企業・会社設立における日本とアメリカの違い
アメリカの方が会社は作りやすいとよく聞きますが、それは設立のプロセスが比較的簡単で安価で済むというだけ。必ずしもアメリカでビジネスが成功しやすいということではありません。日本で生まれ育った私たちが、「外国」で事業を行うには、市場に対する確かな調査や、商習慣への理解が不可欠です。
日本の商習慣は、良くも悪くも「信用」がベース。契約書を交わさず口約束で取引が行われながら、期日までに納品され、現金で支払いが完了する社会です。しかし、信用を築くまでの道のりは、決して楽ではありません。名の知れた会社なのか、社員は何人いるのか、どういう取引先があって、オフィスはどこにあるのかということが重要視され、起業したばかりの会社にとって参入障壁になる可能性があります。
対するアメリカは、とにかく製品やサービスが優れていることが第一条件。そしてそれをプレゼンテーションで売り込む力があるかどうかが成功の鍵です。信用も大事ですが、まず実力主義。スモールビジネスが資金を得やすい背景もあり、起業家にとっては、より広く門戸が開かれた社会だと言えるでしょう。
日本における起業は、言葉の問題もなく、土地勘もあり、市場の特性や社会背景も理解しやすいのですが、アメリカはどうしてもアウェイになりがち。日本は人口が減少し、超高齢化している縮小経済社会。アメリカは移民を中心に若年人口が増えている成長社会です。どんな顧客に、どんな製品やサービスを提供するのかによって、適する市場も決まってくるでしょう。市場が先か、商品が先か。
起業コンサルタントの田村玲子さんによれば、「相談に来るほとんどの方が、確かなビジネスプランをお持ちではありません。半数の中には、事業の種と言えるようなアイデアもお持ちでないケースもあります」とのこと。起業を目指す人の最初のハードルはそこにありそうです。
協力: ワールドピープルUSA 田村玲子社長 ☎310-699-1953
アメリカで起業する利点
・会社設立にさほどおカネがかからない
・製品やアイデアが良ければ取引できる
・人口が継続増加。経済ももっと成長する
・全てにおいてフェアである
・契約社会。契約すれば守ってくれる
・スモールビジネスへの支援が得やすい
日本で起業する利点
・言葉の問題がない
・市場や文化背景を理解している
・ビザが不要で雇用も楽
・国民の貯蓄額が高く、基本、豊か
・取引先を信用しやすい
・支払いの心配をしなくて済む
どうする!?ビザ問題:永住権や市民権を持ってない人がアメリカで起業する方法
現在、企業のスポンサーによる就労ビザで雇用されている人が独立して起業をしたい場合、新たにビザを取得する必要があります。会社を起ち上げる・設立することは外国人でも可能ですが、米国に滞在して給与を受け取るにはビザが不可欠です。選択はずばり、貿易ビザ(E1)か投資家ビザ(E2)のどちらかとなります。
まずはアメリカに会社を設立します。会社のタイプは、株式会社でも有限会社でも構いません。貿易ビザの場合は、月に10万ドルの貿易額があることが条件。投資家ビザの場合は、資本金として最低20万ドルを出資。資産となる設備や備品を購入してオフィスを構え、取り引きがされていることがビザ申請の条件となります。アメリカでの雇用を増やすことがビザ供与の目的なので、社員を3~4名雇用していることが必須条件です。
申請は、会社が稼働してから3カ月程度で可能。2カ月ほどで日本のアメリカ大使館から面接日時の連絡が届き、面談の上で審査が下されます。Eビザは、事業が成功していれば5年ごとに更新し続けることができますが、取得や更新時の審査が厳しいのが特徴です。
なお、自身が社長としてEビザ申請をする場合は、永住権へ書き換える際の諸条件がありますので専門家と確認してください。
協力: 瀧法律事務所 吉原今日子弁護士 ☎310-618-1818