俳優/歌手 クリスチャン・ケイン

空想を現実にしたルネサンス・オーキー

Christian Kane
オクラホマ州ノーマン育ち。転校5回の一匹狼は、映画と空想に逃避。オクラホマ大学で美術史専攻中、思い立ってLAに。タレント事務所の使いっ走りから、1997 年『Fame L.A.』でデビュー。映画、テレビのゲスト出演、『Angel』『Close to Home』を経て、2008年より『Leverage』のエリオット・スペンサーで活躍中。音楽、料理、デザインも手掛けるルネサンス・オーキー。

プレスツアーでは印象が薄かったが、蓋を開けてみたら主役より存在感のある役者が最近多い。正真正銘の新人もいれば、テレビ界の新人もいる。しかし、『Leverage』のエリオット役を射止めたクリスチャン・ケインは、映画、テレビ、音楽、ファッションなど、多分野で活躍するルネサンス人。シーズン2の撮影中、成功の秘訣を聞いた。

オクラホマ州ノーマン育ちとか。私はデューイに留学していたので、懐かしくて…。

ケイン(以下K) :近所だね。最近、タルサに家を買ったし、クリスマスに必ず帰るから、僕も「オーキー」。ジェームス・ガーナーやヴィンス・ギルなど、ノーマン出身の芸能人は多いよ。

『Leverage』は痛快で、大好きな作品です。

K :キャラクターの旅に便乗でき、視聴者は「悪党」退治大作戦の一員のような錯覚に陥る映像になっているしね。現実にはできない「権威」懲らしめを疑似体験できるから痛快なのさ!

エリオットは、どんな人間ですか?

K :パーカーとエリオットは、自分を守ることに精一杯の悪ガキ。「心」が備わってないから、何も感じない=無神経と解釈してるんだ。ネイトは酒で心痛を紛らしがちだけど、パーカーとエリオットに「心」を吹き込むはず。鼓動し始めて、痛みを感じるまでの変遷を時間をかけて描くんじゃないかな? エリオットは「007」気取りだけど、思ってるほどモテないんだな、これが(笑)。元彼女が次々と現れるけど、今シーズンは気になる相手も登場するよ。

咋夏のプレスツアーでは「この役を演じるためにハリウッドに来た」との発言でしたね?

K :オクラホマにくすぶってたら、携帯の営業マンで家族扶養にあくせく働いて一生を終えるか、刑務所入りかの二者択一が現実。何が何でも脱出してみせるぞって、情熱に進路を委ねたんだ。授業料を払ってでも演じたい役なのに、ギャラが出るから凄いよ!

多芸多才でも、くすぶっている人はどうすれば良いですか?

K :小学校で転校5回の一匹狼だったから、映画に出る自分を空想しながら生きてたけど、行動力もあったから。よく俳優志望に相談されるから、LAに来たら連絡するように言うけど、1年以内に電話がかかってきた試しがない。LAで当たって砕けるしかないと思うよ。本作にもティモシー・ハットンが出てるけど、著名な俳優がテレビに出る時代。10年前も厳しかったけど、不況で最近は新人発掘なんかに手間暇かけないから、過当競争もいいとこだけど、やるっきゃないでしょ?

料理を始めたのは?

K :LAに来た当時、豆の缶詰をいかに美味しく食べようか工夫を凝らすしかないほど、貧しかったんだ(笑)。朝から晩までFood Networkを観て、メモ取って研究したなー。子供の頃、母が料理するのを見ていたから、見よう見真似で始めたけど、材料が買えるようになったら、料理が成功の証みたいで…。「ガラガラヘビ・ステーキ」は自慢の一品。ブルーチーズ、ハラペーニョ、ベーコン詰めのフィレミニョンなんだ。紫色のピザもいけるよ!(笑)。

[業界コボレ話]
7月16 日、エミー賞の候補者や作品を発表するイベントに参加。大好きな『Grey’s Anatomy』のシャンドラ・ウィルソンと、『The Big Bang Theory』のジム・パーソンズが司会した。
 
思い返せば、パイロットを観て「凄い!」と、早速セットに出向いたのが2007 年の秋(本誌07 年12 月16 日号参照)。司会に選ばれただけでも、自分の発掘眼に悦に入っていたのに、パーソンズがコメディー主演男優賞候補に入ったのだ。俳優に投票できないATAS(米国テレビ科学技術アカデミー)会員として、パーソンズを選んだ俳優グループに感謝、感謝。気に入らないことは多々あるが…。

上級プロデューサー/監督 グリア・シェパード

文学少女からライターの守護神に

Greer Shephard
父の転勤を期に、13 歳でLAに。文学少女は、東海岸の大学に進み、国文学専攻。卒業後、ディズニー・テレビジョンの幹部候補生養成プログラムを経て、1991 年ABCの企画部に転職。93 年ドラマ企画部長、95 年より副社長を務めたが、新人ライターのビジョンを守りたいと独立。98 年The Shephard/Robin Companyを設立し、『Nip/Tuck』『The Closer』『State of Mind』『Trust Me』などを制作、活躍中。

『The Closer』のブレンダ・リー・ジョンソン本部長補佐は、21世紀の「デキる女」。LAPD特別班を率いる実力は、華奢な外見からは想像できない上、甘い物に目がない、片付けられない、縦列駐車できないなど、完璧からは程遠い。ブレンダの生みの親グリア・シェパードに聞いてみた。

番組が始まって以来、ブレンダ誕生の経緯をうかがいたくて。

シェパード(以下S):ABC時代、『Prime Suspect』風の作品をと何度も試みたのですが、結局「胸のある男」を創り出す結果に(笑)。映画『Fargo』を観て、男以上に働かないと出世しない時代は終わり、詫びない、媚びない「デキる女」の時代が来たのだ!と閃きました。ついでに、40を過ぎて独身、子供は要らないけど恋愛はしたい=母性本能と無関係に生きる少数派の女を代表してもらおう!とか、攻撃DNAを持ち合わせない女を、暴力の真っ只中に置いてみよう! など…過去に学んだこと、私が描いている理想の女を混ぜ合わせたのがブレンダです。甘い物に目がないのは、実は私!(笑)

女刑事多しと言えど、職場にスカートをはいて来るのはブレンダだけですね?

S :外見も、計算ずくです。警察の過剰暴力が世間を騒がせた時に企画を練っていたこともあって、才色兼備の刑事が、スカートを翻して取調室に入って来るほど意外な絵はないと計算しました。犯人は「たかが女」と油断するはずで、見くびりを逆手に取る心理作戦です。

シリーズ企画が目標で業界入りされたのでしょうか?

S :父はCBSで、『Magnum』や『Cagney & Lacy』を企画した業界人ですが、私は本の虫でした。大学を卒業して、ディズニーの幹部候補生訓練プログラムに受かったのですが、コメディー最盛期で、私の出番がなくて。結局、新人ライターを発掘するドラマ部門で、ダイアモンドの原石のようなライターを探す訓練を受けました。今の仕事が務まるのは、この訓練のお陰です。

ABCでドラマ企画の采配を振っておられたのに、独立されたのは?

S :ABCの本体である撮影所が銀行化し、著名なプロデューサーにしか投資せず、無名のライターを養成できなくなったからです。新人+ベテランのコンビで制作したこともありますが、必ずベテランが新人のビジョンを押し潰してしまう苦い体験でした。ライターを守りつつ、局が求めるレベルの作品を創る「保証」を提供するのが私の使命と、会社を設立しました。

地上波局の問題は、いまさらお尋ねする必要はありませんね?

S :ケーブルには「冒険心」と「遊び心」があると同時に、失敗が許されないので、万全を期してリスクを冒します。地上波局は、失敗は不可避と見なすのが最大の違いでしょう。

テレビを選ばれたのはなぜ?

S :脚本を書いてから、放送までの期間が短いので、アイデア↓反応や社会への影響が手に取るようにわかる「即時性」が魅力。監督中心の映画と違って、放送作家の世界という点と、時間をかけてキャラクターがどう変遷して行くかを目撃できる点が小説っぽくて、大好きです。

[業界コボレ話]
大和撫子は今「結婚したい!」ブーム。「ウッソー」と同時に、「ついに来たか?」と思ったのは、専業主婦憧れ現象体験済みの米国から客観視しているからか?
 
40 歳前の、最後のあがきに違いないが、大黒柱が2本必要な昨今、自立した女にメリットがあるのか? 結婚に心の糧を求めたい気持ちはわかるが…。
 
婿探しは「婚活」と呼ばれ、昔は結婚相談所と呼ばれた会社から、町内のお節介おばさんまでが、可愛い女をアピールする付焼き刃を指導する。
 
時代錯誤も甚だしい。女性が自分に100%満足していれば、付焼き刃の愚かさに気付くはず。結婚への憧れを煽っているのは誰なのか?

俳優 タニア・グナディ

ジェットコースター初乗りで掴んだ運

Tania Gunadi
インドネシアで生まれ、14 歳でグリーンカード抽選に当たり、兄姉を頼ってLAに移民。ピザハットの販売員からディズニーランドのCFを経て、2002 年『Even Stevens』2話にゲスト出演、「ディズニーっ子」になる。テレビ映画『Pixel Perfect』『The Magic of Ordinary Days』に出演し、『Boston Public』『It’s Always Sunny in Philadelphia』を経て、09 年『Aaron Stone』の紅一点、エマに抜擢された有望株。

1月のTCAプレスツアーで『Aaron Stone』パネルインタビューがあったが、タニア・グナディはアジア人特有の遠慮だったのか、借りてきた猫のようだった。しかし、キャスト4人に直にインタビューしてみると、グナディの人となりがきらきら輝いたので紹介したい。

『Aaron Stone』の人気の秘密は何でしょう?

グナディ(以下G) :アクション、スリル、友情、どんでん返しや意外な展開のドラマに、ロボットを加えて…。どう説明すれば良いのかな?『Alias』の子供版?(笑)

エマ役を射止めた経緯は?

G :7 年前に『Even Stevens』にゲスト出演した時、毎日ディズニーで働きたいって思ったの。主役のケリー・ブラッツと演じるまでに、何度もキャスティングの面接があってね。喉から手が出る程の役だったから、神経ぴりぴり。でも、ブラッツがリハーサルしてくれたので、オーディション本番で自然な芝居ができたんだと思うわ。

オンライン・ゲームで、無敵のアーロン・ストーンになった高校生の二重生活を描くドラマですが、初めて台本を読んだ時の感想は?

G :スーパーヒーロー物語に出るって、誰でも憧れるでしょ? 役は何でも良いの。参加することに意義があるから!私は1度に2~3役演じ分けできる贅沢な作品だと思ったわ。

役者を目指して、LAに?

G :アメリカに住む姉がグリーンカードに応募したら、私と父が当たったの。父はインドネシアを出る気がなかったし、末っ子の私だけは手元に置いておこうと思ったみたい。でも、チャンスを無駄にするなと母や兄姉に言われ、思い切って。
 
当時は英語がしゃべれなくて、ピザハットで働いてたから、16歳なのに語彙はピザ一点張り。ペパロニ? ソーセージ?(笑)。ある日、お客さんから「ギャラ500ドルのディズニーランドのCFに出い?」と誘われ、オーディションが何かも知らずに付いて行ったの。ジェットコースターのCFだから、オーディションは叫ぶだけ。ジェットコースターを見たこともない私が選ばれちゃった。
 
撮影当日、私は「その他大勢」の一人だったけど、撮り直し、撮り直しで、主役の子は乗り物酔いでゲーゲーやってるし、20回も上下したら楽しそうな顔なんかしてられないのよ。初めて乗った私だけがはしゃいでいるから、監督が主役に昇格してくれたの。結局、私ひとりがジェットコースターに乗ってキャーキャー叫んでいる撮りがCFになったの。ギャラは4倍、SAG(米国俳優組合)会員になれるで、良い事尽くめ。これが初めの一歩!

明るさが成功の秘訣ですね?話していて、とても楽しいもの。

G :そう?だったら、彼氏、紹介してくれない?ディカプリオみたいな人…。

番組に因んで、ヒーローは誰ですか?

G :人生の要所要所で、士気を鼓舞してくれた人たち。幼い頃は、母が楽観主義と何にでも美しさを見つけなさいと教えてくれたわ。LAに来てからは、面倒みてくれて、感謝して生きることを教えてくれた兄と姉よ。
 
(2009年7月16日号掲載)

[業界コボレ話]
人間ドラマ党の私にとって、リアリティー番組は無用の長物。最近、少し下火になったものの、夏場は穴埋めに放送される。
 
米国各地の成金主婦たちの小競り合いを記録した番組に学ぶことは何もないが、Food Networkの次世代の看板シェフ決定戦は、才能+タレント性+人格が試されるので面白い。毎週熱い闘いが繰り広げられるが、なかには「目立つことのみが命!」や「勝つことが命!」の輩もいる。
 
この手の勝ち抜き戦を観る時は、この人の番組なら観たいと思わせる「魅力」がにじみ出る人を選び出し、応援しながら観ると、ハマってしまうものだ。

創作者/プロデューサー  デボラ・ジョイ・ラヴァイン

「希望を捨てないで!」がメッセージ

Deborah Joy LeVine
親の期待を裏切ることなく、カリフォルニア州弁護士協会会員となり、LAで数年弁護士として活躍した。弁護士一家への義務を果たした後、1985 年テレビ映画『Murder: By Reason of Insanity』の創作/制作で業界入り。93 年『Lois & Clark』を共同創作、『Early Edition』『Dawson’s Creek』『The Division』等の制作を経て、TNT 用に創作した『Mental』がFOXで制作され、現在放送中。UCLAで脚本執筆講師をすることもある。

『Mental』は、精神科医ジャック・ギャラガーの熱意と飽くなき探究心に、声援を送りたくなる医療ドラマ。パイロット版を視聴後、理想の先生は創作者の精神疾患体験から生まれたに違いないと直感し、早速、創作者デボラ・ジョイ・ラヴァインに聞いた。

精神疾患患者と共に生きる家族は、ギャラガー先生はどこにいるの?
紹介して欲しい!と番組を観ていると思います。

ラヴァイン(以下L) :息子も11歳で躁鬱病と診断されました。薬を処方して「はい、さようなら」の医者ばかりで、知性と「心」を兼ね備えた先生を探すのにひと苦労。どの薬で症状を抑えようかではなく、手がかりを掴んで謎を解く探偵であり、患者の立場で考えてくれる医者の理想像です。これまでは、暴力沙汰や妄想等の症状を描くことで、視聴者を恐怖に陥れるホラー的ドラマばかりでした。でも本作は、温かく見守ってくれる先生もいるから、「希望を捨てないで!」がメッセージです。

創作の経緯は?

L :数年前、TNT局から「精神疾患を扱うドラマを」と依頼されて、兄と2人でパイロット版を執筆しました。残念ながら、TNTは犯罪捜査モノ路線を選択したので、お蔵入り。WGA(米国脚本家協会)のスト解除後に映像権を持っていたFOXで13話制作して、今放送中です。

精神疾患への理解度は深まりつつありますか?

L :露出度が高まったので、徐々に。ただし、子供の躁鬱病を認めない親は多いですね。大人しかかからないと頑に信じ、子供には薬剤治療を拒否したり…。「無視すれば何とかなる」は大間違いです。

精神疾患の完治はあり得ないのでは?

L :骨折はレントゲン写真を見れば、誰も疑いませんが、日常生活に支障を来たす精神疾患は証明できない厄介な病気。鬱病、躁鬱病、統合失調症等、どの疾患かは医者の診断を信じるしかありませんし、時間がかかり、誤診も多いものです。また、本作の挑戦は、医療ドラマなのに治療できない=結末がない点です。「結末のないドラマなんて無意味?」と思いましたが、ハッピーエンドを「疾患を認め、対処方法を探す方向に踏み出すこと」と定義しました。完治はしないけれど、薬とカウンセリングで普通の生活ができるようになる、病気とつき合って行く方法があるという希望の光を与えることとしました。

テレビ業界に入られた経緯は?

L :弁護士一家で、義務だと思って弁護士になりましたが、昔から執筆業が夢でした。「石の上にも3年」と頑張りましたが、弁護士体験中に読んだ刑事事件をテレビ映画用に創作/制作して業界入り。その後、法廷ドラマを多数書きました。

険しい道でしたか?

L :数カ月で22〜23話制作、しかも毎回良い逸話を書くのが当然と期待される、きつ〜い仕事です。疲れたから、ひと休みという訳にいかないし、長時間コンピューターの画面を見つめる生みの苦しみを毎日味わうのですから(笑)。好きこそ物の上手なれと言いますが、この業界は好きでなければすぐに弾き出されます。
 
(2009年7月01日号 掲載)

[業界コボレ話]
最近、言葉の威力について考えることが多い。モノ書きだから、余計に敏感なのかもしれないが、特にインターネットやメール、更に最新の「Twitter」なる厄介な代物で飛び交う無責任な発言に辟易としている。
 
ブログが蔓延したお陰で、事実を丁寧に検証して責任を持って書いたプロの文章と、見たまま感じたままを日記のように綴った素人の文章の区別がつかない人が増えている。Twitterはその最たるもの。すっぱ抜きやスキャンダルを追いかけるゴシップ欄記者(?)が蔓延しているようなものだ。井戸端会議もグローバル化したワケだ。発言に責任を持つなど古代の遺物?

小児科医/司会者 ジム・シアーズ

公共電波上の発言は責任重大

Dr. Jim Sears
1996 年、セントルイス大学医学部を卒業、オハイオ州で小児科研修医を修了。カリフォルニア州カピストラーノ・ビーチで、両親が開業したシアーズ小児科医院を弟と共に運営する医者一家。一家の著書『The Baby Book』
『The Premature Baby Book』等は和訳されている。『Dr.Phil』『Help Me Grow』(PBS)で 小児科の専門知識を時折 披露していたが、2008 年秋より『The Doctors』の司会者の1人に抜擢され、現在活躍中。

昨夏、『The Doctors』の制作チームに会った際、場慣れしたトラビス・ストーク先生(『The Bachelor : Paris』)に気を取られていたからか、印象が薄かったジム・シアーズ。フタを開けてみたら、4人の司会者の中でチャレンジ精神旺盛で、包容力ある理想の医師はシアーズ先生だと判明した。

開業医からテレビへの飛躍は?

シアーズ(以下S) :3年ほど前から『Dr. Phil』に小児科医として何度か出たのがきっかけです。ドクター・フィルのご子息で、本作プロデューサーから出演を依頼されました。

診察の時間はありますか?

S :第一線で働く医師が司会者の条件なので、診察時間は死守していますよ! 職場の症例を取り上げることも多いので、週1~2日は診察。2日はロケ撮影、木、金の2日間で7、8本を公開録画します。

笑いのネタになっていらっしゃいますね?

S :網タイツをはかされたり、宙ぶらりんにされたり、なかには不愉快な実験もありますが、冒険だと思って何でも(笑)!

この仕事で、人生観が変わりましたか?

S :開業医の患者数はたかが知れていますが、視聴者何百万人というのはうれしいようで恐いというか…。公共の電波に乗って、毎日お茶の間に招かれる情報発信者の責任の重さを感じますね。一語一句に気を遣うようになりました。

話しやすい医者を見つける方法を教えてください。

S :恋人探しと同様、数をこなすしかありません。充分下調べして、「面接」感覚で初診に臨みましょう。気が合うか、聞き上手か、慎重派か大胆か等を見極め、満足がいかなければ、諦めないで探すことです。医者は、乗り換えられても気にしませんから(笑)。

開業医の立場から、医療は今後どうなると思われますか?

S :国民保険の方向に進みつつありますが、内科医数を増やさない限り、待ち時間が今以上になるだけです。専門医の方が高収入なので、内科医は近年減っています。保険会社が口を挟んで、思い通りの治療ができないし、医院を維持していくためには患者数を増やすしかありませんが、そうなると患者の悩みを丁寧に聞く時間がない=やり甲斐がないというジレンマです。保険がないから医者に行かないため、重症になって駆け込む人が年々増加しているのも確かだし、肥満、糖尿病等の成人病も増えているので、予防医療を充実させるしかありません。

最近は緑茶が大流行りですが、「流行」についてのご意見を。

S :「流行」は番組で検証します。有名人が効くと言う「今週のオススメ」等に科学的裏付けがあるかを確認しています。また、ネット上の情報=事実ではありません。まことしやかな作り話もあるし、素人が信じていることが書かれているだけかもしれないし…。Mayo Clinic 等の信頼できるHPで、根拠やデータ源を確認するのが得策です。

風邪の治療薬の開発状況は?

S :何十年研究しても駄目ですね(笑)。常に進化する何百種類のウイルスをやっつける1錠は、初めから負け戦かもしれませんよ。
 
(2009年6月15日号 掲載)

[業界コボレ話]
『TV Week』誌に21 世紀の最優秀ドラマ、コメディー6本と各ジャンルの男優と女優6人を投票したばかりだというのに、今度はTCA(テレビ評論家協会)賞の投票。去年、トム・ハンクスを拝ませていただいた例の表彰式が、今年も7月のプレスツアー中に開催されるので、投票義務がある。
 
今年から会員同士が討論できるよう、ネット上に場が設けられた。毎分のように、全米の評論家同士が、あの俳優が良い! とか、この作品に投票すべき! の雑音がメールで届く。鬱陶しいったら、ありゃしない! エミー賞のように、黙って投票させて! 「口は禍の門」変じて、ネットは禍の門だ。

俳優 リサ・エデルスティーン

タイトスカートはもう懲り懲り

Lisa Edelstein
ボストン出身。ニュージャージーで育ち、NYU 芸術学部で演劇を専攻。自らも君臨したNY のナイトクラブ体験をもとに、エイズを主題にした画期的ミュージカル
「Positive Me」を自作自演して一躍有名に。
90 年代、MTV を皮切りに、主にコメディーにゲスト出演したが、『The West Wing』『Ally McBeal』『Felicity』の忘れ難い役を次々とこなし、04 年『House』のカディ役に抜擢され、活躍中。

FOXのドル箱番組『House』で、ハウス医師に唯一「駄目!」と言えるカディ事務局長を演じるリサ・エデルスティーン。個性派俳優は、職場でも私生活でも「救助」に執念を燃やすが、過去に意外な汚点(?)が…。

創作者デビッド・ショアにインタビューした際、昔、敢えて飲み込んだ言葉を、ハウスに託していると明かされていました。

エデルスティーン(以下E)
:本作を観ると、ショアの生き様が明らかになりますよ(笑)。

オーディションを受けて?

E :正規の長いプロセスを経て。台詞も良いし、ハウスとの複雑な関係が面白く、やりたい! と思った役です。パイロットで垣間見たカディとハウスの関係は、シーズン5の関係を示唆していました。でも、最初は環境やキャラの設定に時間をかけたので、カディは「その他大勢」として葬られるのでは?と心配しました。

医学用語はほとんど解らないので、ハウスの行動や発言、インターン・同僚・上司との絡みだけを追っています。

E :『Greys Anatomy』と違って本作は医療ミステリー。専門用語について行けなかったら、人間関係を追うしかないわね。

本作に出て、人生観が変わりましたか?

E :父が小児科医だし、決して嫌いな分野ではないのですが、まだまだプロでも知らないことだらけで、病因だって無限大!本作を観ている医者に行くと、同僚として扱われるようになりました。診断の過程を説明されてもね…(笑)。診断=推理の連続を毎日体験しているので、病気になるのが恐くなりました。これが駄目なら、あれを試そうかの世界ですもの。

シーズン毎に、ハウスの偏屈度は増していませんか?

E :もつれた糸がほどける感じかしら? 「キャラを変えることはできない。タマネギを1枚ずつ剥くように、人物像を明らかにするしかない」がショアの口癖。やっと芯に近づいて来たのでは? でも、天才的頭脳、無慈悲な率直さ、青い目にカディは惹かれてます。2人とも仕事しか生き甲斐のない寂しい人間だし、お似合いだと思うわ。救助願望の強い人間は、家庭向きではないから、いつまで続くかは別として…。

カディの悩殺ファッションはどう思われますか?

E :職場でオシャレするしかない仕事の鬼という設定。でも、タイトスカートはもう懲り懲り。私生活では二度とはきたくないわ(笑)!

『Felicity』のローレン役への反響は?

E :観たことがなかったし、端役だから誰も観ていないだろうと軽く引き受けた役なのに、ベンの子供を身ごもってフェリシティーとの仲を裂いたと総スカンを食らったわ(笑)。公園で見つけた犬を保護して、動物愛護協会に届けを出した所、「フェリシティーを苦しめた『悪女』がつれて帰った」と飼い主に言われるほど!

捨てイヌを放っておけないタイプとか?

E :飼い主が見つかるまで、何匹捨てイヌや猫を預かったかしら。苦労して成犬にした愛犬の最期を看取るのは何回やっても辛いけど、やめられません。
 
(2009年6月1日号 掲載)

[業界コボレ話]
地上波局の08 ~09 年度の番組は終了してしまったが、ABC は数年前TCA プレスツアーで約束した通り、打ち切った番組の未放映の逸話を放送している。完結編でなくとも、ある程度心理的に終止符を打つ事ができるので、従来の「宙ぶらりん」気分が解消され、精神衛生上良いことだ。
 
5月23 日から『Pushing Daisies』を放映中。コンセプト自体に無理があるものの、第二話に個人的に関与したこともあって画面から葬られるのは名残惜しい。「Eli Stone」は6月20 日から4話で完結する。残念無念! いずれも、USA 局向きだと思うのだが、拾ってもらえないかな?

俳優 モニカ・レイマンド

たくましい母を思い浮かべて役作り

Monica Raymund
フロリダ州出身。著名な受験校を経て、理系に進学しようと願書を提出したが、結局、ジュリアード学院で演劇を専攻。在学中、『Cymberline』『The Diviners』『AnimalFarm』等に出演して、才能を発揮。幼い頃からピアノ、声楽訓練を受けていたので、卒業後はミュージカル出演を目ざしていた。テレビ初出演はNBCの『Law &Order: SVU』で、卒業後1カ月で『Lie to Me』に抜擢された注目の若手。

『Lie to Me』のリア・トレス役で、今春デビューしたモニカ・レイマンド。主役を食う勢いの存在感はベテランの証拠と信じて止まなかった。シーズン1の最終話撮影中にも関わらず、気軽に応じてくれたインタビューで明らかになったレイマンドの素顔とは?

リアが一番魅力あるキャラですね?

レイマンド(以下R):シリーズは初めてで、「何をやってるんだか?」と思う日もあるので、そう言われるのは何よりうれしいです。舞台と違って、撮影は筋が後先になるので、演技上難しいし、カメラのアングル、立ち位置、台詞、動きなど、一瞬、一瞬、押さえる要素がごまんとあって大変です。振り出しに戻ったようで、ジュリアードの恩師に助けを求めたほど(笑)。

リアは貫禄があるので、ベテランだとばっかり。

R :FOXのキャスティング担当からオーディションを受けてみないか?と言われて…。学校を出て間もなくでした。ブロードウェイでミュージカルに出ている姿を想像していましたが、ボストンでホセ・リヴェラの芝居にゲスト出演していたら、テレビシリーズやゲスト出演の話が舞い込んで、新卒なのに? って感じでした( 笑)。無我夢中で今の役をこなしてきて、つい1カ月程前に恵まれているなってしみじみ感じた次第です。

子供の頃から俳優を目指して?

R :学芸会で歌ったり、踊ったりしていましたし、地元の舞台に立っていましたが、進路が決まるまでは、あれもこれも!と欲張りでした。化学や生物が好きだったので、願書を出した
11校中で文系は3校だけ。幸いジュリアードに受かって、親が夢を実現しろと言うもので…。

右脳と左脳の両方を使える人は、奥が深いですね。

R :演技を過剰分析する癖があって、学校で自分に優しく!を叩き込まれましたが、すぐ元の木阿弥です。分析→反省→学習過程と、感情表現のバランスの問題だとは思いますが…。

ご家族の反応は?

R :父が今週末、撮影現場を見に来ます。コンピューター業界の実業家で、定年退職したと言いながら、まだせっせと働いています(笑)。母はドミニカ出身のクリエイティブな人です。頭脳は父から、心は母からの贈り物です。

オバマ大統領のおかげで、米国史上初めて人種の差なく希望の光がさしているようですが、芸能界はどうですか?

R :やっと多様化が実現しそうで、わくわくします。「血」が流れていなくても、女優は髪型で国籍を変えられるから、得だと思います。ストレートだと、インド人役ができるし、カーリーにするとアフリカ系の役が可能に。中東、南米、ネイティブ・アメリカンもできるし、カメレオンになれるのが役者の醍醐味ですね。

お手本にしている方は?

R :苦労人の母です。苦しい時にも心を閉ざすことなく、ハードルを乗り越えながら、「生きる」意味を学び、前進するたくましい人。そんな母を思い浮かべてリアを演じています。駆け出しの私に時間を割いてくださって、ありがとうございます。

[業界コボレ話]
『Grey Gardens』は、故ジョン・F・ケネディ夫人の実家ブービエ一族の「つらよごし」ビール母娘を描いた映画。故大屋政子を彷彿させる母、イーディーの自由奔放な生き方の巻き添えになり、波瀾万丈の一生を送った娘、イーディーの「priceless life」を描いた作品だ。
 
35年余り前に制作された同名のドキュメンタリー以来、知る人ぞ知る母娘と聞くが、名門ブービエ一族は、株や不動産売買、芸能人の家系で、お世辞にも高貴な家柄とは言えない。ファーストレディーにのし上がったジャックリーンの血縁でなければ、社交界から落ちこぼれ、ゴミ箱のような屋敷で芸能界入りを夢見て生きていたビール母娘は単なる狂人でしかない。米国民の貴族への憧れの産物と、興味深く観た。

放送作家/プロデューサー:ベッツィー・トーマス

暇に飽かして書いた芝居が認められて

Betsy Thomas
ミシガン州出身。ノースウェスタン大学で演出家になる勉強をした後、LA に引っ越した。1992 年に執筆/演出した戯曲『Us & Them』『Choices』で注目を浴び、『My So-Called Life』のスタッフライターとしてテレビ界入り。30 分コメディーが得意で『Then Came You』『Run of the House』などの創作、制作に関与。2002年、ABC 用に創作した『My Boys』は、TBS でシリーズ化され、3年目は9話制作を手掛けた。

コメディー不作と言われながらも、TBSオリジナル『MyBoys』は3年目を迎える。根強い人気を誇るコメディーを創作したのは、演出家を目指していたベッツィー・トーマス。手塩にかけて育てたシリーズの人気の秘密を聞いてみた。

自作が毎週放送されるのは、どんな感じですか?

トーマス(以下T):うわっ!そんなこと、今までに聞かれたことなかったわ。うーん、毎日が楽しくて、楽しくて、仕方ない! って言えば良いのかしら? まさか、現実になるとは思っていなかったので、感謝感激雨あられの毎日。

創作3 本目の大成功ですが、きっかけは?

T :大学を出てすぐにLAに越してきましたが、そうそう面白い仕事があるワケもなく、補佐的なことばかり。暇に飽かして書いた芝居が認められて、エージェントが見つかり、気が付いたら、ハースコヴィッツとズウィック監督(『ラストサムライ』の制作コンビ)と話をしていたの・・・。運が良かったのね。

子供の頃から脚本家を夢みて?

T :舞台の演出をやりたかったの。LAに来た当時はインターネットもなく、仕事をする振りをして、何かを書いて暇潰しするしかなかった。でも昔書いたものを読むと恥ずかしくなるから、うまくなったのかな?って。

『My Boys』のビジョンは?

T :元々ABCのために書いた
作品。当時、女性の主人公が何か違う! と不満だったので、リアルな女性を描こうと。PJ同様、思考回路が男っぽい私の目から見た、男女の相違と類似点を映像化しようと思ったの。

スポーツ、ポーカー、はしご酒の世界とは無縁な私でも、肩肘張らずに生きるPJは新鮮で、しかも応援したくなるキャラですね?

T :嘘のない作品にしたかったので、大成功ってことね?うれしいわ! 素朴でさばけたPJの素直な生き方と、それを無条件に受け入れる友達や家族の輪が受ける要因かな?

休み時間に漏らしたことが、次の週には台本になるとキャストから聞きました。好みの役者を集めて実験ですか?

T :そう言われても仕方ないわね(笑)。実際に身に降り掛かったことを題材にするから、役者の体験をそのまま拝借することもあるわ。配役の際に、私のイメージに最も近い役者を選んだこともありますが、3年もやっていると、役者の性格がキャラを引っ張って行くようになりました。下手するとコメディーの題材になるので、私の近辺にいる人は、気をつけてものを言うようになったみたい(笑)。

ケレー・スチュアートが唯一の女っぽい女を演じていますが、配役は最後だったとか?

T :ほとんどの女優が、笑えるけれど、自意識過剰で、批判的なステファニーをオーディションで演じたので、「そんな嫌な女とPJが友達になるはずないでしょ!」と思いました。最後の最後まで決まらなくて。スチュアートは自分に自信があるから、PJを批判しない親友を演じてくれたので、これだ! と思いました。PJもステファニーも異種の自信を持った女性で、お互いの長所、短所を認めた上の友情です。
 
(2009年5月1日)

[業界コボレ話]
HBO の『In Treatment』が再開された。昨年、人のカウンセリング風景など、何が面白いのだろう? と疑っていたが、1シーズン分をまとめて観て病み付きになってしまった
 
共依存の妻の支配から逃れようと家を出た夫との間で右往左往する少年オリバー。犠牲者にも関わらず、家庭崩壊は自分のせいと自虐する姿は不憫そのもの。同時に、子供や夫に良かれと「尽くす」妻が、実は自立を妨害していることが読みとれて目からウロコ。 不眠症を相談に来たCEO ウォルターは、原因を追求することを拒み、権力と金力に飽かして、症状のみを治療しようと焦る。「心」の問題も、商談として性急に処理を試みる…。立身出世すると女性もこうなるだろうか?

俳優 キャスリーン・クィンラン

骨の随まで俳優だな~って

Kathleen Quinlan
パサデナ生まれ、ミルバレー育ち。スポーツ万能の高校時代、映画『American Graffiti』の端役がきっかけで芸能界入り。以来、50 本余りの映画に出演。代表作は『I Never Promised You a Rose Garden』『TheDoors』『Apollo 13』。1999 年より『Family Law』
の正義の味方ホルト弁護士役で本領を発揮。『Prison Break』のシリーズ完結話で、スコフィールドの母親クリスティーナ役で活躍する。

『Family Law』で弁護士を熱演したキャスリーン・クィンラン。打ち切り以降、子育てに専念していたが、4月17日再開する『Prison Break』のクリスティーナ・ローズ役に起用された。普通の主婦は演じないと釘を刺して得た役どころは? 期待のシリーズ・フィナーレ開始を目前に、話を聞いた。

クリスティーナ・ローズとは?

クィンラン(以下Q):マイケルとリンカーンの死んだはずの
母親役で、陰謀の鍵を握る役。
詳細は明かしてもらえず、雲を掴むような面接でしたが、長年、子育てに専念していたので、「休暇」だと思えば良いか?と。伝統的な母親は現実でたくさん!なので(笑)、洗い物はと約束してもらいました。息子の好きな番組なので、時々観ていましたが、決まってからDVDを観て、すっかりハマってしまいました。

ウェントワース・ミラーとの演はいかがでしたか?

私も『Family Law』を3年続けて、惰性の仕事にならないよう、自分自身に挑戦しなけばいけないと学びました。ミラーは、そのあたりをわきまえて、役作りに打ち込んでいる真面目な青年。照明やカメラ位置を変える待ち時間に、気持ち良くリハーサルに応じてくれました。お行儀も良いし。

芸能界入りは『AmericanGraffiti』と聞きました。

Q :ジョージ・ルーカスがミルバレーの高校で、「キャトル・コール」(大勢の未経験者を集めてオーディションをすること)をしました。試験を控えていたので廊下で勉強していたら、コッポラ監督が通りがかりに「オーディション、始まるよ」と声をかけてくださったの。体操の仲間を引き連れて踊る端役でしたが、それを観たエージェントから電話があって、芸能界入りしました。

受からなかったら、今頃何をしていたと思われますか?

Q :映画のお陰で一直線に芸能界に入れただけで、寄り道しても、結局俳優だと思います。行き当たりばったりの人生だけど、それが好きだし、それで良なんて思います。
役には恵まれてきたし、今は骨の随まで俳優だな?って

天職は俳優! と確認された役がありますか?

Q: 映画『I Never Promised You a Rose Garden』のデボラ役。統合失調症の16歳は心地良い役ではなかったけど、感銘を受けたという声を聞きました。心を動かしたり、凝り固まった考え方を変えることが、天命だと信じています。『Family Law』のホルト弁護士も、意義ある仕事をしている実感があったので撮影所が経済的に続けられなくなって悔しい思いをしました。もっと、続けたかった作品。

まだ実現しない、夢の役は?

Q :最近、珍しい西部劇なの。今、若手脚本家に書いてもらってます。楽しみだわ

[業界コボレ話]
DirecTV がNBC と制作費を折半し、13話に短縮した『Friday Night Lights(FNL)』のシーズン3。NBC 放送分には、毎週400 万人が釘付けになっているが、視聴率が低いと叩かれっぱなしだ。それでも、DirecTV はシーズン5まで制作を希望。交渉が成立すれば、予想通りテレビ業界の斬新なビジネスモデルになるに違いない。
 
かたや、視聴率も人気も高いユニークな犯罪捜査ドラマ『Cold Case』と『Without a Trace』が危ない!? と聞く。制作費が嵩むからだとか。犯罪捜査モノ専門局と化したCBS の、柳の下のドジョウ狙いではない2作の危機は不可解。話題になるドラマが欲しい!
 
とないものねだりするCBS の選択がこれとは。矛盾してない?

特別企画『Samantha Who?』セット訪問レポート

Christina Applegate
サマンサ役。芸能一家に生まれ、CMや子役を経て、17歳から11シーズンもの間、『Married with Children』のケリー・バンディー役で名を馳せた。映画、舞台でも活躍し、女優として飛躍を遂げた。
 
Barry Watson
トッド役。15歳で昼メロに抜擢され、WBの看板番組『7th Heaven』で一躍有名になった。『What About Brian』のブライアン役がまだ記憶に新しいが、映画『Boogeyman』等にも出演している。
 
Melissa McCarthy
ディーナ役。WBの看板番組『Gilmore Girls』のスーキー役で注目される。元々は、コメディー劇団で活躍。映画『White Oleander』、テレビ『Curb Your Enthusiasm』でも実力を発揮する。
 
Jeniffer Esposito
アンドレア役。ブロードウェイで大活躍していたが、映画、テレビにも進出し、活動の場を広げる演技派。代表作は映画『Crash』、テレビ『Spin City』『Related』『Rescue Me』等、数えきれない。
 
Kevin Dunn
ハワード役。映画『Dave』の大統領報道官アラン・リード役で知られているが、ゲスト出演も多数。テレビでは、『Prison Break』『Lost』『The Closer』『Law & Order』等がある。
 
Tim Russ
フランク役。芸歴30年余りで、音楽業界や声優、映画/テレビ制作など、さまざまな才能を発揮。テレビ『Star Trek: Voyager』のバルカン星人、戦術顧問のトゥーヴォック役で名を馳せた。

『Samantha Who?』は、生活には支障はないが、事故以前の価値観や嗜好等の記憶がない逆行性健忘症を患うサマンサの自分探しの旅を描いたコメディー。記憶喪失という繊細な題材を、クリスティーナ・アップルゲイトが見事に演じる。
 
2日間のセット訪問の機会に恵まれた。1日目は、サマンサのアパートや実家の居間および台所、コーヒーショップ等を見て、撮影見学とインタビュー。我々がセット入りした午前8時半には、アップルゲイトとバリー・ワトソンが既に本番撮影中だった。
 
メークの時間が必要なアップルゲイトは、早朝6時半入りで1週間が始まり、連日16時間労働! 昨春、乳ガンが見つかり、ガン体質と判明したため、あえて両胸切除した直後のハードスケジュール。「『明日がないかも!?』の恐怖を体験すると、“今”を大切にするようになるわ。毎朝目が覚めるだけでもありがたくて、一瞬一瞬を精一杯、楽しく生きよう! って決めたの」と、自らの再出発を語った。

悪女と天使の演じ分けについてアップルゲイトは

「悪女って変な自信があるし、欲しいモノを手に入れる方法も知っているから、リラックスできるの! 逆に『私は誰?ここはどこ?』って模索する方が、エネルギーを消耗しちゃう」と、意外な答え。

元彼トッドを演じるワトソンは

「トッドは無邪気で純粋なサマンサが新鮮で、ヨリを戻してみようかと見守る忍耐強い男」だと言う。自身は、飽き性で役者以外は考えられないが、もし再出発するなら「自然が好きだから、森林警備隊が理想的な仕事!」と語る。

ジェニファー・エスポジートはサマンサを“浅はかで欲深い悪女”に戻そうと躍起になるアンドレア役。

「『良い子ちゃん』と夜遊びしても楽しくないでしょ? 言いたい放題、したい放題の悪女コンビに戻れなかったら、アンドレアが『私は誰?』の旅に出る羽目になるから、必死なの」と説明。エスポジートはやり直しが利くなら「食べることが好きだから、絶対にシェフ!」と決めている。

メリッサ・マッカーシーは、絶交した幼馴染みサマンサを、良い子に戻そうと目論むディーナ役。

「クリスティーナからケータイに電話がかかって来たら、友達に『見て見て!』って見せびらかしちゃうの!」と言う、アップルゲイト・ファンだ。
 
2日目は、ケヴィン・ダンとティム・ラスにインタビュー

サマンサの父親、ハワード役のダンは、

「娘が自立して『やれやれ!』と思っていた矢先の事故に戸惑う父親」と話す。アップルゲイトとの共演について、「クリスティーナの演技に見とれて、台詞を忘れてしまうことも。“番組のエンジン”は馬力がありますよ」と語る。

サマンサを四方八方に引っ張る取り巻きの中で、唯一相談相手に選ばれたドアマンのフランクを演じるラス。

「鼻持ちならぬサマンサが相談に来るので、嫌々ながら」と苦笑い。遭難したサマンサ号の北極星をクールに演じる。「なぜか威厳のある役しか受かりません」と言いつつ、やり直すなら中学校の先生だとか。

アップルゲイトの底力を肌で感じたセット訪問だった。“番組のエンジン”に声援を送りたい。

[業界コボレ話]

俳優 アヤ・スミカ

「Yes we can」魂は母譲り

Aya Sumika
シアトル出身。日本人の母とドイツ系アメリカ人の父のハーフ。幼い頃から舞台が大好きで、高校からダンスに専念し、名門ジュリアード音楽院でコンテンポラリー・バレエ専攻。NYでCMモデルをしながら、演劇を勉強。
 
LAに越して間もなく『Hawaii』に抜擢され、オアフ島で9カ月ほど撮影したが、あっけなく打ち切りに。2006年より『Numb3rs』のリズ・ワーナー捜査官として活躍中。「邦画に出演するのが夢」と言う、将来が楽しみな有望株。

アヤ・スミカとの初対面は、2003年のプレスツアー。役者に転向した初のシリーズ『Hawaii』は打ち切られたが、06年より『Numb3rs』のFBI捜査官役で活躍中。下積みをした自信もさることながら、逞しさはダンサーゆえ? 久し振りに会った親友に語るかのように、スミカはテレビ業界を語る。

『Numb3rs』のリズ・ワーナー役、おめでとうございます。

ドンの相手役オーディションは、満足ゆく演技ではなかったのに、3話契約。ドンとの関係は終わりましたが、レギュラーに残れました。デンバー転勤話が織り込まれた時は、びくびくもの。今のところ、無事です(笑)。エップス家の男性3人が主人公なので、助演キャラには余り触れませんが、レギュラーになった時、プロデューサーと相談した結果、アメリカ・インディアンと白人のハーフになりそうです。インディアンって、日本と似通った文化なので楽しみです。

『Hawaii』の刑事役体験は役に立っていますか?

S:武器の使い方、射撃体験がね(笑)。ドアを蹴飛ばしたり、犯人追跡したり、アクションが楽しくて! 『Numb3rs』のアクション指導の先生が、格闘技に長けているので、出番ではなくても常に研究しています。

『Hawaii』の体験を聞かせてください。

S:ケリー・ヒロユキ・タガワが手取り足取り指導してくださいました。映像はキレイでしたが、ハワイを数カ月体験した白人が描いた違和感は否めません。カラーが決まる前に切られたのは、心残りです。

私も映画『SAYURI』で、ケリー・タガワに随分学びました。

S:あの映画に出たくて、どれだけ憧れたことか! あれも映像はキレイでしたね。母と一緒に観ましたが、我々日本人には奇妙としか…(笑)。

米国育ちでも、日本人だと意識しておられますか?

S:日本の何もかもが新鮮で、同時に懐かしい…。女性には将来がないと見切りを付けた新1世の母と違い、嫌な体験をしていない分、日本人だと言い切れます。年に3カ月は日本で暮らすのが夢です。その前に日本語を勉強しないとね! いつか日本語でインタビューできるようにします、絶対、約束!

バレエから俳優への転向は?

S:ダンスの基本がバレエだと思って選びましたが、子供の頃、芝居やミュージカルにも出ていたので、ジュリアードで演劇を選択したら面白くて。NYでCMに出る傍ら、演劇の勉強をしてLAに。マネージャーの紹介で、『Hawaii』に抜擢されました。トントン拍子のようですが、胡散臭い人にも出会ったし、下積みはしっかりやりました!

アジア系俳優にやっと陽が射した感がありますが?

S:まだまだ、厳しいですよ。身を以て成功への道を示す母に育てられたので、ハーフだから、アジア系だからと諦めません。偏見や差別は体験しましたが、「Yes we can」魂は捨てないし。『Hawaii』も『Numb3rs』も、キャラクターの人種が明示されていない台本でした。創作者の波長に合えば、人種は後から…というパターンが増えているから、少しずつ改善されています。

[業界コボレ話]
昨年エミー賞の最優秀ドラマ候補に挙がった『Damages』シーズン2の3話までを観たが、相変わらず面白い。昨年と違って、グレン・クローズが演じるパティーと、パティーに利用され、婚約者まで失った新米エレン(ローズ・バーン)の立場が大逆転した。1話ごとに「凄い!」と唸ってしまう。この作品が日本で受けなかったのは、放送局の怠慢としか説明のしようがない。
 
Foxから届いたのは、『Dollhouse』の小包。主人公の名前入りの箱に何の変哲もない、木彫りの人形が入っていた。目的に応じ、性格や履歴書をダウンロードして貸し出すサイボーグの物語で、コンセプトは斬新。前評判が先走りした『Fringe』と違い、パイロットを観たので、オススメしても良いかな?

プロデューサー リーナ・ミムーン

つらかった20代を描くのが大好き!

Rina Mimoun
LA出身。劇作家を目指していたが、初仕事はプロデューサーのアシスタント。
 
『Dawson’s Creek』で、バーランティと肩を並べて働き、才能を認められて、バーランティ創作の『Everwood』に引き抜かれた。バーランティ多忙時、ピンチヒッターとして制作を任されて昇進。同作終了後、ワーナーのお抱えとして、『Pushing Daisies』に関与。2008年秋には、『Privileged』を創作、制作総指揮者として活躍中。
 
テレビっ子の希望の星として君臨。

グレッグ・バーランティの愛弟子から、今や売れっ子プロデューサーに成長したリーナ・ミムーン。最新作『Privileged』は、『How to Teach Filthy Rich Girls』を基に、テレビへの熱い想いを込めて制作。テレビっ子の憧れの的ミムーンに、成功への道を尋ねた。

シーズン1は何話ですか?

ミムーン(以下M):18話です。尻すぼみにならないよう、来秋まで引っ張れる盛り上がりを入れようと思います。12話までは、人物紹介で手一杯でしたが、後半に入ってメーガンやウィルの家族等、新しいキャラを紹介して、世界を広げました。

『Friday Night Lights(FNL)』の崇拝者で、メーガンの母親役をコニー・ブリットンに…と、ひたすら念じておられるとか?

M:『FNL』の本数が減ったと聞いていましたが、オースティンで撮影中だったので、諦めざるを得ませんでした。私たち『FNL』狂はNBCでの再開まで耐えるしかないわね!

昨夏お会いした時、テレビへの熱い想いが伝わってきて、ワクワクしました。

M:テレビ好きが昂じてね(笑)。高校時代に、スタッフライター応募時に出すサンプルのように、『Mad About You』『Friends』等の台本を書き始めたのが最初かしら? 私ならもっと面白い話を書ける! と(笑)。自慢じゃないけど、未だ誰にも負けないテレビ狂よ!

業界へはいかに?

M:初仕事はアシスタント。プロデューサーに「一旦、タイプが早いと知れ渡ったら、ほかの才能が色褪せる」と言われ、事務能力はほどほどに(笑)。放送作家たちが、エージェントを紹介してくれました。

3年振りにバーランティ氏にインタビューしたら、「作品が地味なので、ファンはありがたい」とおっしゃっていました。

M:特にCWの作品は、ファンが神様! 私たちの書く作品はニッチ番組ですから(笑)。

「テレビは観ない」と言われるとグサリ! とくる私には、まばゆいばかり! 憧れます。

M:私もよく刺されるけど、「なぜ観ないの?」って聞き返すの。テレビは、世の中でどんなことが許容範囲に入ったかを知る試金石。米国の集団意識と言っても良いのではないかしら? 放送翌日「昨日、観た?」で会話が始まり、「私なら、あんなこと絶対にしない!」なんて意見交換から対話が始まるでしょ?

原作のメーガンとは違いますね? 家族と疎遠になって大学へ逃げたメーガンが、いつも楽観的なのはなぜですか?

M:あえて明るい材料に焦点を合わせるか、暗い材料にこだわって、落ち込むかの選択。「臭い物に蓋をする」ように避けて、過去を否定しているメーガンも、いずれは直面しないとね。青春時代を謳歌する人が多いけれど、私はとにかく暗中模索の20代はつらかったわ。大学を卒業する頃には、人生設計があって、何もかも完璧にできると信じていたのに、何もわからないし、満足にできない、ストレスだらけの毎日。自己中心に世界が回っているから、何もかもがドラマチックで、些細なことで世も終わり! と感じる時期なのだと、青春真っ只中の視聴者に読み取ってほしいです。

[業界コボレ話]
11月末に、番組の打ち切りが相次いだ。なぜ今なのか?
 
今まで続いたことが謎の『Dirty Sexy Money』は納得したが、視聴率の伸び悩みを理由に、昨年の話題作『Pushing Daisies』と、21世紀の預言者を描いた秀作『Eli Stone』の打ち切りには不平不満を言いたい。放送日を変えた上で、葬り去られたのは『Lipstick Jungle』。例によって、尻切れトンボか、うやむやにされる可能性が高い。連続番組は観たくない視聴者が後を絶たないわけだ。運命が決まってから、DVDで観るという手もあるが…。
 
観ない→視聴率低迷→打ち切りが方程式だが、すぐに闇に葬るから「連続モノは遠慮しちゃう!」と敬遠する視聴者の気持ちが、なぜ理解できないのか?

俳優/作曲家 マリアンヌ・ジャン・バプティースト

視聴者に任せるドラマが好き

Marianne Jean-Baptiste
ロンドン出身。王立演劇アカデミー卒。
96年、映画『Secrets & Lies』でアカデミー助演女優賞候補となり、脚光を浴びた。90年代はヨーロッパの舞台、映画、テレビで活躍したが、2001年以降、映画『The Cell』『28 Days』『Spy Game』や、テレビ映画『Silent Hearts』『A Murder of Crows』、ミニシリーズ『The Wedding』などに出演。
02年よりLAに本拠地を移し、『Without a Trace』のジョンソンFBI捜査官として活躍中。

燻し銀のような深い味わいある演技を見せてくれるマリアンヌ・ジャン・バプティースト。方言指導なしで、NY訛りをマスターしたのは、作曲家の耳の賜物。今夏、自作の短編を撮影し、『Without a Trace』(以下『WAT』)の監督にも挑戦。感性豊かな元舞台俳優に聞いた。

映画で大成功を収められたのに、LAで制作されるテレビシリーズ出演を決心されたのは?

ジャン・バプティースト(以下JB):子供は落ち着いた生活ができるし、私は仕事ができるので一石二鳥。『WAT』は、死体から始まらないこと、犯人捜査が趣旨ではないのが特徴。ほかの犯罪捜査ドラマと違って、「ハッピーエンドの可能性=微かでも希望がある」ことと、捜査過程で失踪者の生きざまを垣間見る人間ドラマという点が、気に入りました。

エログロが出て来ないので安心して観られます。

JB:女性の胸は御法度で、首が吹っ飛んだりするのは良いって、どういう基準なのかしら?ほかの番組では最近、ますますエスカレートしてますね。

捜査官の私生活も見え隠れするのが好きなのに、シーズン6はサマンサの妊娠だけでしたね?

JB:先シーズン、キャストが薄っぺらになってしまったので、肉付けしてほしいです。犯罪捜査ドラマは1話完結型と見なされるので、私的な伏線を盛り込むと、売りづらくなるのかしら? 好奇心をくすぐる人間が捜査するから面白いんですよね? 私の役も始まった当初は、次々と苦い体験をしました。手術も体験したり、家族も時々出てきたのですが…。

『Wanted』という逸話を監督されたと伺いました。

JB:舞台出身なので、チームの一員として、創作に参加するのが基本姿勢でした。未知の世界でしたが、夏に自作を監督して練習しました。後から編集できない舞台と違って、テレビは編集で完璧にするので、カットの選択等、最終決定権を行使する醍醐味を味わいました。

NY訛りの方言指導を受けられたのですか?

JB:独学です。米語、特にNY訛りはとても楽しい挑戦です。ゲストがNY出身だと、微妙な違いが聞き取れるようになって、気が引き締まるの(笑)。

役者になろうと思われたのは?

JB:法学科に進むつもりでしたが、バンドで1年ツアーして、ロンドンの小劇場で何度か芝居をして決心。王立演劇アカデミーを受けたら、通ってしまって。入ってから、競争率に気付きました(笑)。卒業1カ月前に役が付いて、順調にここまで。

将来は、どんな役を?

JB:舞台ではおどけた役が多かったのに、10年余りドラマ漬け。コメディーに戻れないかしら? それから、悪魔の申し子みたいな役をしたいです。

お好きな番組は?

JB:『Weeds』と『Mad Men』が好きです。友達がゲスト出演したので、久々に『ER』を観ました。15年で随分変わりましたが、テレビを変えた画期的作品です。医療用語が解らないのに、視聴者は諦めなかったでしょ? 基準を高くして、「理解したいなら、勉強しなさい!」と、視聴者に付いて来るかどうかを任せるドラマが好きです。

[業界コボレ話]
Samantha Who?』のセットに招待された。日本人3人、和気あいあいの取材。日本ではグループインタビューの場合、誰が何を聞くか、更に質問する順番まで決めるそうだ。
 
世界中から記者が集まるジャンケットは、1グループに20人ほど詰め込まれるので、生き馬の目を抜くようなインタビューになる。気弱な人向きではない。タレントの話の腰を折るなど朝飯前。面の皮の厚い人の勝ちだ。
 
昨年、オーストラリアの女性が、LA在住の記者数人から「今度、下らない質問したら、主催局に言い付けるぞ!」と脅される現場を目撃した。LA在住の人間はいつでもセット訪問したり、インタビューできる。遠路遥々やって来る人たちに譲るのが筋では?

俳優 ポール・エーデルスタイン

真の芝居好きが集まるシカゴで修業

Paul Adelstine
シカゴ出身。英文科を主席で卒業した後、ジョン・キューザックのNew Crime Productionsで舞台経験を積む。キューザック主演の『The Grifters』で映画デビュー。
 
90年代『Cupid』『ER』『Without a Trace』『Scrubs』などにゲスト出演。2005年『Memoirs of a Geisha』に出演後、『Prison Break』に抜擢された。
 
昨年の話題作『Private Practice』の小児科医役で活躍中。06年、『Gilmore Girls』のパリス役を演じた個性派女優ライザ・ウィールと結婚。

ポール・エーデルスタインとの初対面は『Memoirs of a Geisha』の撮影現場。その後の活躍は目を見張るものがある。『Prison Break』の冷血漢は殺されてしまったが、主演のウェントワース・ミラーに「蘇らせたいキャラクター」と言わしめた。『Private Practice』では、小児科医に変身。女優ライザ・ウィールとの結婚も吉報だ。

私が応援する俳優さん同士が結婚するなんて、感激! 今、公私共、最高潮ですね!

エーデルスタイン(以下A):ライザがよろしくと。ライトハウスのインタビューがとても楽しかったそうです。ストや業界の現状を考えると、仕事にありつけるだけでもありがたいです(笑)。『Prison…』のケラーマンが殺されて、どうしよう? と思っていた矢先、『Private…』の面接が転がり込んで、1週間後には決まりました。
 
小児科医のクーパーは、ケラーマンから180度転換ですね?
A:邪魔者は情け容赦なく消す極悪人でしたが、素顔が見え隠れするケラーマン。視聴者受けなどお構いなしに演じられた楽しい役でした。どの役にも必ず自分との共通点があるものですが、クーパーに近いと悟った点では、冷血漢からの180度転換は貴重な体験と言えます。でも、役作りは結構難しくて…。

シーズン1から最も成長が顕著な役ではないでしょうか?

A:クーパーは、インターネットで出会った得体の知れない女性とデートして、危ない橋を渡っていましたからね。医者という社会的地位と私的行動のギャップが誰よりも大きくて、成長したように見えるのでは?

相手が事務局長シャーロットとは意外でした。

A:人間ドラマが得意な創作者のライムズは、不似合いな人間をくっつけて観察するのが常套手段なので、このコンビになったのでしょう。傷付くのが恐いから、仕事に逃げていたシャーロットとクーパー。殻を破ったらどうなるか楽しみです。

『Grey’s Anatomy’s』は、まともに観られないシーンが急に増えて食傷気味ですが、『Private…』はまだ安心です。

A:どうしたら良いか解らない難問に、さまざまな意見や観点を提示して、視聴者に考えてもらうのが趣旨ですから、目を背けるシーンは押さえないとね。

俳優になろう! と思われたのは?

A:小さい頃から音楽や芝居に興味があり、20歳の時にひょんなことからジョン・キューザックの劇団に行ってやみつきに。大学を1年休学して、2本芝居をやりました。芝居で食べて行けるかが不安で、結局、卒業証書を手にしてから、劇団に舞い戻って5年。シカゴでCMや映画の端役をやって、オーディションでLAに来るようになりました。出稼ぎを6年して、LAに越して4年足らずです。

シカゴは芝居を学ぶには、素晴らしい環境と聞いています。

A:NYのような過当競争はないし、LAみたいに狂気の沙汰(笑)ではない。洗練されている上、サークルが小さく温かい環境です。スターになるのが目的ではなく、真の芝居好きが集まって来ます。舞台経験を積みながら、生活したい人には最高ですよ。オススメします。

[業界コボレ話]
オバマ大統領に決まり、「この国は変わるんだ!」ムード。イラク攻撃を弁護できず、里帰りの度に責められて、肩身が狭かった私の喜びは殊更だ。同時に、この国の健全さに新たに感激した。
 
ブッシュ現政権の不始末を批判する映画『W.』を選挙前に公開できるのも健全さの証拠。ブッシュの取り巻き3人(誰かはご想像に任せる)に底知れぬ恐さを覚え、ワシントン総入れ替えの必要性を再確認。
 
ニュースを観ない私は、ティーナ・フェイが茶化して初めて、恐~い副大統領候補を観た。何と、政治風刺劇は、ほとんどがペイリンの発言をそっくりそのまま。候補者や政治家の「地」をお茶の間で見極められるようになったことも、オバマ勝利に繋がったのかも。

脚本家/プロデューサー ジョーザン・マクギボン&サラ・パリオット

1+1=3にも4にもなる
コンビ脚本家/プロデューサー
ジョーザン・マクギボン&サラ・パリオット

Josann McGibbon & Sara Parriott
マクギボンは劇作家を目指し、パリオットは美術を専攻。出会いは出版業界の上下関係だったが、意気投合して2人で脚本を執筆するようになって20年余り。
脚本家コンビの代表作は、『Runaway Bride』『The Favor』『Chicken Little』などで、2007年の夏に放送された、『The Starter Wife』ミニシリーズをUSA局から依頼されてテレビ制作を初体験。バツイチ体験を活かしてユーモアを盛り込む親友コンビは、引き続きシリーズの執筆/制作で活躍中。

『The Starter Wife』ミニシリーズから継続して、シリーズの脚本から編集までこなすジョーザン・マクギボンとサラ・パリオット。コンビを組んで20年余りのベテランは、自らのバツイチ体験を基に、離婚と再出発を遮る厳しい現実を描く。

シリーズは別れた夫といかに子育てするかが中心ですか?

マクギボン(以下M):第1話から、ジェイダンにブラックベリーを持たせるかどうかでモリーとケニーが衝突したのが良い例。子育ては女の仕事だと一任されていたのに、別れた途端、目の届かない所で男が子育てに参加することになる(笑)。夫婦だった時以上に、親として団結しないといけなくなる。永遠に見えない糸でつながっている厳しい現実を描きたかったの。
女性も好きな仕事で自立できる時代。バツイチとしては結婚=荷物を背負うように思います。
パリオット(以下P):女性が出世すると特に大変よね。モリーの成功を受け止められる男性がいるのか? いたとして、もし大黒柱になったら、恋や結婚にどのような影響が出るのかが課題だと思うの。今シーズンは、出世の荒波をモリーがどう乗り切るかを描きました。自立できたら、男は不要!?(笑)。

離婚は新しい自分を発見する好機だと思いますが…

P:白紙に戻すのが新たな旅路の第1歩。長年の癖や習慣に逆らって、未知の世界に踏み出すわけだから、自制力がないとすぐに元の木阿弥。意識して行動するのが鍵かしら?
M:新たな旅路に、恋は逃げ道か寄り道でしかないと、モリーはサムとの体験から学んだので、まず「男断ち」します。

お2人は制作も担当しておられるのですね?

M:最初はキャスティングが面白くて、やみつきになるかと思ったけど、待ち時間も長いし、1日中籠っているのも退屈だし、もう卒業! 今は、音楽と映像を合わせるのが楽しくて。
P:何から何までやっていますが、編集は撮影後の創作過程なので、力が入っちゃう。脚本を書いた時に気が付かなかったところを修正できるし。

脚本家/放送作家になられた動機は?

M:劇作家を目指していましたが、UCLAの英文科在学中に、切り替えました。出版、広告業界にもいましたが、「書く」ことが好きだったので、サラと親友になってから、この仕事をするようになりました。
P:私は美術学校卒で、本のイラストから始めて、随筆を書くように。次は何をしようかな?と考えていたら、テレビ業界が長い兄が、脚本を書けと色々と指導してくれました。技術のみでなく、諸々を教えてくれたし、何度か放送作家として雇ってくれました。私の書いた本の映画化権を売る際に、エージェントを見つけました。

共作って、楽しそうですね?

M:良いことも、悪いことも、2人で分かち合えるから楽よ!
P:もう20年余り共作しています。絶対に味方になってくれる人がいると、安心して仕事ができるし、問題が起きたら慰めたり、励まし合ったりできるし。何かを生み出す時は、1人より2人の方が絶対に良いわ! 1+1が3にも4にもなるもの。

[業界コボレ話]
根強い『ビバヒル』ファンはLAにもいて、オススメ新番組に『90210』が入っていないと指摘された。今秋は新番組が少なく、プレミアと2話まで観たが、主人公に抜擢されたシェネイ・グライムズとジェシカ・ストループが良い。特にストループは有望株だと思うが、同局の『Gossip Girl』同様、ティーン向けの夜メロには興味がないので、『90210』は放棄した。中学生がお手本にしていると聞いたが、良いのかな…。
 
『Privileged』の方がずっと爽やかで、楽しい。メーガンがお茶目で可愛いし、富と権力に惑わされない芯の強さが良い。悪いことをすれば、必ずツケが回って来るという内容は、大人にしか受けないのか? ロマンチック・コメディーを楽しみにしているのは私だけ?

プロデューサー/俳優 グレッグ・エヴィガン

アイドルを卒業して制作を目指す

Greg Evigan
両親共に、音楽界のプロ。幼い頃から歌って踊れる芸人になる訓練を受けた。高校卒業直後にブロードウェイで『Grease』等の主役を演じ、運試しにハリウッドに。プロデューサーのノーマン・リアーに見込まれ、『A Year at the Top』でティーンアイドルに。『B.J. & the Bear』『My Two Dads』等、13本のシリーズに出演。
最近は『Reba』『Desperate Housewives」等にゲスト出演。SciFi局の『Phantom Racer』を企画、制作、主演の予定。

80年代後半、『My Two Dads』で毎週グレッグ・エヴィガンを観ていたが、最近はゲスト出演でしか見かけなくなった。TV映画のプロモーションに駆け付けたエヴィガンは、能ある鷹は爪を隠すを地で行く、ダンディーで気さくな人だった。

『Desperate Housewives』のイーディーの元夫がレギュラーにならなくて残念無念!

エヴィガン(以下E):パーティー中に電話があり、夜台詞がファックスされてきて、翌日撮影して終わりでした。人気番組なので、出番が増えたら良いなと思ったのですが…(笑)。

テレビ映画は久しぶりでは?

E:配役担当者から、出演依頼がありました。以前仕事をしたプロデューサーなので、トントン拍子に決まりました。西部劇は初めてだし、たまには悪役も面白いし! 続編でトムの過去を探ろうという話があるので、肉付けしたいですね。

17歳から『Jesus Christ Superstar』や『Grease』の主役を務められましたが、ミュージカルを目指して?

E:母がピアニストで、子供の頃からクラシックを叩き込まれました。音楽で食べて行こう!と決めたわけではなく、友達に誘われて『Jesus…』のオーディションを受けました。主役に抜擢されて運命激変! テレビ界でも機会があれば作詞作曲したり、主題歌を歌ったりしてます。

テレビ界に移られたのは?

E:『Grease』の契約が切れた時点で、ハリウッドに運試しに。『A Year at the Top』に抜擢されて、やみつきになって居着いたと言う方が正確かな?(笑)。

ティーン・アイドルとしてデビューされたとか?『

E:『A Year…』は、音楽と映像がうまく調和した作品でした。放送に漕ぎ着けるまでが大変でしたが、若かったし、暢気な性格なのでビーチを満喫しました(笑)。休み中にエージェントを見つけて喜んだのも束の間。仕事にあぶれて、故郷に帰ろうと荷造りまでしました。これで最後と言われて行ったオーディションで、プロデューサーが即決してくれたのが『B.J. & the Bear』。チンパンジー相手の役でしたが(笑)。

My Two Dads』は、2人の独身男が娘かもしれない女の子を育てる物語でしたが、今ならDNA判定ができるから、企画は通りませんね?

E:正にその逸話がありました。マイケルもジョーイも情が移っているので、結果を見ずに父親役を続けようと決めます。当時スタッフライターだったチャック・ローリーの『Two and a Half Men』は、同一企画!

今も作詞作曲を?

E:脚本を書くようになりました。SciFi局で放送される『Phantom Racer』は、脚本から主演まで自作自演の処女作になります。

最近、映画人がテレビに出るようになりましたね?

E:集客力のある映画スターの数が減ったからでしょう。興行収入を見込めないと映画を作らないので、ベテランや大物でも独立系映画に出るしかありません。最近、独立系はただ働き同然なので、ギャラが良く、知名度が高いと制作にも発言権があり、自由に秀作を作れるテレビに流れて来るのでしょう。

[業界コボレ話]
デジタル時代の若者は実に排他的!里帰り便の隣りの席の少年は完全に自分の世界に浸り、時々、周囲から音が聞こえ、同じ時空に他人が存在しているとは認めない。お先真っ暗!
 
LAに戻る直前に、子供にストリートダンスを教える傍ら、ウエイトレスで生計を立てる23歳の慧未(えみ)さんに会った。色々と無理な注文をした私たちだが、接客態度は満点以上。人の目もまともに見ないデジタル・オタクに爪の垢を煎じて飲ませたい。好きなことを極めている人、生きることが楽しくて仕方がない人は、輝くものだ。
 
2年連続エミー賞を受賞した『30 Rock』のティーナ・フェイではないが、こんな素敵なお嬢さんを育てたお母さんの顔が見たい!と思った。

制作総指揮 グレッグ・バーランティ

人間の悲しい性(さが)を描く地味な作品

Greg Berlanti
『Dawson’s Creek』のライターとして業界入り。弱冠30歳でお抱えプロデューサーとなり、WBの看板番組『Everwood』(2002-06)を創作、『Jack & Bobby』(04-05)で評論家の注目を浴びた。
06年Touchstone Televisionに移籍、ABCの番組のコンサルタントを務めたが、『Eli Stone』をプロデューサーのグーゲンハイムと共作、今夏から本作のみに従事。
10年公開予定の映画『Green Lantern』を執筆、監督もする予定。

業界の「希望の星」として8年前にデビューしたグレッグ・バーランティは、低視聴率のABCの番組のコンサルタントに駆り出されて、軌道修正に成功。『Brothers & Sisters(B&S)』でエミー賞を受賞したサリー・フィールドから名指しで感謝されたほど。今や押しも押されもせぬプロデューサーは、最新のオリジナル作『Eli Stone』で生きる意味を問いかける。
 
Photo: © ABC/Karen Neal

3年前にインタビュー第1号になっていただきましたが、その後ますますのご活躍ですね?

バーランティ(以下B):WB局の『Everwood』が打ち切られて、ABCに移りました。上司とライターに恵まれて、楽しく働いています。『B&S』は3週間の約束でしたが解放してもらえず、『Dirty Sexy Money』も任され、新番組『Eli Stone』の3本を股に掛けて大忙し!

3本同時!? 神業ですね!

B:自作以外は、軌道に乗るまでの雇われ社長みたいなもの。新番組創作過程が好きなので、当分『Eli Stone』に専念します。

お抱えになると、1年に何本という契約ですか?

B:ほかに何も関わっていなければ、年1本が義務です。自分の番組ではないけれど、手伝っている場合は、創作の義務はありませんが、ついつい手が出てしまって(笑)。

でも、数年経つと新番組を創作したくなるのが放送作家では?

B:最後まで見届けるんだ! という人もいますが、私はある程度土台が固まった時点で落ち着かなくなりますね。『The Sopranos』のデビッド・チェースはあれ以来何も書いていません。1本だけ秀作を書くというのも手だと思いますが、アイデアがどんどん湧いてくるので、フタをしておけない、映像にして発表したくなるクチ(笑)。

『Eli Stone』は?

B:人生の岐路に立った30代の青年を描きたかったのと、昔、予言者の再来を映画の企画として練ったことがあったので、2つの要素を合わせました。この国では、生死は宗教的討論になりがちですが、死に直面して初めて生きることを学ぶ人間の悲しい性、科学では説明のつかない体験から何を学ぶかを、宗教とは無関係に描きたいと思いました。人生の意味を紐解く奥深い作品を目指しています。

シーズン1は13話でしたが、シーズン2は?

B:同じく13話です。6月に書き始めて、7月中旬から撮影を開始しました。シーズン1はイーライの幻覚症状が仕事にどのような影響を及ぼすかと、周囲の人間の反応を描きました。最終話で自分の未来像を見たイーライは、やっと予言者だと認めたので、今シーズンはさらに広がる波紋を描く予定です。

「灯台」を探している時に、巨匠ノーマン・リアーとの出逢いがあったそうですね?

B:『Jack & Bobby』のファンだと電話をもらって以来、航路を照らし出してくださいます。

私は『Everwood』『Jack & Bobby』と『Eli Stone』から学んだことを、灯台にさせていただいています。

B:私の作品は、圧倒的人気を誇る番組ではありません。地味なので、ファンは少ないと思いますが、そう言っていただくとうれしいです。励みになります。

[業界コボレ話]
エミー賞授賞式会場に到着し、スターを探してレッドカーペット外側を歩いていたら、守衛に追い立てられ劇場に押し込まれて、一巻の終わり! えーっ!?
 
円形舞台と番組ごとの座席が廃止され、私の席から誰も見えない。「録画で観るの?」と諦めの境地。とほほ。
 
ただし予想が当たったし、外れても、私が入れ込んでいた作品や俳優が受賞したので、大満足。例年、エミー賞とTCA賞は大きく異なるが、今年はいずれの団体も『Mad Men』『30 Rock』『John Adams』を秀作と認めた。
 
主演女優賞受賞のグレン・クローズ。「デキル女」が主人公になれることを実証した他の候補者にも敬意を表して、私の「デキル女全盛期説」を証明! 熟女主演の番組ブームの続行を祈って。

俳優/監督/プロデューサー トニー・ダウ

「これだ!」と直感すると信じて

Tony Dow
西部劇のスタントを母に、建築家を父に持つ生粋のハリウッドっ子。飛び込みの子供チャンピオンだった。
 
12歳で『Leave It to Beaver』に抜擢され、1957~63年まで兄ウォリー役を演じる。『My Three Sons』『Dr. Kildare』など数々のゲスト出演後、70年代には映画/テレビ制作を学び、脚本執筆や監督、プロデューサー、映像効果などで活躍。2003年、映画『Dickie Roberts: Former Child Star』に出演したほか、土地開発や彫刻家としても活躍。

昨年、制作50周年を迎えたテレビの古典『Leave It to Beaver』。1963年の制作完了以来、間断なく放映されるこの番組に、弱冠12歳で抜擢されたトニー・ダウ。ビーバーちゃんのやさしいお兄さんウォリーを演じて、50年代のアイドル的存在だったダウに尋ねた。

俳優志望だったのですか?

ダウ(以下D):通っていた水泳教室の監視員に頼まれて、ある番組の親子のオーディションを受けました。泳ぐシーンが多かったので、私だけ受かってしまいました。数本パイロットに出た後、降って湧いた『Leave It to Beaver』。素人っぽさが受けたのか抜擢されました(笑)。

母親役のバーバラ・ビリンスリーは躾もしてくれたとか?

D:親から教えてもらえなかったことや大人との接し方を、バーバラとヒュー(父親役)から学びました。バーバラとは今でも行き来する仲です。ビーバー役のジェリーとも、ずっと一緒に仕事をしてきました。

将来の計画がありましたか?

D:子役から俳優になるのがこれほど大変だとは思いませんでした。経験を積むにつれて、監督の仕事に興味が湧き、「創造力を活かせる仕事をしたい!」と思いました。「これだ!」と直感すると信じて、この歳に(笑)。テレビの監督はCFはやらないとか、ドラマとコメディーの線を越えないなど、杓子定規な考えですが、創造力を活かせるのなら何でも来い! 芝居、CF、『Coach』のような伝統的コメディー、ドラメディー、ドラマやドキュメンタリー、何でも手がけました。

お気に入りのフォーマットは?

D:時間をかけて制作できる連続ドラマが性に合います。脚本家やプロダクション・デザイナーと相談したり、カメラマンと構図を決めたり、各分野の担当者と番組作りができて楽しいので。30分のコメディーは脚本家が主役で、急かされて場面の処理で終わる感じです(笑)。

躁鬱病と闘うビデオ日誌を発表されたそうですが?

D:隠してもバレますから、躁鬱病と診断されたと公言しています。昔は精神的病いは人格の問題とか、気持ち次第で治ると誤解されていました。親は子供が怠けるための言い訳に使っていると思いがち。ビデオを観て誤解が解ければ幸いです。

芸能界はこの50年間にどう変わりましたか?

D:技術の進歩で洗練されましたが、内容は使い回しが多く、今ひとつ。コンテンツに演技力とテクノロジーが乗っかれば最高ですが、まだテクノロジーに振り回されている感じかな?

次期プロジェクトは?

D:不本意ながら、定年退職しました(笑)。業界にどっぷり浸かっていれば、友達の輪が広がりますが、年に4~5本制作ではそれほど広がりません。人気作家アニータ・シュリーヴの『The Last Time They Met』の映画化を考えていますが、今はサンタモニカのマンション建設の仕事を始めたところ。完成するまで、建設業に忙しくなります。

[業界コボレ話]
Disney Channelのミュージカル、『Camp Rock』のプレミア試写会兼インタビューにニューヨークまで出かけた。5月にオーランドで会ったジョナス・ブラザーズは、マイリー・サイラスの後釜を狙うポップロック・バンド。
卒倒する女の子が出たり、マンハッタンの交通渋滞を引き起こすほどの大騒ぎになったが、3兄弟はまだ純朴で熱狂ぶりが信じられない様子だった。
末っ子ニック(15歳)はオーランドの時より発言も多く、意外にビジネスに長けているよう。長男ケヴィン(20)はファンサービスに徹し、カリスマ性を見込まれ主役に抜擢されたジョー(18)は顔に似合わずコメディアン志望!
秋から始まるシリーズ『JONAS』が楽しみな、今をときめく3兄弟である。

衣装デザイナー キャサリン・ジェーン・ブライアント

芸者に夢中だった子供時代

Katherine Jane Bryant
テネシー州出身。幼い頃からファッションに興味を示し、8歳でサンドレスを縫製。ジョージア州立大学で美術、応用美術大学でファッション史を専攻し、主席で卒業後パリでも勉強。ニューヨークでは、ジョン・シェアーに弟子入りしてデザインを学ぶ。
90年代よりCFや映画を数々手がけ、LAに本拠地を移したが、テレビ『Big Apple』でNYに逆戻り。2004~06年に手がけた『Deadwood』でエミー賞受賞。現在『Mad Men』の衣装デザイナーとして活躍中。

『Mad Men』で、60年代ファッションを再現するキャサリン・ジェーン・ブライアント。『Deadwood』でヴィクトリア朝時代を再現しつつ、キャストの個性を引き出し、エミー賞を獲得。売れっ子デザイナーのブライアントにデザイン工程や芸能界を選んだ理由を尋ねた。

『Mad Men』の仕事はどういった経緯で?

ブライアント(以下B):シリーズ化が決まった時、パイロットの監督、アラン・テイラーから、創作者マシュー・ワイナーに推薦していただきました。

デザイナーの責任範囲は?

B:番組のカラーを決める責任者。主役から背景まで、すべてデザインし、衣装部主任がどの縫子に任せるか、ヴィンテージ購入か、レンタルかを決めます。エキストラ100人余りは、要点のみ伝えて部下に任せ、衣装合わせの写真を見て修正します。私は主役担当ですが、群像劇は出演者が多いので、微妙なニュアンスを伝えるのにひと苦労。

時代劇では、「歴史に忠実に」がモットーですか?

B:60年代の世界に視聴者を引き込むのに、衣装が当時と異なるわけにはいきません。とはいえ、現代人のフィルターがかかるし、セットデザイナーに「○色の衣装が欲しい」と言われると、要求を飲まなければなりませんから、常に歴史に忠実とは言えません。

女性のファッションは、随分変わりましたね?

B:ストッキングを履いてガードルで腰を細く、胸が前に突き出すように円錐形のブラを着けていました。円錐の形状は第2次世界大戦時の戦闘機の機首を真似たもの。ハリウッドのセックスシンボル、ジェーン・マンスフィールドやマリリン・モンローがぴったりしたセーターを着て人気爆発。

「デキル女」など、誰も想像しなかった時代ですね?

B:女性は観賞の対象でしかなかった頃。秘書ジョーンのように体型を活かして出世する時代だったので、タイトスカートや薄手の生地のドレスが主流。

デザインの工程は?

B:脚本を読み返す度に湧いてくるイメージを丁寧に記録して、図書館やWestern Costume社の資料室を使ってリサーチ。スケッチかコラージュで各キャラクターを描写し、色パレットを配分します。

8歳の頃から、手製の服を着ておられるそうですが、今でも?

B:最近は忙しくてそれどころでは。小さい頃は、アジア人女性が世界一キレイ! と憧れ、夢中で描いたのが芸者のスケッチばかり! 祖父は大恐慌の最中にソックス工場を作り、祖母は母の衣類を縫い、母も私たちの服を縫ってくれました。ミシンは子守りのお姉さんに教わりました。

芸能界と結び付いたのは?

B:パーティーで衣装デザイナーに会って「これだ!」と。役柄や過去、現在の気持ちを衣類で表現するのは奥が深いと思いました。時代劇は、専攻のファッション史が役立つ願ってもない仕事。でも、この業界はジプシー生活。時間は不規則、プロジェクトが終わったら仕事を探して流浪の旅に出るので、安定を求める人には向かないかも…。私はそこが大好き!(笑)

[業界コボレ話]
U-verseのキャンペーンで、主要ケーブル局が入るように。10月まで月39ドルと割安で、7月からケーブル局の新シーズンが観られるが、当座、再放送権を購入した地上波番組を観ている。
昔大好きだった番組の中で、最近、価値を再確認した『Providence』。LAで整形外科医として華やかな生活を送っていたシドニー・ハンセン(メリーナ・カナカレデス)が故郷プロビデンスに戻り、一家をまとめるべく大奮闘。年配の男性評論家に「甘ったるい」と言わせた本作は、リアルが売りの昨今のドラマに比べると、往年の家族ドラマっぽい。仕事に生きる姉と子育てに奮闘する妹の関係は、笑えて、ホロリとする「癒し」だ。FitTVのヨガ教室が入らなくなった代償なのか?

俳優 ミケーラ・コンリン

逃げ道がないことが活力に

Michaela Conlin
ペンシルベニア州出身。中国系とアイルランド系アメリカ人のハーフ。6歳から舞台に立ち、ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部で演劇を専攻。卒業後、ケーブル局のドキュメンタリー『The It Factor』に俳優の卵として出演。2001年、LAに本拠地を移し、『Law & Order』『The Division』『J.A.G.』等のゲスト出演を経て、『MDs』や『The DA』でレギュラー役を獲得。05年より『Bones』のアンジェラ役で活躍中の成長株。

170センチの長身もさることながら、アジア系には珍しい存在感のあるミケーラ・コンリン。『Bones』のアンジェラに注目する評論家も少なくない。舞台で培った演技力を持ってしても、LAが恐かったと告白するコンリンの芸能生活を聞いた。

お忙しい中、時間を割いていただいて…。

コンリン(以下C):スト中はヒマだったから、憧れの日本に行ってたの! 東京はニューヨークみたいだけど、治安が良いのね。レストランにバッグを置き忘れて、3時間ほどして戻ったのに、保管してくれていて、感激! 日本が大好きだから、日本語の雑誌と聞いて飛び付いたの。

アンジェラはブレナン博士の親友という設定ですが、母親みたいでは?

C:ブレナンは理性、アンジェラは心で動くので、陰陽かな? お互いに学ぶことがいっぱい。2人で1人前みたいな…(笑)。

パイロットの台本には、どう描かれていましたか?

C:3次元のコンピューター映像で犯行手口を再現する方法を編み出した「科学者の中の唯一のアーティスト」で、心理学をかじった毛色の違う法医学研究所員。「生きる」ことに好奇心旺盛、自由奔放な女。空港の係員に無視され、ブラウスをはだけて「ちょっと! 聞いてるの?」と、居直るシーンがオーディションだったの。局のお偉方の前でよ!(笑)

職場恋愛の末、ホッジンスと結婚するのかと思いましたが…。

C:意外な組み合わせの代表選手だから、前途多難ね。荒波を乗り越えられるかどうか…。私としてはくっついてほしいわ。

将来はどんな役をやりたいですか?

C:映画『Broadcast News』のジェーン、『Working Girl』のテスのような、底力のある女性が好き。出世も恋も家庭も手に入れたいけど、そうは問屋が卸さない的コメディーで、哀愁の漂ったものが良いわ。

子供の頃から舞台に立っておられたようですね?

C:芝居以外、何も興味が湧かなくて。6歳で「これだ!」と決めた親泣かせの子だったの。

住み慣れたニューヨークを離れたのは?

C:LAが恐かったけど、居心地の良い古巣にいても発展がないと思って。今だから言えるけど、LAではシリーズにレギュラー出演できるって、宝くじに当たった様なものなのね!

これまで1番苦労した役は?

C:ジェームス・ダフの『The DA』で演じた打算的な悪女。自分と違う性格を演じるのは面白いけど、心身共に疲れて大変だった。反対に、アンジェラは地でいける部分も多いし、人間として尊敬できる。でも、慣れっ子になると、成長のない薄っぺらな役になりがちだから、別の苦労があるの。

アジア系俳優のパイオニアとして、日本から来た俳優にひと言。

C:『Grey’s Anatomy』の貢献が大きいと思うわ。サンドラ・オーが演じる役は、固定観念になっていたアジア系の役じゃないもの。「役者をしたい!」と思った理由を忘れず、寄り道せずに、芸を磨くことかしら? 私は逃げ道がなかったことが、逆に活力になったと思うわ。

[業界コボレ話]
噂で聞いていたWe局の『Bridezillas』を観た。結婚式に異常な執念を燃やし、「完璧」を求める余り、新婦がゴジラに変身するリアリティー番組。
今も開いた口が塞がらない。式の準備は確かにストレス一杯だが、あそこまで醜い姿を曝け出して恥ずかしくないのか? あれだけ罵倒され、顎でこき使われ、新婦が怪獣になっても式を挙げる新郎の神経も疑う。私が新郎なら、本性見たり! と逃げ出している。
新郎が無関心なのは、式は新婦のものだから口出しできないから? どうせ押し切られると諦めているから?
人生の一大事を、穏やかに相談できない相手と末永く続くのだろうか? この番組で挙式した夫婦の何割が離婚したか、そんな統計…出すわけないか?

俳優 カイル・ハワード

高校で親を説き伏せ、進路をまっしぐら

Kyle Howard
コロラド州ラブランド出身。中学生で芝居に魅せられ、『Sound of Music』『The Unsinkable Molly Brown』などの舞台に立つ。新聞配達をして車を買い、休学してLAでオーディションのハシゴをした結果、映画『House Arrest』『Skeltons』に出演。TVデビューは『Chicago Hope』で、『Grosse Pointe』『Related」などで助演、『CSI』『Friends』『Nip/Tuck』のゲスト出演を経て、2006年より『My Boys』で活躍中。

『My Boys』で、「ワケあり」ボビーを演じるカイル・ハワード。一旦は断った役の意外な展開、芸能界入りの経緯を聞いた。やんちゃな遊び仲間的雰囲気の裏に、彼の信念が読み取れた。

おてんば娘のPJが仲間を犠牲にせず、恋愛できるか? がテーマの珍しい作品ですね?

ハワード(以下H):彼女は何度か恋人候補を連れて来ましたが、すんなりと仲間になれそうな男、尻尾を巻いて逃げ出した男など、色々ですね。確かに、恋人の兄弟に品定めされてるようなもの。それに、仲間と言ってるけれど、「PJが好きな奴がいるのでは?」と勘ぐるだろうし。創作者のベッツイー・トーマスの私的体験を元に書かれていて、登場人物は実在の友人。プロのコメディアンも出ているので、アドリブも多いし、台本を書く手伝いもしています。

ボビーも実在の人物ですか?

H:最初はトーマスの旦那のことかな? と思いましたが、段々違いが見えてきました。ボビーは完全に架空の人物です。

オーディションを受けて獲得した役ですか?

H:以前出演した『Run of the House』を手がけたトーマスから台本が送られて来ました。相手役タイプではないと断ったけれど、PJ役のスパイロと、息が合うかどうかだけのオーディションでした。決まってから、すぐにポーカー仲間に成り下がるから大丈夫と言われて(笑)。

ボビーがシカゴの名門の御曹司だったとは仰天しました!

H:僕も台本を読むまで知らなかったんですよ(笑)。最初から、秘密があるとだけ聞かされていました。ゲイ? フランス人?など、色々考えましたが、まさか御曹司とは!? サラリーマン軍団に、お金に困らない人間が入ると、力関係が微妙に変わりますから、今シーズンが楽しみ。

役者になろうと決めたのは?

H:中学2年生で、陸上か芝居かを迫られて。舞台に立ってからは、スポーツには見向きもしなくなりました。ミュージカルが多かったけど、歌唱力は若さで補ってね(笑)。

LAに越して来たのは?

H:オーディションのハシゴをして運試ししたいと母親を説き伏せたのが高校2年生。僕は休学、母は休職して、2人で乗り込みました。母には足を向けて寝られません。コーラのCFが初仕事で、2週間後には映画『House Arrest』に出演しました。映画はポシャりましたが、コネなしで勝ち取ったので、「夢を追いかける価値あり!」と、進路が固まった瞬間でした。一旦コロラドに戻り、18歳で本拠地をLAに移しました。

これまで最大のチャレンジは?

H:『Numb3rs』で爆弾魔の囚人を演じた時かな? いつものお茶目な役とは正反対の極悪人で、役作りに苦労しました。

いずれは放送作家を目指しておられるのですか?

H:親友と脚本を書いて、ABC Familyに企画を出しました。半年ほど前には、初めて短編を監督しました。創作や監督などに興味があります。

日本人俳優にアドバイスは?

H:米国まで来たということは、最初の1歩は踏み出しています。考えているだけでなく、行動に移してください。夢は大きいほど良いと思います。

[業界コボレ話]
テレビ芸術科学アカデミー(ATAS)で、テレビ番組の“お母さん”新旧11人を讃えるインタビューが開催された。
『ビーバーちゃん』のジューン・クリーバーは理想の母として、いまだに引き合いに出されるほど。バーバラ・ビリンズリーをひと目拝もうと参加したが、体調を崩して唯一欠席だった。
最後にビーバー役ジェリー・マザース、兄役のトニー・ダウ、『名犬ラッシー』で愛くるしいティミーを演じたジョン・プロヴォストなどが登場し、思い出話に花が咲いた。この時代の典型的アメリカの家庭に憧れたからこそ、今日の私があるので、感慨もひとしお。
『Two & a Half Men』や『Cold Case』のような、箸にも棒にもかからない母親の急増は、現実の反映か?

俳優 ジェイク・ウェバー

マルコヴィッチの名演技に魅せられて

Jake Weber
15歳までロンドンで育ったが、養子としてサンフランシスコに移住。バーモント州のMiddlebury Collegeで英文学と政治学専攻。ジュリアード学院で演劇を勉強し、舞台、映画『Meet Joe Black』『Dawn of the Dead』、テレビ『American Gothic』『Law & Order:Criminal Intent』など、数々のゲスト出演を経て、HBO『The Mind of the Married Man』にレギュラー出演した。現在は、『Medium』で主人公アリソンの夫、ジョー役で活躍中。

『Medium』で、アリソンの追体験や犯行現場からの呼び出しで叩き起こされたり、仕事を放り出して子供を迎えに行ったり、振り回されっぱなしの夫を演じるジェイク・ウェバー。理詰めのエンジニアが、あそこまで鷹揚で忍耐強く妻を支えられる謎を解き明かしてもらった。

今シーズンは夫婦とも失業中で、ジョーは「Mr. Mom」になってしまいましたね?

ウェバー(以下W):創作者グレン・ゴードン・キャロンは霊能者とエンジニアという、相容れない世界に住む夫婦に着想を得て本作を書き、いつも「これはラブストーリーだ!」って言い張っています(笑)。性別で役割を決めるのではなく、平等な夫婦。できる方が、家事や育児をやれば良いのでは?

おまけに、再就職できない、ローン滞納、親に借金など、これまでの幻想の世界とは趣が違いますね? アリソンは正義か報酬かの二者択一を迫られたし…。

W:アリソンの才能はさておき、キャロンは普通の主婦が遭遇するありとあらゆる問題を詰め込んで、リアルにしようと試みているようです。「生きる」現実の中で、夫婦の絆を試すのが意図ですから。

先シーズン、彼女が検事局で何をしているか暴かれ、デュボア家の土台が崩れて以来ですね。

W:社会では尋常でない言動を繰り返す主人公の私生活を覗くという語り口です。超能力を持つ主婦は、普通の家庭生活ができるのか、特殊能力は恵みか負担かを探ります。ジョーも乱射事件に巻き込まれ、トラウマを家庭に持ち帰ると、どんな波紋を投ずるかが描かれました。でも、必ず「希望の光」が差しているのが、キャロンの世界。

キャロンは天才ですね?

W:最近、離婚したにも関わらず、夫婦の理想を描いていますよね? 離婚したからこそ…かな? 『Moonlighting』のファンだったので、彼と仕事ができるのは役者冥利に尽きます。

今、テレビで理想の夫婦としてお手本にできるのは、『Friday Night Lights』のテイラー夫妻と、デュボア夫妻だけですね?

W:単細胞の集まりみたいな番組が多いから。複雑なジョー役を演じるのは、楽しいです。

いつ頃から役者を目指されたのですか?

W:大学時代、ナンパが目的で演劇の講座を選択しましたが、サム・シェパード作『True West』でジョン・マルコヴィッチの名演技を見た時に、役者になりたいと思いました。ジュリアードに願書を出したら、なぜか通ってしまって…(笑)。

何本かテレビ出演されましたが、本作はもう4年目?

W:毎回、仲間、環境、役を変えるのが楽しくて、役者になったのに、ジョーを演じてもう4年…。『Groundhog Day』の主人公になったような気分です。舞台は期間が限定されたプロジェクトですが、テレビのレギュラー出演は就職みたいで、なかなか慣れませんでした。扶養家族がいても、イタリアの陶器を気兼ねなく買える金銭的余裕はうれしいですが(笑)。

日本人俳優志望者にひと言お願いします。

W:業界に入るのは厳しいと思いますが、方程式も王道もありません。失敗の繰り返しかな?

[業界コボレ話]
来年2月からアナログ放送はアンテナのみでは使用できなくなる。デジタル化の犠牲となった商売を挙げるときりがないが、書籍の小売りはシーソーゲームのようで、予測がつかない。
Amazon.comやHalf.comの台頭で古本屋が姿を消し、古本屋巡りが趣味だった私もオンライン購入するようになった。しかし送料の値上がりで、1冊最低でも4ドル。先日、久々に近所の叩き売り店に行くと、何と1ドル均一に変身! 「1ドルでも結構!」と思う手垢の付いた本や図書館のお古が大多数で、近刊は少ない。それでもうれしい。こんな店が増えたら、ドットコムの死活問題になるのか? 大型書店はコーヒーを売るための図書館になってしまったが、倒産しないのはなぜ?

創作者/プロデューサー ドナルド・トッド

善悪の岐路に立った瞬間の二者択一

Donald Todd
自他共に認めるテレビっ子。大学で演劇を専攻したが、ブロードウェイはご免と、放送作家を目指してLAに。業界の使いっ走り、広報など、さまざまな地位を経て、『Twilight Zone』のリメイクを執筆して以来、『Alf』『Dave’s World』『Life As We Know It』など、主にコメディー作家として活躍。27歳で、ショーランナーとしても抜擢され、制作現場の経験を積む。『Ugly Betty』でWGA最優秀新番組賞を獲得後、昨秋より『Samantha Who?』で活躍中。

コメディーの古典『The Dick Van Dyke Show』に憧れて放送作家を目指したが、現実は大違いと笑うドナルド・トッド。ABCのお抱えプロデューサーとして発表したパイロットがポシャった体験を活かして、『Samantha Who?』を企画して大成功。苦い体験から得た番組作りの秘訣とは?

創作の経緯は?

トッド(以下T):セシリア・エイハーンの『P.S. I Love You』を読んだABCのお偉方が、番組創作を依頼。企画は通ったものの、エイハーンは放送作家ではないので、3日連続面接をして私に白羽の矢が立ちました。

クリスティーナをイメージして執筆を?

T:テレビ出演は蹴り続けていた喜劇の最高峰なので、キャスティングは無理かと。ですから台本が良いと受けてもらって、筆がスラスラ。セクシー美女なのに庶民的、天使と悪魔を厭味なく演じる類稀なる女優です。

記憶を失い人生を見直すサムですが、趣旨は自分探しですか?

T:白紙に戻ったわけで、何を書き込むか、何色に染めるかは日々の積み重ね次第。新しい人間に生まれ変わるのか? 行き着く先が決まっているから、行動は人となりの表現か? など、哲学的疑問が湧いてきます。テレビの使命は、答えを出すことではありません。特に、台詞に答えを盛り込むのは厳禁!

悲劇がない限り、人間は自分探しの旅には出ないものでは?

T:障壁に正面衝突した衝撃で後ずさりを強いられて、初めて反省するのが人間。人生のレールをまっしぐらに走っている人は、少々のことがあってもいち早く元に戻って旅を続けようとします。サムの場合、脳がショートして「善の回路」につながりましたが、「悪の回路」も残っていて、時々昔の言動が飛び出すので、善悪の岐路に立った瞬間の二者択一が最大の課題。

業界に入られたきっかけは?

T:放送作家が主人公の番組を観て、「楽しそう!」と感激したテレビっ子。暗くなる前に帰宅する主人公に憧れましたが、あれはファンタジーでしたね(笑)。テレビガイド誌の『Family Ties』の放送作家の記事を起爆剤に、大学卒業後LAに直行。使いっ走りで業界に入って書きまくり、エージェントに巡り会い、CBSの『Twilight Zone』のリメイクが初仕事でした。その後、ドラマ1年、コメディーに手を染めて15年です。

今はABCのお抱えですか?

T:放送中の作品傾向を分析して、斬新な企画を出す主義でしたが、立て続けにパイロットがポシャりまして(笑)。ABCの視聴者の性質とヒット作との互換性が大切で、流れに逆らっても無駄と悟りました。本作は、編成上前番組と後番組のスタイルや姿勢と類似していれば、視聴者を引き付けておけると判断。放送にこぎ着けるため、「プロデューサー脳」で考えました。

シリーズ創作を夢見る放送作家にひと言。

T:特に失敗作のテーマや内容、放送局/時間、裏番組等を分析すると良いでしょう。柳の下のドジョウ狙い、私的なこだわりで作品を書くのは無駄。忙しい現代人が「時間を割いても観たい!」と思わせる作品を書いてください。

[業界コボレ話]
秀作を持っているのに、依然として低視聴率に悩むNBCが08~09年のスケジュールを発表。苦肉の策は1年を通じて新番組を発表していくというもの。数年前、FOXが実施したが、半年も経たないうちに放棄した戦術だ。
『Friday Night Lights』や『Lipstick Jungle』の継続、『Monk』が09年夏にも予定されているのはうれしいが、『Medium』がまた日曜日に移動。視聴者を混乱させ、葬り去るつもりなのか?
パイロットを観るまでは何とも言えないが、新番組はどれもパッとしない。『Knight Rider』のリメイク、『クルーソー漂流記』のテレビ化、SF2本、ファンタジー2本、冒険モノ1本。『The Office』のスピンオフに歓喜しているファンはいると思うが、お先真っ暗!?

地上波局の戦略を披露

ストの後始末をどうする?

2月末にWGA(脚本家組合)のストが解決したのに、「私の好きな番組はいつ復帰するの?」とよく聞かれるので、3月中旬より順次始まった地上波局のストの後始末戦略をご紹介しよう。何がどうなったかさっぱり解らず、テレビ離れを決め込んでいた方に、07~08年シーズンの後半を観ていただきたい。最近は各局のHPで放送済み逸話を無料で観られるので、筋を忘れた方は再確認を。

3月中旬から再開されたコメディーは、中年女性の離婚後の生活を面白く描く『The New Adventures of Old Christine』と、昨秋始まったオタクが主役の『The Big Bang Theory』。CBSお得意の1話完結型の犯罪捜査モノ『Cold Case』と『Without a Trace』も再開されたが、最近事件1点張りで、キャストの私生活が描かれないのが残念だ。逆に天才数学者がFBI捜査官の兄に手を貸す、男3人が主役の『Numb3rs』は、益々私生活が盛り込まれるようになった。事件を練り出す方が大変なのかもしれない。私の大好きな『The Unit』の運命は未定。
 
CWでは『Reaper』が3月25日から再開され、シーズン2が決まった『Gossip Girl』が1カ月遅れで復帰し、シーズン1が幕を閉じる。

再開は4月から本格化 気になるあの番組は?

4月6日より、ケーブル局で大人気のミステリー『Monk』と、犯罪捜査モノ『Psyche』で、ヒット作のない日曜日を盛り上げる計画のNBC。木曜のコメディー時間帯は4月3日に『My Name is Earl』の延長逸話で始まり、10日からエミー賞最優秀コメディー賞受賞作『30 Rock』が復帰。残念ながら、『Lipstick Jungle』は風前の灯。『Friday Night Lights』と『Heroes』は今秋、シーズン3が再開される。やったー!
 
FOXの『Caterbury’s Law』は、早くも3月28日から金曜午後9時に移動した。ドル箱番組『House』は、4月28日より再開されるが、4話のみ。火曜日に『House』の前番組として放映されていた『Bones』は14日に復帰する。『24』は2009年1月まで放送しないはずだったが、間を置き過ぎて忘れられるのを懸念し、今秋2時間のつなぎ特番を放送すると発表があった。
 
ABCは1月31日にシーズン4が始まった『Lost』以外、ほとんどの番組が4月から再開される。ただし、木曜日午後8時枠には『Ugly Betty』が復帰するため、『Lost』は4月24日から午後10時に移る。コメディー低迷の中でひと際輝く『Samantha Who?』は7日、『Boston Legal』のシーズン4後半6話は8日から再開。シーズン4前半を竜巻で劇的に締めくくった『Desperate Housewives』は、13日から再開されるので、お楽しみに! 『Ugly Betty』はアマンダの父親が誰なのか? 家長を失ったミード一族の運命は? を明かす後半に期待が寄せられる。シーズン3後半から4前半までメレディスとデレクの優柔不断に完全にだれてしまった『Grey’s Anatomy』は24日に復帰。『Grey’s Anatomy』のスピンオフとして鳴り物入りで登場した『Private Practice』、ほろ苦いお菓子のようなファンタジー捜査モノ『Pushing Daisies』、金持ちにだって悩みはある! が主題(?)の『Dirty Sexy Money』の3新作は、今秋まで復帰しない。秀作『Eli Stone』に未来はなさそう…?
 
打ち切りが公表されたのは、『Viva Laughlin』『Cavemen』『Journeyman』『K’ville』とわずかで、ストのどさくさ紛れにうやむやに闇に葬られそうなのは『Bionic Woman』『Big Shots』『Cashmere Mafia』等。波瀾万丈の07~08年シーズン後半だが、ストのお陰でじっくり考える時間があり、作品の方向性を見直したという創作者もいるので、出来映えに期待したい。待った甲斐があるかな?

[業界コボレ話]
出張先のダラスで、骨董品屋巡りをしていた時のこと。ぽかぽか陽気の中、レンガ造りの街並を歩いた。金曜の放課後、家まで歩いた留学時代を思い出した。
どの店でも、家具の大きさと巨大なシャンデリアに圧倒された。テキサスには『風と共に去りぬ』風の豪邸が多いから? 民家2軒に、所狭しと物が詰め込まれた店。裏にある3階建ての納屋に足を踏み入れた途端、撮影所の大道具部に戻ったような錯覚に襲われた。それもそのはず、『Prison Break』がお世話になった店。レジの金髪美女は、「ウェントワース・ミラーが何回も来たけど、すっごく良い感じだったわ。後になって誰かわかったのよ」と話す。ダラスまで来て、ミラーの人柄の良さを話し合っているなんて変かな?

テレビ評論家チーフ バリー・ギャロン

未だに消えないテレビへの畏敬の念

Barry Garron
ミズーリ大学でジャーナリズム科卒業後、政治記者を目指し同校で政治学学士号取得。『The Kansas City Star』紙に就職し、政治、教育や消費者お助けコーナーを担当すること10年。経営学の修士号を取得、管理職への道を歩み出して1年後、常勤のテレビ評論家のピンチヒッターをして病みつきになり、以来13年評論家を務める。1998年『The Hollywood Reporter』のチーフとして迎えられた。TCA会長を務めたり、『Emmy』『TV Guide』『Broadcasting & Cable』にも投稿。

毎朝読まなければ、モグリとまで言われる名門業界誌『The Hollywood Reporter(THR)』でテレビ界を斬って10年のバリー・ギャロンは、意外にも温和な教授タイプ。テレビと共に歩んで25年、テレビに魅了され、今テレビは絶好調! と言う。熱い想いを聞いてみた。

評論家チーフの仕事内容は?

ギャロン(以下G):8割は番組評を書いたり、今巷で話題になっている現象の分析です。2割は部下1人と外部のライター1人のコーディネーション、今後の企画管理。ここまで人員削減されたのは初めてですが、また増やすという話があります。

「THR」に就職された経緯は?

G:念力、念力(笑)! 『The Kansas City Star』紙で機嫌良く働いていたのに、経営者が変わって新しい上司がテレビ嫌い。部署を変わる気もなく、転職先を探そうにも何しろカンザス。LAに引っ越し、仲間に声をかけたら、投稿を頼まれ食いつなぐこと5カ月。「THR」の前任者が辞めると聞いて応募。固い決意、夢を追う愚かさと運の組み合わせ(笑)。でも、一般大衆向けと、業界人向けの評論では雲泥の差があると、すぐに気が付きました。数少ない業界誌として、テレビ番組を商品としていかに作るか、売るか、編成するかなど、押さえるポイントが違うので、観点を変えるのに数年かかりました。

テレビを選ばれたのは?

G:テレビと共に歴史を歩み、どの業界よりも面白いと思っています。天職というほどではありませんが、「これだ! これしかない!」と。テレビへの畏敬の念は未だに消えません。

お好きな番組は?

G:『LA Law』は新しい語り口と、登場人物の描写が1つになった革新的な番組です。懐かしくて忘れられないのは『The Many Loves of Dobie Gillis』。モテようと必死のダサイ高校生ドービーに共感を覚えたから(笑)? 最近は『Damages』『The Riches』、時々やり過ぎだと思いますが『Boston Legal』も好きです。『30 Rock」『My Name is Earl』と、政治評論の『Real Time with Bill Maher』は欠かさず観ます。評論家は不平不満を並べるのが常ですが、選択肢が急増した昨今、テレビは絶好調! ワクワクします。

Television Critics Association(TCA)会長の仕事は?

G:TCAは宣伝活動とジャーナリズムの境界線を明確にした組織として、他分野の評論家に崇められています。元々、映画のジャンケット同様、番組宣伝にプレスツアーが開かれ、超豪華な接待旅行でした。私が会長を務めた91~93年は過渡期で、自費参加に切り替わり、評論する上で必要な情報を要求できる立場になりました。

「Do what you love, the money will follow」論派ですか?

G:同等の知的レベルを必要とする仕事に比べ、リサーチに時間がかかる割には評論家の収入は低いです。夢をすべて実現するのは不可能なので、夢に優先順位をつけて、上位から選ぶしかありません。大好きな仕事ができて、まがりなりにも生きていけるなら、1%にも満たない「幸せ群」に入れます。更に金持ちになれたら、良いに越したことはありませんが(笑)。

[業界コボレ話]
テレビ芸術科学アカデミー(ATAS)のイベントで参加者に職業を聞かれ会話を進めていくと、「テレビは観ないから」の反応にずっこける。けしからん! それなら会員になるな! テレビへの熱い想いはどこだ? と腹が立つ。
「テレビを観るような低俗な人間と一緒にしないで!」のエリート意識か、映画の方が芸術としてレベルが上と示唆する優越感の表われと解釈していた。ギャロンに尋ねたところ、一般大衆も同じ反応だそう。しかし、彼の解釈はテレビが生活の背景の一部と化して、○○しながらテレビを観る「ながら族」は無意識にテレビを観ていて、「うろ覚え」=「ついてはいたが、観ていない」となるのではと、好意的な解釈だ。私もこれからはさらっと聞き流そうっと。

俳優 ショーナ・コーフェッド

今はテレビ探検モード

Seana Kofoed
シカゴ出身。ノースウェスタン大学で演劇を専攻、ロンドン国立劇場でも勉強。卒業後はシカゴで舞台経験を積んだ後、ニューヨークへ。ブロードウェイでは『Proof』『Night Must Fall』などが代表作。テレビ『Third Watch』『Law & Order:SVU』『Ed』のゲスト出演や多数のCF出演をする傍ら、舞台女優としての経験を積む。2004年以来、LAにも本拠地を構え、テレビへの進出を図る。06年より『MEN IN TREES』のジェーン役で活躍中の有望株。

アラスカが舞台の『MEN IN TREES』で、主人公マリンがニューヨークに残してきた親友かつ編集者ジェーンを演じるショーナ・コーフェッド。昨シーズン、賢明にも遠距離恋愛に終止符を打ったと思ったら、よりを戻すどころか電撃結婚してしまった。長年ニューヨークで頑張ったコーフェッドに、ジェーンを分析してもらった。

シーズン1の問題はそのままなのに、サムと結婚しましたね。

K:衝動的に結婚した以上、話し合うしかありません。サムは除雪作業が好きなので、冬はアラスカ、夏はジェーンの本拠地ニューヨークに住みます。

大自然が好きな公務員と都会の「デキる女」の結婚は成立するでしょうか?

K:前途多難だとは思いますが、乙女チックにハッピーエンドを信じたいですね。東海岸対西海岸、都会対大自然など、両極端の夫婦を演じるのは初めて。彼女の希望条件には、公務員は入っていないはずですが(笑)、両極端は新鮮でワクワクするので、理想のタイプではないけれど潮時だと思ったのでしょう。画面上だけでも結婚してくれたと親が喜んでいます。

この番組は脇役にツワモノが揃っていますが、ジェーンは現代女性を代表する役ですね?

K:ニューヨークっ子のドライさと「デキる女」は外装で、中身は繊細で傷付きやすい。アラスカの大自然が、ニューヨークで培った硬い殻に挑みます。ありのままをさらけ出すほど、恐いことはありませんからね。

婚約解消したマリンのウェディングケーキを引きずって帰宅するシーンが印象的でした。

K:公私ともテキパキ処理して帰宅した「デキる女」の姿でしたよね? 最近、職場でも女性が活躍できるようになったから、家庭と両立させようと躍起の女戦士は疲れていますね。ここだけの話(笑)

舞台派俳優は、映画やテレビに出演した後、古巣に戻りたいと言う方が多いですが。

K:テレビは未開拓なので、知らないことが多いんですよ。心地良い古巣に年に何度かは立ちたいですが、今はテレビ探検モード。今『30 Rock』にハマっています。ゲスト出演したい役者が順番待ちしていると聞いてますが、気長に待ちます。

学校に通っておられるとか?

K:自叙伝執筆教室は、70代以上の方が対象。最近50~60代の若者(笑)がチラホラで、今20人。人生経験は浅い私ですが、脚本課程修了後、先生が好きなので特別に参加させてもらっています。イタリア、ケニア、ナチ下のドイツなど異国の昔話を聞くことができ、勉強になります。

日本から俳優を目指して来た人へひと言。

K:アジア系の役はまだ数が少ないので道は険しいですが、猪突猛進しかありません。仲間を見つけて、助け合い、励まし合うのが大切。LAでは友達と共作の芝居を発表するとか、自作自演できるようになると強いですね。アジア系指定でなくても、どこで誰の目に留まるかわからないので、オーディションを受けてみるとか? 韓国系の友人は、最近は白人、ラテン系と指定されていても、オーディションに行っています。エージェントを教育するのが先決かも?

[業界コボレ話]
最近、ハマっているHGTVを観ていた時のこと。美しいレンガと白い円柱の「コロニアル」造りの正面玄関が映し出された。好みのスタイルで、思わずため息が出たが、な、な、何と家主は「コロニアルは嫌いなの。クラフツマンに変えて!」と依頼。「何で買ったのよ!?」と画面に向かってひと言。
改築後の玄関に家主は満足していたが、異様なスタイルに。私の頭をよぎったのは、「待てよ! 犬も配偶者選びも、後で変えられると思っていないか?」だった。家だって本来の姿を変えた後「異様」になったのだから、生き物を変えようなど傲慢の極み。最初からこういう素質を持っていると納得した上でなければストレスが募り、いずれは破局が訪れる。またもや、目からウロコ!

デザイナー カレン・マッカルーン

やってやれないことはない!

Karen McAloon
レドンドビーチ出身。幼い頃から室内装飾に余念がなく、高校時代には衣類をデザイン。高卒で全米7都市に住む大冒険を試み、25歳でサンフランシスコに落ち着く。1930年築の田舎屋のリフォームが受け、口コミで売れっ子デザイナーに。造園家として数回HGTVの『Landscaping Design』に借り出され、2004年にはペンキと50ドルだけでリフォームする『Design Remix』のデザイナーに抜擢された。07年より『Find Your Style』で活躍中。

HGTVの無数のリフォーム番組の中で、シーズン3に突入の『Find Your Style(FYS)』は、ひねりの利いた異色作。室内装飾の荒海に乗り出す視聴者の水先案内人を務めるカレン・マッカルーンは、「デザインに規則などない。好きか嫌いかだけ!」が信条の型破りなデザイナー。話を聞いてみて、謎が解けた。

独学とうかがいましたが、本当ですか?

マッカルーン(以下M):独学というより独習かしら? 山ほど失敗したから、今日の私があるの(笑)。だから、『FYS』も『Design Remix(DR)』も、インテリアデザインを難しく考えない、「沈みそうになったら救命具を投げますよ」という姿勢。デザインは好みだから、気に入るまで試行錯誤あるのみ!

どなたの影響ですか?

M:6年生で、近所の憧れの若い奥さんに、「壁紙貼りを手伝っ
て」と言われて、うれしくて。見よう見まねだったけど、やればできる! 魂をもらったの。

独習の少女がHGTVの人気デザイナーになるまでを聞かせてください。

M:結婚して最初に買った家がモデルホーム的役割を果たして、仕事が来るようになったの。元々草ぼうぼうだった広い敷地を、友達の結婚式会場に整備したのが発端。本を読み漁り、ホーム・デポで店員を質問攻めにして(笑)。結婚式の後、1930年築の母屋の改装も解体作業から配管、配線まで、何もかも自分でやったのよ。テレビに出られるようになったのも、『Landscape Smart』のゲスト造園デザイナーで頑張ったから。労力を惜しまなかったので、ギャラを時給にしたらわずか3ドル(笑)。『DR』のデザイナーになれたから、笑い話だけど…。ペンキと50ドルだけの模様替えの体験はなかったものの、「やってやれないことはない!」をモットーに頑張ったわ。

大金を積まれたけれど、断った仕事はありますか?

M:「暖房便座を推薦して」と言われたけど、どうしてもできなかったわ。ギャラはすごかったけど、イメージ的にどうも…(笑)。

『FYS』が生まれたきっかけは?

M:TLCの『What Not to Wear』のインテリアデザイン版を作りたかったの。私が参加者のスタイルを診断して、色や木目等4要素を決める手助けをし、家主が家具や調度品を買い揃えて、レイアウトまでする番組。最後に、私が選んだ家具や改善策を提示するの。でも、参加者の好み優先で、お仕着せではないのがミソ。

ご自身のスタイルは?

M:今、コンドミニアムを模様替え中なの! モダン家具一辺倒だったけど、最近クラシックの温かみが良いなと。歳のせい?(笑)。クラシック調の色や生地をベースに、極端にシンプルな家具を置く予定。

今後はどんな夢を叶えたいですか?

M:3歳になる息子と『FYS』だけで手一杯。子供の手が離れたら、また造園や趣味に復帰したいけど。インドや中国のような環境で味わう異文化体験は、創造力と元気の源。宝くじを当てて、世界を旅行し続けるのが夢!

[業界コボレ話]
今年初のテレビ芸術科学アカデミー(ATAS)のイベントは、『Friday Night Lights』の制作陣とキャストが明かす舞台裏。ザック・ギルフォード、スコット・ポーターの不参加は残念だったが、タイラ役のエイドリアン・パリッキは、目ざとく私を見つけて大歓迎してくれた。
番組ではジャンパー姿しか見られないコーチ役、カイル・チャンドラーの背広姿はまばゆい限り! ストでインタビューを取るのに四苦八苦している現状を伝えると、「もう2週間もしたら終わるよ」と言う。「ずっと家にいるから、女房が早く仕事に戻れってせっつくんだ」と、優しい目でウィンク。夫は元気で留守が良いとは言うけれど、私の王子様も家ではゴキブリ亭主扱いされているとは。何と、もったいない話。

プロデューサー ケイ・サムナー

奇跡的な「変身」を目撃できる最高の仕事

Kay Sumner
ミシガン出身。デトロイトの局で営業を経て、プロデューサーに。最初に制作したクイズ番組が大当たり。同番組をカナダでリメイク後、『Any Woman Can Fix It』『Eye Bet』など数々のテレビ番組を制作、ジニー賞候補に。5年かけて映画『Shadow Dancing』を制作したが、テレビ制作のチームワークが忘れられず、2004年『Dog Whisperer』を創作。同作は06、07年と2年連続エミー賞最優秀リアリティー番組候補にあがった。

テレビ芸術科学アカデミー(ATAS)の勉強会で、リアリティー番組『Dog Whisperer』が取り上げられた時のこと。ケイ・サムナーが、同作の目玉ドッグトレーナーのシーザー・ミランを引き連れて登場。その後、『Oprah』で紹介され一躍有名になったシーザーの偉業を、最近National Geographic Channel(NGC)で視聴している。番組のファンとして裏話が聞きたくて、サムナーの職場に足を運んだ。

番組が生まれた経緯は?

サムナー(以下S):愛犬エミーが人に噛みつく上、子犬を生んだばかりで7頭に振り回されていた時、新聞でシーザーの存在を知りました。エネルギーがあり余った落ち着きのない7頭も、シーザーが来て10分後にはソファーで居眠りするほど。目を疑いましたよ、本当に!(笑)。

放送局への売り込みは?

S:NGCの制作担当者が、話題になる「都会的スター」を探していると、勉強会で話していたのでパイロットを見せました。気に入ってもらったのですが、担当者が異動になり、一からやり直し。でも、後任がその場で26本発注! 他社から同一企画が26回も来ていたけれど、パイロットを持ち込んだのは私たちのみだったそうです。

この番組は『Supernanny』のイヌ版では?

S:はい、シーザーも認めています。規則、限度などを示して躾ないと、手が付けられなくなるのは、イヌも子供も同じ。

獰猛なイヌを撮るカメラマン! イヌ好きだから、平気なのでしょうか?

S:問題犬が従順になる「変身」過程が売りなので、シーザーが登場する「変身」前の撮影はどうしても慎重になります。4年目なので、2人とも冷静沈着に臨めるようになってきました。

シーザーが登場すると、「問題犬」を守る飼い主がいますよね?

S:シーザーの能力を疑い、「やれるものならやってみろ!」的態度だと、リハビリは難しいですね。飼い主が「目からウロコ」の瞬間を体験しない限り、問題矯正は不可能です。飼い主が問題の場合がほとんど(笑)。

番組やシーザーの人気は予想通りでしたか?

S:シーザーの稀な才能を世に知らせたいとは思いましたが、ここまで受けるとは夢にも…。シーザーのカリスマ性と裏表のない自然体のお陰? 奇跡的な「変身」を目撃できるのは最高!

番組創作を目指す人にアドバイスを。

S:ユニークな素材を確保するのが第1。第2は類似番組がないことを確認すること。第3は、すべてが固まった時点で制作会社と組むこと。時期尚早だと、盗作される可能性が…。局は、予算、スタッフ採用、経理などを処理でき、しかも実績を目で確かめられる会社を求めます。予算も重要な要素ですから、制作標準価格を調べましょう。企画書ではなく、パイロットを用意すること。長いほど、けなす部分が増えますから、5分以下に収めましょう。毎日、送られて来るパイロットの山は「ダメ」「?」「行けそう!」の3種類に分類されるので、「行けそう!」に入るために、あらゆる意味で最高の作品にしてください。

[業界コボレ話]
介助犬養成所でボランティアをしていた頃に比べ、LAに越して以来、イヌとの触れ合いの機会が減ってしまった。『Dog Whisperer』を観てから、仕事に生きる今の私には無用の長物と悟った。
捨てイヌ救出願望の強い私に衝撃的だったのは、女性教師のケース。捨てイヌに「かわいそう」という気持ちで接した結果、「問題犬」に早変わり。イヌは、かわいそう=マイナスのエネルギー=弱味と解釈する。相手が弱いと見ると、イヌは主導権を握ってしまう。
実はこの先生、恋人救出願望があると告白。シーザーは「弱い男を愛情で強くできないのと同じ」と分析した。目からウロコ! イヌを理解しようと観ているが、人間心理も学習でき、下手なカウンセリングよりためになる。

俳優 ジェームス・サイトウ

アンバランスが面白い役

James Saito
LA出身。12歳で芝居に魅せられ、芸能界で活躍していた兄姉に励まされ、UCLAで演劇を専攻。1976年、テレビ映画『Farewell to Manzanar』でデビュー。『M*A*S*H』『Airwolf』『Law & Order』『Third Watch』等、ゲスト出演は数え切れない。映画『The Thomas Crown Affair』『Pearl Harbor』、舞台でも活躍。88年以来、本拠地はニューヨーク。現在話題作『Eli Stone』のドクター・チェン役で活躍中。

春の新番組の中できらっと輝く『Eli Stone』は、『Ally McBeal』の男版と言われるが、『Ally…』に欠けていた人生観が散りばめられた、味わい深いドラマ。人生の意味を紐解こうとする主人公の唯一の理解者で、知恵を授けるドクター・チェンを演じるジェームス・サイトウ。役者経験豊かな日系3世のサイトウに、真理を語る賢人役の醍醐味を聞いてみた。

本作が初めてのレギュラー出演とうかがいましたが。

サイトウ(以下S):初レギュラーが、秀作の異色の役どころなんて、願ってもないこと! 鍼を打っている時はぶっきらぼうで、英語がしゃべれない振りをしているドクター・チェンですが、私生活は流れに任せて生きる、悟りを開いた人間というアンバランスが面白くてね。

人生観を解き明かす、心と魂に響くドラマですね?

S:キリスト教徒として育てられましたが、ドクター・チェンがイーライに諭す「生きる」意味や知恵は、私の信条と同じです。台詞を覚えて演技するという感覚ではなく、友達と話しているような楽しさがあります。

デビューは?

S:1976年に『Farewell to Manzanar』というテレビ映画で、リチャード・ワカツキを演じたのが最初。収容所に送られた日系家族のドラマです。

40年間に日系、中国、韓国、ベトナム人など幅広く演じておられますが、今回も日系ではない役。平気ですか?

S:今回の役は、ユダヤ+中国系で毛色が違うので、全然気になりません。昨年オービー賞をいただいた『Durango』では韓国人役でした。リアルに描かれている複雑な役なら、日系でも、中国人でも何でも構いません。

日本のイメージって、相変わらず時代錯誤で、指摘しても聞く耳持たぬアメリカ人が多いのにはびっくりします。どうしたものですかね?

S:事実は指摘すべきですが、決定権は資金を出している側にありますからね(笑)。日系の若い監督やプロデューサーがどんどん出ていますから、日本文化を正しく映像化してくれると期待しています。

俳優の道を選ばれたのは?

S:中学校で演劇の授業を取るハメになり、友達に冷やかされたので、最初は抜け出そうと思いました。先生に励まされて、年に2回芝居に出てみて、イベント性と脚光を浴びるのが面白くて病みつきに。フットボールの試合が終わると、急いでシャワーを浴びて稽古に駆けつけたものです。兄の映画を観て育ったし、姉も芸能界にいたので、違和感がなかったのかもしれません。

ご両親の反対はありませんでしたか?

S:友達は「時間の無駄」「まともに就職しなさい」と言われて落ち込んでいましたが、うちの親は一切文句を言わず、いつも応援してくれましたね。

俳優を目指している日本人にアドバイスを。

S:私が駆け出しの頃と比べたら、テレビもアジア系が増えましたから、チャンスは増えています。でも、まともに英語がしゃべれないとお話になりません。アメリカ人並に英語ができないと仕事の枠が広がりませんよ。

[業界コボレ話]
WGA(脚本家組合)のストは長期戦になるという情報が飛び交っている。11月にはデモ行進する放送作家に同情して、クラクションを鳴らして支持を表明していたが、最近では「いい加減にして!」と脇を走り抜ける。
ストのとばっちりを受けて大道具、小道具、照明など何千人単位の職人が失業中。働かなければ収入がない、でも稼ぎようがない。私も他人事ではない。コネ作りの場であるプレスツアーがキャンセルされ、放送作家はもちろん、プロデューサーやSAG(俳優組合)会員の役者もインタビューに応じない。死活問題だ。ゴールデン・グローブ授賞式中止、アカデミー賞まで危ういでは、ハリウッドを支える周辺産業まで立ち行かなくなってしまう。

俳優 マルゲリート・マッキンタイヤー

満足の行く仕事をさせてもらえる舞台

Marguerite Maclntyre
アリゾナ州出身。USCの演劇部を卒業後、ロンドンの王立演劇アカデミー芸術院で演劇を専攻。16歳から舞台に立ち、ブロードウェイで『Jane Eyre』『City of Angels』など数多くの芝居を手がける。1994年『Seinfeld』で音痴のミス・ロードアイランド役でテレビデビュー。2001年より本拠地をLAに移し、『The Practice』『The Pretender』『Judging Amy』など数々のゲスト出演を経て、06年より『Kyle XY』のニコール役で活躍中。

楽しもうと思って引き受けた端役で認められ、以来仕事にあぶれたことがないマルゲリート・マッキンタイヤー。2006年からバンクーバーでテレビ『Kyle XY』撮りする傍ら、時間を都合してブロードウェイに舞い戻る舞台派。一見若者向けの同番組が哲学的なSFミステリーであると同様、ニコールを演じるマッキンタイヤーも奥の深い人だ。

若者向け番組の母親役ですが、演じ甲斐がありますか?

マッキンタイヤー(以下M):パイロットの台本が、謎の少年を通じて宇宙の謎を解く哲学色の濃いものだったので、興味が湧きました。ニコールは精神分析医としても、親としてもカイルを守る立場ですが、実は同等の立場で世の中を見ていると解釈しています。カイルは、使命を探求するためニコールを必要としています。カイルの自分探しの旅仲間といえる役どころ、やり甲斐があります。

ニコールには実子が2人いますが、身元も判らない養子に肩入ればかりできないのでは?

M:バランスの問題ですね(笑)。心理学者としては優秀なのに、実の子の発する信号には疎く、養子と波長が合っている点が面白いでしょ? 仕事だからかしら? 自分が誰なのかも知らない他人が入って来て初めて、家族全員が己を知る、つまりカイルが鏡になる心理学の基本が映像化されています。

10代の子供がいるようにはお見受けできませんが…。

M:まだ独身、子供もいません。衣装合わせで、あまり若く見えないようにといつも注意されます(笑)。

現在バンクーバーでロケですが、本拠地は?

M:9・11テロの1カ月前に、LAに引っ越しました。今度こそLAに根を生やそうと思い、TVシリーズ出演を目指して。でも、機会があればニューヨークで舞台をやって、元気になります。去年も無理を言って数週間、舞台をやらせてもらいました。

舞台が1番お好きですか?

M:高校時代に味をしめ、以来ずっと舞台なので、自然体でいられるのは舞台ですね。テレビも映画もそれなりに面白いとは思いますが、プライバシーを守れないのが怖いですね。レーダーに引っかからずに、満足の行く仕事をさせてもらえるブロードウェイが1番!

なぜ舞台がお好きなのですか?

M:好奇心旺盛で心の広い人、意識して楽しく生きている人が多いからです。なかには子供のままの人もいますが(笑)。

世の中には、無意識に生きている人が多いですね?

M:しっかり目を見開いて、生きる喜びをかみしめている人が舞台役者には多いと思います。それに誰でも善悪のコンパスを持って生まれているのに、周囲の雰囲気に流されて、コンパスを無視しがちでしょ? 直感を信じる人が増えれば、もっと住みやすい世の中になるのに…と思います。

日本人の俳優志望者にアドバイスを。

M:どんな些細な役でも「楽しむぞ!」という意気込みで、何でも首を突っ込んでみてください。何が起こるか? 誰に会うか? それが生きる醍醐味!

[業界コボレ話]
昨年9月から使い始めた「U-Verse」は、140時間、同時に4番組を録画できるので、日本に里帰り中も好きな番組を全部録画でき、重宝した。
しかし、新春早々大きな落とし穴を発見して、真っ青に! DVRからビデオにコピーできないのだ。U-Verseを設置した人にも聞いてみたが、質問の仕方が悪かったのか、まさに後の祭り。
売り込み時には「できないこと」は言わない。嘘ではないが、選択的省略という代物で、消費者の念入りなリサーチと的確な質問が成功の秘訣。従来可能だったから、新機種でも当然と思うのは大間違い! なのだ。我が家のVCRは古代の遺物に成り下がってしまった。だから、140時間も録画できるのか! 今頃気付いても遅い。