岩崎淳子さん( 元専業主婦 ▶︎▶︎ 現ファイナンシャル・プランナー)

ライトハウス電子版アプリ、始めました

かつて自分が「困った」経験を活かし人のよりよい未来を創る仕事に

 

岩崎淳子さん

いわさき・じゅんこ◎愛知県出身。アメリカのインディアナ州へ留学しMBAを習得。日本に 帰国するも夫の転職を機にバージニア州へ。2009年にLAに転居後、11年にパーソナル・フ ァイナンシャル・プラン二ングサービス「Smart & Responsible」を開始。

 

元専業主婦 ▶︎▶︎ 現ファイナンシャルプランナー
 
夫の転勤でバージニア州へ引っ越した後 、異国の地 家庭 、育児 、お金のことなど、突然生活の全てを任されることに。慣れない環境の中、多くの問題に悩み奮闘しながらも家計をやりくりした経験を生かして、ファイナンシャルプランナーに転身。そんな岩崎淳子さんのセカンドキャリア形成に迫ります。

  

―日本ではどのようなお仕事 をされていたのですか?
 
大学卒業後、なんだか自分のキャラとは違ったのですが、NTTの人事部に配属され霞ヶ関に毎日通っていました。その後知人のアドバイスもあり、夫とともにインディアナ州へ留学を決め、以前から興味のあったファイナンスを専攻しMBAを取りました。卒業後もそのままアメリカに残りたいと思ったのです が、アメリカの経済状況があまり良くない時期で思うように就職先が見つからず、帰国することになってしまいました。そしてIT関連の会社に就職し、マーケティングリサーチの仕事を5年ほど行いました。一見お金とは関係ないように感じますが、ここでは大学院で学んだ「物事の捉え方、考え方」という部分がとても役に立ったように思います。そしてこの間に結婚、出産をしました。
 

― アメリカに来たきっかけを教えてください。
夫の転勤がきっかけでした。 夫は当時大学の助教授をしていたのですが、バージニア州の大学で採用が決まり、まだ幼い息子を連れて家族で移住しました。この時夫はテニュア(終身在職権で教員の自由な教育研究活動を保障するための終身雇用制度)の審査を控えていたため、仕事に没頭していて家のことは私に任せきりになりました。例えば子どもの学校のこと、現地のシステムに対する理解など、英語という言葉のハードルもやはりあり、それこそ何もかもが大変でした。さらにその中でも一番困ったのはお金のことで した。日本では会社がやってくれていた保険や年金、税金のことを全て自分一人でやらなければいけなくなり、本当にストレスでいっぱいになりました。
 

―ファイナンシャルプランナーになったきっかけは何ですか?
 
何も分からない状態の中、夫に何度もお金のことを手伝ってくれるようにお願いしました。夫もそれなりに努力はしてくれましたが、最終的に分かったことは、人には向き不向きがあり、夫がどうしてもお金の管理や計画には向かないと言うことでした。自分自身もそうですが、興味が沸かないことをやることは苦痛ですし、結果ストレスを溜めるだけ。それなら私がやってみようと気持ちを切り替え勉強をスタートしました。最初はお金のことといえば会計士だと思い、CPA(公認会計士)の資格をとることにしました。しかしいざ仕事を始めて みると、会計というのはすでに起こった事柄についての金銭情報を整理する仕事で、 円、 円の誤差は気にしない大雑把な私には向いていないのではないかと思うようになりました。それよりもっと個人の家計に関わる部分で、大局的に将来への流れをつくるような仕事がしたいと思うようになり、PFS(パーソナル・ファイナンシャル・スペシャリスト)の資格を取ることにしました。
 

岩崎淳子さん

2011年よりブログ「アメリカ暮らしのファイナンシャルプラニング」smartandresponsible.com を配信し、カリフォルニア州に在住しながらお金にまつわるさまざまな情報を主婦の目線で分かりやすく解説しています。現在で はアメリカ各地からいろいろな相談が寄せられ、来年には日本の読者を対象にした本の出版も予定しています。

 

―ファイナンシャルプランナーになっていかがですか?
 
自分らしい仕事だと思います。アメリカに移住し、とりあえず目の前にあることをやっているうちに、だんだんと現在にたどり着いたので、人生どんな経験も無駄ではないと感じています。 私が目標にするファイナン シャルプランナーとは、「バージニアにいた時のような困っている自分」を親身に助けてくれるような人なので、診断をするときには、一般的なファイナンシャルを診断するシステムに頼るのではなく、個々の状況に沿ってカスタマイズしたプランニング を提供するようにしています。例えば家の購入で、経済的には購入可能な場合でも、個人的な状況や要素を鑑みると、賃貸の方が得であるという結果になることもあります。こうした診断は細かに顧客の話を聞いていくからこそできることであり、一般的な診断システムではそこまで考慮することは難しいです。 そしてこうした診断結果をお伝えする際も、こうすべきだという断定的な伝え方はせず、お客様自身が自分で判断ができるよう、メリットとデメリットを分かりやすくお伝えし、ご相談に乗るよう心がけています。
 

―今後の展望などがあれば教えてください。
 
以前は自分の価値観より他人からの評価を気にしてしまうことがありました。でも今は、自分の立ち位置というか足場が固まってきた感じがしています。自分の足りないところには謙虚な態度を失わず、できることに誇りをもって、自分らしい仕事をしていけたらと思っています。 今は具体的な展望はありませんが、今まで通り目の前に与えられたことを心を込めてやり続ければ、おのずと今後の展望が開けるのではないかと思っています。
 
(2017年10月1日号掲載)
 
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2017年10月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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