扶養家族なら個人納税者番号(ITIN)が必要
本格的な確定申告の季節が到来しました。確定申告の収入は、大抵ソーシャルセキュリティー番号(SSN)と紐づけられていて、SSNのない非労働者や駐在員の家族などは、あまり縁が無いと思うかもしれません。しかし、扶養家族の手続きをするとなると、扶養家族のSSNが必要になる場面が出てきます。
そうは言っても、米国市民権のない方がSSNを取得できるケースは限られており、SSNを取得できない場合は、連邦の税務のみに利用できる個々の個人納税者番号(ITIN:Individual TaxpayerIdentification Number)を取得することで扶養家族の手続きを行うことができます。
ITINを取得する人とは
このITINは、上記のような市民権のない人に加え、米国滞在日数が一定日数を超え、居住者としてみなされる人、居住者でなくても米国の投資物件からの収入等で米国の納税・確定申告が必要な人も取得できます。それ以外にも、日米間の租税条約を利用して、一律に源泉徴収される税金の還付を求める人にも認められています。
ITINの取得方法
ITINを取得するには、「Form W-7」という専門書類に記入し、その年度の確定申告の書類を同封して当局に提出しなければなりません。毎年の確定申告と共に提出することも可能なので、申告書類の作成を会計事務所等に依頼している場合は、担当の方に相談することをお勧めします。
ITINの申告で注意しなければならないのは、Form W-7の提出には、記載した生年月日など個人情報の裏付け資料を同封しなければならないということ。パスポートや出生証明書、幼児の場合は、医療記録などのコピーがその証明として認められます。
ITIN取得の注意事項
しかし、2013年のIRSの規制強化によって、邦人がITINを取得する際、個人情報の写しは、発行機関による写しでなければならなくなりました。
それなのに、日本の外務省はパスポートの写しの発行を日本国内で行っていません。米国内の日本領事館なら、写しを発行してくれますが、日本国内ではパスポートの写しを手に入れる方法がないのです。このため、駐在員等が帰国後に確定申告のため、改めてITINを取得しようとすると、再渡米して在米日本国領事館に赴くか、在日米国領事館に問い合わせるか、パスポートの原本をIRSに送付するしか手段がなくなってしまいます。そのため、スムーズな取得には帰国前に在米日本国領事館でパスポートの写しの発行を行う事が重要です。
また、この2013年の規制強化により、ITINには有効期限が設けられることになりました。これまでは、一度ITINを取得すれば、一生利用できたのですが、今は最大で5年間しか同じ番号を利用できません。16年から、過去5年間一度も使われていないITINは逐次失効することになりました。
すでにITINを持っている方は、その取得年度をよく確認し、再取得に向けて必要な準備を行うことをお勧めします。
(2016年2月16日号掲載)