ワシントン州(46)/アメリカ西部

中国系の血と汗がにじんだ・アジア系ゆかりの州

ワシントン州の旗

イチローの活躍で日本でも人気球団になったシアトル・マリナーズ。そのオーナーは任天堂といった具合に、ワシントン州では古くからアジア系の進出が際立っている

ワシントン(Washington、WA)州の基本情報
人口(2023) 7,812,880人
面積 66,437.5mile2
人口密度 (2020) 115.9人/mile
州都 オリンピア (Olympia)
州知事(2024) Jay Inslee(民主党)
州のニックネーム Evergreen State
人種の割合 白人 76.8% / 黒人 4.6% / アメリカインディアン 2.0% / アジア人 10.5% / ヒスパニック 14.0%
1世帯当たりの平均収入 (2022) $90,325
貧困家庭の割合 (2022) 10.0%
住宅平均価格 (2018-2022) $473,400
平均家賃 (2018-2022) $1,592
観光情報サイト Visit Washington
オフィシャルサイト WA.gov

(出典元:U.S. Census Bureau)

危険な鉄道建設に従事、大統領を巻き込む暴動に

1775年、最初の白人としてスペイン人がこの地に上陸したが、ネイティブアメリカンの反撃に遭い全滅。3年後には、かのキャプテン・ジェームズ・クックが上陸した。1792年にボストン商人のロバート・グレイが毛皮取引を始めたが、人々が定住するまでにはさらに50年を要する。
 
1805年、ルイスとクラークの探検隊がコロンビア川で越冬し、土手の向こうに太平洋が広がっていることを発見した。しかし、人々の大移動が始まるのは、北洋鉄道開通以降のことだ。開通以前は7万5千人だった人口が、第1次世界大戦までに125万人にまで膨れ上がった。
 
この鉄道建設に関わったのが、中国系移民だった。多くの犠牲者を出したが、鉄道の完成とともに、彼らの多くが仕事を失った。
 
レイオフされた人々は、白人が嫌がる仕事でも低賃金で従事したため1885年、シアトルやタコマで排中運動が高まり暴動が発生。時のクリーブランド大統領が鎮圧に当たるほどの規模に発展し、FBIまで借り出されたが一向に鎮まらず、同89年にはほとんどの中国系がシアトルから追い出されている。悪名高い「中国系下層労働者から白人を保護する法律」が成立し、中国系に人頭税が課せられた。

マイクロソフトなど大手企業も集中

ワシントン州の前知事、ゲーリー・ロックは全米初の中国系知事で、父親は雑貨店を営む移民だった。ただ全米初の日系知事を誕生させたハワイ州では日系人が人口の多数を占めるのに対し、ワシントン州におけるアジア系全体の人口比率は5・5%に過ぎない。
 
同州の主な産業は貿易や水産業が挙げられるが、ボーイングを筆頭に、近年ではマイクロソフト、スターバックス、アマゾン・ドット・コム、コスコなどの大手企業も多い。同州出身の有名人には、マイクロソフト創設者のビル・ゲイツ、俳優のブルース・リー、ギタリストのジミ・ヘンドリックスらがいる。

 

オレゴン州(47)/アメリカ西部

ルイスとクラークが切り開いた・開拓民の夢の土地「西のエデン」

オレゴン州の旗

1840年代の開拓者たちは、幌馬車でオレゴントレイルの旅を続けた。過酷な旅の末にオレゴンに辿り着いた人々には、豊穣な土地が無償で与えられ、彼らはこの地を「西のエデン」と呼んだ。

オレゴン(Oregon、OR)州の基本情報
人口(2023) 4,233,358人
面積 95,962.6mile2
人口密度 (2020) 44.1人/mile
州都 セイラム(Salem)
州知事(2024) Tina Kotek(民主党)
州のニックネーム Beaver State
人種の割合 白人 85.9% / 黒人 2.3% / アメリカインディアン 1.9% / アジア人 5.1% / ヒスパニック 14,4%
1世帯当たりの平均収入 (2022) $76,632
貧困家庭の割合 (2022) 12.1%
住宅平均価格 (2018-2022) $423,100
平均家賃 (2018-2022) $1,373
観光情報サイト Central Oregon
オフィシャルサイト Oregon.gov

(出典元:U.S. Census Bureau)

幌馬車を連ねた875人の大移動

オレゴンにおける人類居住の歴史は1万年以上前に遡る。さまざまな種族の先住民が暮らしていたが、16世紀後半から欧州系白人が上陸し、ワシントン州、アイダホ州、カナダのブリティッシュ・コロンビア州を含む大陸北西部一帯は「オレゴン・テリトリー」と呼ばれていた。
 
1803年のルイジアナ購入によって西部開拓の幕が開け、ルイスとクラークの合同探検隊が、それまで危険な海路からの上陸しかなかったオレゴンへの道を、ミズーリ州からの陸路で入るトレイルを切り開いた。1843年には、男女子供合わせて875人もの大集団が、幌馬車を連ねてオレゴントレイルを通って移住してきた。
 
1859年、オレゴン州は33番目の州として合衆国に加盟し、1870年代には大陸横断鉄道が開通し、産業が発達した。なかでも盛んになったのは林業で、現在でもオレゴンはクリスマスツリーのもみの木の栽培では全米トップを誇る。
 
また、カリフォルニア州を嫌ってオレゴンに移転してきたコンピューター関連企業も多く、著しい勢いで成長を遂げるハイテク産業を称して、緑豊かな土地柄から「シリコン・フォレスト」の異名も持っている。

日本人留学生に人気。州税なしの買い物天国

同州は日本からの短期留学生に最も人気がある州のひとつだ。日本人留学生に人気がある理由として、その豊かな自然が挙げられる。アウトドアスポーツも盛んで、ナイキの本社も同州にある。また、州税がないことも、オレゴン州の大きな魅力だ。
 
現州知事のテッド・クロンガスキーはミズーリ州の生まれだが、生後間もなく父親が他界したため、孤児院で育った。トラック運転手や溶接工をしながら苦労してミズーリ大学ロースクールを卒業し、オレゴンで弁護士から知事にまで上り詰めた立身出世の政治家だ。
 
他に著名なオレゴン州出身者には、往年の大女優ジンジャー・ロジャースやフーバー元大統領がいる。

 

ネバダ州(48)/アメリカ西部

かつてはゴールドラッシュ・今はラスベガスで一攫千金

ネバダ州の旗

砂漠に覆われたネバダ州はシエラネバダ山脈の東に位置し、平均の年間降水量が100ミリほど。多くの山脈が平行に走り、その間に無数の砂漠の谷がある地形が特徴的だ。

ネバダ(Nevada、NV)州の基本情報
人口(2023) 3,194,176人
面積 109,831.3mile2
人口密度 (2020) 28.3人/mile
州都 カーソンシティ(Carson City)
州知事(2024) Joe Lombardo(共和党)
州のニックネーム Silver State, Sagebrush State, Battle-Born State
人種の割合 白人 72.1% / 黒人 10.8% / アメリカインディアン 1.7% / アジア人 9.4% / ヒスパニック 30.3%
1世帯当たりの平均収入 (2022) $71,646
貧困家庭の割合 (2022) 12.5%
住宅平均価格 (2018-2022) $373,800
平均家賃 (2018-2022) $1,382
観光情報サイト Travel Nevada
オフィシャルサイト NV.gov

(出典元:U.S. Census Bureau)

ゴールドラッシュ終焉後、離婚の街から娯楽の街へ

1775年、スペインの探検家フランシスコ・トーマスが同地域を探検、以来スペインの植民地だったメキシコの勢力下に。米墨戦争後、米領土になり、ユタ準州、ネバダ準州を経て、1864年に36番目の州として合衆国に加盟した。当時、ネバダ全域で金が発見され、ゴールドラッシュが始まった。
 
ゴールドラッシュも終焉を迎え、入植にも向かない砂漠の中心の同州政府は、もっと人を流入させるため、一定期間州内に滞在すると同州の州法が適用される法律を制定した。同法の狙いは、簡単に離婚を成立させることにあった。この法律により、全米各地から離婚を希望する夫婦が殺到。彼らのための娯楽施設が必要になり1931年、同州はギャンブルを合法化した。その後、カジノ産業は飛ぶ鳥を落とす勢いで伸び続け、大勢の観光客が一攫千金を夢見て同地に集まるようになった。

核と隣り合わせの砂漠。放射性廃棄物処理場建設へ

1951年に米国原子力委員会は、戦術用核兵器の実験を行うため、ラスベガスから北西約150キロの砂漠にネバダ核実験場を設けた。1992年まで928回(米国全体では1030回)の核実験が実施された。
 
また、核実験場の西南端に位置するユッカマウンテンは1982年より20年にわたる米エネルギー省の調査の結果、高レベル放射性廃棄物処理場の最終候補地に選定された。グイン知事はこれを不承認とする通知を連邦議会に提出したが、ブッシュ大統領は同地の立地承認に関する連邦議会の合同決議に署名、法律として処分場の立地が承認されることとなった。
 
2010年に操業開始が予定され、地表から約300メートル下、地下水面から約300メートル上方の場所に主トンネルを掘削、ここに約7万トンの高レベル放射能廃棄物を貯蔵することに。全米の商業用原子力発電所の使用済み燃料に加え、軍事関連の高レベル放射性廃棄物もここに貯蔵されることになる。

 

カリフォルニア州(49)/アメリカ西部

一攫千金を夢見て到来・歴史を綴る人種偏見との戦い

カリフォルニア州の旗

カリフォルニア州は、地形、気候、人種、産業のすべてにおいて多様性を極めているが、その歴史は人種偏見との闘いの歴史でもある。19世紀には中国人移民、20世紀には日本人移民が排斥され、1992年には黒人差別が原因のロサンゼルス暴動も発生している。州名は16世紀のスペインの小説家による空想の島から取ったとされ、意味は「天国に近い島」。

カリフォルニア(California、CA)州の基本情報
人口(2023) 38,965,193人
面積 155,812.8mile2
人口密度 (2020) 253.7人/mile
州都 サクラメント(Sacramento)
州知事(2024) Gavin Newsom(民主党)
州のニックネーム Golden State, Golden West, El Dorado State, Land of Milk and Honey
人種の割合 白人 70.7% / 黒人 6.5% / アメリカインディアン 1.7% / アジア人 16.3% / ヒスパニック 40.3%
1世帯当たりの平均収入 (2022) $91,905
貧困家庭の割合 (2022) 12.2%
住宅平均価格 (2018-2022) $659,300
平均家賃 (2018-2022) $1,856
観光情報サイト Visit California
オフィシャルサイト CA.gov

(出典元:U.S. Census Bureau)

ゴールドラッシュで始まった民族大移動

初めてヨーロッパ系の白人探検家がやって来たのは1542年。1769年のスペイン人宣教師の到来で植民地化が始まって以来、1821年にメキシコがスペインから独立するまで、サンディエゴからサンフランシスコまでの海岸沿いに21のミッション(キリスト教教会)が設立された。
 
1822年にメキシコ領となるが、1846年から同48年の米墨戦争での勝利によって、アメリカがカリフォルニア州全域を手に入れる。メキシコとの平和条約が調印された直後から、オレゴントレイルを通って東から民族大移動が始まる。その理由は言わずと知れたゴールドラッシュだ。
 
1848年、製材所を建設していたジェームズ・マーシャルがサクラメント近くのコロマにあるアメリカ川で金を発見した。マーシャルが酒場で金塊で支払いをしたことから金発見の情報が瞬く間に広がった。翌年に金が多く発見されたマリポサでのクオーツ採掘が始まると、世界中から50万人が一攫千金めざして殺到した。
1847年には住民400人しかいなかった小さな村は、1880年には5万6千人を抱えるサンフランシスコという都市に様変わりした。ゴールドラッシュの経済的成功により、50年には31番目の州として合衆国に加盟した。
 
人口が増えるにつれ農業も発展した。しかし、ネックになったのは東海岸との物流だ。そこで大陸横断鉄道「パシフィック鉄道」の工事が始まった。
 
アメリカ人炭鉱労働者は外国人に敵意を抱き、大挙して太平洋を渡ってきた中国系を徹底的に排斥した。1850年、州政府は「外国人炭鉱労働者ライセンス法」を制定。アメリカ市民以外の炭鉱労働者には人頭税を課した。あまりの課税額の高さに翌年には廃止されたが、炭鉱を去った中国人たちはサンフランシスコに移り住み、全米初のチャイナタウンを建設した。

人種偏見に基づく法令、日本人移民の闘い

一方、日本人の移民が本格化したのは1884年、日本政府とハワイのサトウキビ農園との間で結ばれた官約移民協定による。ハワイから米本土へ移住してくる人も多く、1870年にカリフォルニアに33人しかいなかった日本人は、1900年には2万4326人に増えた。女性の呼び寄せが急増したことに危惧を感じた米政府は、日本政府と紳士協定を結び、日本人移民を結婚した妻とその子供だけに限定した。これが1枚の写真だけを頼りに渡米する「写真花嫁」の出現につながった。
 
農業などで日系人が頭角を現すようになると、1913年の悪名高い「排日土地法」を始め、多くの反日法が次々と可決される。1941年の真珠湾攻撃を機に反日感情はピークに達し、同42年2月19日、ルーズベルト大統領は大統領令第9066号により、日系人の拘留を決定した。この法令により、カリフォルニアから9万2786人の日系人が強制収容所に連行された。
 
この問題が政府が被害者たちに補償金を支払い、ようやく決着を見たのは約50年後の1988年のこと。昨年4月には約1万人が収容されたアリゾナ州マンザナーに全米初の日系人収容所ナショナルパークサービス博物館が開館した。
 
カリフォルニア州における人種偏見との闘いは今も続く。1992年、60人の死者を出したロサンゼルス暴動も黒人差別が原因だった。現在ではヒスパニック系が急増し、州人口全体の30%以上を占める。同州のヒスパニック系人口構成は、全米平均と比較し若い年代が多いことから、ヒスパニック系がカリフォルニア人口の過半数を占める日も遠い将来の話ではなくなった。

人口は全米最多、経済力は世界第6位

面積はアラスカ州、テキサス州に次いで3番目だが、人口では全米最多。経済力でも全米を牽引しており、世界銀行の統計によると、2003年のカリフォルニア州の国内総生産は1兆4820億ドルで、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランスに次いで世界第6位を誇る。また、1935年より州を挙げての灌漑制度が開始され、至るところにダムが建設された結果、オレンジやレモンなどの栽培が広がった。現在でもカリフォルニア州は全米有数の農業州だ。
 
州民の政治意識は強く、カリフォルニア州ならではの制度に「プロポジション」がある。これは住民投票で決定される法律のこと。一昨年には住民投票により、州知事のリコールが実現した。アクション俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーが第38代知事となって全世界から大きな注目を浴びたが、俳優出身の知事には第40代大統領で第33代知事のロナルド・レーガンがいる。レーガン大統領はカリフォルニア州知事から唯一、大統領にまで上り詰めた人物だ。
 
同州出身の有名人には、女優マリリン・モンローの夫で、野球界の伝説的スター、ジョー・ディマジオ、アップル・コンピュータの創設者の1人、スティーブ・ジョブス、テニスのビリー・ジーン・キング、『怒りの葡萄』などの作品で知られる作家、ジョン・スタインベック、俳優で映画監督のクリント・イーストウッドとロバート・レッドフォード、リチャード・ニクソン大統領などがいる。

 

アラスカ州(50)/アメリカ西部

手つかずの大自然が残された・最後のフロンティア

アラスカ州の旗

「ラストフロンティア」と称されるアラスカ州は、合衆国49番目の州。広さは米国最大で、2番目に広いテキサス州の2倍の面積を有している。

アラスカ(Alaska、AK)州の基本情報
人口(2023) 733,406人
面積 570,865.8mile2
人口密度 (2020) 1.3人/mile
州都 ジュノー(Juneau)
州知事(2024) Mike dunleavy(共和党)
州のニックネーム Last Frontier, Mainland State, Land of the Midnight Sun, Great Land
人種の割合 白人 64,1% / 黒人 3.7% / アメリカインディアン 15.7% / アジア人 6.7% / ヒスパニック 7.7%
1世帯当たりの平均収入 (2022) $86,370
貧困家庭の割合 (2022) 11.0%
住宅平均価格 (2018-2022) $318,000
平均家賃 (2018-2022) $1,345
観光情報サイト Travel Alaska
オフィシャルサイト State of Alaska

(出典元:U.S. Census Bureau)

石油と天然ガス。豊かな資源が州の財産

アラスカ州の主要産業は石油。北米産油量の23%(2001年実績)を占めており、北側のノーススロープには埋蔵量35兆立方フィートの天然ガス田が確認されている。
 
州全土の34%が国立公園、国立保護区、国定公園、国定野生保護区に指定されているほど、大自然に恵まれている。アラスカのシンボルともいえるマッキンレー山は米国最高峰であるサウスピークを擁する。
 
広大な面積ゆえに、州内には4つの時間帯があり、地域によって気候も大きく異なる。アンカレッジの1月の平均気温は華氏20度、7月は65.6度と比較的過ごしやすいが、バローでは1月が華氏マイナス8度と厳しく、7月でも24.2度までしか上昇しない。バローはまた、北米大陸最北端であることから、1年のうち84日間白夜が続く。内陸部のフェアバンクスでは年間243日にわたり、オーロラを観測することができる。

シベリアから渡ったネイティブアメリカンの祖先

州人口を人種別に見た際、注目に値するのが、アラスカ原住民を含むネイティブアメリカンの人口比率が15.6%にのぼる点だ。彼らは「氷河に暮らすエスキモー」というステレオタイプなイメージが強いが、現実は他州の現代的な生活様式と何ら変わるところはない。
 
アラスカ州は50州中2番目に若い州だが、北米大陸に人間が渡ったのはこの地が最初。1万年前から4万年前にシベリアから島伝いにアラスカへと渡り、米国原住民の先祖になったと言われている。
 
1741年にデンマークの探検家、バイタス・ベーリングがアラスカに上陸、初めてユーラシア大陸と北米大陸が分離していることが確認される。1912年に合衆国の準州となっても、正式に州として認可される1959年までアラスカの地位は確立されていなかった。合衆国加盟は、石油や金の発見と、冷戦により対ソ連の重要な軍事基地としての地理的価値が認められたためと言われている。

 

ハワイ州(51)/アメリカ西部

「アロハオエ」に残る王朝の名残とみなぎる日系人パワー

ハワイ州の旗

世界のリゾート地ハワイには、年間700万人を超える観光客が訪れ、ジェット機時代の到来により、その数は25年前の20倍に増えた。日本人にとっても、最もなじみの深い州と言えるだろう。

ハワイ(Hawaii、HI)州の基本情報
人口(2023) 1,435,138人
面積 6,420.7mile2
人口密度 (2020) 226.6人/mile
州都 ホノルル(Honolulu)
州知事(2024) Josh Green(民主党)
州のニックネーム Aloha State, Pineapple State
人種の割合 白人 25.2% / 黒人 2.2% / アメリカインディアン 0.4% / アジア人 37.1% / ヒスパニック 11.1% / ハワイ先住民 10.3%
1世帯当たりの平均収入 (2022) $94,814
貧困家庭の割合 (2022) 10.2%
住宅平均価格 (2018-2022) $764,800
平均家賃 (2018-2022) $1,868
観光情報サイト The Hawaiian Islands
オフィシャルサイト Hawaii.gov

(出典元:U.S. Census Bureau)

世界最大の活火山の膝元で栄えたハワイ王朝

ハワイ諸島は太平洋の真ん中に位置し、132の火山島からなる列島だ。人が住んでいるのは北からカウアイ島、ニイハウ島、オアフ島、モロカイ島、マウイ島、ラナイ島、カホオラヴェ島、ハワイ島の8島のみ。人口の8割が州都ホノルルのあるオアフ島に住んでいる。どの島も海底火山の産物で、ハワイ島にあるキラウエア火山は、その大半が国立公園に指定されている、世界で最も活発な活火山だ。
 
ポリネシア人が最初にハワイに辿り着いたのは6世紀のこと。1778年、英国探検家、トーマス・クックがカウアイ島を発見。その後、次々にハワイ8島を発見した。クックは翌年、住民とのトラブルで殺害されるが、島外からの人の到来は、この地に天然痘、結核、性病といった病気をもたらし、価値観や社会のあり方を変えていった。
 
ハワイ島は合衆国の中で唯一王朝が栄えた場所でもある。ハワイ島の領主であったカメハメハは次第に勢力を伸ばし、マウイ島やオアフ島も征服して、1810年ハワイ王国を建国。初代国王として君臨し、独自の文化を築いていった。ハワイ王朝最後の女王・リリウオカラニ女王は、反乱軍を鎮圧できずに米国の圧力で退位を余儀なくされ、約100年におよぶハワイ王朝が崩壊する。
 
1898年、米国はハワイを併合し、1900年に準州、1959年、50番目の州として合衆国に加盟した。

アジア系が約半数。州の要職に多くの日系人

ハワイは合衆国の中で唯一白人が少数派の州で、アジア系が41.6%を占めている。明治元年に始まった日本人移民のサトウキビ農園における苦難は、その後の日系社会の基礎を築き、今日では日系人の社会的影響力が最も強い州となった。第2次世界大戦で日系部隊として参戦し、右腕を失ったダニエル・イノウエは1962年、全米初の日系上院議員となった。同74年に当選したジョージ・アリヨシは、全米初の日系州知事。

 

強みを伸ばす子育て

船津 徹(TLC for Kids代表)

グローバル化の進行に伴い、ヒト・モノ・カネの国境を越えた移動は、もはや一部の人の問題ではなくなりました。世界人口の30人に1人が自国以外に暮らす現在、日本だけがグローバル化の波から逃れることはできません。グローバル化の波はアジア諸国を飲み込みました。韓国では大企業の国際化が進み、英語が話せない人、専門技能・知識を持たない人は、韓国国内トップの大学を卒業しても良い就職口にありつけない状況です。
 
熾烈な国際競争社会で生き残るには、人に負けない「強み」を持つことが必要です。誰にも負けない自分の専門分野を持っていなければ、世界レベルの競争の中で一歩抜きん出ることは困難なのです。
 
集団の和を重視する日本人は「皆と同じであること」に安心感を持ちます。残念ながら、グローバル社会では「皆と同じ」は通用しません。子どもたちの強みを見つけて磨きをかけなければ生き残っていくことができないのです。

強みを言葉で伝えてあげよう!

子どもの「強み」や「長所」は何でしょうか?子どもは自分の強みを知っているでしょうか?子どもが自分で強みに気付くことはできません。だから身近な存在である親が強みを見つけて、言葉で伝えてあげる
ことが大切です。
 
「負けず嫌い」「集中力がある」「優しい」「社交的である」「パズルが得意」「本が好き」「観察力がある」「明るい」など、どの子にも必ず良い部分や人とは違う特徴があります。それが強みです。子どもの強みを見つけたら、きちんと言葉で子どもに伝えてあげてください。
 
「負けず嫌いなのは強みだよ」「集中力があることは武器だよ」「人に優しいのは素晴らしいことよ」「誰とでも仲良くなれるのは才能だよ」という要領で、具体的に伝えてあげてください。すると子どもは自分の強みをより意識するようになり、実際にその部分が伸びていきます。

弱みや短所には触らない

強みと弱みは表裏一体です。「負けず嫌いの子」は「頑固で融通が利かない」という弱みがあります。「集中力がある子」は「夢中になり過ぎる」という弱点があります。「人に優しい子」は「優柔不断で物事を決められない」という欠点があります。
 
子どもの強みを伸ばすポイントは「弱みには触れないこと」です。弱みに触れると弱みが大きくなってしまいます。強みだけに意識を向けて、認めて褒めてあげてください。強みが大きくなれば、弱みは目立たなくなります。
 
「言うことを聞かなくて、ぐずぐずして、乱暴で、本当に困っています」と相談してくる親がいます。子どもの悪い面ばかりに目が向いているのです。そんな方は子どもの強みを紙に書き出してみましょう。子どもの良い面が見えてくるはずです。
 
そして最初は1日で構いませんから、悪い面には一切触れずに、子どもの強みだけを認めて褒めてあげてください。「ゲームばかりしないで!」ではなくて「◯◯ちゃんは好きなことにはすごく集中できるね!すごいね!」というように、伝え方を変えてみましょう。

親が環境を与えることが大切 

子どもの強みを見つけたら、その分野を生かせる課外活動や習い事に参加させてあげましょう。「負けず嫌いの子」であれば、どんなスポーツに参加させても大いに能力を発揮するはずです。「負けず嫌い」はスポーツでは最も大切な素質です。「絶対に負けたくない!」という気持ちが強ければ強いほど、人よりも努力しますから上達が早いのです。
 
また、スポーツに参加すると親以外の大人たち、コーチや周囲の親からも「◯◯ちゃんは負けず嫌いで強いね!」と褒めてもらえます。他者から褒められる経験が強みをさらに大きく伸ばしてくれます。どんな分野でも構いません。「強みを伸ばす子育て」をぜひ実践してください。
 
(2017年1月1日号掲載)

事業の売却

より大きな利益のために事業を売却することは、ビジネスより大きな利益のために事業を売却することは、ビジネスの世界では間々あることです。実際に事業を売却する際、どの世界では間々あることです。実際に事業を売却する際、どのようなことを行う必要があり、どのような税が生じるのでのようなことを行う必要があり、どのような税が生じるのでしょうか?

財務諸表とは

ビジネスオーナーが事業を売却する際にまずすべきことは、財務諸表の準備でしょう。財務諸表は部外者が事業の実態を知るのに最も適しているからです。財務諸表にはバランスシートなどが含まれ、収支や損益が分かります。
売却の話を始める前にオーナーは財務を精査する必要があります。費用の処理漏れなど、現段階で生じ得る問題事項を解決したり、買い主に売掛や買掛の説明をしたりするために、会計士に財務諸表を調査してもらい、見直すと良いでしょう。会社の規模や形態によっては調査範囲が膨大になります。そのような場合は、要点を絞って精査する方法もあります。

売買の内訳・区分

売買契約においては、全売却価格のうち、有形資産やのれん代などの無形資産を含めた事業に関わる全てのものの価格がそれぞれいくらなのか内訳を
出す必要があります。また、売却する資産全てを、資本資産、償却可能な固定資産、販売目的で保有している固定資産など税法上の区分に分類しなくてはなりません。IRSの規則では、買い手、売り手に共に同じ内訳、区分を使用することになっており、これらを販売契約書に記載する必要があります。
また、売却価格の一時金は、「一時金」という名目の単体の売上ではなく、個々の資産を売却した総計としてみなされます。事業の各資産の額は税法上、異なった方法で算出するので、資産を個別に売却する必要があります。例えば、在庫の販売は経常利益もしくは損失となり、不動産や1年以上保有している償却可能な固定資産の販売は資本利得もしくは損失(キャピタルゲイン・ロス:不動産や株式などの資産価値の上昇による利益・損失)となります。
もし仮に、オーナーが固定資産売却により損失を被った場合、全体の収益から損失額を差し引けます。ですが、収益から差し引ける損失は年間3,000ドルまでが上限です。

売却で生じる税

売却額のうち、課税対象は、オーナーが会社に投資した金額と事業の売却額との差額、つまり利益です。一般的に投資した金額とは、事業設立の際にかかった額や、オーナーがさらに前のオーナーから事業を購入した額の合計です。また、事業の売却額には買い手側に引き継いでもらった負債も含まれます。さらに、売却で生じた弁護士費用や、資産の減価償却費などを計算し、より正確な課税額を算出します。
売却で生じた利益が経常利益か資本利得かによって税額は変わります。1年以上保有している資産の資本利得は最大15%の課税対象となり、所有して1年未満の資産の資本利得には経常利益の税率が課されます。経常利益には資本利得より高い税率が課されます。

株式の売却

また、株式会社の売却では、株券の損得も確定させます。この際、株の売却益に対し、会社に所得税がかかります。会社は税金を払った後に株主へ配当金を発行し、配当金を得た株主もまた所得税が発生します。つまり、株券は会社も株主も税金を支払うニ重課税になるのです。
事業の売却を考えている方は、早めに専門家へ相談しましょう。売却交渉の前に財務の要点を抑えることで、交渉を優位に進めることができます。
 
(2016年12月16日号掲載)

石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。
アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ
米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー

※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。

アメリカ高等教育におけるトランプ政権の影響

アメリカの大統領選挙の予想外の結果は、高等教育の分野でも大きな波紋を呼んでいます。教育問題に熱心に取り組んできたヒラリー・クリントンの勝利を確信していた教育界では、驚きと落胆の声が上がりました。各地の大学では抗議活動が行われ、マイノリティーや移民、LGBTQの学生が絶望や疎外感を抱くなど、社会問題に発展しました。トランプ政権は、高等教育にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

大学の学費への影響

教職員組合を支持基盤に持つクリントンは、教育を重要な政策課題に掲げていました。その一つに、高等教育を無借金で受けられるようにすること、具体的には年収が最大12万5千ドルまでの家庭で公立大学の学費を無料化するという主張がありました。これは、民主党予備選挙で戦ったバーニー・サンダースの政策を取り入れたものです。年々高騰する大学の学費が家計を圧迫し、卒業後に多額のローンを抱える学生が増える中、8割の家庭で公立大学の学費が無料になるこの政策は、多くの賛同を得ました。
 
ドナルド・トランプは、高等教育については選挙戦の中で多くを語っていませんが、教育ローンと学費の低減についての政策を示しています。学生は支払い能力を超えるローンを負わされるべきではないという立場から、返済は借り手の年収の
12.5%に制限し、15年間返済すれば、残りの負債は免除するという主張をしています。また、多額の基金を保有する大学については、その資金を授業料の削減に投入することを求め、大学が応じない場合は非課税の特権を剥奪するとしています。
 
いずれの政策も、実際に導入するのは容易ではありません。大学の基金は、その用途が厳しく制限されているため、トランプの主張通り実現する可能性は低いと思われます。一方で、クリントンが主張した公立大学の無料化も、その財源をどうするかという問題があり、専門家の中には反対する人も多くいました。強引に無料化しても、公立大学の教育の質の更なる低下を招いたり、UCLAなど一部の人気州立大学が私学化したりする恐れもありました。いずれにせよ、学費の問題が今後議会で取り上げられる可能性があるので、成果を期待したいところです。

外国人留学生への影響

アメリカの大学では、100万人超の外国人留学生が学んでいますが、トランプ政権下で外国人留学生への影響が懸念されています。トランプは、イスラム教徒の入国禁止や不法移民の排除など、選挙戦を通じて排他的な発言を繰り返しました。今後、学生ビザの取得や大学進学後の就労ビザの取得がしにくくなる可能性はあるのでしょうか。
 
外国人留学生の存在は、アメリカの大学経営において極めて重要です。州外学生向けの高い授業料を払う外国人留学生は、州立大学の貴重な収入源であり、ファイナンシャル・ニードを考慮する必要がない外国人留学生は、私立大学にとっても重要です。地域によるビザ取得の難易差は拡大する可能性はありますが、例えば中東諸国からの留学生は、全留学生の約1割を占め、無視できる数ではありません。従って、アメリカの大学における外国人留学生への対応が大きく変わるとは考えにくいです。 アメリカの大学の強みの一つであるグローバル教育の価値は、多様性を尊重し、違いから学ぶことにあります。トランプの政策は、グローバル教育の価値観と相反するものであり、外国人留学生の減少のみならず、グローバル教育そのものにも悪影響を及ぼすのではないかと危惧する教育関係者は少なくありません。
 
人種差別主義的発言を繰り返したトランプの影響で、今後外国人留学生が減少する可能性は否定できません。また、若年不法移民向けの在留合法化プログラム(DACA)の存続が危ぶまれるなど、一部の移民への影響も避けられないかもしれません。しかしながら、高等教育で世界をリードしてきたアメリカの大学の経営理念に揺るぎはないはずです。
 
ケンタッキー大学教授で『アメリカ高等教育の歴史』の著者のジョン・サーリン氏は、アメリカの高等教育が有する強みや弱みは極めて深く、一人の候補者や一度の選挙に影響を受けるものではないと語っています。さらに、サーリン氏は、トランプはペンシルベニア大学ウォートン校で学位を得たことを誇りに思っており、大言壮語はさておき、アメリカの高等教育の価値を良く理解しているはずだ、とも言っています。政権交代直後の混乱は避けられないかもしれませんが、アメリカの高等教育の価値に影響はないと考えられます。
 
(2016年12月16日号掲載)

佐々木かをり / 株式会社イー・ウーマン代表取締役

「ダイバーシティー=女性活用ではない。」

働く女性向けサイト「イー・ウーマン」を主宰し、「国際女性ビジネス会議」の企画・開催や多くの企業で社外取締役として活躍する佐々木さん。日本における女性活躍推進の先駆者が語る、本当のダイバーシティーとは?佐々木さんにお話を伺いました。
(2016年12月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版掲載)

ささき・かをり◎上智大学外国語学部比較文化学科卒業。1987年、(株)ユニカルインターナショナルを、2000年に(株)イー・ウーマンを設立。Webサイト「イー・ウーマン」(www.ewoman.jp)を通して働く女性の知恵を集め、企業のブランドコンサルティングやコンセプト提案、商品開発を行っている。1996年から、プロフェッショナルな働く女性が、ビジネスで必要な知識や技術を習得するための「国際女性ビジネス会議」の企画、実行委員長を務める。

―2013年、安倍晋三首相は、全ての上場企業が、執行役員、取締役などの役員のうち一人は女性を登用するよう経団連などに要請しましたが、実際に改善されている実感はありますか?

佐々木かをりさん(以下、佐々木かをり):ありますね。今まで女性に扉を開かなかった役員室の門戸は、確実に広がってきています。最近では社外取締役で女性を採用する会社も増えていますし、私自身、現在5社で兼任させていただいています。データで見ても、アメリカでは女性役員が3名以上いる企業の業績がそうでない企業より高いといった結果が出ており、経営上さまざまなメリットがあると、数値でも証明されています。

―では、どういったメリットがあるのでしょうか?

佐々木かをり:私は、ダイバーシティーというキーワードで企業コンサルティングをしていますが、私が思うダイバーシティーの本質は、「視点のダイバーシティー」のことです。すなわち、ひとつの物事を多角的に捉えた組織が健全で強いのではないかと。例えば、商品を売り出すとき、バックグラウンドの似通った日本人男性が集まって議論を重ねても、一方向でしか商品の性質を捉えていない可能性があります。もしそこに25歳の独身女性や30歳の既婚女性、50歳の子どもがいる女性、LGBTや外国の方といったように、違う背景や立場の視点が加われば、同じ商品でも多角的な魅力を引き出すことができるのではないかと思うわけです。最近の例ですと、味の素さんから「イー・ウーマン」に、働く女性に向けた商品開発の依頼がきました。忙しく働く女性をターゲットにするということは、価格の安さではなく、高くても利便性や機能性を追求した商品が良いのでは、という点に着眼しました。たくさんの案が出ましたが、最終的にたどり着いたのは、粉状のドレッシング「トスサラ」です。瓶詰めの液体ドレッシングは冷蔵庫でかさばるし、いろんな味を試したくても一本さえ使い切れない。三角形の小さなテトラパックに入った粉状ドレッシングなら、レタスひとつで無駄無く使い切れるし、調理も簡単です。しかも、お弁当に持っていけたりと携帯にも便利。「トスサラ」は、こういった働く女性の視点や主婦の知恵など、さまざまな女性のアイデアから生まれました。実際に発売されたと同時に、大ヒット商品となり、一時期は生産が追いつかないほどでした。このケースは、経営メリットの分かりやすい事例ですが、こういった女性ならではの多様な分析・評価を反映させることで、より良い商品やサービスが生まれると思うのです。ダイバーシティーは、「プロダクト・イノベーション」あるいは「プロセス・イノベーション」が図れるだけでなく、さらには「この会社はガバナンスが効いていて、多様な意見を取り入れる風通しの良い会社だ」と対外的な評価も高くなります。ダイバーシティーは、多くの相乗効果をもたらすわけです。

―女性登用の促進とともに、女性の働く意識は高まっているのでしょうか?

佐々木かをり:確実に変わってきています。私は、国際女性ビジネス会議を主催して20年以上になりますが、参加する女性を見ていても、年々管理職を望む人や起業する人が増えており、意識の変化を感じます。でも、私は女性が全員、役職を目指して頑張ってほしいと言ってるわけではありません。一番重要なことは自分がこの道を選択している、自分が主体的に動いているという意識があることだと思っています。専業主婦であれ、会社員であれ、自分が納得した選択ならば、満足感があり、それが自己の幸せへとつながると思うからです。ただ、その選択に迷いがある場合は、その解決の手助けができればと思っています。例えば、現在の上司を見て、長時間労働したくないから昇進したくないという方がいれば、「だから、あなたがなる意味があるのよ。あなたがその上司の下でいる限り、その体制は永遠に変わらないけれど、あなたがそのポジションに就けば会社のルールを変えられる」と言います。専業主婦の方にも、本当は働きたいのに子どものために諦めたと言われるのなら、「それは健全ではないので働いた方が良いのでは」と言います。社会貢献の喜びは、子育てにも大いに役立つし、経済的に自立しているということは、何が起きるか分からない未来において、大きな安心につながりますから。

―女性を職場に受け入れる男性の意識については、どうですか?

佐々木かをり:女性に役員室の門戸が広がっているといっても、まだまだ女性登用に消極的な男性経営者の方々は多いですね。高学歴の女性が増えた昨今でもなお、5年10年経つと、なぜか社員のほとんどが男性になってしまう。年功序列や残業時間の長さで給料が決まり、成果主義でない点など、さまざまな制度の問題もありますが、何より男性の意識の変革が必要なのではないかと思います。以前、ある男性経営者が「我が社は平等です。デキる女性は役職に就けますが、別にデキない人を、あえて女性だからと言って昇格させる必要はないでしょう」とおっしゃる方がいました。私は、デキない女性って?と疑問に思うわけです。女性には、いまだに一般職が存在し、入社当時から男性と差があることで、入社後その格差を埋めることができないでいます。男性には社内教育や営業経験といった強化訓練をしておきながら、「別に男性と同じ能力があれば、誰でも昇格させますよ」というのは、かなりアンフェアな話ですよね。男性経営者の方々にはぜひ、組織内の多様な逸材を見出し、正当な評価をしていただきたいです。ダイバーシティーにおいて女性を起用することの意味は、社会的な人権や平等の観点から言ってるのではなく、経営的なメリットがあるからです。ただ、男性経営者に説明するときは、説得のアプローチを考えます。というのも、頭ごなしに「女性を役職に就けなさい!エイエイオー!」と攻撃されると、鍵は二重にロックしたくなるもの。私だって誰かに攻撃されたら、身構えてしまいます。そうではなくて、「多様性が成長の源泉となるダイバーシティーに富んだ組織は、経営的に飛躍しますよ」と説明すると、鍵は内側から開くものなんですよね。「北風と太陽」の太陽ではないけれど、もし変革を望むなら、女性たちも彼らが自ら鍵を開けたくなるような、そんな太陽のアプローチを考えてほしいなと思います。
 
※このページは「2016年12月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

We work for IT Business-アメリカのIT業界で活躍している日本人-

Google、Microsoftといった米国の大手IT企業で活躍する人から、ポケモンGOのプロジェクトの開発者、IT技術を活かして新ビジネスを立ち上げた起業家など、IT先進国である全米の、第一線を牽引している日本人をインタビュー。システムやゲーム、アプリ開発に至るまでの過程やアメリカで働く意義などを伺いました。

Niantic, Inc. 川島優志 アジア統括本部長

かわしままさし◎横浜市生まれ。2013年、Google社内スタートアップのNiantic Labsにて「イングレス」を開発。2015年、Niantic, Inc. 設立に伴い、アジア統括本部長に就任し、「ポケモンGO」のプロジェクトを立ち上げた。現在、シリコンバレー在住。

偶然に起こる「一期一会」ゲームも人生も、そこが面白い

2016年7月にリリースされ、アメリカをはじめ世界中で大ヒットしたスマホ向けアプリ・ゲーム「ポケモンGO」。同ゲームの開発プロジェクトの立ち上げを担当した川島優志さんに、外を出歩いてプレーするというゲームの新しいカタチを生み出した経緯を伺いました。

–なぜコンピューターゲームに興味を持たれたのでしょう?

コンピューターとの出会いは小学生の時。「ファミコンが欲しい」と親に言ったら、間違えてセガのテレビゲーム機を買って来てくれたのがきっかけなんです。そのゲーム機にキーボードが付いていて、遊び感覚でプログラミングを始めました。それからずっとコンピューターへの興味は尽きず、大学に入ってからはグラフィックデザインの仕事をするように。その仕事でコンピューターのデザインソフトウェアを使っているうちに、自分でもソフトウェアの開発をしてみたくなったんです。それで、ソフトウェア開発を学ぶなら、MicrosoftやAppleといったコンピューター関連の大企業があるアメリカしかないと考え、大学を中退後、渡米しました。

–コンピューターテクノロジーの本場、アメリカに来て、いかがでしたか?

ビザのことを調べずに渡米した当初は、踏んだり蹴ったりでした。サンフランシスコに行ったものの、学生ビザを取得するためにロサンゼルスに移って語学学校に入学。その後、労働ビザを取得するために起業し、ロサンゼルスの駐車情報を網羅した地図を作りました。結局、起業直後は労働ビザを自分自身に出すことはできなかったのですが、その地図を印刷するために関わったデザイン会社にサポートしてもらえることになったんです。

–なぜ駐車情報の地図を作ろうと思ったんですか?

ロサンゼルスは車社会ですから、駐車スペースを見つけるのに苦労しますよね。しかも、駐車のルールが本当にさまざまあって、非常に分かりにくい。普段の生活で感じた「こんなものがあったらいい」という思いをカタチにしたかったんです。仕事をする時には、自分が何を体験して、どう感じたかを基にすることが大切。実生活の中で自分自身があったらいいなと思うものを作ることは、世の中を良い方へ変える力があると思うのです。
地図を使ってプレーする「ポケモンGO」も、人を外に出すことが世の中を良くすることにつながるという信念が根底にはあります。この「ポケモンGO」では、現実世界にデジタルの情報を重ねて表示するAR(拡張現実)技術を使って、普段だと見過ごしてしまうような意外な名所を身近に発見できる仕組みを取り入れています。実際、「ポケモンGO」の地図上に現れる「ポケストップ」(ゲーム内で使用できるアイテムを入手できる地点)は、街の名所やモニュメントなどを設定しています。ちなみに、こうした「ポケモンGO」の技術や情報は、私が開発段階から関わったスマホ向けアプリ・ゲーム、「イングレス」(AR技術と地図を使った陣取りゲーム)がベースになっています。

2016年10月29日、大阪府で開かれた「イングレス」のイベントで、同ゲーム内のSFの世界観に合わせてユーザーが改造した車に乗る川島さん

–「イングレス」と「ポケモンGO」の共通点は?

「イングレス」も「ポケモンGO」も現実世界での交流を重視しています。例えば「ポケモンGO」ではプレー中、「ここにピカチュウがいる!」と近くで人が叫んだら、ユーザーがその場所に集まって、そこで偶然に出会いが起こります。そして、北米やアジア、ヨーロッパにしか出現しないポケモンを捕まえるために海外に行けば、自分とは違う価値観を持った人と出会えます。自分とは違った人の魅力を知ることは、違いを受け入れる力を育て、ひいては世界平和に結び付くと本気で思っています。「ポケモンGO」や「イングレス」の大きな狙いはそこにあります。「イングレス」はゲーム性が奥深い代わりにSFの世界観などで敷居が高いところがありますが、「ポケモンGO」は間口が広く、より多くの人に楽しんでもらえていると思います。

–川島さんの人生の中で、印象的な出会いは?

「イングレス」を通したユーザーとの出会いです。世界中のイベントで各国のプレイヤーと出会い、ゲームを通して病気から回復したり、家族の絆を取り戻したりした人々に勇気づけられてきました。株式会社ポケモンの石原恒和社長も「イングレス」を熱心にプレーし共感してくれたことが「ポケモンGO」につながりました。「イングレス」がなければ「ポケモンGO」が誕生することはなかったでしょう。私はロサンゼルスで苦労していた時からずっと、目の前にあるプロジェクトはどんなことでも「一期一会」の気持ちで取り組むことを心掛けています。常に、このプロジェクトが最後だという気持ちで。そうした姿勢が、素晴らしい出会いを呼び寄せてくれていると思います。

–今後、取り組みたいことは?

23歳から30歳までを過ごしたロサンゼルスは第2のふるさととも言えますが、今後は飛行船を買って、国境を越えて、空から世界をゆっくり見たい。飛行船で生活するなんて、現実的にできないよと言われますが、やはり自分が良いと思うことを追求していきたいです。大学を中退してアメリカ行きを決意した時も多くの人に反対されましたが、自分を信じて行動した結果、世界がこんなにも広がったんですから。

Microsoft 鷹松弘章 プリンシパルエンジニアリングマネージャー

たかまつひろあき◎埼玉県出身。カナダの大学でビジネスを学ぶ。ロータスを経て、98年、日本マイクロソフトに入社。2001年、Microsoft Corporation本社へ異動。現在は、Windows 10などのエンジニアリングとマネージメントに携わる。(hiroakitakamatsu.com

「富士山をどう動かすか?」の難問に諦めない知性と馬力を知りたい

ワシントン州にあるMicrosoft本社で、Windowsの開発などに携わる鷹松さん。エンジニアであると同時に、管理職として部署をまとめ、人事にも携わっています。IT業界の最先端で働く楽しさと、人事担当としての話を伺いました。

–IT業界、およびMicrosoftに入った経緯を教えてください。

子どもの頃からプログラムを書くのが趣味で、日本の高校でもカナダの大学でもコンピューターの授業を取っていました。卒業後、日本のロータス(現IBM)に入社。その後、98年に元上司に誘われて日本Microsoftに入社し、2001年にワシントン州の本社に異動しました。
 
Windowsを使っていると、毎月セキュリティーのお知らせが届きますよね。今の部署では、社内外から随時寄せられるWindowsに関する修正プログラムをWindowsUpdateとして毎月出すのが仕事です。

–現在の肩書き「プリンシパル」とはどんな役職ですか?

MSの開発部門では、プリンシパルに至るまでは3階級に分かれたエンジニア、その上は経営陣しかいません。プリンシパルは自分で自分のリーダーシップを発揮できるプロジェクトを求めて社内を渡り歩き、時には戦力外通告もある、まるで野球選手のような仕事の仕方です。経営陣からは対等な議論を求められ、権限もかなりあり、今年は約5000万ドルの予算を管理しました。人事権もあります。

–面接もするそうですが、入社試験では何を見ていますか?

1つ目は馬力。我々の仕事で起こることは、まだ誰も解決したことのない問題で、参考にするものがなく、頼れるのは自分のやる気と根性だけなので。2つ目は情熱。ITでこんな世界を実現したい、こんなゲームを作りたいとかの熱意です。3つ目はコミュニケーション力。ミスを犯すのは機械やソフトウェアではなく、作った人間。それをフォローするのは自分と他人の相互理解ですから。そして4つ目は、プログラミングの才能。この才能は磨けば光るので、初めはなくてもいいですが、新卒採用ではその原石を探します。エラーの少ないプログラムを書けるのは芸術家の域なんです。

–「分類方法の分からない20万冊の本がある図書館で1冊の本をどう探すか?」など、Microsoft入社試験の難問奇問が本やネットで話題になっていますが、ああいった問題は本当に出すのですか?

出します。論理的にその1冊に辿り着く思考が見たいんです。知性を使い、無理かもしれないけど頑張って解こうとする馬力を知りたい。ビル・ゲイツの有名な質問に「富士山をどう動かしますか?」というのがありますが、それを「そんなの無理」と諦める人は採用しません。
 
以前、Windowsの製品チェックには10カ月かかっていて、ある時、上司に「これを2週間でやれ。NOと言うな」と言われました。Microsoftでは、こういう場面でNOと言わないことが前提。結局、製品チェックは、アナログから全自動化することで、10日でできるようになりました。

2016年7月、東京大学での講演会での一コマ。「若かった時に聞いた何人かの大人の言葉が印象に残っているから、その恩返しのつもりです。それに学生たちの反応がとても楽しい」と鷹松さん

–レイオフをしたこともあると伺いました。その心境は?

自分の育てた部下に、朝来たら「今日の12時から帰って」って言うんです。人間としてこんなことをしていいのかと最初の頃は悩みました。でも、彼らのその後を見ていると、それぞれが幸せそうに暮らしていて、違う道を探すきっかけが作れたかなと思うようになりました。
 
ただ、どう話すかは気を遣います。「あなたの人間性を否定してるわけではなく、今の部署にフィットしていないだけ」と、決して人格を否定して外に出さないようにしています。

–IT業界の最先端で働く醍醐味って何でしょう?

やはり、世界で誰も解決したことのない問題がふりかかってくる楽しさでしょうか。Microsoft初のタブレット、Surfaceの開発をしたとき、設計が難しくて悩み、仕事が楽しかったんですよ。
 
仕事上の難問って、日本だとけっこう簡単に答えが出ます。日本文化だけ考えれば済むし、あうんの呼吸で物事は決まりますから。でも、バラバラの文化から来た人で編成されたチームでは、基本的に話はまとまりません。だから自分たちの共通項を探し当てるしかないんです。MSの売上は60~70%をアメリカ国外が占めるので、世界中の人が理解できるものを作らなければなりません。Microsoftは、人種も年齢も性別もいろんな人がいる職場環境を意図的に作っています。自分の器を大きくしてくれる環境ですね。
 
ITの最先端と言いつつ、中はけっこう泥臭い人間模様ですよ。上は政治的なことがあるし、エンジニアは、時にはケンカしながらモノを作っているし。

–日本やカナダの大学で講演なども行っていますね。

大学の恩師から頼まれたり、日本の大学生がMicrosoftを訪問する際の手伝いをするうちに、自分の仕事について講演するようになりました。皆、目を輝かせて話を聞いてくれるんです。自分が役に立てると思うとうれしく、これからもライフワーク的にやっていきたいですね。今後は、公私共にシアトルでのITの経験をフィードバックし、若い世代が新しいチャレンジをするためのレールを敷くようなことをしたいと考えています。

Google 大石岳志 テクニカルプログラムマネージャー

おおいしたけし◎大阪府生まれ。1999年、University of Central Florida卒業。2000年からCisco Systems Japanにシステムエンジニアとして勤務。その後米国Cisco Systemsに移籍。11年からGoogleのネットワークエンジニアとして勤務し、14年から現職。

Googleが広げる世界を 瞬時にユーザーの手元へ

シリコンバレーを代表する企業Google。インターネットの検索エンジンをビジネスのコアに、AI(人工知能)から自動運転車まで手を広げるITの巨人では、どんな人が働いているのでしょうか。Googleを支える日本人エンジニアの一人にお話を伺いました。

–社員として見るとGoogleってどんな会社でしょうか?

意外に思われるかもしれませんが、Googleにはアナログなところがあるんです。新しいアイデアって仕事以外の会話や雑談から生まれたりするものなので、社員の間の「Face to Face」のコミュニケーションを大事にしています。だから、在宅勤務もできるIT企業ですが、「できるだ
けオフィスにいてね」というカルチャーなんです。現在、本社のある北カリフォルニアのマウンテンビューでは約5万人が勤務しています。僕が入社した2011年頃は1万5000人程度だったので、今は一つの街のようです。Googleが発表している「Google Diversity」によると白人61%、アジア系30%、黒人2%弱というデータがありますが、僕が働いているネットワークオペレーション部門に関して言うと、エンジニアは中国やインドの出身が多く50%以上がアジア系という印象です。

–大石さんのお仕事とは?

ユーザーとサーバーをつなぐネットワークインフラを構築する部門で、特に私の部署ではネットワークのパフォーマンスを向上させるために、新しい技術や製品を取り入れる前の試験や、プロジェクトの管理を担っています。実は、Google Chromeにしても検索にしても、サービスはユーザーの端末の中ではなく、巨大なデータセンターのサーバーで動いています。例えば、ロサンゼルスでGoogleを利用すると、オレゴン州やネブラスカ州、オクラホマ州のサーバーを使っています。そのサーバーとユーザーをつなぐのがネットワークです。ネットワークは、AT&Tなどのプロバイダーを経由するのですが、この時できるだけ間に介入するものが少なくなるように設計し、はるか遠くのサーバーで動いているにもかかわらず、まるで手元で動いているように感じられるようにしているのです。Googleを通してインターネットを利用するユーザーは年50%ずつ増えていて、それに応えるインフラとなると大量の機器と電気を使います。そのコストをどうやってセーブして、パフォーマンスを最大化するかという挑戦をしています。

オフィスは、パッと振り返ると同僚と気軽に会話ができるような環境で、社員の間のコミュニケーションを大事にしている。

–どうしてアメリカで働こうと思ったのですか?

周囲にはプリンストン大やイェール大卒などのエリートもいますが、僕自身は高校時代、英語の成績は5段階中2でした。「このままでは日本でもどこの大学にも入れない」というレベルで渡米。最初はTOEFLの成績も最低点に近くてESL(English as a Second Language)でずっと勉強して、やっとコミュニティーカレッジに入学しました。大学ではマーケティングを専攻しましたが、毎週20ページのレポートを書いて、プレゼンテーションをするというハードな内容に、「この分野ではアメリカ人に勝てない」と思った頃、タイ人の友人に、Microsoftのサーバー管理の資格を取ろうと誘われたんです。おかげで卒業後、大学の成績はそんなに良くなかったものの、マーケティング専攻で、Microsoftの資格を持っているのは珍しかったみたいで、日本のCisco Systemsから採用のオファーをもらいました。幸運なことにその年グリーンカードの抽選に当たったのですが、いったんは日本に帰り、4年後に米国のCisco Systemsに移籍しました。
 
アメリカで働くことに最初から高い志や野望があったわけではありませんが、人生において、仕事も生活も楽しめるアメリカのスタイルに憧れたというのが大きいですね。Googleへの転職にあたっては、妻や友人にインタビューの練習に付き合ってもらうなど、いろいろな人に支えてもらいました。

–Googleが目指すものとは?

週に一度、「TGIFミーティング」という、創業者のセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジが、社内で進行中のプロジェクトや、今ホットなプロダクト、将来手がけたいビジネスについて社員に向けて語る会議があるんです。会場に入り切れないくらいの人気なのでみんなでビールやピザを片手にオフィスの画面で聞いていますが、そういう会議を通して、会社の目指す方向が社内に浸透していると思います。
 
Googleの根幹にあるミッションというのは「人々の役に立つこと」。1990年代のインターネット黎明期には、インターネット上で目的のページを見つけるのは大変でした。今はGoogleによってウェブが整理され、目的としている情報が見つけやすくなりました。このGoogleの「世界をより良くする」ための追求は、インターネットの世界に限ったことではありません。実用化に向けて開発が進んでいる自動運転車も、「もし車を運転できない人でも地点AからBまでたどり着くためにはどうしたらいいのだろう?」という問題を解決するアイデアから生まれたものです。ほかにも、今後はAI(人工知能)にも力を注いでいく予定で、将来はAIが人を助けてくれるさまざまなイノベーションが起こっていくと思います。

EastMeetEast 時岡真理子 CEO

ときおかまりこ◎兵庫県生まれ。日本オラクル株式会社で働いたのち、オックスフォード大学のMBAを取得するために渡英。学習モバイルアプリ「Quipper」の共同創業者兼COOを経て、2013年、ニューヨークに拠点を移し、「EastMeetEast」を創業。

相手がなかなか見つからない… から、始まったマッチングアプリ

2013年に、ニューヨーク初のアジア人特化型マッチングサービス「EastMeetEast」を設立。「eHarmoニューヨーク」や「Match.com」など、マッチングサービスの大手がしのぎを削るアメリカで起業した経緯や今後の展望を伺いました。

–日本で起業するのも大変なのに、海外となるとなおさら。なぜアメリカで起業されたのですか?

もともと日本オラクルで、ITソリューションの提案をしていました。何十億円という予算の大規模なプロジェクトにも携わり、それなりに充実感はあったのですが、もっと社会に直接インパクトを与えたり、まだないムーブメントを起こして社会貢献をしたいという気持ちが強くなり、起業に関心を持ちはじめたんです。そんな折、オックスフォード大学のMBAに社会起業というプログラムがあることを知り、留学を決意しました。いざ入学してみると、アフリカの難民を助けるためにNPOを設立している人や東南アジアで教育システムを立ち上げた人など、すでに社会起業をしている学生がいて、彼らとディスカッションを重ねるうちに、私も!という思いがますます強くなっていったんです。また起業するなら、最初から海外で挑戦しようと思いました。デジタルプロダクトに関して言うと、日本よりアメリカの方が圧倒的に市場が大きいですし、アプリテクノロジーも最先端の技術を誇っています。今は、アメリカで受け入れられるプロダクトが、世界基準ですから、世界に通用する会社を目指すならアメリカしかないと思ったんです。

–なぜEastMeetEastを立ち上げたのですか?

ロンドンに在住している間、結婚を見据えたパートナー探しのために大手マッチングサービスを利用しました。結婚するなら日本人と考えていましたが、既存のサービスではアジア人の定義が広すぎて、インド人やスリランカ人とマッチングされたりするのです。ユダヤ系に特化した「JDate」やインド人向けの「shaadi」などがあるのに、なぜアジア人専門のサービスがないのだろう?これでは、非効率すぎてなかなか相手が見つからない。そういった私自身の経験から、EastMeetEastを立ち上げることを思いつきました。

「EastMeetEastでは、どんな女性が人気なのですか?」と聞いたところ、「アメリカでは、夢や目標を持っていて、自立心の強い女性が人気ですね。EastMeetEastを利用して、素敵な出会いを楽しんでください」と時岡さん。

–この9月にアジア人のマッチングサービスでは、全米ナンバー1アクセス数を獲得したEastMeetEast。その強みは?

EastMeetEastでは、人種や言語、移住した年齢など、細かい検索項目を設けています。例えば、欧米人は、写真が判断基準となり、目の色や身長、体が鍛えられているかといったフィジカルな面を重視する方が多いんです。一方、アジア人は、どこを卒業したとか、安定した職業に就いているか、趣味は何か、といったバックグラウンドや人間性に注目する傾向にあります。EastMeetEastでは、学歴や職業も前面に出して、お見合いの釣書のように充実したプロフィールを作成し、より自分の求めている人を探しやすい設計にしています。さらに「お見合いおばさん」メールも大きな功を奏している理由ですね。週に一回、相性の良い方を一人だけ提案するのですが、これはお互いの望ましい条件を膨大なデータの中からチューニングして選出しています。例えば、男性なら年齢だけで若い子に目がいってしまいがちなんですが、お見合いおばさんは、「あなたのような教養のある方には、茶道や料理ができる、落ち着いた女性が良いですよ」といったように、無機質な文面ではなく、相性の良さや文化的な共通点をアピールした文面で提案するのです。メールを送った日は、アクティブユーザー数が通常の40%ぐらい増えますね。

–アメリカでは、日本と違って、マッチングサービスが一般的に普及し、抵抗感なく利用しています。なぜでしょう?

アメリカは、アプリでコミュニケーションをとることが生活の一部になっています。買い物やデリバリーもアプリで済ませるし、タクシーではなくUberが普及するといったように。それと同じで恋人もアプリで探すのは自然なことで、テクノロジー文化の発展の違いがあると思います。さらにアメリカ人の合理性も影響していますね。友達の紹介を待っていても一カ月に数人しか紹介されないなら、100人プロフィールを見て決める。この合理的なプロセスが合っているんだと思います。あと世論調査でも、オンラインデーティングの出会いは良いという考えが10年間で圧倒的に増えました。抵抗感が少なくなったことが、普及を後押ししたように思います。

–これからの展開は?

これまではニューヨーク、ロサンゼルスが中心でしたが、来年は北米全土、さらにアジアにも展開したいと思っています。アジア圏にいる男女の中に、アメリカに住んでいる方との出会いを求める人はいると思います。特に中国人は一人っ子政策の影響で男性が人口過多ですので、チャイニーズアメリカンの男性とアジア圏の中国人女性をつなげたり、さまざまな提案ができたらと。私たちの仕事は、世界中に幸せなカップルを成立させることが全て。両思いのカップルが誕生すれば、自ずと口コミで広がっていきますから。幸せなカップルを増やしていく!これに尽きますね。
 
(2016年11月16日号掲載)

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)留学ガイド

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のロゴ

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のロゴ

ダウンタウン・ロサンゼルスの西、ウェストウッドという街にあるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のキャンパス。高級住宅地ビバリーヒルズからも近く、また少し足を延ばせば海沿いのサンタモニカなどのビーチにも出られる好立地で、4万人以上の学生が通う人気大学。
 
またカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)はスポーツなどのクラブ活動も盛んで、文武両道の点でも有名なアメリカを代表する大学だ。

アメリカを代表する名門州立大学のUCLAは留学でも人気・おすすめの学校

2019年版のUS newsによるアメリカ大学ランキング(Best Colleges)によると、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)はアメリカの総合大学ランキングで19位、またアメリカの州立大学ランキングでは1位と、カリフォルニアのみならずアメリカ国内で見ても名門大学と言える。
 
当然、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は日本人留学生にも人気・おすすめの留学先の1つで、UCLAの学部や大学院・MBAに通う日本人留学生もいれば、UCLAのエクステンションプログラムに在籍、短期の英語語学留学などで在籍中の日本人もいる。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)・日本人留学生インタビュー

【財賀理沙さん(左)】大学4年生
Cognitive Science専攻
心理学を勉強するため留学し、脳に興味を持つように。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で「認知科学」を専攻。

【高木麻里さん(右)】大学院2年生
Earth & Space Science専攻
スウェーデンの大学院で環境科学の修士号を取得後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)へ。現在、原始太陽系の進化について卒論を書いている。

The Bruin Bear:重さ2トンのブルーイン・ベア。「UCバークレーのシンボルの熊の子供だそうですよ」(高木さん)

アメリカ・ロサンゼルスを代表する大学と言えば、UCLA(University of California, Los Angeles:カリフォルニア大学ロサンゼルス校)。カリフォルニア大学グループ(University of California:UC)の中で最大の規模となる大学で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)はバークレー校(UC Berkeley)やスタンフォード大学と並び称される、アメリカ西部の超名門校。419エーカーの広大な大学キャンパスの敷地には、235もの建物が点在し、大学生、大学院生合わせて4万人以上が通う。世界100カ国以上から留学生が集まる。
 
シャトルバスも通っているだけあって広い!都会の中にありながら、緑が豊かなカリフォルニア大学ロサンゼルス校のキャンパスは公園のようだ。
 
(2005年9月1日号掲載)

Ackerman Union

Ackerman Union:1階はUCLAグッズやスポーツ用品、衣類まで買えるブックストア、2階はフードコートとATM、郵便局、銀行、旅行代理店やコピーセンターまで揃う。「日本行きのチケットやUCLAオリジナルTシャツをお土産に買ったりと便利。ラップトップも500ドルで買いました!生活になくてはならないところです」(高木さん)

UCLAのキャンパス

Bruinwalk:カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のキャンパスの中でもにぎやかなこの道。「新学期には、この道の両脇でクラブの勧誘が行われ、ビラが飛び交います。政治系や、中国会、韓国会など国別のクラブ、運動部ではヨットや剣道などもあります」(財賀さん)

Kerckhoff Hall

Kerckhoff Hall:1931年に完成したこの建物には、学生の自治会やカフェが入っている。情緒漂うステンドグラスが美しい。「カフェは平日なら朝7時からオープン、夜11時まで開いています。夜はバンドやピアノの生演奏が入ることも。学生の溜まり場です!」(財賀さん)

ロイス・ホール

Royce Hall:カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のランドマーク的存在。イタリア・ミラノの教会をモデルに、David Allisonにより設計された。1929年築とキャンパスの中でも1番古い建物。コンサートなども行われる。「正面の2つの塔、実は左右対称じゃないんですよ」(高木さん)

UCLAの図書館

Powell Library:カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の図書館。ロマネスク様式の建物で、こちらもイタリアの教会がモデル。蔵書は760万冊と、アメリカの中でもトップ10に入る規模。

UCLAへの留学方法~エクステンションでの英語語学留学がおすすめ

UCLAの学生

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に日本から留学する方法としては主に3つの方法が考えられる。1つはUCLAの学部に新入生として留学する方法、もう1つは日本の4年制大学を卒業していれば、UCLAの大学院を受験する方法もある。
 
さらに、もう1つ、比較的簡単にUCLAのキャンパスで留学体験できる方法としておすすめなのが、エクステンション(Extension)と呼ばれるプログラムに参加、英語の語学学習やビジネス関連のコースに留学することだ。
 
ここでは、それぞれの方法ごとに留学に必要な入学資格や、UCLAに支払う授業料金・学費などを紹介する。

UCLAの学部に入学・留学する方法(TOEFLなどの資格や必要な費用)

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の学部に入学、留学する方法としては、新入生から入学する方法のほか、ロサンゼルスなどにあるコミュニティカレッジ(アメリカの2年制大学)に留学してからUCLAに編入・進学する方法がある。
 
実際にはコミュニティカレッジに留学後、後からUCLAに編入する日本人留学生も多いのだが、それは新入生としてUCLAに入学する際の資格や基準のハードルが高い点が理由の1つ。まず、ACTやSATなどの入学審査に必要なテストを事前に受験する必要があるほか、TOEFLのiBTスコアで100以上、IELTSのスコアで7.0以上の英語力が必要とされる。
 
また、UCLAの学部授業料や学費など留学費用が高い点も、難易度を高めている。2018年~2019年の1年間の授業料は、カリフォルニア州民の場合は15,991ドル(約180万円)だが、日本人留学生を含むカリフォルニア州外の学生の場合、41,294ドル(約470万円)の学費が必要となる。
 
入学資格も厳しい上に、授業料金・学費の費用負担が重い点が、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の学部への入学・留学を考えた際のデメリットだ。

MBAプログラムなど大学院を受験、留学する方法(入学資格や必要な学費)

もしカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の大学院を受験する場合も同様に、高い入学資格のハードルと授業料・学費がネックになる。例えばUCLAのMBAコースを受験する場合、GMAT/GREと呼ばれるテストのスコアが必要な上、英語力としてTOEFLのiBTスコアで87以上、IELTSのスコアで7.0以上が最低基準として求められる。また英語での推薦状(レコメンデーションレター)や小論文(エッセイ)も出願に必要な書類に含まれる。
 
また2018年~2019年の1年間の授業料は41,016ドル(約460万円)。2年間のMBA留学にかかる費用は学費だけで1,000万円近くとかなりの費用負担になるのが実情だ。

UCLAのエクステンション(extension)で、英語の短期語学留学もおすすめ

uclaエクステンションのロゴ

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に留学したい場合や語学学校以外で集中して英語を学びたい場合のおすすめが、UCLAのエクステンション(extension)プログラムに参加、留学する方法。
 
UCLAのエクステンションとは、社会人などでも大学キャンパスで学べるプログラムで、学士や修士といった学位は取得できないが、サーティフィケイト(修了証)を取得できるプログラム。中でも、英語の語学習得を目的としたエクステンション(American Language Center:ALC)が日本人留学生に人気・おすすめだ。

ALC(UCLA併設の語学学校でのエクステンションプログラム)のメリット・おすすめ理由

  • カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の学部・大学院留学と比較して授業料金・学費などの費用が安い
  • 4週間(1ヶ月)や12週間(3ヶ月)など、短期の語学留学も可能
  • 入学資格としてTOEFLなどの英語スコアが不要で、初級向けのクラスもある
  • UCLAの大学キャンパス内での語学留学
  • 質の高い英語の授業
  •  

    UCLAでの英語語学留学にかかる授業料・学費(2019年)

    カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に併設された語学学校・ALCでは2つの英語の語学力向上プログラムが提供されている。1つがAcademic Intensive Englishプログラム(AIEP)で、英語を基礎からしっかりと学ぶことが可能だ。もう1つがIntensive English Communicationプログラム(IECP)で英語でのコミュニケーションスキルを中心に学ぶだめの留学プログラム。
     
    季節によって留学期間1ヶ月~3ヶ月のプログラムが提供されており、短期留学可能な点もメリット。週23クラス(1クラスは50分)と、たっぷり集中して英語を学べる点が特徴だ。
     
    Academic Intensive Englishプログラム(AIEP)の授業料金・学費(2019年)

    学期 留学期間 学費・授業料金
    春学期(10週間) 2019/4/1-6/7 5,920ドル
    夏学期(12週間) 2019/6/24-9/13 6,185ドル
    夏期前半のみ(6週間) 2019/6/24-8/2 3,600ドル
    夏期後半のみ(6週間) 2019/8/5-9/13 3,600ドル
    秋学期(10週間) 2019/9/30-12/6 5,920ドル

    Intensive English Communicationプログラム(IECP)の授業料金・学費(2019年)

    学期 留学期間 学費・授業料金
    春学期(12週間) 2019/4/1-6/20 6,235ドル
    春学期(4週間のみ) 2019/4/1-4/25
    2019/4/29-5/23
    2019/5/28-6/20
    2,580ドル
    夏学期(11週間) 2019/7/1-9/13 6,165ドル
    夏学期(4週間のみ) 2019/7/1-2019/7/25
    2019/7/29-8/22
    2,580ドル
    秋学期(12週間) 2019/9/30-12/19 6,235ドル
    秋学期(4週間のみ) 2019/9/30-10/24
    2019/10/28-11/21
    2019/11/25-12/19
    2,580ドル

     

    カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の学校情報~所在地や学生数

    学校名 University of California, Los Angeles(カリフォルニア大学ロサンゼルス校:UCLA)
    所在地 405 Hilgard Ave., Los Angeles, CA 90095
    連絡先 9742;310-825-3101
    学校ホームページ www.ucla.edu
    設立 1919年
    運営 州立
    敷地面積 419エーカー
    学生数 45,428人(大学生31,002人、大学院生13,025人、他1,401人)※2018年時点
    留学生数 学部の大学生のうち約12%が留学生(留学生数:3,645人)※2018年時点
    学部数 318学部(大学118、大学院200)
    学期開始時期 9・12・3・6月(4学期制)
    留学中の滞在方法 ホームステイなど

     

    コミュニティカレッジからの編入・進学によるUCLAへの出願・合格者も多数

    2018年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)入学者は全体で9,205名だが、このうち3,167名が他の大学からの編入による入学者だ。この他の大学からUCLAに編入・進学した人のうち、92%がカリフォルニア州内のコミュニティカレッジ(コミカレ)からの編入となっている。

    コミュニティカレッジなどからUCLAへの編入・出願者数 21,859名
    合格者数 5,531名
    入学者数 3,167名

    英語の語学力に自信のある日本人留学生であればUCLAに直接出願するのも可能だが、そうでない場合はUCLAのエクステンションでまずは大学のキャンパス生活を体験しながら英語の語学力を高めたり、卒業後の編入を目的にまずはロサンゼルス周辺のコミュニティカレッジに留学するのも、UCLA進学のためのおすすめの方法だ。

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)留学ガイド

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)のロゴ

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)のロゴ

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI:University of California Irvine)は、ロサンゼルスの南、オレンジカウンティ(郡)のアーバイン市にあるカリフォルニア州の州立大学。カリフォルニア州立大学システム(CSU系)に対して、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)やUCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)などと同様、カリフォルニア大学システム(UC系)に属する学校の1つだ。
 
この学校が日本人留学生にもおすすめの理由の1つが、豊富なエクステンション(Extension)プログラム。学士や修士などの学位取得ではなく、社会人なども対象にしたキャリアアップや専門知識の獲得を目的とするのがエクステンションプログラムの特徴で、カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)は留学生向けのESL・英語の語学学習プログラムや、マーケティング・WEBテクノロジーなどビジネス関連のプログラムも含め60以上のコースを提供している。

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)・日本人留学生インタビュー

持っているのはカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)のキャラクター・Anteaterのロゴマーク

【村木由梨香さん】大学4年生・Computer Engineer専攻
 
日本の高校を卒業後、サンタモニカ・カレッジ(SMC)へ留学。在学中に数学と物理の面白さに目覚め、2年学んだ後、カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の3年生へ進学・編入。卒業後は日本に戻り、外資系のコンピューター会社に就職予定。UCI内の日本人学生会を通じて、JSNのイベントなどに参加している。

Humanities Instructional Building:1997年に完成したUCIキャンパス内の建物。1階には350人程度収容できるレクチャーホールがある

アメリカで最も安全な都市、治安の良い都市の1つとして評価されている街、アーバインにあるカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)は、公園を中心に、それを取り囲む形でユニークなデザインの校舎がゆったりと立ち並んでいる。
 
カリフォルニア大学(UC)系の中で創立が比較的新しいにもかかわらず、アーバイン校の評価は高い。アメリカの名門大学しか選ばれない「Association of American Universities」のメンバーで、『U.S. News & World Report』誌(以下、US News)のアメリカ公立大学ランキングでは堂々10位にランクインしたこともある。この他、Medical CenterはGynecology(婦人科)のランキングでベスト50に入る優秀ぶり。
 
1995年には、化学と物理学の2部門でノーベル賞受賞者を輩出。同年に同じ大学から違う分野で受賞者を出すというのはアメリカ初の快挙だった。最近では2004年に、化学で再びUCIからノーベル受賞者が出ている。またCreative Writingにも強く、US Newsランキングではアメリカ6位、ピューリッツァー賞を取った卒業生もいる。
 
日本人留学生・村木さんの専攻はコンピューター工学。もともと文系人間だったという彼女、サンタモニカ・カレッジ留学中に物理が得意であることを知って進路変更。自分の興味と得意分野を活かせる専攻をカリフォルニア大学アーバイン校に見つけ、編入したのだそう。グループ研究などの課題を着実にこなし、現在は卒業に向けてラストスパートをかけている。
 
ところでUCIの別名は「University of Chinese Immigrants」だが、実際は?「私のクラスには日本人留学生はゼロ。中東系やインド人が多いです。でも確かにアジア系の学生はかなりの割合を占めていますね」。カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)にはアジア語学科もあり、その中にはもちろん日本語も含まれている。そのため、図書館には日本語の本がたくさん置いてあり、蔵書には週刊少年マガジンなどもあるそう。
 
日本人留学生に人気が高い専攻はSocial Ecology。カリフォルニア大学アーバイン校のESLプログラムで学ぶ日本人留学生も多い。他にも、エクステンションプログラムが充実しており、大学を卒業しても勉強を続けたい人やサーティフィケートを取りたい人にとって魅力的なコースを数多く提供している。
 
(2006年4月1日号掲載)

カリフォルニア大学アーバイン校の図書館

Science Library: アメリカで最も大きな科学、技術、医学のための図書館の1つ。中では自習もできるようになっており、大学寮の学生たちはここでよく勉強するとか

Reines Hall

Reines Hall:1995年にニュートリノの研究でノーベル物理学賞を受賞したFrederick Reinesの名を冠した建物。カリフォルニア大学アーバイン校の物理化学学部が持つ主要研究棟の1つ。

UCIの研究施設

Biological Sciences:UCIの構内で1番新しい建物。窓枠のデザインが洒落ていて、一見ホテルのよう。研究施設が入っているため、残念ながら学部生が利用することはない。

大学寮

Dormitory:カリフォルニア大学アーバイン校にはいろいろな寮があるがここは1年生対象。大学内にあるという立地の便利さゆえ、パジャマのような格好で授業に出ている学生の姿も見受けられるそう

Anteater(アリクイ)の像

カリフォルニア大学アーバイン校のキャラクター・Anteater(アリクイ)の像:Anteaterは別名「Antebear」。学生内の選挙の結果、「独創的でユニークでUC系らしい」という理由で選ばれたようだ

UCIキャンパス近くの信号

UCIキャンパス近くの信号にも「Anteater」が!

UCIのエクステンション・プログラムは英語の語学留学にもおすすめ

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の特徴が、充実したエクステンション・プログラム。中でも、留学生が対象の10週間のESL・英語集中コースは、語学学校とは違った大学キャンパスの雰囲気の中で英語の語学習得を実現できる魅力的なプログラムだ。
 
また留学生だけでなくアメリカ現地の社会人も対象の、ビジネスの専門分野に分かれたUCIのエクステンション・プログラム「サーティフィケート・プログラム(ACP)」も人気で、3ヶ月程度の期間で特定のビジネス分野のサーティフィケート(修了証)を取得することを目的に、マーケティングや国際金融、法務、プロジェクトマネジメントなど多数のコースがカリフォルニア大学アーバイン校で提供されている。

ESL~10週間の英語集中コースの内容や授業費用・学費

UCIの授業風景

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)のESL・10週間の英語集中コースはキャリアアップや大学・大学院への進学のため英語力を高めたい留学生におすすめのプログラム。学生は各自の英語力レベルに合わせて初級から上級まで7レベルに分けられ、1日4~5時間の授業に参加する。留学中の授業内容は文法・作文、読解・単語、会話などからなり、英語の総合力が身につく内容。もちろん、TOEFL・TOEICなどの英語試験対策・スコアアップも期待できる内容だ。
 
なお、カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の10週間・英語集中コース(ESL)に留学で参加するための授業費用・学費は4,500ドル(約50万円:2019年時点)。2019年は1月、4月、6月。10月がカリフォルニア大学アーバイン校への入学タイミングとなっている。

UCIの英語留学(ESL)の出願手続き

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)のESLへの留学ではオンラインでの出願手続きが可能。パスポートのコピーや銀行の残高証明書(英文)があれば、出願手続きをオンラインで完了できる。ただしUCI留学でアメリカの学生ビザ(F-1)の発行が必要な場合、I-20(入学許可証)を大学から送付してもらい、自分でビザを申請する必要がある点には注意が必要だ。

ビジネス関連のサーティフィケート・プログラム(ACP)の内容や学費

UCIのキャンパスの様子

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)のエクステンションプログラムの特徴の1つが、豊富なサーティフィケート・プログラム(ACP)。入学・出願条件としてTOEFL iBTスコア71以上などの英語力が必要だが、短期間、英語でビジネスを学ぶ体験ができる貴重な機会だ。またエクステンションプログラム終了時には、「プロフェッショナル資格認定書」がカリフォルニア大学アーバイン校から発行される。
 
ACPの授業費用・学費はビジネスの専攻分野により異なるが、多くのコースが3ヶ月(1クォーター)で7,900ドル(約90万円)。また2クォーター参加後はアメリカ現地企業でのインターンシップに参加できたり、複数のプログラムに9ヶ月以上在籍すると、12ヶ月間、アメリカ国内で有給で働く資格(OPT)を得ることも可能。留学だけでなく、英語力を高めた後にアメリカで働いてみたいという場合におすすめがUCIエクステンションのサーティフィケート・プログラムだ。

UCIのACPに入学するための手続き・資格

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の英語留学・ESLと異なるのが、UCIのサーティフィケート・プログラム(ACP)への入学には資格が必要な点だ。入学資格としてTOEFLのiBTスコア71点以上、TOEICでスコア685点以上などの英語力が求められるほか、オンラインでの出願手続きはすべて英語で行う必要がある。

 

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の学校情報~所在地や学生数

学校名・所在地 カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)/University of California Irvine, Irvine, CA 92697
連絡先 949-824-5011
学校ホームページ www.uci.edu
設立 1965年
運営 州立
敷地面積 1,527 エーカー
ニックネーム Anteater
キャンパスカラー 青と黄色
学生数 35,220人(大学生29,566人、大学院生4,467人、2018年度)
学部数 80学部(学士号課程。修士号課程もほとんどの学部で可能)
学期開始時期 9月、1月、3月、6月(4学期制)
留学生 留学生数は5,887人(2017年度)。日本人留学生は多くないが、中国、インド、韓国などアジア系留学生が多い。
学費 7,474.50ドル(学部生1年分、3学期出席したとして)
留学中の滞在方法 カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の学生寮またはホームステイ

 

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校(CSULB)留学ガイド

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のロゴ

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のロゴ

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校(CSULB:California State University, Long Beach)は、23校あるカリフォルニア州立大学(CSU)の中でも3番目の規模を誇る比較的規模の大きな学校です。ロングビーチはロサンゼルスの南に位置する海沿いの街で、空の玄関口・ロサンゼルス国際空港(LAX)からは車で30分(渋滞中の場合は60分)の距離だ。
 
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校には併設の英語語学学校(American Language Institute:ALI)もあり、英語の短期語学留学で人気・おすすめの学校でもある。

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校・日本人留学生インタビュー

【泉洋介さん(左)】大学4年生
Business/Marketing専攻
日本の大学在学中に留学のため渡米。卒業後は米系企業へ就職すると同時に、留学生斡旋会社を設立する予定。日本人留学生80人以上が集まるカリフォルニア州立大学ロングビーチ校のJapan Clubのストラテジックプランナー。

【松崎裕美さん(右)】大学3年生
Arts/Dance専攻
ボストンのカレッジでダンスを専攻した後、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校に編入。将来はダンサーとしてアメリカを拠点に活躍したいとのこと。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校Japan Clubのマーケティングディレクター。

Walter Pyramid:18階高の巨大ピラミッド!バスケットボールコート、バレーボールコート、フィットネスセンターがある。ロングビーチジャムの拠点

敷地面積323エーカー、学生数約4万人。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校は、南端の駐車場から北端の図書館まで歩くと3千人とすれ違うとも言われる、その学生数はカリフォルニア州で2番目、アメリカでも19番目にランクされるマンモス校だ。
 
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の卒業生には映画監督のスティーブン・スピルバーグ、俳優のスティーブ・マーティン、クレームジャンパーレストランの創立者クレイグ・ニクロフなどがいる。また、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のキャンパス内には3つの劇場、美術館、ジャズのラジオ局KKJZ 88.1 などもある。
 
泉さんはビジネス学部の4年生。「日本人留学生も多く、米系大手会計事務所へ就職している卒業生も多いですよ。みんなフレンドリーなのがいい。僕も図書館にあるチューターサービスで学生にファイナンスを教えています」。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のビジネス学部の修士課程はU.S.News&World Report誌で、アメリカ西海岸の公立校でランキング3位の評価を受けている。
 
松崎さんはダンス専攻の4年生。「日本でダンスは体育学部に所属しますが、こちらではアート系に入ります。ボストンのカレッジでここをすすめられて入りましたが、実際の踊りだけでなく、音楽や舞踊の歴史、解剖学などの理論も学ぶので気に入っています」。グラフィックデザイン、フィルム、ダンスなどのアート系は特に強く、専攻を決めるオーディションは2度までしか受けられないという厳しさ。また、「心理学、看護学、キネシオロジー(運動機能学)も評判が高いようです」(泉さん)とのことだ。
 
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校ではマクソン学長が常にキャンパス内を歩き回り、1人1人の学生に声をかけるというのは有名な話。ロングビーチの海岸にも数ブロックというカリフォルニア州立大学ロングビーチ校のスローガンは「Go Beach!」。海辺の街のキャンパスらしい、のんびりとした雰囲気がある。
 
(2005年11月1日号掲載)

日本庭園

Earl Burns Miller Japanese Garden:1981年に造られた日本庭園。菊の展示会や鯉のオークションなども行われる

劇場

Carpenter Performing Arts Center:1065人収容できる劇場。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校音楽学部の卒業生であるリチャード・カーペンターとカレン・カーペンターの「The Carpenters」から名前がつけられた

University Student Union

University Student Union:フードコートやチケット売り場、ネイルサロンなどが充実。ミュージック・リスニングルーム、ラジオ局やボウリング場もある!

ダンスセンター

Dance Center:スタジオと劇場を併設したダンスセンター。バレエからアフリカンダンスまで、幅広い授業が行われる

ビジネス学部

The College of Business Administration:カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のビジネス学部。約5400人の大学生と600人の大学院生がここで学ぶ。留学生は86カ国から1500人と全体の28%と高い比率

併設の語学学校(ALI)での短期英語留学プログラムもおすすめ

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校(CSULB)の学士号や修士号過程に留学しなくても、同じキャンパス内の語学学校(American Language Institute:ALI)での英語留学もおすすめ。期間が3ヶ月~4ヶ月、春・夏・秋の各学期に開催される集中英語プログラム(Intensive English Program:IEP)のほか、1ヶ月半~2ヶ月の短期集中英語コース(Intensive Preparatory Program:PREP)も提供されている。
 
毎日朝9時~午後3時まで、英語のリーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの授業があるほか、放課後にはカンバセーション・ラボ(Conversation Lab)と呼ばれるカリフォルニア州立大学ロングビーチ校に通う英語のネイティブスピーカーの生徒と実際に会話する機会も提供され、英語の実力を高めるのにおすすめのプログラム。

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の英語留学プログラムの学費・授業料や期間

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の英語語学留学プログラムの学費・授業料は、集中英語プログラムの場合は5,500ドル(60万円程度)、短期集中英語コースの場合は2,750ドル(30万円程度)で、2019年は春・夏・秋にプログラムの開講が予定されている。授業の期間は集中英語プログラムの場合が12週間~15週間、短期集中英語コースの場合は6週間~7週間。
 
さらにこれらの英語プログラムで一定の英語力が身につくと、「Study Abroad @ the Beach(SA@B)」と呼ばれる学部授業の聴講プログラムに参加可能になる点も魅力だ。

集中英語プログラム(IEP)の費用とスケジュール(2019年)

学期 授業期間 IEPのコース費用
2019年春学期 2019/1/22-2019/5/10(15週間) 5,500ドル
2019年夏学期 2019/5/28-2019/8/16(12週間) 5,500ドル
2019年秋学期 2019/8/26-2019/12/13(15週間) 5,500ドル

短期集中英語コース(PREP)の費用とスケジュール(2019年)

学期 授業期間 PREPのコース費用
2019年春学期 2019/4/3-2019/5/10(6週間) 2,750ドル
2019年夏学期 2019/7/9-2019/8/16(6週間) 2,750ドル

英語留学プログラムへの出願手続きの方法や入学条件

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の語学学校(ALI)での英語留学プログラムへの出願はオンラインでの手続きが可能で、コース費用とは別に150ドルの出願費用がかかる。オンラインで出願する申請書類のほかパスポートのコピーなどが必要で、特に入学条件は無いが英文の銀行残高証明書を学校に提出、留学滞在中の生活費用が十分かが確認される。
 
また出願手続きはオンラインで完了できるが、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校への留学でアメリカの学生ビザ(F-1)の発行が必要な場合、I-20(入学許可証)を大学から送付してもらい、自分でビザを申請する必要がある点には注意が必要。

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校(CSULB)の学校情報(住所や学生数)

California State University, Long Beach
●住所:1250 N. Bellflower Blvd., Long Beach, CA 90840
●☎562-985-4111
●学校ホームページ:www.csulb.edu
●設立:1949年
●運営:州立
●敷地面積:323エーカー
●学生数:37,776人(大学生32,246人、大学院生5,530人、2016年度)
●留学生数:約3,000人(このうちの約5%が日本人留学生、2016年度)
●学部数:85学部(学士号課程。修士号課程もほとんどの学部で可能)
●学期開始時期:1月、8月(2学期制)
●留学生:日本、韓国、台湾、サウジアラビアからの留学生が多い
●学費:3,399ドル~(1セメスターあたりの授業料、留学生の場合は1ユニットあたり396ドルの追加費用が必要)

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)留学ガイド

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校の併設語学学校のロゴ

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校に併設された英語語学学校のロゴ

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(California State Polytechnic University, Pomona)は、23校あるカリフォルニア州立大学の1つでロサンゼルスの東に50km離れたポモナ市にキャンパスを構える大学。大学名は省略して「Cal Poly Pomona」(カルポリポモナ)などと呼ばれる。
 
カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)はアメリカでも6校しか無い工業大学の1つで、工学・科学系の学部以外でもビジネス経営学やホスピタリティ・マネジメント(ホテル学など)も高評価で、学生の人気も高い学部。
 
また日本人留学生に人気なのは、カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)に併設の語学学校「Cal Poly English Language Institute」のESLプログラムに参加する英語留学。この英語留学プログラムを一定の成績で修了するとカリフォルニア州立工科大学ポモナ校の四年制学部への入学できる制度もあり、日本人留学生におすすめの内容だ。

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校・日本人留学生インタビュー

【藤本旬さん】
大学4年生Business/Marketing専攻
 
日本の高校卒業後、渡米。併設の英語の語学学校を経て、一般教養の1年生からカリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)で学ぶ。2005年4月からJSNの6代目会長に就任し、活動のシステム化に取り組む。2006年3月末の東京ナイトの成功を見届けた後は日本に帰り、就職活動に励む予定。

CLA Building: CLAはClassroom / Laboratory / Administrationの略。アルバカーキの建築家Antoine Predockによる斬新なデザインはカリフォルニア州立工科大学ポモナ校のランドマーク

1938年にサンディマスで150エーカーの男子校としてスタートしたカリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)は、1949年にシリアル会社のW・K・ケロッグが所有していた813エーカーの土地を寄付したことから大きく拡大。1966年にはカリフォルニア州立大学システムの16校目となった。現在、1438エーカーの広大な土地に2万人余りが学ぶ。アメリカで6校しかない工業大学の1つである。
 
緑の牧場で牛や馬がのんびり寝そべっていたり、農園で作物が販売されていたりという風景はカルポリポモナならでは。ローズガーデンや日本庭園もあり、訪れる人を楽しませてくれる。
 
藤本さんは留学生の中でも1番人気のビジネス学部で学ぶ。「プログラムが実践的なのが気に入っています。マーケティングを専攻していますが、その中でも「Emphasis」として、ブランドマネジメントとアドバタイズメントを学んでいます」。ケーススタディやプレゼンテーションの機会も多く、ビジネス経験を持つ教授から企業の広告を分析・評価するなど、即戦力をつける授業が多いと言う。
 
他に、エンジニア、環境デザイン、農業を学ぶ留学生も多いそうだが、特にユニークなのがアメリカ3位のレベルを誇るホテル学。小高い丘の上にはホテル学部の管理するホテルやレストランがある。
 
カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)併設の語学学校を経て、フレッシュマンから同校で学ぶ藤本さん。「他の大学に比べて学費が安いのも魅力」とのこと。藤本さんは2人部屋からキッチン付きの1人部屋、ビレッジと呼ばれる学生専用のアパートと、もっぱらオンキャンパスで暮らしており、居心地の良い大学ということがよくわかる。
 
(2005年12月1日号掲載)

獣医学部の牧場

Beef Unit/Feed Shed:校内にはカリフォルニア州立工科大学ポモナ校の獣医学部が管轄する牧場も

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校のビジネス学部

College of Business Administration (CBA): 4,700人の大学生・大学院生が通うビジネス学部はカリフォルニア州立工科大学ポモナ校の中でも最大規模の学部

学校内のホテル

Kellogg West: 学校内にホテル!?小高い丘に建つ85室。フロントではインターンシップをするホテル学部の学生が出迎えてくれる。誰でも利用でき、週末は1泊79ドル

レストラン

Kellogg Ranch Restaurant:大学が経営するレストラン。こちらも誰でも利用できる。マネジメントやマーケティングはホテル学部の学生が行う

日本庭園

Japanese Garden:先代のカリフォルニア州立工科大学ポモナ校・大学長である日系人のボブ・スズキの2003年の退任時に完成。日系人のリーダーであるジョージ荒谷夫妻の貢献により実現した日本庭園

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校のホテル学部

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校のホテル学部では調理も学ぶ学生も。楽しそう!

併設の語学学校での短期英語留学プログラムがおすすめ

併設の語学学校

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)に併設された語学学校「Cal Poly English Language Institute」では、留学生向けに英語の語学力向上を目的としたESLプログラムを提供しており、このプログラムに参加する英語の語学留学もおすすめだ。
 
このカリフォルニア州立工科大学ポモナ校の語学学校では、留学生の英語力によって6段階のレベルにクラス分けされて英語の授業を受けられる集中英語学習プログラム(Intensive English Language Program)が提供される。このプログラムの授業期間は8週間で、春・夏・秋などの季節ごとに開講されるため短期の英語留学にもおすすめのプログラムだ。

短期英語留学プログラム(8週間)の学期・スケジュールや授業料などの費用

各学期・コースの開催期間はいずれも8週間で、希望の時期に英語の短期留学が可能な点も、日本人留学生にカリフォルニア州立工科大学ポモナ校の語学学校が人気の理由の1つ。

学期 スケジュール 授業料・学費 教科書費用
2019年春学期A 2019/1/14-3/8 2,950ドル 130ドル
2019年春学期B 2019/3/18-5/17
2019年夏学期 2019/6/10-8/2
2019年秋学期A 2019/8/19-10/11
2019年秋学期B 2019/10/17-12/13
2020年春学期A 2020/1/17-3/6
2020年春学期B 2020/3/16-5/15
2020年夏学期 2020/6/8-7/31

カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)の学校情報(住所や学生数)

California State Polytechnic University, Pomona
●住所:3801 W. Temple Ave., Pomona, CA 91768
☎909-869-7659
●学校ホームページ:www.csupomona.edu
●設立:1938年
●運営:州立
●敷地面積:1438エーカー
●ニックネーム:Broncos
●キャンパスカラー:緑とゴールド
●学生数:25,894人(2017年時点)
●学部数:学士号課程58、修士号課程23、他
●学期開始時期:1月、3月、6月、9月(4学期制)
●留学生:1,000人以上の留学生が学ぶ。出身国は台湾、インドネシア、中国、香港、ベトナム、韓国、日本、メキシコ、タイ、フィリピンの順
●学費:10,500ドル(大学生1年分。3学期それぞれ12単位取得として)

サンタモニカカレッジ(SMC)留学ガイド

サンタモニカカレッジのロゴ

サンタモニカカレッジのロゴ

サンタモニカカレッジは、人気観光地であるロサンゼルスのサンタモニカにある2年制大学(コミュニティカレッジ)。ビーチから近い立地・環境の良さも人気・評判の学校だ。
 
サンタモニカカレッジは日本で言う短大にあたる2年制大学であるものの、4年制大学への編入数がアメリカ・カリフォルニア州のコミュニティカレッジの中でも最も多い学校として有名だ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)やカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)などの州立大学や、南カリフォルニア大学(USC)への進学・編入を目的としてサンタモニカカレッジに入学する学生も多い。特にUCLAへの編入者数が多く、2018年度の実績でサンタモニカカレッジからの出願者数1,985名のうち、31%にあたる615名が合格している。
 
日本からのサンタモニカカレッジへの留学生も、4年制大学への編入を目的に入学する場合のほか、サンタモニカカレッジの集中英語プログラム(IEP)への語学留学で入学する留学生も多い。
 
サンタモニカは世界的な観光地でもあり比較的治安が良いほか、周辺はバスの路線が多く交通の便が良い点も魅力。またサンタモニカカレッジの学生は学生証を提示するとバスに無料で乗車できるため、自動車無しでも生活しやすい点もおすすめのポイント。

サンタモニカカレッジ・日本人留学生インタビュー

サンタモニカカレッジの真新しい図書館を背景に

【君島和也さん】大学2年生・Business専攻
 
日本の高校を卒業後、アメリカに留学。UC Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)の英語語学学校を経て、サンタモニカカレッジで学ぶ。サンタモニカカレッジ卒業後は独立経営を計画、発展途上国の支援に携わることが最終目標。

Santa Monica College Library:American Architecture Award を受賞、約2,300万ドルをかけて改装、拡大され、再オープンした図書館

サンタモニカカレッジ(SMC)は、1929年にSanta Monica Junior Collegeとして、たった153人の学生でスタート。1952年に現在地に移転するまで、授業はSanta Monica High Schoolのキャンパスで行われた。ビーチまで1マイルという絶好のロケーションにあるサンタモニカカレッジでは2018年時点で3万人以上の学生が学ぶ。
 
日本人留学生の君島さんはサンタモニカカレッジでビジネスを専攻。「経営者として生き生きと働く父の背中を見ながら育ちましたので、私も独立を目指してこの学部を選びました。現在は、物理や数学、微分積分などの一般教養を中心に学んでいます。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でも教えている教授が多く、ハイレベルな授業が気に入っています」。サンタモニカカレッジのクラスは少人数制で先生との距離が近く、親身になって応援してくれる先生の存在が魅力だと話す。

サンタモニカカレッジは4年制大学への編入・進学を目指す学生が多い

君島さんは編入を目指す留学生の1人だが、サンタモニカカレッジは4年制大学に編入する学生数が、カリフォルニア州内108校の2年制大学(コミュニティカレッジ)の中で第1位となっている。進学先はさまざまだが、地元ロサンゼルスのUCLAをはじめ、ジョージダウン大学やスタンフォード大学、ジュリアード音楽院など名門私立校へ編入する優等生もいるほど。君島さんの専攻するビジネスも編入生に人気があり、他にジャーナリズム、放送、美術、健康科学、人文学、社会学科なども評判が良い。
 
ユニークな制度が数多いのも、サンタモニカカレッジの特徴の1つ。「Scholarship Program」で奨学金を受け、条件をクリアした優等生は、UCLAなどの4年制大学へ優先的な編入が保証される。アメリカでも珍しい年配者向けの「Emeritus College」では、ビジネス、コンピューター、法律などのバラエティーに富んだ授業を無料で受講できる。中でも興味深いのが「Dale Ride Internship Program」。夏のインターンシップ・プログラムの一環として、サンタモニカカレッジの学生71人がホワイトハウスなどの政府機関で働ける人気のプログラムだ。
 
「海の側のビバリー」と呼ばれるほど、ビバリーヒルズ高校からの卒業生が多いことでも知られるサンタモニカカレッジ。アーノルド・シュワルツェネッガー元カリフォルニア州知事、ジェームス・ディーン、ダスティン・ホフマンなどの著名人が卒業生として名を連ねる。
 
「教授も留学生に慣れているため、英語にハンデがあることを理解してくれている様子」だと君島さんは話す。留学生用のカウンセリングオフィスも整い、留学生の受け入れ態勢も万全。日本人留学生にもおすすめの学校だ。
 
(2006年5月1日号掲載)

サイエンス専攻の複合施設

Science Complex:総工費約3,000 万ドル、1999年に改装されたサンタモニカカレッジのサイエンス専攻の複合施設。8,820平方メートルの建物をコートヤードで分けた造りで、研究室、科学研究センターなどがある

サンタモニカカレッジのトラック

Stadium and Archie M. Morrison Track:1984年ロサンゼルス五輪の女子マラソンで使用されたトラック。1999年に全天候型の人工グラウンドに生まれ変わった。トラックは主に早朝と夕方、学生以外も利用可能

シアターアート専攻ビル

Main Stage:サンタモニカカレッジのシアターアート専攻ビル。約1,700万ドルをかけて300席のシアターホール、控室、クラスルームなどを設置

サンタモニカ市と共同運営のプール

Santa Monica Swim Center:サンタモニカ市と共同運営のプールは、オリンピック仕様の50メートルサイズ。ダイビングエリア、サンデッキ、会議室なども完備。日曜日はコミュニティーに開放されている

キャンパス内のラジオ局

Radio Station(KCRW/89.9FM):キャンパス内にあるNational Public Radio Station傘下のラジオ局。Golden Mikes Award など数多くの賞を受賞している。受信可能エリアはロサンゼルス近郊とオレンジ・カウンティー

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)への編入数がNO.1のコミカレ

UCLAのロゴ

UCLAのロゴ

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などの4年制大学は学費が非常に高く、アメリカ人の中でもまずはサンタモニカカレッジのようなコミュニティカレッジに2年間通った後で4年制大学への編入を目指すのは一般的な方法。また留学生にとっても授業の難易度などが高いUCLAなどの学校に最初から挑戦するよりも、コミュニティカレッジでしっかり英語の語学力などを高めてからUCLAに挑戦するのが現実的な方法だ。
 
そしてUCLAなどの4年制大学への留学・編入を目指す場合、サンタモニカカレッジはおすすめのコミュニティカレッジの1つ。サンタモニカカレッジはカリフォルニア大学(UCL)への編入・進学数が28年連続NO.1のコミュニティカレッジであり、特にUCLAへの編入学生数がNO.1のコミュニティカレッジとして知られている(2018年時点)のがその理由だ。
 
サンタモニカカレッジは、英語の短期語学留学、コミュニティカレッジへの留学だけでなく、UCLAなど4年制大学への留学・編入を目指す留学生にとってもおすすめの大学だ。

コミュニティカレッジ別のUCLAへの編入・進学学生数(2018年)

UCLAに編入・進学前のコミュニティカレッジ UCLAへの出願学生数(2018年) 合格率
サンタモニカカレッジ 1985 31%
パサデナ・シティ・カレッジ 1051 27%
デ・アンザ・カレッジ 955 17%
ディアブロ・バレー・カレッジ 876 25%
アーバイン・バレー・カレッジ 589 22%
マウント・サン・アントニオ・カレッジ 558 29%
サンタバーバラ・シティ・カレッジ 556 21%
エルカミノカレッジ 547 31%

※UCLAの公式ホームページより引用(http://www.admission.ucla.edu/prospect/Adm_tr/Tr_Prof18_CAcc.htm)

 

集中英語プログラム(IEP)での語学留学も人気でおすすめ

サンタモニカカレッジのキャンパス

サンタモニカカレッジのキャンパス

サンタモニカカレッジには、ビジネスや経済学、コンピュータサイエンス、グラフィックアート、化学、生物学、エンジニアリングなど非常に多くの学部専攻があり、また4年制大学への編入も見据えて留学する日本人留学生も多数いるが、サンタモニカカレッジの学部に入学する場合、一定の英語力が入学資格として必要。
 
サンタモニカカレッジに入学したいが英語力が基準に達していない、または入学しなくても良いのでロサンゼルスの大学キャンパスで英語の語学留学がしたい、という日本人留学希望者に人気でおすすめなのがサンタモニカカレッジの集中英語プログラム(Intensive English Program:IEP)だ。

サンタモニカカレッジの学部に出願する場合に必要な入学資格・英語レベル

サンタモニカカレッジの学部に留学生が出願する場合、以下のような英語レベルが入学資格として必要で、どの学部に出願する場合も同様。

  • TOEFLスコア450点以上
    (コンピュータベース・CBTの場合は133点以上、インターネットベース・IBT45点以上)
  • iTEPスコア3以上
  • IELTSスコア 5.0以上

集中英語プログラムへの留学費用(学費・授業料金の目安)

上記の入学資格を満たしていない場合でも、サンタモニカカレッジの集中英語プログラムコース(IEP)への入学・留学が可能。IEPでは週20時間、英語のリーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの力を総合的に高めるための授業が提供される。夏休みや冬休みを使って、6週間前後の短期英語留学も可能なコースも比較的安い費用で提供されており、学部入学前にアメリカの大学キャンパスに慣れるためにIEPの英語留学プログラム利用する留学生もいる。
 
なおIEPで一定の成績を修めると、TOEFLやIELTSなどの英語スコア無しでもサンタモニカカレッジへの入学・進学が可能になる。

学期 授業期間 集中英語プログラム留学費用(学費・授業料金)
冬期(5週間) 2019/1/2-2019/2/7 1,200ドル
春学期 2019/1/11-2019/6/11 3,200ドル
夏期(7週間) 2019/6/17-2019/8/9 1,600ドル
秋学期 2019/8/26-2019/12/17 3,200ドル

 

サンタモニカカレッジ(Santa Monica College)の学校情報~所在地や学生数

学校名 サンタモニカカレッジ(Santa Monica College)
所在地 1900 Pico Blvd., Santa Monica, CA 90405
連絡先 310-434-4000
学校ホームページ www.smc.edu
設立 1929年
運営 公立
敷地面積 38エーカー
ニックネーム Corsair
キャンパスカラー 青と白
学生数 30,830人(2016年)
学科数 準学士号課程90
学期開始時期 8月、2月(2学期制)
留学生 110ヶ国以上から3,000人以上の留学生がサンタモニカカレッジで学ぶ。日本からの留学生も多数。
学費 8,880ドル(1年間・2学期・24単位分)
留学中の滞在方法 ホームステイまたはアパートメントなど

 

エルカミノカレッジ(El Camino College:ECC)留学ガイド

エルカミノカレッジのロゴ

エルカミノカレッジのロゴ

エルカミノカレッジ(El Camino College)は、ロサンゼルス留学で人気のコミュニティカレッジ(2年制大学:コミカレ)の1つ。ロサンゼルス空港(LAX)からも車で15分の距離にあり、エルカミノカレッジのキャンパスは日本食スーパーやレストランが多数集まるトーランス地区からも近く、生活に便利な立地の良さも人気・おすすめの理由。
  
またエルカミノカレッジには付属の英語語学学校(El Camino Language Academy: ECLA)もあり、英語の語学留学でもおすすめの学校だ。

エルカミノカレッジ・日本人留学生インタビュー

学校名「El Camino College」のサインを背景に

【刀川祐希さん】大学1年生/Fashion Merchandise 専攻
 
◎2005年に日本の高校を卒業後、留学エージェントの紹介でエルカミノカレッジに入学。将来はファッション業界のビジネスに関わる仕事をしたいという希望を持っている。2006年春からJSNのメンバーとして活動中。JSN主催の夏祭りを担当しており、学校との両立に忙しい日々を送っている。

Marsee Auditorium:2,000人以上を収容するこのホールは、同じエルカミノカレッジのキャンパス内にあるキャンパスシアターやホールとともに、数多くのクラシックバレエやコンサートなどのイベントを開催している

日本人も多く住み、日系企業のオフィスも多いトーランスにあるエルカミノカレッジは、1947年設立。126エーカーの敷地内に37棟もの建物が並び、約2万5千人の学生が学んでいる。
 
2005年の3月に日本の高校を卒業して渡米した刀川(たちかわ)さんは、9月で留学2年目に入る。日系の企業やお店が多く揃うトーランスという土地柄にひかれ、いくつかあった留学候補の学校の中からエルカミノカレッジを選んだ。「便利で、アメリカなのに日本の食べ物や本なども買い揃えることができる、この生活環境が好きです」と刀川さん。将来ファッション業界でビジネスに携わりたいと考え、現在エルカミノカレッジではファッション・マーチャンダイズを専攻している。ジャーナリズム、コンピューターインフォメーション・システムや美容などの学科も人気だそう。
 
刀川さんは、今は数学やアートなど、一般教養の授業を中心に取得しているが、エルカミノカレッジの教授や授業の雰囲気をとても気に入っている様子だ。「日本が好きで、日本人留学生にも興味を持ってくれる先生がいて、留学生にも温かく接してくれますよ」。
 
エルカミノカレッジの授業は850以上のプログラムに2,500以上のクラス数を誇る。授業の時間帯も幅が広く、またテレビ講座(テレコース)やオンラインコースもあるため、フレキシブルなスケジュールを組むことが可能になっている。また、キャリアプログラムも充実しているので、仕事の後に通う社会人学生も多い。
 
またエルカミノカレッジは、南カリフォルニアの2年制大学(コミュニティカレッジ)の中でも4年制大学への編入率が高いことで知られており、多くの日本人留学生もカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)や南カリフォルニア大学(USC)などの名門大学へ編入している。1年後には4年制大学へのトランスファー(編入)も考えているという刀川さんは、大学卒業後もアメリカで働いてみたいと話す。
 
留学生がよく世話になるエルカミノカレッジのインターナショナルオフィスには、日本人のスタッフが2人勤務しており、日本語での相談が可能。「話していて楽しい方たちなので、相談以外で会いに行くこともあります」(刀川さん)。授業や進路についての相談ができるカウンセリングオフィスは、基本は予約制だがウォークインも受け付けている。学生サポートに力をいれたシステムが、エルカミノカレッジの人気の要因となっているようだ。
 
(2006年8月1日号掲載)

エルカミノカレッジのベル型のロゴ

Bell Logo:上からつるされたベル型のロゴは、エルカミノカレッジの校内でもよく目にする同カレッジのシンボル。ベルのデザインをよく見ると、「ECC」の文字になっている!キャンパス内にはベル型の像(実はタイムカプセル)も置かれている

カウンセリングセンター

Student Service Center:広々としたカウンセリングセンターは、予約なしでも訪ねることができる「クイックカウンセリング・システム」も導入していて、ちょっとした質問をしたい時も便利

プラネタリウム

Campus Planetarium:キャンパスの北東サイドにあり、毎月第1金曜日にプラネタリウムを上映している。入場料は無料。エルカミノカレッジの学生はもちろん一般も歓迎している

ビーチバレー用のコート

Beach Volley Court:エルカミノカレッジのキャンパス内にはビーチバレー用のコートがあり、なんともカリフォルニアの大学らしい。他にも、テニスコートや室内プール、ジム、野球場、競技用トラックなどの運動施設が充実しているのも魅力

エルカミノカレッジのカフェテリア

Cafeteria:広々としたバルコニーもあるカフェテリアは、エルカミノカレッジの学生がひと息つく定番スポット。1階はブックストアになっていて、教科書類や文具などが低価格で販売されている

4年制大学への編入・進学数はカリフォルニア州のコミュニティカレッジでトップクラス

エルカミノカレッジのキャンパス

日本で言う短期大学(短大)にあたる、アメリカの2年制大学・コミュニティカレッジに属するエルカミノカレッジは、卒業時に準学士号(Associate Degree)を取得できるほか、4年制大学に編入・進学する学生も多い。カリフォルニア大学(UCLAやUCバークレーなど)やカリフォルニア州立大学への進学者数は、カリフォルニア州のコミュニティカレッジの中でもトップ10に入る。
 
日本人留学生の中にも準学士号の取得が目的というよりも、4年制大学への編入・進学を目指してエルカミノカレッジでまずはアメリカの学校・授業に慣れるために留学する人も多い。

日本人留学生にはファッション専攻が人気

エルカミノカレッジでは99の準学士号の学位を取得できる学部専攻がありますが、中でも日本人留学生に人気なのがファッション専攻。また他にもビジネス、映画・動画関連の学部や心理学、児童学専攻などが人気。

海外留学生の場合の入学資格と授業料などの費用

日本人を含む海外からの留学生がエルカミノカレッジに入学する場合、資格として以下のような英語力が求められる。

  • TOEFLスコア450点以上
    (インターネットベース・IBTの場合は45点以上)
  • TOEICスコア620点以上
  • IELTSスコア4.5以上
  • 英検2級A

また、留学生の場合は1単位あたり316ドルの費用・授業料がかかり、最低履修数が12単位のため半期で3,792ドル、1年間で7,584ドルの授業料の支払いが必要となる。

付属の語学学校(ECLA)での英語留学プログラムもおすすめ

エルカミノカレッジの学生

エルカミノカレッジでは準学士号を取得できる2年制の学部に留学する以外にも、付属の語学学校(El Camino Language Academy: ECLA)に留学することも可能。英語の授業は週20時間(月~木は13:00-17:00、金は10:30-13:30)の構成で、ライティングやリーディング、英文法、英会話のほか、アメリカ文化を学ぶクラスやTOEFL対策のクラスがあり、英語レベルに応じて3段階のクラスに振り分けられる。
 
春学期、秋学期の14週間(約3ヶ月間)のプログラム以外にも夏休み期間だけの集中プログラム(8週間)もあり、エルカミノカレッジは短期の英語語学留学にもおすすめ。

エルカミノカレッジの英語留学費用や学期などのスケジュール

※2019年のスケジュールが未定のため、2018年のスケジュールを参考までに掲載しています。

学期 授業期間 プログラム費用(授業料)
春学期 2018/2/12-2018/5/25(14週間) 3,000ドル
夏期集中プログラム 2018/6/18-2018/8/9(8週間) 1,500ドル
秋学期 2018/9/4-2018/12/7(14週間) 3,000ドル

エルカミノカレッジ(El Camino College:ECC)の学校情報(住所や学生数)

El Camino College
●住所:16007 Crenshaw Blvd. Torrance, CA 90506
●☎ 310-532-3670, 1-866-ELCAMINO(352-2646)
●学校ホームページ:www.elcamino.edu
●設立:1947年
●運営:公立
●敷地面積:126エーカー
●ニックネーム:Warriors、Elco
●キャンパスカラー:グレーとロイヤルブルー
●学生数:32,072人(2015年度)
●学科数:準学士号課程99
●学期開始時期:8月、2月(2学期制)
●留学生:留学生の出身国は65カ国以上
●学費:7,584ドル(1年分、2学期それぞれ12単位取得して/2019年度)

グレンデールコミュニティカレッジ(GCC)留学ガイド

グレンデールコミュニティカレッジのロゴ

グレンデールコミュニティカレッジのロゴ

グレンデールコミュニティカレッジ(Glendale Community College:GCC)は、カリフォルニア州ロサンゼルスのダウンタウンから北東に15km離れたグレンデール市にあるコミュニティカレッジ(アメリカの2年制大学)。グレンデール市は比較的治安の良い安全な街で、緑豊かな落ち着いた環境にあり、日本人留学生からも人気のあるコミュニティカレッジの1つ。
 
グレンデールコミュニティカレッジが人気・おすすめの理由の1つが、将来パイロットやフライトアテンダントでの就職を目指す学生のためのAviation(航空学)専攻があること。またアニメーション・デザインやアート、音楽関係の専攻も人気。
 
カリフォルニア・ロサンゼルスのコミュニティカレッジの中でも比較的授業料が安く、ESLプログラムを専攻して英語の語学留学でグレンデールコミュニティカレッジを選ぶのもおすすめ。

グレンデールコミュニティカレッジ・日本人留学生インタビュー

大学入り口にある掲示板の前で

【伊藤大地さん】大学2年生
テレビプロダクション専攻
高校卒業後、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の集中英語プログラム(Intensive English Program:IEP)で半年間英語を勉強。その後、グレンデールコミュニティカレッジに入学し、テレビプロダクションを専攻している。卒業後は、4年制大学へトランスファー(編入)予定で申請中。JSNでは来年の春に開催される「東京ナイト」のクルーとして活躍中。

San Gabriel Building:グレンデールコミュニティカレッジのシンボルとも言える3階建ての美しい建物。さまざまな分野の授業が行われる。1階にはハイテクセンターがある

グレンデールコミュニティカレッジ(Glendale Community College:GCC)は、1927年にグレンデールに設立されたグレンデール・ジュニアカレッジが前身だ。静かで小高い丘の上にあり、グレンデールの美しい山脈が見える、治安の良い地域にある。
 
伊藤さんが専攻するテレビプロダクションでは、ミュージックビデオやショートフィルムなどを制作するクラスもあり、映像作品を必ず1セメスターに1本制作する。「先生たちはとてもフレンドリーで、率直な意見を言ってくれます。学生の個性を生かした作品を作れる環境ですね」。
 
全17学部、75の専攻から選べるが、グレンデールコミュニティカレッジの中でも特に人気の学部は航空業界就職を目指すAviation(航空学)。フライトアテンダントを目指す日本からの留学生も多く学んでいる。メディア関係の基礎を学べるテレビプロダクションや、ビジネス専攻の人気も高い。他にもアート、経営管理、コンピューターサイエンス/インフォメーションシステム、調理学、ホテル/レストラン管理、音楽、看護、演劇、ビジュアルアーツなど、幅広い専攻分野がある。「1クラスの人数は平均25人と比較的少ないので、密度の濃いコミュニケーションを取りながらの授業が行われるのが特徴ですね」と伊藤さん。
 
グレンデールコミュニティカレッジは、カリフォルニア州内の106あるコミュニティカレッジの中でも、UC系(UCLA、UCバークレーなどのカリフォルニア大学)への進学率が11位と、高いトランスファー(編入)率を誇る。間もなく卒業を控えている伊藤さんも、トランスファーを目指して最後の授業を受けている最中だ。
 
「将来は、日本に帰って映画監督か、テレビのアナウンサーを目指したいと思っています。4年制大学へ編入したらシネマに絞り込むか、その他のメディア関連の学部とダブルメジャーにするかを決める予定です」とのこと。
 
毎月第3日曜日には、スワップミートがグレンデールコミュニティカレッジの駐車場で開催され、毎年春には、コミュニティ全体を巻き込んだ世界各国のファッションショーや、フードフェア、ダンス・ワールドカルチャー・ウィークを大学が主催する。
 
勉強だけでなく、地域のイベントに参加するチャンスもある、地域に密着した学校として知られる。日本人留学生も多いため、勉強や生活に関する情報交換もしやすい環境だ。
 
(2006年11月1日号掲載)

グレンデールコミュニティカレッジの運動場

Track&Athletic Field:最近、改装されたばかりのきれいな運動場。アメフト部や、男女子サッカーチームが中心に利用している

アドミニストーションオフィス

John A. Davitt Administration:何かとお世話になるアドミニストーションオフィス。40年近くグレンデールコミュニティカレッジに携わっている学長の名を冠している

図書館

Library:10万冊以上の書籍を揃えたグレンデールコミュニティカレッジの図書館。図書館員が親切に質問に答えてくれて使いやすい。1セメスターに100回以上のワークショップが開かれるのも特徴だ。グループスタディールームもある

カフェテリア

Cafeteria:グレンデールコミュニティカレッジのカフェテリアは1階と2階に分かれる。図書館やブックストアの横にあり、勉強に疲れた時にほっとひと息つく憩いの場所

プラネタリウム

Cimmarusti Science Center:プラネタリウムがあるモダンな建物。Astronomyの授業やコミュニティーの活動に利用される。48席ある内部では35~50分の夜空に関するショーも行われる

入学資格や専攻、学費・授業料などの留学費用

グレンデールコミュニティカレッジ(Glendale Community College)への留学にあたって必要となる入学資格や学費・授業料などの費用、また学期のスケジュールなどは以下の通り。

人気の専攻はAviation(航空学)、入学資格としてTOEFLなどの英語スコアが必要

グレンデールコミュニティカレッジに入学すると全部で75ある専攻の中から自分の専攻を選ぶことになる。中でも特に日本人留学生に人気なのは、パイロットやフライトアテンダントを目指す人におすすめのAviation(航空学)。他にもアニメーション・デザインやコンピューター・サイエンス、ビジネス系の専攻も人気だ。
 
なお、入学資格として下記の英語スコア・英語力が必要で、また2年間の学費・授業料の支払いが可能なことを証明するため、2万ドル(約240万円)の銀行残高証明書の提出も必要だ。

  • TOEFL・iBTスコア45点以上
  • IELTSスコア4.5以上
  • 英検2級

グレンデールコミュニティカレッジのESLでの英語語学留学も可能

なお上記の英語スコアが取得できていない場合や、英語の語学力向上を目的に留学したい場合、グレンデールコミュニティカレッジのESLプログラムを専攻する前提での留学・入学も可能だ。ESLを専攻する場合、TOEFLやIELTSなどの英語テストのスコアが無くてもグレンデールコミュニティカレッジへ入学でき、アメリカの留学・学生ビザ(F-1ビザ)の取得も学校にサポートしてもらえる。

学期スケジュールや学費・授業料~最低12単位の履修が必要

グレンデールコミュニティカレッジでの授業はそれぞれ16週間の春学期、秋学期のほか、冬休みや夏休み期間に6週間の短期セッションもある。ただし、冬・夏の短期セッションはすでにアメリカ国内にいる学生向けで、日本人留学生の場合はまず春学期、もしくは秋学期での入学が必要だ。
 
グレンデールコミュニティカレッジの各学期の具体的なスケジュールや学費・授業料は以下の通りだ。なお、日本からの留学生などフルタイムの学生は最低12単位のコース履修が必要となるため、学費・授業料は12単位の履修を前提にした金額。

学期 授業スケジュール 学費・授業料
2019年冬学期 2019/1/7-2019/2/14(6週間)
2019年春学期 2019/2/19-2019/6/12(16週間) 3,276ドル
2019年夏学期 2019/6/17-2019/8/23(10週間)
2019年秋学期 2019/9/3-2019/12/18(16週間) 3,276ドル

卒業後はアメリカ現地の4年制大学への編入・進学も

グレンデールコミュニティカレッジのもう1つの特徴が4年制大学への編入・進学のサポートがしっかりしている点。2年制のグレンデールコミュニティカレッジを卒業後はアメリカ現地の4年制大学への編入が可能で、特にロサンゼルス周辺のカリフォルニア州立大学へ進学する学生が多い。日本人留学生の中にも、卒業後は4年制大学へ進学することを目的にグレンデールコミュニティカレッジに留学する学生もいる。

グレンデールコミュニティカレッジ(GCC)の学校情報(住所や学生数)

Glendale Community College
●住所:1500 N. Verdugo Rd., Glendale, CA 91208
☎818-240-1000
●学校ホームページ:www.glendale.edu
●設立:1927年
●運営:州立
●敷地面積:100エーカー
●ニックネーム:Vaqueros(スペイン語でカウボーイの意)
●キャンパスカラー:深紅色と金色(Cardinal & Gold)
●学生数:28,700人(2016年度)
●専攻:17学部、75専攻
●学期開始時期:1月、2月、6月、9月(4セメスター制)
●留学生:50カ国、550人以上が学ぶ。出身国は、日本、韓国、インドネシア、台湾、中国、タイ、スウェーデン、ケニアの順。
●学費:6,769ドル(1セメスターあたり12単位の授業を履修した場合の年間授業料、2018年時点)

カリフォルニア州立大学ノースリッジ校(CSUN)

【亀島理奈さん】大学4年生
Marketing専攻
◎日本の高校卒業後に渡米。CSUN卒業後は日本に帰国し、アパレルのマーケティングや企画担当として活躍するのが目標。南カリフォルニアの学生が運営する非営利団体Japanese Student Network(JSN)でディレクターを務め、シンポジウムの企画・運営に携わっている。

CSUN立体彫刻: Nordhoff St.沿いの入り口付近にあり、来校者を出迎えてくれるランドマーク的彫刻。違う角度から見てもちゃんと“CSUN”と読める!

ロサンゼルス郊外のサンフェルナンドバレーに位置し、CSUN(”シーサン”と発音)の呼び名で知られるカリフォルニア州立大学ノースリッジ校は、学生数約3万3千人、敷地面積エーカーという広大なキャンパスを有するマンモス校だ。
 
同校は優秀な卒業生を数多く輩出しており、卒業生には米ホテルチェーン大手・ヒルトンのCEOであるステファン・ボーレンバック氏やワーナー・ブラザーズ・テレビジョン・グループ社長のブルース・ローゼンブラム氏、ハワイ州知事のリンダ・リングル氏などがいる。また、映画の都・ハリウッドが近いこともあり、エンターテインメント業界で活躍する卒業生の数が群を抜いていることでも知られている。
 
亀島さんはマーケティング学部の4年生で、昨年の秋にグレンデール・コミュティーカレッジから転入してきたばかり。「CSUNではグループディスカッションを重視していて、ほとんどのクラスで行われるんですよ」。
 
同校のESLであるインテンシブ・イングリッシュ・プログラム(IEP)は、コミュニティーカレッジに入学予定の留学生に多く利用されているそうだ。また、インテリアデザイン、視聴覚障害研究、舞台芸術、ラジオ、TV、映画、ダンスなど、ユニークな学科が多数用意されている。「CSUNでは心理学や舞台芸術、ジャーナリズム、ビジネス、ESL、運動機能学などのプログラムの評判がいいようです」と亀島さん。
 
CSUNのスチューデントユニオン(USU)の活動はとても活発で、カリフォルニア州立大学群の中でも最大規模を誇る。USUは劇場やフィットネスセンター、ミーティングルームなどもキャンパス内に所有しており、これらの施設を利用した多くのイベントを開催している。
 
キャンパスを歩いてみると気づくが、ほとんどの校舎がまるで新築のよう。これは、1994年のノースリッジ地震によりキャンパス内のすべての建物がダメージを受け、数億ドルをかけて修復、再建が行われたためである。キャンパスには高い建物が少なく、全体的に見晴らしが良いため、明るくのんびりとした雰囲気を作り出している。
 
(2006年2月1日号掲載)

Matador Book-store Complex: ファーストフード店や売店、旅行代理店があるほか、授業で使用する教科書や文房具、CSUNグッズなどを販売する書店が入居している

Manzanita Hall: 主としてラジオやTV、映画学科の講義が行われる。内部にはレコーディングスタジオ、撮影スタジオなどがあるほか、映像の編集設備も充実している

Performing Arts Center:USUのオフィスに併設され、劇場やフィットネスルームなどがある。1階のチケットオフィスでは、南加のテーマパークのチケットを割引価格で購入できる

Juniper Hall: ビジネスビルディングとも呼ばれ、多くのビジネス系クラスはここで行われる。内側が吹き抜けになっているお洒落なビル

Bayramian Hall:入学手続きに学費支払い、学生証の発行に卒業証明書の受け取りと、入学から卒業まで何かとお世話になる

カリフォルニア州立大学ノースリッジ校(CSUN)

California State University, Northridge
18111 Nordhoff St., Northridge, CA 91330
☎818-677-1200
www.csun.edu

●1958年
●運営:州立
●敷地面積:353エーカー
●ニックネーム:CSUN(シーサン)
●学生数:32,997人(学部生25,480人、大学院生7,517人・2003年度)
●学部数:学士号課程61学部、修士号課程42学部
●学期開始時期:1月、8月(2学期制)
●留学生:1,500人以上の留学生が学ぶ。出身国は日本、韓国、台湾の順
●学費:11,792ドル(大学1年分、1学期に12単位取得する場合)

カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(CSULA)

富島綾乃 さん
カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校[CSULA]
4年生・Social Science専攻

JSNのミーティングでのひとコマ。
オフィスはリトルトーキョーにある

世界平和を目指す行動派
富島さんの留学のきっかけは、高校時代にテキサスへ1年間交換留学したことだ。アジア人が1人もいない田舎の学校で、周りはほとんど白人。そこで友達から衝撃の言葉を受けた。「『クリスチャンじゃないと人間じゃない』って言われたんです。とても親切な子だったので、ものすごくショックを受けて。泣きながら抗議しました」。アメリカで感じた宗教の壁。その真意を学びたいと留学を決意した。
 
2003年に渡米し、グレンデール・コミュニティーカレッジに入学。06年にカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校へトランスファー、Social ScienceとEconomicsを取り、世界情勢について学んでいる。「3月から始まる国連本部でのインターンの準備が大変です」と富島さん。Political Scienceのクラスの一環で、大学の代表として疑似国連に参加するのだ。これは1つの大学が1つの国を担当して、本物さながらディスカッションを行うというもの。「『1日で何十枚のレポートを出せ』という宿題もあったりして結構大変です。皆ネイティブで、留学生は私1人だから、プレッシャーもありますね」。同校の担当はメキシコ。「アメリカよりも、メキシコ経済の方が詳しくなりました」。
 
JSN会長として日々、東奔西走
そんな富島さんのもう1つの顔は、JSN第7期後期会長。今は、3月に行われるシンポジウムのサブリーダーとして準備に追われている。ミーティングは週に1度だが、それ以外も「JSNが60%、勉強が30%」と言うくらい、ほぼ毎日のようにJSNに携わっている。「日本人は他の人を受け入れられる力が強いと思うんです。でも、そのことにあまり気づいていない。もっと違う視点から日本を見てほしいし、日本人でもこれだけできるんだ、ということをシンポジウムを通して感じてもらいたいですね」と語る表情は真剣。3月までの任期中は、会長として全力で突っ走る。
 
「頭で考えるより、まず行動する」性格だと言う富島さん。自分のライフワークでもある宗教について学ぶため、怪しげな宗教セミナーにもぐりこんだり、勉強会に参加したり(!?)。将来はNPO、NGO団体に就職したいと考えている。「宗教とか既成概念にとらわれない、柔軟な頭を持つ人々が増えるように手助けをしたい。そうすればきっと世界は平和になるはずです!」。でっかいテーマを真面目に考えるひたむきさと情熱が、周りを引き付ける魅力なのかも。
 
(2007年2月16日号掲載)

JSNの運動会にて。みんな楽しそう!

CSULAのマスコット。「名所らしい名所がなかったうちの大学にも、やっと銅像ができたんですよ!」と銅像の前でイーグルのポーズ

ブックストアでは、イーグルグッズも販売

 

【池谷義則さん】大学3年生
Computer Science専攻
 
ニュージーランドの高校を卒業後、渡米。Glendale Com-munity Collegeを経て、2005年9月からCSULAで学ぶ。2007年9月卒業に向けて現在猛勉強中。2005年4月からJSNのウェブマスターを担当し、ウェブサイトの更新や改善に取り組んでいる。卒業後は、大学で学んだことを生かして独立開業し、起業家として事業を展開していこうと計画中。

Golden Eagle Building:10万3000平方フィートを誇るCSULAのランドマーク。ブックストアーBarnes & Noble、会議室などが入っている
(C)Stan Carstensen/Cal State L.A.

1947年にカリフォルニア州議会の法令により、高い教育を提供するためにLos Angeles State Collegeとしてスタートした同校は、1964年1月にカリフォルニア州立大学システム校となり、現在の名称使用が開始された。エーカーの敷地の中で、現在2万人以上の生徒が学ぶ。同校は主要都市であるロサンゼルスダウンタウンから5マイルの位置にあり、フリーウェイ10号線、5号線に近く、どこへ行くにも好アクセスだ。
 
池谷さんはコンピューターサイエンス学部で学んでいる。「これからのビジネスに必要不可欠だと思って、この学部を選びました。教科書には書かれていないことを学べるのが気に入っています。現在はJAVAやWeb Development、人工知能プログラム作成のArtificial Intelligenceなどを学んでいます」。多彩なビジネス経験を持つ教授から実践を学ぶなど、即戦力をつける授業が多いという。また、どの授業でもすべてパワーポイントが使用されるため、学校専用ウェブサイトからファイルをダウンロードすればノート代わりに使えるのも魅力だ。
 
他に、工学やビジネスが国内でも非常に高い評価を得ており、大学院の看護学部は全米トップクラス。教師陣はTop Business ProgramやTop Engineering Programなど数々の賞の受賞者が揃い、ハイレベルな授業が提供されている。このため優秀な生徒が多く、12歳から授業を受講している生徒もいる。校内には生徒やコミュニティーにNEH(National Endowment for the Humanities)とRockefellerの助成による人文科学センターや、NASAの協力による宇宙研究所、西海岸で最も有名なプログラムの1つ、法医科学プログラムなどの興味深い施設があり、現在、ロサンゼルス地区犯罪調査室も建設中と、教育環境の整った大学であることがわかる。
 
日本人留学生は全校でも約90人と少ない。池谷さんも「キャンパスではほとんど日本人を見かけません。僕の取っているクラスには1人もいませんね」と言う。ヒスパニック系が45%と約半数を占め、アジア系19%、白人14%と続く。留学生は67カ国以上から集まる、国際色豊かな学校だ。
 
(2006年1月1日号掲載)

世界各国の料理が食べられるインターナショナル・フードコートやUniversity Clubレストランも

The Harriet and Charles Luckman
Fine Arts Complex:地域社会における文化の中心的な存在で、音楽やダンス、アート、シアターパフォーマンスなどを開催。Luckman Jazz Orchestraのホームでもある。Fine Arts Galleryでは常時、美術品の展示が。学生にはイベントのディスカウントもある&copy:Stan Carstensen/Cal State L.A.

Parking Lot:175エーカーの敷地内には駐車場がなんと11カ所!車が停められなかったことは1度もないと言われるほどの収容率を誇る

The University Library:John F. Kennedy Memorial LibraryとJohn A. Palmer Wingの2つのウィングから成る図書館。1964年にケネディ大統領を記念して名づけられた。100万冊以上の図書や資料などが揃っている&copy:Stan Carstensen/Cal State L.A.

Confucius Statue:
ロサンゼルスに孔子!?儒教の開祖である孔子の教え「真の教育を受けた人の間に差別はない」と書かれた像

カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(CSULA)

California State University, Los Angeles
5151 State University Dr., Los Angeles, CA 90032
☎323-343-3000
www.calstatela.edu

●設立:1947年
●運営:州立
●敷地面積:175エーカー
●ニックネーム:Golden Eagles
●キャンパスカラー:ゴールドと黒
●学生数:20,307人
●学部数:学士号課程59、修士号課程52
●学期開始時期:1月、3月、6月、9月(4学期制)
●留学生:611人以上の留学生が学ぶ。出身国は台湾、日本、中国、タイ、韓国、香港、インドネシア、インド、ドイツ、ベトナム、フランスの順
●学費:11,168.25ドル(大学1年分、4学期それぞれ12単位取得として)

南カリフォルニア大学(USC)

【藤田淳子さん】大学4年生・Business/Corporate Finance専攻
 
サンタモニカ・カレッジからUSCにトランスファーし、現在4年生。2005年12月で卒業の予定。JSNではシンポジウムを担当、学部内にあるマーシャル・ファイナンス・アソシエーションという団体ではリレーション・バイスプレジデントを務める。

Hoffman Hall & Bridge Hall:ビジネス学部のホフマンホール(手前)とブリッジホール。卒業生からの寄付が特に多いこれらの建物は施設も新しい

ロサンゼルス・ダウンタウンの少し南、シュライン・オーディトリアムとエクシビション・パークにはさまれた155エーカーの敷地に、レンガ造りの建物が並ぶ。南カリフォルニア大学(USC)は州立のUCLA、UCバークレー、私立のスタンフォードと合わせてパック4と呼ばれる名門校の1つ。私立では西海岸地域で最も長い歴史、最大の規模を誇る総合大学だ。
 
映画・TV学部は世界的な評価を受けており、ジョージ・ルーカス監督を始め、著名な映画監督や俳優を輩出。また、老人福祉学部、会計学部、ビジネス学部も全米トップ10に数えられている。
 
現在4年生の藤田さんは、サンタモニカ・カレッジからの編入。「理論のみならず、第一線でのビジネス経験を持つ教授による授業が実践的で良いと評判を聞いてこちらに決めました」。
 
卒業生からの寄付も多く、奨学金制度も充実しており、留学生でも受けるチャンスがあるというのも、同大学の魅力だ。また、「卒業生とのつながりも強く、インターンシップや交流会などを通じて、就職へのコネクションが作りやすいことも良かったです」と藤田さん。「USCは全米でも留学生が多い大学で、私のビジネス学部でもアジア系の留学生が特に多いんですよ」とのことだ。
 
平日は24時間開館の図書館で勉強詰めだが、週末になるとキャンパスハウスに集まってにぎやかにパーティーをしている学生も多いらしい。トロージャンのように猛々しく学び、トロージャンのようにトコトン遊ぶ!メリハリがついているのがUSCの学生だ。
 
(2005年10月1日号掲載)

Edison Auditorium:ホフマンホール内の200人収容できる聴講ルーム。ここでビジネス最前線の講義が聴ける

Pertusati University Book Store & Commons:地上3階地下1階建てのブックセンター。手前はカフェテリア。寿司カウンターもある

Bovard Administration Building:広いキャンパスの中心にあるのがこのランドマーク的な建物。その前にトロージャンの像がある
 

ブックストアで見かけたUSCルック!「フットボールチームのトロージャンは全米トップ。学校全体で応援しています!」(藤田さん)

●Tommy Trojan同校のシンボル・トロージャン像

南カリフォルニア大学(USC)

University of Southern California
700 Childs Way, Los Angeles, CA 90089
☎213-740-1111(Admission Office)
www.usc.edu
●設立:1880年
●運営:私立
●敷地面積:155エーカー
●学生数:32,000人(大学生16,500人、大学院生15,500人・2004年度)
●課程数:216課程(学士号課程77、修士・博士号課程139)
●学期開始時期:1月、8月(2学期制)
●留学生数全体の9%(2004年秋)香港、シンガポール、カナダ、インド、日本、イギリスの順
●学費 32,008ドル(大学生の場合・2005年度)

ロサンゼルス・バレー・カレッジ(LAVC)

LAVCのサインの前でVサイン!

【東優希さん】2年生Business専攻

◎鹿児島県出身。日本の高校卒業後、鹿児島の語学学校で1年間、その後Citrus Collegeで3カ月間英語を勉強。現在はLAVCでビジネスを専攻。JSNではメルマガ発行を担当。その他にも、敬老シニアヘルスケアでのボランティアや、布施明コンサートでの手伝いなど、幅広く活動している。

ロサンゼルス・バレー・カレッジ(LAVC)は、1949年にサンフェルナンドバレー地区の発展に伴って設立された。「Valley」の愛称で親しまれる同校は、自然に囲まれた広大な敷地のなかにあり、のびのびと勉強できる環境が特徴だ。近辺にはユニバーサルスタジオを始めとするメディア関連の会社が多く、またダウンタウンまでも車で約30分と比較的近い。
 
同校は現在、2003年より始まったキャンパス改築の最中で、ほぼ完成したスタジアムを始め、TV Broadcasting、図書館、Art Buildingなど、2010年までに8つのビルを改築する予定だ。
 
授業はクオーター制。幅広い分野の授業が受けられるのが特徴だが、人気の専攻はBusinessやMusicなど。テクノロジー関係のクラスも充実している。卒業後は4年制大学へトランスファーを希望する学生が多く、キャンパスのキャリアトランスファーセンターでは、随時ウェブサイトや掲示板で情報提供をしているので利用しやすい。
 
東さんも、4年制大学へのトランスファーを視野に入れ、一般教養科目を取りながら、ビジネス専攻の授業を受けている。「日本にいた頃、楽天やライブドアなどのIT企業が、毎日メディアで大きく取り上げられていました。同じ頃にロバート・キヨサキ氏の著書『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで、ビジネスに興味を持ちました。将来は不動産や、投資関連のビジネスなどに関わりたいと思っています」。
 
ビジネス専攻には、会計やビジネス法から、不動産関連まで、さまざまな分野のクラスがある。不動産のクラスでは、カリフォルニアの不動産など、具体的な事例を使ってわかりやすく解説をしてくれるという。
 
一般教養科目には、月に1度実施される無料コンサートを鑑賞してレポートを書くといった楽しい授業もあり、東さんは充実した学生生活を送っているそう。また数学や英語のクラスを受講する際には、ラーニングセンターがお役立ち。「チューターが親切に教えてくれるのもうれしいですね」と東さん。
 
日本人の留学生は少なく、さまざまな人種の友人と一緒にゆったりと勉強できる、大らかなムードたっぷりのキャンパスだ。
 
(2007年1月1日号掲載)

Recital Hall:Music Buildingの中にあるホール。月に1回ほど、学生や地元の人たちによる無料コンサートやミュージカルが開催される

Art Building:最近改築されたばかり。中には、学生の作品を集めたギャラリーもあり、小さな噴水のある中庭は、勉強疲れを癒してくれる憩いの場

Business-Journalism Building:東さんが学ぶビジネス専攻のビル。ビジネス関連では、不動産や法律の授業もここで行われる

Monarch Stadium:05年に始まった改装もほぼ終わりかけた、真新しいグラウンド。同校のフットボールチームを中心に、コミュニティー活動にも利用される

Cafeteria:壁には各方面で活躍する学生のパネルが掲げられている。コンファレンスルームも併設されており、各種ミーティングがしばしば開かれる

Library:コンピューターラボも併設されていてリサーチにも便利。スタッフも気さくで相談をしやすい。現在新しい図書館の建築が始まっており、09年には完成予定

ロサンゼルス・バレー・カレッジ(LAVC)

Los Angeles Valley College
5800 Fulton Ave., Valley Glen, CA 91401
☎818-947-2600www.lavc.edu
●設立:1949年
●運営:公立
●敷地面積:105エーカー
●ニックネーム:Monarchs
●キャンパスカラー:緑と金
●学生数:約17,000人
●学科数:準学士号課程27
●学期開始時期:9月、1月、2月、6月(4学期制)
●留学生:約100人の留学生が学ぶ。出身国トップ3は、日本、フィリピン、スリランカ
●学費:$5,168(1年分。1年で24単位取得したとして)

ロングビーチ市立大学(LBCC)

Carson St.に面したLBCCのロゴを背景に

【江添加奈美さん】1年生チャイルド・デベロップメント専攻

◎日本の高校を卒業後、渡米。Citrus Collegeと英語学校を経て、半年前からLBCCで学ぶ。2008年5月卒業に向けて、現在は米国の保母資格を取得すべく授業に専念。卒業後は、四大進学か日本の保母資格取得を希望。将来は、日系幼稚園の保母として就職するのが目標。

Administration Building:LBCCのランドマーク的な存在。卒業計画を立てるアカデミックカウンセリングやトランスファーセンター、スカ
ラーシップなどのオフィスが入っている

Woodrow Wilson高校のキャンパスで1827年に授業をスタートした同校。1933年の地震によって建物が崩壊した後は、野外で授業を行っていた。その2年後には現在のリベラルアート・キャンパスのある土地に移動した。79年にロングビーチ学校区から独立し、California Community Collegesシステムに加入。現在は2つのキャンパスを構え、メインキャンパスでは52%の学生が学ぶ。
 
江添さんは、チャイルド・デベロップメントを専攻として学んでいる。「専攻を決める際に、メキシコでチャイルドケアのボランティアを経験しました。そこで子供たちに接した時、真剣に子供の教育に携わりたいと思ったんです。現在は、人間の誕生から死までの発達段階を学ぶHuman Development、幼児の成長と発達を学ぶEarly Child Development、他にはDance HistoryやComputerなどを学んでいます」。保母としての経験があり、あらゆる大学で教えている先生から、実例や実体験を通して学べる有意義な授業が揃う。セオリーを元に、グループ単位で架空の赤ちゃんを育てる課題も、とても興味深い。
 
ビジネス、貿易、コミュニケーションなどが学生に人気の専攻で、職業訓練プログラムも充実。なかでも全米に名を知らしめるのが、看護学部のプログラムだ。Health and Science学部に属し、正看護師と准看護師の準学士が取、California Community Collage Chancellor’s Officeから、トッププログラムの評価を受けている。
 
同校のスピーチとディベートチームも定評があり、短大生と四大生を対象とした全米チャンピオンシップでは、92年と93年に連続優勝した実績を誇る。スポーツは男女合わせて21チームがあり、全米カレッジ選手権の優勝経験も。男子バスケット、レスリング、野球などは州内トップクラスだ。
 
マイノリティーの卒業生が多い学校としても有名な同校。75%をマイノリティーが占め、ヒスパニック35%、アジア系18%、アフリカ系13%、その他10%とバランスも取れている。留学生数も少なめで、あらゆる人種の友人を作るには最適な学校と言えそうだ。
 
(2006年12月1日号掲載)

Auditorium:新入生歓迎会の演劇や、歌などのコンテスト、タレントショーなどのイベントが開催される。江添さんが趣味で取っているダンスクラスも、ここでダンスショーを開催

Central Garden:コロニアル風な建物・Language Artsビルの中央にある、学生たちのくつろぎスペース。LBCC名物(!?)野ウサギもたまに登場し、勉強疲れを癒してくれる

Library:拡大のためにCarnegie Corporationの奨学金を受けた全米でも有数の図書館。特に4100冊以上も揃っている電子図書は、大学では珍しいコレクション

Cafeteria:無線インターネットが使用できるスペースやビリヤード場が入ったCollege Center内にある

Veterans Stadium:リニューアルしたばかりのスタジアム。ワイヤレスインターネットの接続環境を整え、プールも完備

ロングビーチ市立大学(LBCC)

Long Beach City College
4901 E. Carson St., Long Beach, CA 90808
☎562-938-4111 http://www.lbcc.edu
●設立:1927年
●運営:公立
●敷地面積:112エーカー
●ニックネーム:Viking
●キャンパスカラー:赤、黒、白
●学生数:26,399人
●専攻数:準学士号課程100
●学期開始時期:1月、9月(2学期制)
●留学生:約300人の留学生が学ぶ。出身国は日本、韓国、台湾、カンボジア、フィリピン、タイ、スウェーデン、モンテネグロ、ベトナム、スリランカの順
●学費:$4,680(大学生1年分、2学期それぞれ12単位取得として)

オーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(OTIS)

Kathleen Ahmanson Hall 前のキュービックOtis ロゴを背景に

【相馬ミカさん】4年生 Fine Art 専攻
 
◎日本の高校を卒業後、渡米。Citrus College を経て、2年前からOtis で学ぶ。この7月からJSNのコーディネーターとして、イベントのアーティスト探しなどに取り組んでいる。2007年5月卒業に向けて、現在は作品作りに専念。卒業後は、大学院進学を目指し、将来は、Fine Artist として個展を開いたり、独立を計画中。

Kathleen Ahmanson Hall:11 万5000平方フィートの7階建てビルの中には、トイデザイン、デジタルメディアなど、ほとんどの学部が入っている。通常の教室と違い、ロフトやスタジオ風の作りはさすがアート系大学

ロサンゼルスタイムズ社の創設者、ハリソン・オーティスによって、1918年に設立されたOtis College of Art and Design。〝Otis Art Institute〞と呼ばれ、NYのOtis Art Institute of Parsons School of Designと提携していた当時は、NYでも授業を取ることができた。91年に現在の名称が適用され、現在約1100人が在籍している。
 
相馬さんはFine Art 専攻。「アートに従事する祖父や父の姿を見てきたせいか、子供の頃からポスター出展や図画工作の応募が大好きでした。現在は、作品制作のSenior Studio、陶芸技術を学ぶCeramics、哲学を通して作品を語るThesis、文字や視覚の関連性を学ぶSemiotics などを学んでいます」。現役アーティストや芸術評論家の話が聞けるVisiting Artist Lecture Seriesでは、講義が終わるまでに新しいアイデアがたくさん浮かぶというから、アーティストには大切な役割を果たしている。
 
4年間で取得するBachelor of Fine Arts degree(BFA)が取得できるアート系大学としては、ロサンゼルス内で人気の同校。グラフィックデザインやインテリアデザインなどの他に、最近ではおもちゃのデザインを行うトイデザインも加わった。相馬さんの学ぶファインアートとライティングの専攻では、修士号まで取得できる。アート系大学として、ロサンゼルスで1番長い歴史のある同校は、国内トップクラスの優れた実績があり、なかでもファッションデザインは、世界に誇る名門学部だ。
 
相馬さんもよく利用するのが、キャリアサービス・オフィス。電光掲示板に、1200以上の求人情報が掲載され、LA内のさまざまな制作会社でできる有給インターンシップを紹介してくれる。相馬さんはここを利用して、現在、アートギャラリーでアーティストアシスタントの仕事をしている。
 
学生の半数は南加出身で、38%が39州から、残りの12%が留学生。3カ所にキャンパスを構え、ほとんどの学生がロサンゼルス国際空港近くのメインキャンパスで、4年間授業を受ける。映画『Art School Confidential』の撮影ロケ地にもなった同校は、ファッションやヘアスタイルにも磨きがかかった学生であふれ、芸術を学ぶための環境が整った学校だ。
 
(2006年10月1日号掲載)

Student Lounge:大型テレビが設置されたリラックス空間には、ハードな授業の合間にくつろぐ学生たちでいつもいっぱい

Bolsky Gallery:The Bronya and Andy Galef Center for Fine Artsビル内にあるギャラリー。学生のアート作品が常時、展示されている

Student Studio:The Bronya and Andy Galef Center for FineArts に入っているスタジオ。4年生には各自にスタジオが与えられ、相馬さんも自分のスタジオで連日午前4時ごろまで制作に取り組んでいる

The Bronya and Andy Galef Center for Fine Arts:フレデリック・フィッシャーが建設し、2001 年にオープンしたビル。4 万平方フィートのビル内ではFineArt の授業が行われる。アートスタジオも備えられ、2つのギャラリーも併設

Ben Maltz Gallery:3500 平方フィートのThe Bronya and Andy Galef Center for Fine Arts ビル内にあるギャラリー。プロのアート作品が常時展示され、学生たちの重要なリソースとなっている

オーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(OTIS)

Otis College of Art and Design
9045 Lincoln Blvd., Los Angeles, CA 90045
☎ 310-665-6800
www.otis.edu
●設立:1918年
●運営:私立
●敷地面積:5エーカー
●ニックネーム:Otis
●キャンパスカラー:なし
●学生数:約1100 人
●学部数:学士課程7、修士課程2
●学期開始時期:1 月、8 月(2学期制)
● 留学生:全体の約12%。出身国は韓国、カナダ、香港、インドネシアなど
● 学費:,596 ドル(大学生1年分、2学期それぞれ12 単位取得として。18 単位まで金額は同じ)

カリフォルニア州立大学サンバナディーノ校(CSUSB)

キャンパス入口に掲げられたサインと一緒に

【岩瀬俊之さん】大学院2年生・MBA専攻
 
◎日本の高校、大学を卒業後、CSUSBのプレMBAコースを経て、2004年9月から同大学大学院で学ぶ。05年9月にJSNとともに活動するJSA(Japanese Student Association)の会長に就任。卒業後は、すでに内定を得た企業にて、経営スタッフとして配属される予定

Jack H. Brown Hall:ビジネス専攻の授業が行われているビル。サンバナディーノ地域の様々な教育関連施設を支援しているJack H. Brown氏にちなんで名づけられた

ブドウ園だった土地を含む430エーカーの広大な敷地に、たった293人の学生でスタートしたカリフォルニア州立大学サンバナディーノ校(CSUSB)。この地域は近年、全米でも顕著な人口増加をみせており、同校の学生数も2010年までに2万人になると予想されている。
岩瀬さんは、MBA専攻。「米国の技術をアジア地域で広げるなど、ビジネスマンとして活躍する父の姿を見てきたせいか、私もビジネスリーダーとして活躍できるポジションに立ちたいと思って、MBAを専攻しました」。現在はITを有効活用し、ビジネスをプランニングするInformation Systems Planning, Strategy and Policyやビジネスモデルに適したデータベースをデザインするInformation Based Management、ネットワークの構築方法を習得するInformation Networking Systemsを学んでいる。Information Systems Planning, Strategy and Policyでは、整形外科医院のビジネスプロセスのコンサルティングを実際に行うので、今後に活かせそうだと話す。教授陣はビジネスの現場を意識した視点で授業に臨んでいるため、役立つ知識を提供してくれるそうだ。
 
同校のMBAは、アメリカ国内で最も権威あるビジネススクール認証機関AACSB認定のプログラムとして知名度が高い。アメリカ最大級の指導者訓練施設の1つとして知られる教育学部は就職でも評判が良く、学部卒生の95%が1年以内にフルタイム就業を実現している。人気専攻ベスト5は、教養学、心理学、看護学、犯罪捜査学だそう。
 
「オープンユニバーシティー」は、登録後にまだ空きがあれば、授業が一般に開放されるユニークな制度。キャリアアップを目指す社会人や、入学前に授業を試してみたい人にも人気がある。まさに開かれた大学だ。
 
「Inland Empire」とも称される広大なキャンパスを持つ同校は、23校あるCSU系列の中で最もバラエティーに富んだ人種で構成されており、アジア系が全体の9%と他の系列大に比べて少なめ。人種のるつぼ・アメリカらしい生活を満喫したい学生にも最適な学校と言えそうだ。
 
(2006年9月1日号掲載)

Social & Behavioral Science:社会学専攻のビルで、心理学、犯罪捜査学、ソーシャルワークの授業が行われる。学生がれ自由にコンピューターを使えるコンピューターラボが2カ所に設置されている

Student Union:今年2月にリモデルされたばかりの学生会館。スターバックス、カフェテリア、会議室、なんとゲームセンターもある。ホール内の広い空間は、学生たちの憩いの場

Serrano Village:リビングとバス付き5人部屋の学生寮。キッチン、ランドリー、勉強室、ラウンジが40、50人のセクションごとに備えられている

University Hall:留学生オフィス、奨学金関連オフィス、アドミッションオフィス、文法や文章の校正を手伝ってくれるライティングセンターもある。英語の授業が行われているのもここ

Robert V Fullerton Art Museum:1996年に開館した美術館。7500平方フィートのギャラリースペースを誇り、常設会場には、古代美術やモダンアート、陶器などの約1200の作品を蔵している

カリフォルニア州立大学サンバナディーノ校(CSUSB)

California State University, San Bernardino
5500 University Pkwy., San Bernardino, CA 92407
☎909-537-5000
www.csusb.edu
●設立:1965年
●運営:州立
●敷地面積:430エーカー
●ニックネーム:Coyote
●キャンパスカラー:コロンビアブルーと黒
●学生数:約17000人
●学部数:学士号課程44、修士号課程22
●学期開始時期:1月、4月、9月、12月(4学期制)
●留学生:留学生は約500人。出身国は台湾、日本、中国、タイ、韓国、トルコ、インド、カナダ、ドイツ、サウジアラビアの順
●学費:$10,170(大学生1年分、4学期それぞれ12単位取得として)

アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(Art Center)

メインキャンパスの名物通路を背景に。この下を車が通る

【吉田真由さん】大学2年生
Product Design専攻
 
◎日本の高校を卒業後、22歳で渡米。パサデナ・シティーカレッジでグラフィッグデザインを専攻した後、2005年9月から「手で触って実感できる」商品デザインを学ぶため、Art Centerに編入。プレゼン漬けの日々のために、徹夜で課題に取り組む日も多い。将来の夢は「人が笑顔になり」「環境にやさしい」商品をつくること。

Hillside Campus:1974年に建てられたメインキャンパス。映像編集やレコーディング設備も整う。丘の上にあり自然豊かな環境。ここからの美しい夜景も名物の1つ

アートセンター・カレッジ・オブ・デザインは、1930年にロサンゼルスに設立された。74年に現在のパサデナのキャンパスに移転、”Art Center”の名称でも親しまれている学校だ。175エーカーあるHillside Campusは、パサデナの街が見渡せる緑豊かな丘の上にある。
 
同校は「現場でのデザインスキル」を学べる、全米で最も評価が高いデザイン専門校の1つ。授業では、卒業後デザインの現場にすぐ飛び込めるように、厳しい課題が毎週出される。プロダクトデザインを専攻する吉田さんは、「業界で活躍中の先生も多く、授業ではプレゼンテーション能力が徹底的に鍛えられます」と話す。
 
授業は春、夏、秋の3セメスター制で、最短8セメスター(2年8カ月)で卒業できるシステムだ。このため、目指すキャリアが明確な学生が多く入学する。入学時の平均年齢は23歳。他のカレッジで既に履修してから更なるレベルアップを目指して編入する場合が多いからだ。
 
現在、3セメスター目の吉田さんは、三輪車のデザインをプレゼンテーションする授業に取り組む。「まず、企業の色、ポリシーなどを徹底的にリサーチします。そこからデザインを作り、自分のオリジナルな作品をプレゼンする力を学びます。英語が苦手だからと言って逃げられません。それでは現実の世界でも通用しませんから」と真剣なまなざしだ。課題をこなすために、24時間オープンのキャンパスに泊まりこむ学生も多いという。
 
卒業生はBMWやフォード、トヨタなど車のデザイン、ノキアやモトローラといった携帯電話のデザイン、マクドナルドのキャラクターデザインなど、商品デザイン分野で幅広く活躍する。
映画監督のマイケル・ベイも卒業生で、グラフィックデザインやビジュアルアートの分野でも、多くの著名人を送り出している名門だ。GMとフェラーリでデザイナーを務めた奥山清行さんなど、多くの日本人デザイナーもここで学んだ。
 
留学生の数は比較的少なく、全米からビジュアルアートのプロフェッショナルを目指す学生が集う同校。業界に直結する最適な環境が整っている学校だ。
 
(2006年7月1日号掲載)

South Campus:アートの大学らしいエントランス。飛行機の試験場だった土地を買い取って2004年に同キャンパスが建てられた。一般教養、リサーチ、歴史、またプレスプリンティングなどの授業が行われる。一般に向けたデザインクラスもここで開講Photo by Steven A. Heller/Vah Alaverdian, Art Center College of Design (C)2006

Galleries:学生や学外のアーティストの作品を展示するギャラリーが構内だけで5カ所もある。作品を他人に見せ合うことでデザインへの感性がさらに磨かれるのだそうPhoto by Steven A. Heller/Vah Alaverdian, Art Center College of Design (C)2006

所々に置かれているオブジェや豊かな自然がイマジネーションを書き立てるのかも!?

アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(Art Center College of Design)

Hillside Campus1700 Lida St. Pasadena
South Campus950 S. Raymond Ave., Pasadena
☎626-396-2200
www.pasadena.edu
●設立:1930年
●運営:私立
●敷地面積:175エーカー(Hillside Campus)
●ニックネーム:Art Center
●キャンパスカラー:オレンジ
●学生数:1499人(学部生)、129人(大学院生)
●学部数:大学9学部、大学院5学部
●学期開始時期:1月、5月、9月、(3学期制)
●留学生:大学では約18%が留学生。出身国は韓国、台湾、日本、カナダの順
●学費:39,465ドル(大学生1年分。1年間に3学期取得した場合。1セメスターは13,155ドル)

パサデナ・シティー・カレッジ(PCC)

校内のランドマーク的存在、Horace Mann ビルに掲げられたPJCサインの横で

【香川恵美子さん】大学2年生・Multi Media 専攻
 
◎日本の高校を卒業して3年後に渡米。シアトルの英語学校を経て、2005年1月からPCCで学ぶ。同年10月よりJSNのディレクターとして、アートを主としたポスター作成、リーフレットのデザイン、メールマガジン作成などを担当。卒業後は、ビデオ編集技術を生かせる会社に就職を希望している。

Horace Mann:PCC のランドマーク。パフォーミングアーツ、コミュニケーション、英語学科の授業が行われるビル。学長のオフィスや人事部、諸外国への留学オフィスなどがある

パサデナのダウンタウンに位置する同校のキャンパス。18エーカーの土地を1911年にPasadena High School が購入。その土地を前身のPasadena Junior College が買い取り、267人の学生で初めての授業がスタートした。現在の名称、パサデナ・シティー・カレッジ(PCC)に変更されたのは48年。今では30のビルが集結する53エーカーのキャンパス内で、約2万5千人の学生が学ぶ。
 
マルチメディア学科で学んでいる香川さん。「個人でできる作品作りがしたくてこの学科を選びました。現在は、ウェブデザインを学び「Dreamweaver」やビデオ編集の「After Effect」、音の編集を行う「Music」のクラスを取っています。即戦力となる技術を身につけるための授業が多く、クラスによっては最初からある程度のレベルが要求されることもあります。現場で働く先生方から、教科書に載っていないポイントを教えてもらえることが気に入っています」。クラスは少人数制で先生との距離が近く、コツコツ努力する生徒を応援する先生の存在が魅力だと話す。
 
4年制大学に編入する学生数が、州内108校の2年制大学のなかで第2位と高い編入率を誇っているのも同校の特徴。一昨年はUC 系に465名、CSU系に1160名が編入を果たした。60の学科を有するが、数学科は、カレッジ間の数学コンテスト「AMATYC」で何回も優勝。音楽学科の「Tournament of Roses Honor Band」によるローズパレードの優れた演奏も、全米から高い評価を得ている。
 
そして同校のもう1つの特徴は、輝かしい実績を誇る11のスポーツクラブがあること。女子バドミントンは現在まで州カンファレンス3連覇中。男子バスケットは、03~04年シーズンに州のベスト16まで勝ち抜いた。卒業生には、メジャーリーグ初のアフリカ系選手、ジャッキー・ロビンソンやNBAレイカーズのアシスタントコーチ、マイケル・クーパーなどスポーツ選手が名を連ねる。ロックグループのヴァン・ヘイレンが同校で結成されたというのは有名な話だ。
 
留学生数は約800人と少なめ。アメリカ人と一緒に勉強をしたい留学生には最適の学校だ。
 
(2006年6月1日号掲載)

Hall of Fame:PCC の名誉卒業生ジャッキー・ロビンソンなど、スポーツ界で活躍した56 人の顔写真が展示されている

Hutto-Patterson Gymnasium:1999 年に完成した体育館。学生が無料で使えるジムも完備。女性バドミントンチームのホームで、2006 年度州内優勝戦の会場になっている

Shatford Library:Pasadena High SchoolとPasadena Junior Collegeのライブラリーを1924 年に統合。13 万3024 冊の蔵書、4000 冊の電子書籍、300 冊の雑誌などが揃う

Aquatic Center:1998 年に結成されたウォーターポロクラブと男子・女子スイミングクラブのホーム。この日は州のカレッジ水泳選手権が開催されていた

Radio Station(KPCC/89.3FM)キャンパス内にあるNational Public Radio Station傘下のラジオ局。ミュージックプログラムが人気。南カリフォルニア一帯をカバーしている

パサデナ・シティー・カレッジ(PCC)

Pasadena City College
1570 E. Colorado Blvd., Pasadena, CA 91106
☎ 626-585-7123
www.pasadena.edu
●設立:1924年
●運営:公立
●敷地面積:53 エーカー
●ニックネーム:Lancer
●キャンパスカラー:深紅色と金
●学生数:24,932 人
●学科数:準学士号課程60
●学期開始時期:8月、2月(2学期制)
●留学生:約800 人の留学生が学ぶ。出身国は日本、台湾、中国、香港、韓国、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、カナダの順
●学費:4,224ドル(1年分、2学期それぞれ12 単位取得として)

カリフォルニア州立大学フラトン校(CSUF)

校内のランドマークであるLangsdorf Hall 前のモニュメントを背景に

【田居瞳さん】大学3年生・Graphic Design専攻
 
ミズーリ州の高校を卒業後、Pasadena City Collegeを経て、2006年1月からCSUFで学ぶ。05年9月にJSNのプロジェクト担当となり、フライヤーやポスター制作、ウェブデザインに取り組んでいる。卒業後は、出版社などで経験を積み、フレキシブルに働けるデザイナーとして独立したいと計画中。

Langsdorf Hall:キャンパス内で最も高い9階建てのビルはCSUFのランドマーク。学校長のオフィス、入学手続きなど学生へのサービスオフィスがあり、ビジネスと経済の授業が行われている

1957年に、12番目の州立大学としてカリフォルニア州議会より正式に認定されたカリフォルニア州立大学フラトン校は、59年9月、452人の学生でスタート。現在のキャンパスが完成する60年まで、授業はFullerton Union High Schoolなどで行われていた。236エーカーの敷地内で、現在3万人以上の生徒が学んでいる。
 
田居さんはグラフィックデザイン学部で学んでいる。「幼い頃から物作りが好きで、この学部を選びました。授業は、実際に仕事の現場で使われた作品を紹介しながら行われるので、とてもエキサイティングです。現在は、文字を図案化するLetteringや文字を分析するTypography(活字学)、コンセプトに基づいたイラストをさまざまな手法で描くIllustrationを学んでいます」。最新情報が命のこの分野では、現役で働く教授から現在進行形の技術を学べる授業が多いという。また、少人数制クラスのため、教授との距離が近いのも魅力だそう。
 
全体生徒数の半数が専攻として選ぶ人文社会学やビジネス&経済学は、カリフォルニア内の大学で最大の生徒数を抱えている。ビジネス専攻では、アジア系アメリカ人生徒が国内で2番目に多く学位を取得している。コミュニケーション学部で学位を取った生徒数が全米で2位、教育学部が同3位と、勉学熱心な学生が多い同校。学位を取得したヒスパニック系の学生や学校関係者が多いことでも評価されている。
 
音楽&ミュージカルシアター、ダンスなどの舞台芸術クラスでは、クオリィーの高い授業で有名なオペラ歌手や映画俳優などを輩出。創立以来約14万人の学生が卒業し、俳優のケビン・コスナーやアメリカ最年少の宇宙飛行士トレイシー・キャドウェルも同校の卒業生だ。校内には学生時代から指導力を養うことを目的に、他国の文化を学ぶ組織からスポーツクラブまで247種類ものサークル活動が盛んに行われ、約2千人の生徒が参加している。留学生数では日本人が224人とトップを占めている。82カ国から集まり、国際色にも彩りが添えられた学校だ。
 
(2006年3月1日号掲載)

Cobb Residence Halls: 清潔で安全な環境が整い、396 人の生徒が入居できるキャンパス内のアパート©Photo by Channing

Performing Arts Center: 総工費48 億5000 ドルをかけたパフォーミングアーツセンターは、06 年1月にオープンしたばかり。敷地面積10 万9000 平方フィートのビル内では、大学オーケストラによるコンサートやダンスパフォーマンスなどを開催

Kinesiology and Health Science Building:03 年完成の5000 平方フィートのビル。フィットネスセンター、セミナールーム、125 席のレクチャーホールなどがある

Titan Student Union: 学生の憩いの場。シアター、フードコート、パブ、ボウリング場、ビリヤード、大画面テレビのあるラウンジなどのレクリエーション施設が整う

Paulina June & George Pollak Library:120 万冊以上の蔵書、110 万個以上のマイクロフィルム(縮小写真印刷)、6000 本以上の映画、5000 冊以上の電子書籍、3500冊以上の定期刊誌が揃う図書館©Photo by Channing

カリフォルニア州立大学フラトン校(California State University, Fullerton)

800 N. State College Blvd., Fullerton, CA 92831
714-278-2011
www.fullerton.edu
●設立:1957年
●運営:州立
●敷地面積:236 エーカー
●ニックネーム:Titan
●キャンパスカラー:青と白
●学生数:33,413 人
●学部数:学士号課程104、修士号課程49
●学期開始時期:8月、1月(2学期制)
● 留学生:1000 人以上の留学生が学ぶ。出身国は日本、台湾、韓国、インド、中国、インドネシア、メキシコ、ベトナム、タイ、香港の順
●学費:11,126ドル(大学生1年分、2学期それぞれ12 単位取得として)

未来型スキルを身に付ける!

船津 徹(TLC for Kids代表)

現代は「先の見えない社会」です。今日正しいことが明日には間違ったことに変わってしまう、そんな常識や価値観の大変動が日常的に起きています。医療やテクノロジーはもちろん、ダイエットから教育まで、日々新しい発見や検証がなされ、今までの常識は一夜にして塗り替えられてしまいます。現代は、一体何を信じればいいのか分からない時代なのです。変化の激しい時代を生きる子どもたちに求められる力が「未来型スキル」です。「未来型スキル」とは、分析力や批判的思考力、創造力、問題解決力などの「考える力」。そして世界中の人たちと友好な人間関係を構築できる「コミュニケーション力」です。

ゴールデンルールは通用しない

「一生懸命勉強して、良い大学に入り、良い企業に就職する」。一昔前まではこのゴールデンルールが通用しました。「読み書き計算」さえしていれば明るい未来が開ける時代だったのです。しかし、今は上場企業でもリストラは当たり前、大企業でもグローバル化に乗り遅れれば外国資本に買収されるご時世です。
ゴールデンルールが通用しない社会で子どもたちがたくましく生きていくには、自分はどういった存在で、何になりたいのか、そして、どんな人生を歩みたいのか、自分の頭で考
えて、自分なりの答えを見つける力を育てておかなければなりません。Google創業者、ラリー・ペイジは「20年後には、今の仕事のほとんどが機械によって代行される」と言います。Microsoft創業者のビル・ゲイツは「創造性を必要としない仕事はテクノロジーに代行される」と言います。世界最先端のITビジネスの牽引者たちが「社会が変わるから教育も変えるべきだ!」と警告しているのです。

答えのない問題に取り組ませる

「未来型スキル」を鍛える効果的な方法が「答えのない質問=オープンエンドの質問」に取り組ませることです。「一番好きな果物は何?」という質問の答えは一つです。でも「自分で新しい果物を作れるとしたら何を作る?」という質問の答えは無限にあります。「リンゴとパイナップルを混ぜたパイナップルリンゴ」、「バナナとイチゴを混ぜたイチゴバナナ!」など、創造力を膨らませることができます。算数もオープンエンドの質問を取り入れます。「5+8=?」という質問の答えは一つです。でも「◯+△=15」、「◯-△=15」、「◯×△=15」という質問であれば、答えは無限にあります。オープンエンドの質問に取り組ませることで、多様な面から物事を見る頭の使い方を身に付けることができます。
小学高学年以上の子どもには「時事問題」について意見交換してみましょう。例えば「原発再稼働」について子どもに意見を聞きます。再稼働に反対か賛成か。なぜ反対か、なぜ賛成か。子どもの考えを尊重しながら「なぜ」を繰り返すことで子どもは思考を深めることができます。

コミュニケーション力を鍛える

日本の子育てや教育では、コミュニケーションの重要性が強調されることはありませんでした。しかし、多様な人たちとの交流が要求されるこれからの社会では、世界標準のコミュニケーション力を身に付けることが不可欠です。
幼い子どものコミュニケーション力を育てる遊びが「ごっこ遊び」です。ままごとや幼稚園ごっこ、ヒーローごっこなどの「ごっこ遊び」は、言語力や表現力、質問力といったコミュニケーション力全般を伸ばしてくれます。
小学生以上の子どもには「演劇」をお勧めします。「演劇」の技術である発声・発音方法、よく伝わる表情の作り方、よく伝わる仕草やジェスチャーを学ぶことで、世界標準のコミュニケーション力を身に付けることができます。また演劇経験者は英語習得のスピードが早いという事実も付け加えておきます。
 
(2016年12月1日号掲載)

幅広いコミュニケーション力をつける

船津 徹(TLC for Kids代表)

「大人の話に口を出さないの!」「子どもはあっちで遊んでいなさい!」親子で集まる時、大人は大人、子どもは子どもと分けるものだと思っていませんか?親戚の集まりで、子どもが大人の話に聞き耳を立てていると「あっちに行っていなさい!」なんて追い払った経験はありませんか?
 
子どもは大人の話に興味津々です。でも大人側が子どもに聞かれたくなかったり、子どもには分からない話題だろうと思ったりして、大人とコミュニケーションを取る機会を奪ってしまうことがあります。子どものコミュニケーション力を向上させるには、同年代の仲間だけでなく、幅広い年齢の人たちと対話する機会を与えることが大切です。

子どもとの対話を重視する

コミュニケーション力の育成を重視するアメリカ人は、大人が意図的に子どもと会話をする機会を持ちます。誕生日パーティーなどで、大人が子どもに混ざって会話を楽しんでいる光景がよく見られます。子どもを一人前扱いして話をすることで、自立を促そうという気持ちがあるのです。
 
「こんにちはザックさん。最近サッカーの調子はどうですか?」と、まるで大人と接するように子どもに声を掛けます。すると、子どもは一人前扱いされてうれしくなり、自分も大人らしい会話をしようと言葉遣いを意識するようになります。
 
「まあまあです。先日の試合は残念ながら負けてしまいましたが。リチャードおじさんはゴルフの腕前は上がりましたか?」なんて会話が、大人と子どもの間で日常的に行なわれています。
 
個人主義が浸透しているアメリカでは、相手が子どもでも一人の人格として尊重して接します。一人前扱いしてあげることで、子どもの自立心に火が付くことをよく知っているのです。

対等な一人の人間として接する

「子どもはあっちに行っていなさい!」なんて軽く扱わずに、何歳であっても自分と対等の一人の人間として敬意を持って接してください。特に母親は子どもを、子ども扱いしがちなので注意しましょう!多くの親が子どもを自分の分身や所有物と考えているのです。だから命令・禁止言葉を平気で使います。もし相手が他人の子だったら「ああしなさい!」「ダメ!」と頭ごなしに命令することはないはずです。
 
命令・禁止言葉で子どもをコントロールしようとしてもうまくいきません。子どもを動かす時は、大人と接するように「悪いけど」「すまないけど」と一言添えて頼めばいいのです。そして子どもがしてくれたら必ず「ありがとう」と感謝を伝えます。一人前の人格として尊重することで、子どもの自立心が育ちます。

地域活動に子どもを参加させる

最近の子どもは、気の合う限られた集団の中でしかコミュニケーションを取らない傾向があります。興味、関心、世代の違いを越えてコミュニケーションを取ることを苦手と感じ、幅広い人たちとの交流を避けようとします。
 
もっと大人の活動に子どもを参加させましょう。アメリカでは大人の集会やボランティア活動に子どもが参加することは大歓迎です。公園のゴミ拾い、花壇の世話、学校の手伝いなどに子どもを連れていき、大人と関わる機会を作ってあげるのです。
 
子どもが手伝いをしていると、たくさんの大人が声を掛けてくれます。「◯◯君がんばっているね!」「◯◯ちゃんは偉いね!」そんな大人との対話が子どもの自立心を育て、自信を大きくしてくれます。
 
学校、地域、習い事などのボランティアやファンドレイザーに親が積極的に関わり、子どもを同伴しましょう。親子で地域の人と交流を深める機会を持つことで、親も子も、アメリカ社会を深く理解できると同時に、豊かなコミュニケーションスキルを身に付けることができます。
 
(2016年11月1日号掲載)