音楽に対して真面目に努力し続けること
上に行けば行くほどその姿勢が問われる
今回はDJ Couzさんをご紹介。ウエストコースト・ヒップホップに憧れて渡米、有名アーティストたちとのネットワークを広げ、日米の架け橋となるべく、プロデューサーとして躍進中だ。
そもそもアメリカで働くには?
- アメリカで働くためには、原則として合法的に就労可能な「ビザ」が必要になります。
アメリカ・ビザの種類と基礎知識 - 日本から渡米してアメリカで働く方法として、18ヶ月の長期インターンシップも選択肢の1つ。
アメリカでワーキングホリデーのように働く!「J-1ビザインターンシップ」徹底解説
ロサンゼルス発 西海岸の音楽に感動
DJに興味を持ったのは高校の時。ちょうどSnoop Doggがデビューした頃で、ウエストコーストスタイルのヒップホップや映画を観るようになって、「すごいカッコいい! 今までのヒップホップと違う!」と、ひと目惚れ。
映画の中で、Ice Cubeがローライダーに乗っていて、ローライダーに乗る時に聴くカッコいい音楽を渋谷で探したのですが、見つからなくて。それなら自分で作っちゃえと、ターンテーブルの機材を1つずつ揃えていったというのが始まりです。
20歳になってから本格的にやり始めました。当時はクラブやイベントなど、あくまでもDJは趣味の一貫としてやっていました。今のように「ウエストコースト」というジャンルがヒップホップで確立されておらず、東京でもウエストコーストのイベントがなかったので、僕たちが主催したイベントには、コアなファンがたくさん来ましたね。
数年後、イベントをやっていた仲間内で大きなイベントをやって成功し、今度は外タレを呼ぼうと、現在の会社の人たちとDJのラジオ局Hot97の看板DJ、Funkmaster Flexを招いて全国ツアーをやりました。その頃からPower 106のBig Boy(ビッグ・ボーイ)と親しくなり、毎年2、3回、彼を日本に呼んでツアーをやるようになりました。
クラブのDJからプロデュースの仕事へ
ビッグ・ボーイと出会った頃は英語も全然しゃべれませんでしたが、ローライダーの仕様やウエストコースト・ヒップホップ関連のことなど、僕が何でも知っていることにとても感心してくれて。「それならLAに来いよ」と、誘ってくれたんです。
LAに来てやりたかったのは、それまでやっていたクラブDJではなく、音楽のプロデュースでした。DJにはラジオで話したり、クラブでレコードを回すほかにも、プロデューサーという仕事もあるんです。ビッグ・ボーイには色々な現場に連れて行ってもらい、スヌープのスタジオを見せてもらったり、雲の上の存在だった有名アーティストを紹介してもらいました。
また、ビッグ・ボーイに「カズ、何曲かいいトラック送ってくれ」って言われて送ったら、数日後、自分のトラックがPower 106で使われていてビックリしたことも。今でもかかっていて、耳にしている人も多いから僕の名刺的存在になっています。
こうした人脈を築けたのも、僕が音楽に対して真面目に取り組んできたからだと思います。ビッグ・ボーイにも、そういうところを買ってもらえたんじゃないかと。ヒップホップというと、ルーズで悪いところがカッコいいというイメージもあるかと思いますが、上を目指せば目指すほど、しっかり真面目にやっているという印象があります。
現在は、トリプルセブンという会社で色々な外タレを日本に招聘してツアーを開催したり、日本に販売するヒップホップ系DVDを制作したりといった仕事をしています。昨年は、DPGレコーズというスヌープ周りの人たちのレコードレーベルの音源からコンピレーションして、3枚連続リリースをしました。また、アメリカからビッグ・ボーイやSoopafly、Damizzaにも参加してもらい、日本のアーティスト総勢23組と一緒に日本でコンピレーションを作り、売り上げの中からハリケーン・カトリーナの被害者に寄付するというプロジェクトにも参加しました。
所属しているレーベルでいくつか僕のプロジェクトがあって、実力のあるラッパーやシンガー、アレンジャーなど探してます。詳しくはもうすぐ僕のサイト、Triple7のサイトで発表しますが、こっちのアーティストがfeat.で参加したり、各メディアとコラボしたりと、大きなプロジェクトになるので、興味のある人は、ぜひデモを郵送でもE-mailでも送ってください。良いラッパーと組んで、ワールドワイドでどんどん色々な作品を出していきたい。そのためには、良いラッパーとかシンガーが絶対に必要なんです。
英語ができない分自分にしかない強みを
この業界に日本人は多くないけど、日本人って、やはり緻密で丁寧な音作りをするので、評価が高いと思います。
この仕事をやっていて楽しいのは、初対面の人でも好きな音楽が合ったり、波長が合った時の感動が味わえること。ライブツアーの帯同は、大変ですが、お客さんの笑顔を見ていると、やって良かったなと思います。「ヒップホップが好きだ」と思ってくれる人が増えるとうれしいですよ。
作品のプロデュースには、多くの人が携わりますが、頂点まで行った時の達成感、「やりきった」という感じは何とも言えません。僕にとって天職です。神様ありがとう、みたいな(笑)。
この業界でやっていくには、スキルがあることはもちろんですが、英語が得意でなくとも、その分、自分に何か認められるものがあることが大事。そして、何よりも音楽に対して真面目、努力するということがとても大切です。
デモテープ送り先:
Triple Seven Records
10727 Lawler St. #12, Los Angeles, CA 90034
☎310-837-9500
Web: www.triple7.co.jp
E-mail: info@triple7.co.jp
(2008年3月16日号掲載)