歯の健康や歯並びの良さ、白さが非常に重要視されるアメリカ。
もっと歯のケアをきちんとしたいけれど、いい歯医者さんがなかなか見つからなかったり、英語でうまく相談できなかったり、治療内容が理解できなかったり、ストレスが溜まっている人も多いのでは？
　
そこで今回は、LAとOCで評判の歯医者さんたちに、歯に関していろいろと質問してみました。

（ライトハウス・ロサンゼルス2018年8月16日号）

Q1. アメリカと日本の歯科医に違いはあるの？

A1. 使用する素材をはじめ、治療の仕方もかなり異なります。

アメリカでは、一般的に、歯科医が患者さんに治療のオプションを示し、話し合いながら治療法を決めていくことが多いです。

アメリカと日本の歯科医では、治療で使う素材や方法が異なります。これまで日本で治療した患者さんの歯を見ていると、具体的に以下のような違いを感じます。
　
①素材の違い。日本では、歯科技工所で作られた銀歯が入っていることが多いのですが、アメリカの歯学大学では、金歯（Dental Gold）を使う方法を教えます。
②歯の削り方が違う。金歯はメタル（銀）よりも柔らかいので、歯の削り具合いに合わせて隙間がないように適合させやすいのです。しかし、銀歯は固いので、もし隙間があってもそのままにしたり、接着のセメントで埋めたりすることになります。
③神経治療の方法。一般的にアメリカでは、神経の通っている管の壁を少し削って広げながら神経とバクテリアを除去し、管の根元まで専用の充填剤を詰めます。バクテリアが進入して繁殖しないために空間を埋める処置は大切だからです。日本の治療は、レントゲンで見ると、アメリカと同じように充填剤を管の根元まで詰めているもの、半分位詰めているもの、まったく詰めていないもの、詰めていないけれど薬剤を半分詰めているものなど、さまざまです。

Q2. 以前神経治療した歯が痛い。どうしたらいいの？

A2. 再感染のリスクが低く、短時間で治療できる最新の神経治療があります。

神経治療で使用する機器「ジェントル・ウェイブ」。

神経治療したのに痛みがあるのは、歯の内部でバクテリアが繁殖していることが多いです。感染した組織をいかに洗浄・殺菌できるかが治療のポイントですが、これまでは、洗浄・殺菌のために歯を削ったり穴を開けたりしていたので、将来的に歯にひびが入る可能性がありました。
　
しかし、最新神経治療法「ジェントル・ウェイブ」なら、独自の音波エネルギーが、歯の神経のミクロの隙間に入って、感染組織を完全に取り除くことができます。また、再感染のリスクも低く、追加治療もほとんどないので、治癒も早いのが特徴です。治療時間は1～2時間程度で、通常は一度の来院で済みます。
　
歯科医院によっては「ジェントル・ウェイブ」を使用する際に、追加料金がかかることがありますが、当院ではこれまでと同じ神経治療料金で治療を行っています。

Q3. 歯科医に行くのが億劫。自覚症状がなくても定期検診には行くべき？

A3. 定期的な検診を受けることで、虫歯や歯周病の予防・早期発見や治療が可能です。

日本人スタッフが常駐。アットホームな明るい雰囲気です。

定期検診は、虫歯や歯周病などの予防、早期発見・治療につながります。最低でも半年に1回は定期検診と歯のクリーニングを受けましょう。初期段階の歯周病（歯肉炎）、または歯周病の治療後に、3～4カ月に一度はクリーニングに来るようにと歯科医に言われることがありますが、これは治療の一環なので、症状が感じられなくても続けてください。

ルイス・ヤン先生 カリフォルニア大学アーバイン校にて学位取得。クレイトン大学歯学部卒。小学校期を日本で過ごした日英バイリンガル。

Q4. 歯ブラシの上手な選び方は？

A4. 毛先が細く尖ったものがおすすめ。電動歯ブラシもいいでしょう。

右：先生おすすめの「Philips Sonicare Diamond Clean」。 左：フッ素が通常よりも多く入った歯磨き粉、「Clinpro 5000」（3M ESPE）。同院で購入可能。

歯磨きは歯と歯茎の間の歯周ポケットと呼ばれる部分をしっかり磨く必要があるので、毛先が細く尖っているタイプの歯ブラシを使うと、よく磨けます。電動歯ブラシもいいと思います。個人的にはPhilipsの「Sonicare」シリーズが微細な振動で丁寧に磨けるのでおすすめです。歯磨き粉の選び方ですが、フッ素が入ったものだと虫歯予防になっていいですよ。アメリカでは子どもにフッ素の錠剤などを飲ませるのも一般的で、これを毎日続けていくと、虫歯になりにくい歯を作ることができると言われています。
　
もう一つ。虫歯は歯と歯の間が一番なりやすいのですが、歯ブラシだけでは磨き切れないので、フロスが非常に大事。1日に1回はやるようにしましょう。また、「リステリン」などのマウスウォッシュは殺菌効果があって口臭予防にはいいですが、これだけで歯垢などが全て落とせるわけではないので、あくまでも歯磨きの補助として使うようにしましょう

Q5. アメリカでも被せ物は銀歯が一番安い？

A5. アメリカでは銀歯も他の素材もあまり料金は変わりません。

日本では銀の被せ物は国民健康保険が適用されるため、金やセラミックなど他の素材と比べてかなり安価です。しかしアメリカでは元々、国民健康保険のようなものはありませんし、医療保険を使ったとしても銀歯が他の素材よりも特別安くなるということはありません。また、銀歯は酸化して黒くなりやすいことなどもあり、被せ物に使うのに理想的な素材とは言いがたいです。ですから、そもそもアメリカでは被せ物を何にしようかとなったときに銀歯という選択肢がほとんどないのが現状です。
　
そんな中、アメリカでよく使われるのは、Emaxやハイブリッドセラミックス、ジルコニアなどのセラミック素材。特にジルコニアは見た目も本物の歯そっくりにできますし、強度も非常に高いため、おすすめです。ちなみに、当院ではジルコニアも含めて、ほとんど全ての被せ物や義歯を院内でデザインして削り出し、焼き上げるところまで行えるため、1本の歯の治療であれば2時間ほどで歯の型取りから被せ物のセットまで行うことも可能です。
　
被せ物や人口歯を作る工程

1. 最新の3Dスキャナー、「セレックオムニカム」で口腔内をスキャンし、歯の被せ物をコンピューター上でデザインしていきます。

2. 歯として削り出される前のセラミック。同院では、アメリカでまだ取り扱いのない最新のものも取り揃えています。

3. 北先生がデザインした歯の被せ物のデータは、歯を削り出すマシン、セラミックミリングに送られます。

4. セラミックをセラミックミリングに設置。まだ四角い状態です。

5. 削り出しが完了して歯の形になったセラミックに、着色していきます。

6. 2000℃の高温でジルコニアも焼ける、最新の釜を使って焼き上げます。

7. 出来上がり。「上の前歯5本がセラミックなんです」と先生。とても自然で、全く違和感がありません。

北 誠一郎先生 日米両方の歯科医師免許を保持。趣味はデッサンとデザインで、その美的センスを治療にもいかんなく生かしている。東京のクリニックでも定期的に診察しているので、日本に帰国した際にも診てもらえる。

Q6. 歯の噛み合わせが悪いと体の健康にも良くないって本当？

A6. 本当です。頭痛、肩こり、腰痛のほか、歯の損傷や耳鳴りなどにつながる可能性もあります。

上：理学療法「TENS」では顎の動きをモニタリングしながら、最適な噛み合わせを見つけていきます。 下：「TENS」で用いる低周波治療器。

毎日の食事が楽しめるのは、正しく噛めるからこそ。また、きちんと噛むと大脳の働きが活発になり、発がん物質を抑える酵素を含んだ唾液の分泌が盛んになるなど、噛み合せは健康にとって非常に重要です。
　
歯並びや噛み合わせが悪いまま放置すると、頭痛や肩こり、腰痛、歯ぎしり、いびき、顎関節症などが発症します。さらに、激しい歯ぎしりは歯の損傷や顎の痛み、耳鳴り、めまいなどを引き起こします。ちなみに、歯ぎしりの要因の一つとして、心臓発作や脳梗塞の原因となる睡眠時無呼吸症候群が挙げられます。これは自覚症状がない場合が多いのですが、検診後、自宅での簡単なスクリーニングで発見できます。歯ぎしりに悩んでいる人は診察を受けてみましょう。
　
歯並びや噛み合わせの治療は歯列矯正が一般的ですが、低周波治療器を使った理学療法、「TENS」も有効な場合があります。まず、低周波治療器で顎の筋肉をリラックスさせながらコンピューターで顎の動きをモニタリングし、最適な噛み合わせを探し出します。そしてマウスピースを装着して噛み合わせの悪さを緩和させてから、患者に合った最終的な治療を行っていくものです。

Q7. 子どもの歯並びは健康にどんな影響がある？

A7. 子どもの歯並びが悪いと、脳の発達に影響が出る場合があります。

柳歯科医院では、チームでベストな治療を提供しています。写真は児玉紗千子先生。日本歯科大学、南カリフォルニア大学歯学部大学院修了。

子どもの歯並びが悪いと、集中力の欠如や眠気、疲労などにつながるほか、脳の発達にも悪影響が出るため、注意が必要です。歯並びの治療は、歯列矯正が一般的。子どもの場合、永久歯が生えそろう前の第一段階と永久歯が生えそろった後の第二段階に分かれます。
　
治療の際はまず、親御さんと相談しながら生活習慣の改善を図っていきます。例えば、鼻からの呼吸が困難で口呼吸になっていると歯並びが悪くなる原因となり、歯列矯正をしても後戻りすることになるからです。
　
歯医者の定期検診では、顎の骨格や歯の形成に加え、いびき、歯ぎしり、口呼吸、指しゃぶり、舌癖などの生活習慣もチェックするので、必ず受けるようにしましょう。

グレン柳先生 南カリフォルニア大学歯学部卒、歯科医師免許取得。

Q8. 歯の詰め物が取れた。痛みはないけれど、治療は必要？

A8. 放っておくと虫歯が進行する恐れが。なるべく早く歯医者に行きましょう。

スタッフは全員日本人なので、言葉の不安なく通えます。

痛まなくても歯に問題があるケースは多いので、放っておいてはダメです。そもそも歯に詰め物をされたのは、詰め物がない状態では問題があるからで、なるべく早く元に戻す必要があります。また、詰め物が取れたのには、何か深刻な原因がある可能性も。例えば、虫歯が原因なこともあり、放っておけばさらに進行してしまいます。そうなってからでは当然、治療費もかさんでしまいます。
　
ちなみに、日本に近々帰国する場合、アメリカで応急処置だけして、帰国後に本治療という選択肢も。ただ、虫歯は応急処置だけで進行を止めるのはなかなか難しいもの。帰国まで2～3カ月はあるなら、アメリカでしっかり治療を受けましょう。

織田 潤先生 ノースウエスタン大学歯学部卒。トーランスで開業して29年目。日本の歯科医師免許も持っており、日米両方の歯科事情や保険制度、日本人の歯に合った治療法に精通する。

Q9. 歯周病は体にいろんな悪影響があるの？

A9. 歯周病はさまざまな病気を引き起こす可能性があります。

無保険、加入している保険の自己負担額が高い方にお勧めのインハウスプランがあります。

歯周病は、細菌により歯肉が赤くなったり腫れたりする疾患です。あまり痛みがないため、気づかずに悪化することが多く、最悪の場合、歯を抜くこともあります。
　
実は、これまでの研究から、歯周病は歯や歯茎だけでなく、全身に大きな健康被害を与えることが分かっています。しかもそれは、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、骨粗しょう症など幅広い疾患におよび、場合によっては相互に悪影響を与え、症状が悪くなることもあります。
　
日々の口腔ケアで歯周病を予防することが大事ですが、自己流では適切な口腔ケアを行うことはできません。歯科医の指導の下で、正しい歯磨き法の指導を受けたり、定期検診を受けたりすることが大切です。
　
ちなみに歯科保険がないため定期検診に行くのを躊躇しているなら、当院にはお得な「インハウスプラン」があります。年に2回の検診とレントゲン撮影（適宜）を受けられます。お気軽にお問い合わせください。

長田奈緒美先生 日本で歯科医師として勤務後、渡米。2004年、高度インプラントプログラムのインターンシップ修了。国際歯科医育成プログラムを通じ、2010年にロマリンダ大学で歯科外科学位を取得。

Q10. 神経治療が必要な歯の状態とは？

A10. 深い虫歯の場合、神経が露出しています。

神経治療の工程

虫歯の進行がエナメル質や象牙質の範囲であれば、その虫歯を削って詰める、という比較的簡単な治療で済みますが、神経まで達しているような深い虫歯だと、その露出した神経の上に詰め物をするわけにはいかず、神経を取らざるを得ません。それが神経治療（ルートキャナル）が必要な歯の状態です。

Q11. 神経治療の専門家にかかるメリットは？

A11. 一般の歯科医院にはない高度医療機器で治療できます。

虫歯を治療しながら、神経を取り除き充填剤を詰めていきます。神経治療には痛みがなくなるなど、大きなメリットがあります。

神経治療は、歯の奥にある、極めて細い神経を確実に取り除くという精密な治療であり、また歯の神経は少しでも取り残しがあると、かえって治療前より痛みが増してしまうため、緻密で慎重なテクニックが求められます。そのため、特別な医療機器が必要で、具体的には「肉眼ではよく見えない神経を見るためのマイクロスコープ」「湾曲した神経を確実に除去するためのニッケル・チタン・ファイル」「神経の走行を三次元的に把握するためのコーン・ビームCT装置」の3つが不可欠です。しかし、こういった高度医療機器は、一般の歯科医院には備わっていないため、専門医にかかることをお勧めしています。

Q12. 神経を抜くメリット・デメリットは？

A12. どちらもありますが、神経を残すデメリットの方が大きいかもしれません。

治療にあたる清水先生。2011年にはUSC歯学部「2011年度最優秀臨床准教授賞」を受賞しています。

歯というのは「生きている」ため、神経も血管も栄養も必要です。神経がなければ、歯に酸素や栄養がいきわたらず、変色したり歯がもろくなったり、歯の寿命が短くなったりするので、できれば抜かないほうが良いのです。
　
しかし、神経治療をしっかりと行えば、その歯の寿命は、神経がある歯とそこまで変わらないという学術データもあります。また、状況によっては、歯の神経があることで、メリットよりも、神経が露出したことにより噛めなくなる、何もしなくてもズキズキして寝られないなど、デメリットの方がはるかに大きくなることがあります。こうなってしまうと、歯の神経がある限り症状は消えないので、神経を抜かざるを得ないでしょう。

清水藤太先生 鹿児島大学卒業後、1998年にUSC大学院に入学。2000年、アメリカ歯科国家試験合格。同年USC臨床准教授に就任。翌年カリフォルニア州歯科免許を取得し開業。

Q13. インプラントと入れ歯の違いは何？

A13. インプラントは顎の骨に固定されるため、しっかり噛むことができます。

Before：歯が抜けた状態。このまま放置しておくと歯茎が痩せたり両隣の歯が倒れてきたりすることも。 After：インプラントを施術。通常の手術にかかる時間は1本あたり60分ほどです。

インプラントは、抜けた歯の代わりに新しい歯の根を埋め込む施術です。顎の骨に固定するため、入れ歯のように口の中で動かず、しっかりと咀嚼できます。さらに、発音に支障が出ることが少ない、ブリッジのように両隣の歯を削らないので健康な歯を傷付けることがない、骨や歯茎が痩せる心配がない（顔の形が変わらない）などのメリットがあります。一方で、インプラント埋め込みの外科手術が必要、保険がほとんど効かず値段が高い、治療に時間がかる、毎年メンテナンスを受ける必要がある、などのデメリットもあります。　しっかり噛むことは脳の刺激にもつながるため、生涯にわたる利点を踏まえて一度検討してみるとよいかもしれません。

ジョン・ロー先生（右） インプラント、歯茎、歯周病の専門医。歯周形成手術と歯科レーザー治療に精通している。 ジェイソン・山田先生（左） USCの歯周療法学部卒業後、ノースウエスタン大学で口腔生物学修士号を取得。

Q14. 抜歯が必要な奥歯のインプラントは10カ月かかるらしいが、もっと早い治療法はある？

A14. 超音波を使った治療法は、前歯ならその日のうちに、奥歯なら約3カ月で終わらせることができます。

右：フルブリッジ装着後の口腔内。完全無歯顎の場合でも、全ての歯をカバーすることができます。 左：4本のインプラントでフルブリッジ（補綴物）を支えます。この治療法は「All on 4」と呼ばれます。

通常、奥歯で抜歯が必要なインプラントの場合、抜歯をはじめ、数回にわたる歯茎切開、歯茎縫合などを行うため、トータルで10カ月～1年ほどかかります。
　
しかし、Atraumatic Extractionという超音波を使った抜歯方法なら、前歯の場合はその日のうちに、奥歯でも約3カ月でインプラント治療を終わらせることができます。この治療法は、超音波で歯根膜（しこんまく）を緩めることで、周りの歯や歯茎を傷つけることなく抜歯できるため、歯と歯茎に負担がかからず、痛みや腫れも少なく済むのです。また、その日のうちに仮の歯を入れられるので、治療完了までの間も入れ歯で過ごさなくて済みます。
　
ちなみに、全ての歯を失った完全無歯顎（かんぜんむしがく）の場合でもインプラントは可能です。「All on 4」と呼ばれる治療法を適用すれば、4本のインプラントの挿入と同じ日に、上顎または下顎全ての歯をカバーするフルブリッジ（補綴物）を挿入することができます。

Q15. 口臭がとても気になる。考えられる要因は？

A15. 虫歯や歯周病が大きな原因になることがあります。早期治療と定期検診を欠かさずに。

歯周病はレーザーで治療が可能です。

口臭にはいくつもの要因がありますが、大きな原因に虫歯と歯周病があります。定期的な検診で早めの虫歯治療、歯茎の健康チェックなどを行うとよいでしょう。当医院ではレーザーによる歯周病治療を行っており、歯周ポケットが深い歯周病もスムーズに治療できる上、治りも早いです。また、小さな虫歯も、レーザー治療を麻酔なしで行えます。
　
早めに歯医者にかかって、爽やかな息を手に入れましょう。

Q16. 歯並びや色が気になる。短期間で効果が出る治療法は？

A16. スピーディーで自然な仕上がりを望める治療法があります。

Before：隙間が多く歯並びの悪い状態。 After：自然な仕上がりが望めるルミニアーズと、ジルコニアクラウンを使って美しく白い歯に。

ルミニアーズやジルコニアクラウンという治療法なら、短期間で美しく白い歯を手に入れることができます。
　
ルミニアーズは、コンタクトのように薄い素材を歯に貼り付け、歯を白くできる治療法です。ジルコニアクラウンは、歯並びを整え、さらにほかの歯と色を揃えることで、自然で美しい見た目を実現できます。この治療法は、約2回の通院で終わります。

伊藤仰一先生 ロマリンダ大学歯学部大学院修了。1988年より歯科診療を始め、91年にDDS取得。米国において日本人として初めてのインプラントロジスト。日本の歯科医のインプラント研修会のインストラクターも務める。隔週火曜日に放送されているTJSラジオ（FM106.3）のコーナー「ドクター伊藤のデンタルアベニュー」に出演中。

Q17. どうしたら虫歯は早期発見できる？

A17. 半年ごとのクリーニングとチェックアップを怠らないことです。

特殊な光で小さな虫歯や悪化前の虫歯を見つけることができる「CariVu」。

口内の衛生維持と虫歯予防、および虫歯の早期発見のためには、定期的なクリーニングとチェックアップを欠かさないでください。受診のタイミングは6カ月ごとが理想的です。
　
実は、初期の虫歯というのは専門医でも肉眼では発見しにくく、時にレントゲン写真でさえも見落としてしまうことがあります。しかし当院では、歯に特殊な光を当てることで極小の虫歯やひび割れなどを発見する「Cari Vu」という最新機器をクリニック内に設置。これにより、発見しにくい初期の虫歯治療を効果的に進めています。同時に、撮影した患部の写真を患者さんに見せて虫歯の進行状況を詳細に説明。その症状からどんな施術が必要なのかを分かりやすく解説しながら治療しています。

Q18. インプラントをする際、どんな歯医者を選べばいい？

A18. 豊富な経験と最新機器を備えた歯医者を選びましょう。

同院では、従来の3Dスキャンより放射線量が格段に低い「Green CT 2」を導入。

多くの歯医者がインプラントを提供していますが、誰でもいいわけではありません。選ぶポイントは3つ。1つ目は、インプラントの施術について十分な経験があること。2つ目は、クリニックにCTスキャンとレントゲンを設置していること。3つ目が、家族や友人などの口コミら信頼できる歯医者でること。今回は特に、2つ目について説明します。
　
通常、インプラントの施術で精密さが欠けると、細菌感染による痛みや顔面マヒなどの副作用の可能性が高まります。しかし、立体映像の撮影機器を使うことで、歯や骨の厚みや断面などの状態を立体的に把握でき、より精密にインプラントを埋め込めます。結果、低いリスクで美しいインプラントができるのです。

デイビッド・リー先生 ボストン大学卒。2008年にトーランスで開院。現在、UCLAで補綴学を教えている。

Q19. インプラントのCGFとはどのような治療？

A19. 患者自身の血液で、インプラントでの骨や歯茎の再生を早める治療です。

インプラントにおいて用いるCGF（Concentrated Growth Factor）とは、患者自身の体の再生能力を使い、インプラントをより早く安全に行うための治療です。
　
まず、患者自身の血液を遠心分離器にかけ、血小板由来成長因子を高濃度に含んだジェル（CGF）を取り出します。このジェルには新しい骨や軟部組織の成長を助ける働きがあり、インプラントで骨移植をした際の骨の再生速度や、手術後の歯茎の傷の治癒を早めてくれます。これにより、インプラントの埋め込み、そしてその後のクラウンの設置までのプロセスを従来よりも短期間で行うことができます。また、CGFは患者の血液から作られるため、細胞の再生過程はあくまでも自然。アレルギー反応や感染のリスクも非常に低く抑えられるなど、多くのメリットがあります。
　
インプラントを強みとする当院でも、もちろんこのCGFをインプラントの治療に取り入れています。インプラントの手術が始まったらすぐに血液を採取して遠心分離器にかけ、CGFを取り出し、手術に使用します。インプラントを検討されている方はぜひ、お問い合わせください。

血液遠心分離器。これで患者自身の血液からCGFを取り出します。

これが分離された、骨や軟組織の成長を助けるCGF。

ルーク・リー先生 いつもフレンドリーに対応してくれるリー先生。歯医者に対する恐怖感を取り払ってくれる。

Q20. インプラントは虫歯にならない？

A20. インプラントは虫歯になりませんが、ケアなしではほかの歯に影響します。

インプラントの断面図 インプラントは、手術により半永久的な歯として、顎の骨に埋め込まれる体の一部です。

インプラント自体は状態が悪くなっても、自身の歯のように痛くなったりしみたりしません。しかし、インプラントに汚れがたまると周囲の歯茎に影響が及び、歯周病になることがあるため、インプラントも「自分自身の歯」という意識を持ち、定期的に診察を受けましょう。
　
インプラントを長期にわたって使用するには、まずは歯磨きなど、自身でできる日々のセルフケアを怠らないようにしてください。ケアをおろそかにすると、歯茎から出血したり、噛み合わせが悪くなったりして、インプラント以外の歯にも悪影響を及ぼします。
　
また、定期的な診察も重要です。歯科医院で行うメンテナンスは、インプラントのトラブルの早期発見だけでなく、口内の健康維持にも役立ちますから、必ず定期的に受けることが大切です。インプラントの寿命はメンテナンス次第と言えます。

スティーブン・パーク先生 テンプル大学卒。1995年からインプラント治療をはじめ、専門的な歯科治療、歯科矯正治療をトーランスエリアで行う経験豊富な医師。

Q21. 歯の詰め物の変色や銀歯が気になる。

A21. クラウンを変えるだけでキレイな歯にできます！

銀歯をなくして自分の笑顔に自信を！

現在のクラウンや銀歯を別の目立たない素材に変えることで、キレイな歯が手に入ります。例えばジルコニアは、自然な歯の色を再現できる上、変色や劣化を起こしにくい素材として知られています。また、「白い金属」と呼ばれるほど強い素材のため（強度はセラミック以上）、奥歯に使用しても十分な強度を保つことが可能です。さらに、銀歯のような金属ではないため、金属アレルギーが心配な人も安心して使用できます。
　
ジルコニアクラウンの施術や他の治療、予約に関する問い合わせは、日本語でゆみこまで。

左：ダニエル・ソー先生 歯科医。コロンビア大学歯科口腔外科卒。イェール大学にて指導経験あり。 右：カイル・リー先生 米国上級矯正歯科医。元UCLA教授で、UCLA歯科矯正認定医。

Q22. 虫歯と診断されたが痛みはなし。治療するべき？

A22. 痛くなってからでは、治療に時間がかってしまいます。

歯の表面のエナメル質、その下の象牙質、さらに神経が通っている歯髄へと徐々に進行する虫歯。なるべく早く治療することが大切です。

診察時に虫歯と言われたら痛みがなくても、早めに治療しましょう。痛くなってからでは治療の時間も費用も、よりかかってしまいます。もし「本当に治療の必要があるのか」さらには「本当に虫歯なのか」と不安になった時は、セカンドオピニオンを聞くのも一つの方法です。最近のレントゲンはデジタルデータがほとんどなので、Eメール等でレントゲンのコピーをもらえます。クリニックにもよりますが、レントゲン写真を持ち込んでセカンドオピニオンを聞くだけなら、診察費がかからない場合も多いです。当クリニックも、レントゲン写真持ち込みで、新たに撮る必要がなければ、セカンドオピニオンの診察費は必要ありません。まずはお電話でお問い合せください。

Q23. どうしたらアメリカ人のような白い歯になれる？

A23. 効果が高く白さが長持ちするホワイトニングの方法があります。

ホワイトニングには、費用の安い順から、以下の4つの方法があります。
①専用のテープ（ストリップ）を直接歯に貼る方法で、市販の商品より、歯科医院が使用しているテープの方が効果が高いためお勧めです。
②歯科医院で歯型を取って製作したマウスピース（トレー）に、専用ジェルを入れ歯に装着する方法で、効果も高く長く白さを維持できます。
③コンポジットレジンという材を使う方法で、歯の表面に貼りつけるため歯の形を若干整えることも可能です。
④ポーセリンべニアと呼ばれる方法で、歯の表面を薄く削りセラミック製のチップを貼ります。コンポジットレジンより頑丈で美しい仕上がりが望めます。

河田ベン先生 ロヨラメリーマウント大学を生物学専攻で卒業後、1988年にUSC School of DentistryでD.D.S.取得。以降、歯科医として診察を続ける。

Q24. 市販のホワイトニングキットってどうなの？

A24. まずは口内を健康にすることが先決。歯科医に相談してみてください。

Before：ホワイトニングは、虫歯や歯周病など歯の健康状態を整えてから行うことが大切です。 After：すきっ歯などの部分的な歯並びの調整もクラウンで白くきれいに。

今や歯の美白は、市販のキットでセルフケアできる時代。ただ、その前に、歯周病や虫歯など、口腔内の問題を抱える患者さんが多いのが現状です。歯を白くしても、口の中が健康でないと、清潔な口元とはいえません。また、ホワイトニングにも、ブリーチからレーザー治療、クラウン、べニアまでさまざまな方法があります。最近では、ジルコニア素材のクラウンやべニアも、審美性と強度性両面の高さからよく使用されています。歯科医なら、患者さんの歯の状態を総合的に判断して、最良の選択ができます。治療は早いもので1～2回の通院で完了しますが、どの審美治療をするにしても、まずは口の中を健康な状態にしてからとなるため、歯科医に相談しましょう。

Q25. 前歯が欠けてしまったがきれいに治る？

A25. コンポジットレジンやポーセリンべニアを使って修復できます。

Before：欠けてしまった前歯。人目も気になるため早期治療がお勧めです。 After：小さな欠損はコンポジットレジンを使った補填で修復可能。

前歯の体積の25～33％程度の欠損の場合は、コンポジットレジンによる補填で、短時間で治療可能です。40～50％以上の体積欠損状況では耐久度を考慮し、ポーセリンベニアまたはジルコニアクラウンでの修復や復元が一番適切です。重要なのは、治療前の診察やコンサルテーションで、噛み合わせの分析をはじめ、「固い食べ物ばかりを食べている」など、偏った食生活を分析し、その上で、将来的に歯の欠損が繰り返されないように、患者さんに合った治療方法を選んでいます。

松村康弘先生 1991年にタフツ大学歯学部を卒業後、カリフォルニア州歯科医師免許取得。1994年開業。約25年にわたり、ソーテル日系コミュニティーにて歯科治療に尽力。

[歯に関する豆知識①] 虫歯があると宇宙飛行士になれないの？

虫歯があると宇宙飛行士になれない、という話を聞いたことがある人もいると思いますが、本当のところはどうなのでしょうか？
　
虫歯になっても、しっかりと治療してあれば問題ない、というのが真相。詰め物をしていても大丈夫です。宇宙飛行士の着る宇宙服は、0.3～0.4気圧程度に減圧されています。低気圧の宇宙服と1気圧の宇宙船内を行き来すると、虫歯がひどい歯痛を起こす可能性が高くなるのです。地上で少しでも痛みがある状態だと、宇宙空間ではかなりの痛みになるのだそう。ですから、宇宙飛行士はフライト前に、しっかりと歯の治療をしておく必要があるのです。
　
もし宇宙で虫歯ができてしまった場合は、宇宙飛行士同士で抜歯をすることもあるとか。宇宙船の中で歯を削ったり詰め物をしたりすることは現状できませんから、歯を抜くことになるのです。ですから、宇宙飛行士は抜歯の訓練を受けて、宇宙に旅立ちます。歯科医以外で抜歯の訓練をする、数少ない職業と言えるでしょう。
　
宇宙飛行士以外に飛行機のパイロットやキャビンアテンダントも、機内の気圧が低い関係で、虫歯ができたらすぐ治療する必要があるのだそうです。

[歯に関する豆知識②] 人間と動物の歯の違いって？

人間の歯と、それ以外の動物の歯では、どんな違いがあるのでしょうか？
　
いろいろな動物を比べてみましょう。
　
まず人間ですが、永久歯は親知らずを含めて32本。乳歯から永久歯に一度だけ生え変わります。大きく分けると前歯（切歯）、犬歯、奥歯（臼歯）があります。
　
動物では、はじめに人間に近い動物であるサル。歯の本数は32本と人間と全く同じ、歯並びも人間とよく似ています。次にブタとイノシシは、どちらも歯の数は44本。イノシシの「キバ」は、犬歯が伸びたものです。現在家畜として育てられているブタは犬歯を切ってしまうため「キバ」はありませんが、野生のブタはイノシシと同様、犬歯が伸びて長い「キバ」に育つこともあります。意外なところでは、ゾウの歯は4本だけ。上下左右の奥歯（臼歯）が1本ずつです。1本が3～5キロもある大きな歯で、一生で6回生え変わります。
　
また、歯が何度でも生え変わる動物もいます。多生歯性と言われ、代表的なのはサメ。2～3日で新しい歯に生え変わり、一生のうちになんと、2万本以上の歯を使うと言われています。他にワニやトカゲなども多生歯性の動物です。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス2018年8月16日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。