」や「what time」を使うより、もうちょっとクッションが効いた英語表現があれば、使いたいかも…と思っている読者は、絶対に、いるはず。
 そこで提案なのが、「How」を使って「いつ?」を聞くコト。
 以下に紹介した2つのセンテンスの終わりに“to fix this car(このクルマを直すのに)”や、“to finish the job(作業を終えるのに)”などと、「頼んでいる事柄」を付けると、もう1ステップ上がった長い文章になり、英文はもっと具体的になります。
 また、これらのセンテンスはクルマの修理以外に、例えば、“to cook(料理するのに)”や“to get there(そこに着くのに)”など、違う場面で、「いつ」を聞くのにも使えます。
 
Howを使って「いつ」を聞く例:
 
How long will it take?  どれくらいかかりますか?
How much time do you need?  どのくらいの時間が必要ですか?

 また、レストランでの待ち時間を聞く時や、ドクターのアポで待たされている時なら、“How long is the wait?(待つのは、どれくらい?)”という表現で、「いつ」を聞くのが便利でしょう。
 
(2007年7月1日号掲載)

キャズ・カワゾエ
作家。医科系A級技術通訳。LA留学中の80年代に歌手・作詞家として世界デビュー。その後はTVタレント、音楽ジャーナリスト、ラジオDJ、コラムニストとして活躍。アメリカ文化・語学関連の著書多数。現在は2児の母ながら、執筆/通訳業の他に、アジア系タレントを扱うKAZ Talent Services代表も務める。USC文理芸術部卒。http://kazkawazoe.com