「資産」とは、企業が所有している物品や権利の総称で、現金、売掛金、在庫、土地、建物などが挙げられます。今回は、企業の税務や会計処理に役立つ、資産の種類や経費計上の基礎知識をご紹介します。
資産は大きく流動資産(Current Asset) と固定資産(Fixed/Long-Term Asset)に分類されます。
流動資産
流動性が高く、1年以内に現金化される予定のものを指します。以下が代表的なものです。
現金(Cash):手元の小口現金、銀行預金など。
売掛金(Accounts Receivable):商品・製品やサービスの対価が未受領で、比較的支払い期限の短いもの。
在庫(Inventory):商品(販売目的で仕入れたもの)、製品(自ら製造したもの)、仕掛品(製造中のもの)、原材料(製造目的で仕入れたもの)。
短期投資(Short-Term Investments):1年以内に手放す予定の投資。有価証券、オプション取引、通貨市場など。
前払費用(Prepaid Expenses):保険料のような、商品やサービスに対する前払金。
固定資産
固定資産は、長期投資(Long-Term Investment)、有形資産(Tangible Asset)、無形資産(Intangible Asset)に分類されます。
長期投資:有価証券、1年以上保有する予定の不動産や他事業への投資。
有形資産:建物、土地、事務備品、機械設備など。
無形資産:特許(Patent)、著作権(Copyright)、営業権(Goodwill)、商標(Trademark)など。
資本化(Capitalization)
購入した設備や備品はその価値によって貸借対照表(Balance Sheet)に載せるか損益計算書(Income Statement)に載せるかが決まり、貸借対照表に載せることを“資本化”といいます。
これらの設備や備品の運搬費用や設置費用も資本化されます。また、修理修繕をして固定資産の耐用年数が延びた場合、修理費用も資本化され、固定資産の価値に上乗せします。
減価償却
減価償却とは、固定資産を法律によって定められた耐用年数(使用可能期間)に分割して経費計上する方法で、均等に経費計上する定額法(Straight-Line Method)や、初期償却率が高くなる加速償却法(Accelerated Method)などがあります。
税法上、有形資産の耐用年数は事務備品が5~7年、居住賃貸物件は27.5年、オフィスビルは39年で、土地は減価償却できません。無形資産の場合、特許や著作権の耐用年数はそれぞれの有効期限と同じです。
評価勘定(Contra Asset)
資本化された固定資産は耐用年数に分けて減価償却し、減価償却累計額(Accumulated Depreciation/Amortization)と呼ばれる評価勘定によって、帳簿上で固定資産から減価償却分を差し引きます。
なお、1年以上使用した減価償却可能な固定資産を売却した場合、確定申告で申請しなければなりません。その額は、「売値-(資産購入額-減価償却累計額)」で計算され、利益が出た場合はキャピタルゲインとして低い税率が適用され、損失が出た場合は通常損失として通常利益やキャピタルゲインと相殺できます。
(2017年10月1日号掲載)
※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。