株式の売買にはいくつかの方式があり、購入方法にも違いがあります。その日米での違いを説明すると共に、売却益や配当金の税金の支払いについて説明します。
日米の市場の違い
日本の株式市場には値幅制限があり、「ストップ安」や「ストップ高」と呼ばれる値段に達すると、それ以上その銘柄の取引ができなくなります。加えて、100株や1000株から購入可能といった制限が設けられています。
一方、アメリカの株式市場では、より流動的な売買を推奨しているため値幅制限が設けられていない他、最小単位の1株から購入可能です。
アメリカでの売買
アメリカ市場には「オークション方式」と「マーケットメイク方式」があります。世界一上場審査が厳しいと言われる「ニューヨーク証券取引所(NYSE)」や「東京証券取引所」は前者を、世界初の電子株式市場である「ナスダック(NASDAQ)」や「ジャスダック(JASDAQ)」は、後者を採用しています。
・オークション方式
市場に出た売り注文と買い注文の条件が合って初めて売買成立となります。よって、売り注文も買い注文も入っていないような銘柄は取引が成立しません。
・マーケットメイク方式
全ての取引はマーケットメーカー(証券会社)を通して行われます。取引数の少ない銘柄でも、常にマーケットメーカーを通して売買可能なので、市場の流動性が保たれています。
注文方法
・指値注文( Limit Orders) 売買の値段と株数を指定する方法です。希望価格で売買ができるという利点がある一方で、値段と売り手や買い手が希望する値段に乖かい離りがあると取引が成立しないという難点があります。
・成行注文( Market Orders) 値段を指定せず株数だけ指定する方法です。注文後すぐに購入可能という利点がある一方で、予想よりも高い値段になってしまうリスクがあります。
海外から日本市場で売買
証券会社に口座を開設して、株式取引をするのが一般的です。それには、日本の居住者で日本国内に住所がなければなりません。口座を開設してから、駐在などで海外居住者となった場合は、ほとんどの証券会社が口座を休眠させるか代理人を立てるかという方法以外認めていません。
日本からアメリカ市場で売買
反対に、日本の居住者はアメリカの証券会社に口座を開いて株式を売買することが可能です。アメリカ市場は規模が大きいのに加え、長期的に見ると上昇傾向にあるので、日本市場よりも安定した利益を見込めると言えるでしょう。
どこで税金を払うか
どこの国で取引をしようとも、株の取引は税法上の居住地で課税されるのが一般的です。しかし、日本国外からの日本の株式売買においては、日本側で源泉が必要となります。居住国以外から配当金を受け取る場合なども、10%の源泉が原則とされています。
アメリカでは、連邦税においては一定条件を満たした投資収入に対して、キャピタルゲイン税率と呼ばれる普通税率よりも低い税率が適用されます。カリフォルニア州税では、投資収入に対して優遇税率がないので普通税率を適用します。
(2015年9月16日号掲載)
※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。