Japan Business Systems Technology営業(サービス・サポート系):工藤愛理さん

ライトハウス電子版アプリ、始めました

誠意を持って仕事をしていれば
必ず見てくれている人がいる

ホームステイで外国人を受け入れる家庭で育ち、次第に外国への憧れが高まったという工藤愛理さん。中学生の時に自身もホームステイして過ごしたアメリカ生活が忘れられず、高校卒業後、アメリカの大学に進学。卒業後もアメリカに留まり、就職した。「営業の仕事は、人に会って、知らない世界の話を聞けるのが楽しい」と話す工藤さんに話を聞いた。

【プロフィール】くどうあいり ◉ 高校卒業後、2004年に渡米。サンフランシスコのDiablo Valley College に入学し、07年にカリフォルニア大学サンディエゴ校へ編入。コミュニケーション学を専攻して、10年卒業。その後、ITコンサルティング会社JBS(Japan Business Systems Technology)に入社し、現職

そもそもアメリカで働くには?

英語を話すことに興味津々 使う機会を自ら作っていった

小学生の頃、私の家庭では、ホストファミリーとして外国人の受け入れをしていました。アメリカ人やオーストラリア人、フィリピン人やネパール人など、色々な国の方たちと接する機会がありました。日本語の勉強で日本に来ている留学生たちなので、家庭での会話は基本的に日本語でした。ですが、私の母が英語を少し話すので、時折留学生と母が英語で話しているのを見て、「いったい何を話しているんだろう?」と、興味津々でした。
 
中学生くらいになると、外国への憧れから、洋楽を聴いたり、洋画を観るようになりました。また、ペンパルを作り文通をしたり、学校のアメリカ人の先生と仲良くしたりなど、英語に触れる機会を自ら作るようにしていました。そして、中学2年生の時、今度は自分が、サンディエゴでホームステイをしました。
 
次に渡米したのは2004年、高校を卒業してからでした。中学生の時に体験したホームステイでのアメリカ生活が忘れられず、高校在学中も留学したいという気持ちがどんどん高まっていきました。そして進路を決める際、このまま日本の大学に進学をしたとしても、留学だけはいつか必ずしようという強い気持ちがあったので、どうせならばこのタイミングで思い切って行こうと決意し、サンフランシスコの郊外のカレッジに入学しました。

さまざまなジャンルの 人と出会う仕事がしたい

提案中の案件について、エンジニアと打ち合わせ中

コミュニティーカレッジを卒業後、USCD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)に編入。社会学、メディア学、女性学など幅広く勉強するコミュニケーション学を専攻しました。就職活動をする中で、PRの仕事も楽しいだろうなとも思ったのですが、営業という職業に以前からとても興味がありました。営業は、通常の生活では出会うことはない色々なジャンルの人とお話ができたり、サービスや商品の持つ良さを最大限に引き出してプレゼンテーションをしたり、自分が間に立って何かと何かをつなげるというイメージがありました。漠然とした思いだったのですが営業がしてみたいと思いましたので、業種は問わずに「営業職」で就職活動をしました。
 
実は、卒業後にこちらに残って仕事をするか日本に帰るか、悩んだ時期がありました。そこで、大学を休学して就職活動のために日本に一時帰国し、短期間で集中的に色々な企業を回りました。運良く、その中から2社内定をいただいて戻ってきたのですが、せっかくアメリカの大学を卒業するというのに、私はこちらで何もしていないではないかという気持ちになりました。それならば、何かチャレンジしてから考えようと思い、OPTを取得し、現在の会社で営業として働き始めました。

経験や知識が乏しく苦労も でもすべてが勉強になる

私の会社は、単にPC機器を販売するコンピューター屋さんではありません。システムとビジネスの視点から、効率化なども含めて提案をしていく、ビジネスコンサルタントとしてのサービスを提供しています。社内では、ネットワークのエンジニア、プログラマーなどからなる開発部、そしてERP(Enterprise Resource Planning)コンサルティングの、3つの分野に分かれていますが、私は営業アシスタントとして、それら3つの分野をすべて担当しています。お客様のご要望、悩みなどを聞き出し、技術的な話になる際は、エンジニアとセットでお客様をサポートします。つまり私の仕事は、お客様とエンジニアをつなげることです。
 
弊社のお客様の多くは、長いお付き合いをしていただいている企業、またはご紹介がほとんどです。元々「営業部」というものが確立されておらず、エンジニアなどの技術者が営業も兼任するというユニークな会社でした。そこに初めて、私が「営業職」というポジションで採用されました。営業職として仕事をする以上は、既存のお客様をケアするだけでなく、新規開拓が求められます。コールドコールでアポを取ったり、時には飛び込みでお客様の所にお邪魔するなどし、まずは私たちの会社を知っていただくことから始めています。
 
私は、ITのバックグラウンド、営業としての経験がなく新卒で入社しましたので、その点ではやはりとても苦労しています。IT用語を熟知していると、お客様も安心してお話してくださいますし、社内でエンジニアとの会話もスムーズになります。
 
弊社は、一人あたりのタスクがたくさんあります。営業だからお客様にサービスを紹介していればいいのではなく、さまざまな部署の仕事に関わります。おかげでどの人がどのような業務をしているのかが理解でき、とても勉強になりました。今年で入社3年目になりますが、ますます仕事が楽しくなってきたところです。
 
この仕事の醍醐味は、お客様が私の電話の声を聞いた瞬間に、「あ~、工藤さん」と言ってくださるなど、私のことを覚えてくださっていること、「ここが困ってるんだよね」と悩みを打ち明けてくださると、信頼していただいていると感じられて、とてもありがたく思います。
 
私は人と関わることが大好きなんです。知識不足のところがいっぱいある中で、お会いする方から知らない話をお聞きすることで、グッと世界が広がっていくのを感じます。仕事の話をしていても、それが人生に置き換えられたり、逆に仕事とはまったく違う話の中にも、何か仕事につながるヒントが隠れていたり、本当に勉強になります。

努力をした分だけ 結果が肌で感じられる

私の実家が店を経営しているということもあるのですが、学生の頃からいずれは自分も起業したいと思っていました。ですが、実際に社会に出て、まだまだ私にはとてもできないことだということに気付きました。社会人としての知識や経験が少ないので、たくさん勉強をして、起業するにせよ、企業の中で働くにせよ、率先して企画を出し、動いていける人材になることが目標です。今の会社は、色々なことを経験させてもらえ、大変貴重なことだと思っています。会社からもっと求められ、任せてもらえるようになって、いつか自分が中心となって人を引っ張っていけるようになりたいですね。
 
営業は、会社とお客様をつなぐ仕事です。お客様にも社内にも気を配れることが大切だと思います。私の目標でもあるのですが、それが上手にできた時には本当に達成感を感じられます。お叱りを受けることもあります。毎回ハッピーなことばかりではないですが、きちんと誠意を持って対応を続けていれば、それを見ていてくださる方が必ずいると思います。そして、後にその努力が返ってくるのを直に体験できる職種だと思います。
 
ひとつの大きなプロジェクトを終えると、そのお客さまから新しいお客様のご紹介を受けることもあります。大変なことをやり遂げた先に、喜びが隠れているんですね。10あるうち、8、9割が辛いことでも、うれしいことが1、2割あるだけですべて埋め合わせできてしまうくらい、面白味ややりがいのある仕事です。私はこの小さい喜びがたまらなくうれしくて、頑張れていると思うんです。
 
私は大変ラッキーなことに、会社に労働ビザをサポートしてもらうことができました。ビザの取得には、自分にも会社にも色々な条件が必要になり、誰もが得られるチャンスではありません。このような機会を得られたことに感謝し、これからも日々勉強をしながら、営業としてのスキルを高めていきたいです。
 
(2012年5月1日号掲載)

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