私は、現在、日系の会社に「E」ビザにて勤務しており、グリーンカードの申請も行っています。ところが、妻と子どもが日本に帰省していた際に、パンデミックになってしまいました。妻と子どもはアメリカに戻りづらくなり、ほぼ1年以上私の単身赴任の状態が続いています。妻と子どもはまだ当分の間日本に滞在する予定ですが、将来のことを考えてグリーンカードの取得もできればと考えています。どのような対処方法がありますか?
A.あなたの場合、配偶者と子どもが日本に滞在しているため、アメリカ国内において同時に面接を受けてグリーンカード取得することができません。そこで、あなたを含めた家族全員が日本のアメリカ大使館で面接を受けるか、あなたはアメリカで面接を受け、あなたの配偶者と子どもが日本のアメリカ大使館で面接を受ける方法が考えられます。以下順を追って説明します。
雇用を通してグリーンカードを取得するプロセスは、細かく分けて、①規定の給料の設定、②人材募集広告、③労働認可証(「Labor Certification」)を取得するための過程である労働局(「Department of Labor」)での審査、④スポンサーである会社の経営状態の審査(「I-140」による申請)、⑤申請者自身の審査(「I-485」による申請)の5つの段階に分けられます。
最近では、グリーンカード申請の順番待ち(「PriorityDate」)によって「I-485」までにタイムラグが開くことがほとんどなくなったので、多くの場合で、上記の第4段階と第5段階を並行して進めることができます。ただし、第4段階の「I-140」の申請の認可が下りない限り、第5段階の「I-485」による申請が認可されることはありません。
また、もしあなたが駐在員として第一優先のカテゴリーでグリーンカードを申請している場合は、第3段階の労働認可証(「LaborCertification」)までの手続きは必要なく、「I-140」と「I-485」の申請のみで手続きが行われます。
家族全員で一度帰国し、日本で面接を受ける方法
前述のように、あなただけでなくあなたの配偶者と子どももグリーンカードが取得できるようにするには、二つの方法が考えられます。一つ目は、「I-140」の認可後「I-485」の申請を行わず(従って、「I-140」と「I-485」を同時申請するのではなく、「I-140」のみの申請を行い)、家族全員が「Consular Process」の手続きを行い、日本のアメリカ大使館にて面接を受けるという方法です。
この方法での申請を行えば、「I-140」の認可後、約半年間(現在、日本のアメリカ大使館はパンデミックのためバックログがあるので、これより遅れる可能性があります)で日本のアメリカ大使館での面接になり、面接をパスすると2~7営業日で、パスポートがアメリカ大使館より日本の指定した住所に郵送されることになります。
このパスポートには、半年間有効で米国に入国可能なビザ「ImmigrantVisa」が貼られています。そして、米国に入国の際、空港にて写真撮影と指紋採取が行われた後、パスポートにスタンプが押され、この時点で法的に永住権を取得したことになります。このパスポート上のスタンプは1年間有効で、これによりアメリカでの滞在・就労、および国外への渡航が可能になります。グリーンカードは、入国の際に届け出た住所に1〜2ヵ月後に郵送されます。
本人はアメリカ、家族は日本で面接を受ける方法
ただし、この方法を取る場合は、日本で面接を受ける前に健康診断を行うなど、手続きを完了するのに3~4週間ほど日本での滞在を予定しなければなりません。もしあなたが、この期間の日本滞在が困難な場合、二つ目の方法として、あなたのみ「I-485」の申請を行い(この場合は「、I-140」と「I-485」の同時申請が可能です)、アメリカ国内の移民局において面接を受け、グリーンカードを取得し、その後、配偶者と子どもが日本のアメリカ大使館で面接を受ける方法が考えられます。
この申請方法を「FollowtoJoin」と呼びます。この場合、あなたがグリーンカードを取得した後、配偶者と子どもの申請を開始し、約1年~1年半後に、あなたの配偶者と子どもが日本のアメリカ大使館において面接を受けることになります。その後の手続きは、一つ目の方法の場合と同じです。
この二つの方法どちらにおいても、もしあなたの配偶者と子どもが、グリーンカード取得後もさらに日本での滞在を必要とする場合は、「ImmigrantVisa」にてアメリカに入国した際に、「Re-entryPermit」を申請する方法が考えられます。「Re-entryPermit」は、グリーンカードの資格を失うことなく、2年間アメリカ国外に滞在することができる許可で、この2年の後、更新も可能です。「Re-entryPermit」は、前述の入国後、数営業日アメリカ国内に滞在することで申請・取得が可能です。
※このページは「2021年8月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。情報は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
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