海外資産開示申告書の提出 │ Trump Accountとは? │ 外国からの贈与と遺産の申告方法 │ 日本の家族へ送金 │ 自宅を事業で使うときの経費処理 │ Form W-4 │ 税法上の居住者の判定 │ チップは非課税 │ デジタル資産の報告義務 │ 日本の収入の報告 │ 「Form 1040」2025年度の改定 │ IRSの小切手での還付廃止へ │
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海外資産開示申告書の提出
私は日本に銀行口座を持ってます。海外資産開示申告書(FBAR)の提出が必要になる可能性があると聞きました。詳しく教えてください。
(CA版2026年6月号掲載)
FBARとFATCA
もしあなたがアメリカ居住者で、アメリカ国外に年間を通じて総額1万ドルを超える金融資産を保有している場合、FBAR(海外資産開示申告書)の提出が必要です。金融資産には銀行口座、株式、投資信託などが含まれますが、不動産は対象外です。FBARはタックスリターンとは別に、FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)に毎年提出する義務があります。提出期限は原則としてタックスリターンと同じく対象年の翌年4月15日ですが、自動延長により10月15日まで申告可能です。
また、FATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:海外口座税務コンプライアンス法)に基づく申告義務もあります。FATCAでは、年間の総額が一定額を超える海外金融資産を保有する納税者は、「Form 8938」でタックスリターンと共に報告する必要があるとしています。FBARが口座情報を報告するのに対し、FATCAは金融資産の種類や所得情報も含めた詳細な報告が求められます。FATCAの提出期限は対象年の翌年4月15日ですが、申請を提出すれば10月15日まで提出期日を延ばせます。
未提出のペナルティー
FBARやFATCAの申告義務を知りながら未提出だったケースでは、過去に35万ドルもの罰金が科された事例があります。意図的に提出を怠った場合は民事罰や刑事罰にまで発展する可能性があり、非常に重大なリスクとなります。FBARの意図的未提出は、故意による税務違反として重く見られるため、決して軽視できません。
知らずに提出していなかった場合はStreamlined Proceduresという制度を利用できる可能性があります。これは、FBARの未提出が意図的でなかったことを証明し、過去の申告を正すための手続きです。この手続きが適用できる条件は以下の通りです。
①FBARの未提出が意図的でなかったことを証明できる。
②過去に遅れた申告や修正申告を行っていた場合、科された罰金を支払っている。
③納税者番号(ITIN)またはソーシャル・セキュリティーナンバー(SSN)を保有している。
Streamlined Proceduresでは、過去6年分のFBARと、必要に応じて過去3年分のタックスリターンの修正申告書の提出が求められます。アメリカ居住者の場合、過去6年間の年度末残高の最も高い年の総額に5%をかけた金額を罰金として連邦政府に支払う必要があります。
過去の申告を正す手続きは非常に複雑で専門的な知識を要します。適切に申告・手続きを進め、法的リスクを最小限に抑えるため、税務の専門家に相談することをおすすめします。
Trump Accountとは?
最近、ニュースなどでよく見聞きするTrump Accountって何ですか?
(CA版2026年6月号掲載)
2025~28年生まれの子どもを対象としたTrump Account制度が開始されています。対象となる子どもについてIRS(内国歳入庁)へ申請をすると、1000ドルの政府拠出金対象となる可能性があります。
IRSによると、すでに400万人以上が登録されているそうです。主な条件は、25~28年生まれ、米国市民、有効なソーシャル・セキュリティーナンバー(SSN)を保有などがあります。
タックスリターンの提出時に「Form 4547」を添付して申請を行いますが、別提出も可能とされています。
なお、Trump Accountは子どもが未成年の間、口座を管理するResponsible Partyの登録が必要です。通常は申請を行った保護者がResponsible Partyとなり、口座管理や投資先の選択などを行います。
対象となるお子様がいらっしゃる場合は、この制度を活用してみましょう。新しい制度のため、今後変更が出る可能性もありますが、資産形成として注目されている制度の一つです。
外国からの贈与と遺産の申告方法
日本の親から贈与を受けた場合、どのようにIRSに報告するのですか?
(CA版2026年5月号掲載)
「Form 3520」は「外国信託との取引や大口外国贈与を報告する年間申告書」です。非居住外国人からの贈与や相続、外国信託への財産や所有権の移転で使います。
提出対象者と提出期限
「Form 3520」の提出義務が生じるのは米市民またはグリーンカード保有者、税法上のアメリカ居住者と遺産執行人です。2025年のしきい値は、非居住外国人や外国遺産からは10万ドル超。外国法人やパートナーシップからは約2万116ドル超です。金額は毎年インフレ調整されます。同一人物や関連人からの複数贈与は合算し、5000ドル以下の受け取りは詳細不要ですが、しきい値計算には含みます。提出期限は受け取った年の翌年の4月15日です。
記入と提出方法
IRS(内国歳入庁)のウェブサイトから「Form 3520」をダウンロードし、名前や住所などの基本的情報を入力します。そして、贈与者の情報や贈与日、贈与された資産と金額などを明記列記します。電子提出はできず、書類は郵送でのみ受け付けられます。追跡付きCertified Mail推奨です。
「Form 3520」で最も多いミスは期限超過です。遅延の場合、贈与額の5%ずつが毎月積み上がり、最大25%(または1万ドル以上)のペナルティーとなります。罰金は重いですが、正当な理由を証明すれば免除されるケースもあります。複数贈与の合算忘れや関連人申告漏れは、自分で贈与者別の年間合計表や親族図を作成し、見逃しを防止しましょう。
日本の家族へ送金
日本の家族にアメリカから送金したいです。気を付ける点はありますか。
(CA版2026年5月号掲載)
アメリカから日本へ個人間でお金を送る際、気を付けたいのが贈与税です。日米では贈与税のルールが大きく異なり、知らずに送金すると二重課税が生じる可能性があります。
アメリカの贈与税
アメリカの贈与税のポイントは「贈る側」に申告義務がある点です。年間1人当たり1万9000ドル(2025年)までなら1人の受取人に対して非課税で贈与できます。この非課税枠は贈与者と受贈者の組み合わせごとに適用され、例えば夫婦がそれぞれ子どもに贈与すれば枠が広がります。ただし、この1万9000ドルには現金だけでなく食事やプレゼントなども含まれるため、余裕を持った金額設定が賢明です。もし年間非課税枠を超えて贈与した場合は、贈与者がIRSへ報告する必要があります。
しかし、アメリカには非常に高額な「生涯非課税枠」があり、超過分はこの枠から差し引かれる仕組みのため、多くの場合は報告のみで納税には至りません。
日本の贈与税
一方、日本のルールは正反対で、「受け取る側」が納税義務を負います。1年間(1月1日〜12月31日)に、1人の個人が受け取った贈与の合計額が110万円を超えた場合、その超えた部分に対して贈与税が課されます。「受け取った人」が基準であるため、複数人から少しずつ贈与を受けたとしても、年間の合計額が110万円を超えれば申告と納税の対象です。
二重課税の避け方
日米のルールの違いから生じる二重課税を避ける最もシンプルで確実な方法は、一人の受取人への年間の送金合計額を、為替レートを考慮した上で、日米双方の非課税枠(1万9000ドルと110万円)内に収めることです。もし、より高額な資金を送りたい場合は、複数年に分けて送金したり、受取人を複数に分けたりといった計画的な対策が有効です。
日米間の個人贈与は税制の違いから二重課税のリスクを伴いますが、両国の非課税枠を正しく理解し、計画的に送金すれば税負担なく資金を送ることが可能です。弊社では税務の相談も承っております。ご不明点がありましたらご連絡ください。
自宅を事業で使うときの経費処理
個人事業主です。自宅をオフィスとして使う場合の経費精算方法を教えてください。
(CA版2026年4月号掲載)
ホームオフィス控除を受けるには、内国歳入庁(IRS)のルールを守る必要があります。対象スペースは独占的かつ定期的にビジネスに使用されなければなりません。「独占的」とは、家族のくつろぎスペースなど私的な用途に一切使わないことです。例えば書斎をオフィスにする場合、家族がそこで個人的な活動をしていない証明(写真や間取り図)が必要です。「定期的」とは、書類作成や顧客対応など継続的に業務に使うことを指します。
簡易法と実費法
ホームオフィス控除の計算には簡易法(Simplified option)と実費法(Regular method)があります。簡易法では、オフィス面積(最大300平方フィート)に1平方フィートあたり5ドルを掛け、最大1500ドルの控除を算出します。例えば200平方フィートなら1000ドル(200×5ドル)です。面積と独占的利用の証明だけでよく、光熱費や家賃の書類は不要です。
実費法ではオフィス面積を住宅面積で割り、ビジネスでの利用割合を計算します。例えば2000平方フィートの家に200平方フィートのオフィスなら10%です。この割合を、住宅ローン利息、家賃、光熱費、保険、修繕費に適用します。住宅所有者は減価償却も控除可能ですが、独占的利用の証明が必要です。
簡易法と実費法の比較
簡易法と実費法はいくつかの点で異なります。
計算方法:簡易法は固定レート、実費法は実際の費用と割合で計算します。
記録の負担:簡易法は面積と利用証明のみ。実費法は詳細な費用と減価償却が必要です。
控除額:簡易法は上限1500ドル。実費法は上限がありません。
減価償却:簡易法は不要で売却時の税務が簡単です。実費法は必要で税務が複雑になります。
監査リスク:簡易法は低リスク、実費法は証明の複雑さで高リスクです。
どちらを選択するか
どちらが最適かは以下から判断します。
広さ:300平方フィート未満をオフィスとして利用する場合、簡易法が簡単です。広いオフィスや非常に高額な家賃や固定資産税などがかかる場合は、実費法が有利です。ただし、ダイニングテーブルを仕事と共有する場合は、独占性の証明が難しく、控除が認められないリスクがあります。
住宅関連費用:住宅ローンや光熱費が高い場合、実費法で大きな控除が可能です(例:年間2万ドルの費用で利用割合20%なら4000ドル)。
記録管理:詳細な記録管理が難しい場合は、簡易法が適しています。
売却時の影響:実費法の減価償却は、住宅売却時の税務を複雑にします。簡易法はシンプルです。
Form W-4
新しくなった「Form W-4」について教えてください。
(CA版2026年4月号掲載)
給与から源泉徴収額を計算する「Form W-4」が改正されました。雇用開始時、雇用主が従業員に記入してもらうフォームですが、2025年の申告結果を受けて源泉徴収額の調整が必要となる方や、26年から家族構成や雇用条件に変化がある方は早めに自主的な見直しをおすすめします。
新しい様式では、控除や扶養情報の反映方法が改善されました。子ども税額控除は1人あたり2200ドルに引き上げられます。控除欄も拡充され、チップ収入や残業手当、自動車ローン利息、65歳以上の個人控除などをより正確に反映できるようになります。これにより源泉徴収の精度が高まり、年末調整や確定申告での過不足が軽減される見込みです。
新しいフォームはIRSのウェブサイトから入手でき、勤務先を通じて提出します。源泉が多過ぎれば毎月の手取りが減り、少な過ぎれば申告時にまとまった納税が必要になるので、正確な設定が重要です。毎月の手取りと申告時の税負担のバランスを整え、無理のない家計運営につなげましょう。
税法上の居住者の判定
確定申告での、居住者と非居住者の判定基準や違いを教えてください。
(CA版2026年3月号掲載)
税法上、居住者(Resident)か非居住者(Nonresident)かを分けることは大切です。この判定はIRS(内国歳入庁)が定めたルールに基づいて行われます。居住者は、アメリカだけでなく世界中の収入全てが課税対象になります。非居住者は、アメリカで得た収入のみに課税され、日本や他の国での収入は課税されません。
183日が分かれ目
グリーンカード保持者は、自動的に税法上の居住者です。仮にアメリカに1日しか滞在していなくても、グリーンカードを持っていればアメリカ居住者として世界中の収入を報告する必要があります。
グリーンカードを持っていない人は、通常、「183日ルール」で居住者かどうかを判定します。その年に183日以上アメリカに滞在していれば居住者、183日より少なければ非居住者です。ただし、183日より少なく滞在していても、その前年とその前前年の日数によっては居住者になるケースもあります。仮に、アメリカで150日、日本で100日働いても、アメリカの居住日数が183日を超えれば居住者として全世界の収入を申告する必要があります。
実務上は日数の記録を正確につけることが重要で、パスポートの「I-94」やフライト情報が証拠になります。居住者と非居住者では申告書の種類や利用できる控除が異なり、どちらのステータスになるかで税率や納税額の負担が大きく変わります。また、183日を超えて滞在していても「生活の拠点」が外国にあると証明できれば非居住者になる場合があります。
183日ルールの例外
183日ルールには、いくつかの例外があります。J・Qビザで滞在している教師・研修生や、F・J・M・Qビザで滞在している学生は、渡米年から一定期間は183日ルールの対象外です。A・Gビザで滞在している外国政府関係者も183日ルールの対象外です。ただし、A-3や G-5のビザは対象外で、この例外は適用されません。
また、カナダかメキシコ在住で通勤のためにアメリカへ出入りした、米国外への移動途中で滞在が24時間未満だった、外国船舶の乗組員としてアメリカに滞在した、アメリカ滞在中に発症した病気やけがで出国できなかった日は滞在日数に含めません。
報告の方法と課税対象
居住者は「Form 1040」で世界中の収入を報告します。各種税額控除(Tax Credit)や標準控除(Standard Deduction)を使える利点はありますが、手続き業務の負担が大きくなります。非居住者は「Form 1040-NR」でアメリカの収入だけを報告します。控除はあまり使えませんが、租税条約で有利になることもあります。
滞在日数の間違いは申告内容に影響が出るので、正しく管理しましょう。
チップは非課税
チップや残業代が非課税になると聞きました。詳しく教えてください。
(CA版2026年3月号掲載)
2025年から28年にかけ、チップ収入ならびに残業代の一部を控除できる新制度が導入されました。チップは年間最大2万5000ドルまで控除が認められ、所得水準に応じて段階的に減少します。控除額の報告と計算方法はいくつかあり、「Form W-2」のBox7か14、「Form 4070」、「Form 4137」などを利用できます。個人事業主は、「Form 1099」に内訳が記載されていない場合でも、POSレポートや日次記録などの裏付け資料があれば控除計算が可能です。
一方、残業代の控除は「時間外割増部分」が対象で、年間最大1万2500ドル(夫婦合算は2万5000ドル)まで控除できます。給与明細に割増賃金が区分されていなくても、IRSは簡易計算を認めています。また、消防士、公務員、医療従事者など一部の業種には特別なルール設定があります。
25年は「W-2」や「Form 1099」に特別な表示がないため、納税者自身が必要な情報を整理し、控除額を正しく算定する必要があるので注意してください。
デジタル資産の報告義務
デジタル資産を所有している場合、IRSに報告する必要がありますか?
(CA版2026年2月号掲載)
暗号資産(Cryptocurrency)、ステーブルコイン、NFTやメタバース資産などのデジタル資産はアメリカでは資本的資産として課税対象となり、個人も法人も取引で得た利益はキャピタルゲイン所得として報告が必要です。
新しいフォーム
IRS(内国歳入庁)は「Form 1099-DA(Digital Asset Proceeds From Broker Transactions)」の指針について2025年に発表しました。このフォームはブローカーが顧客のデジタル資産取引に関する情報をIRSへ報告するもので、25年中に行われた取引内容を元に、26年2月17日までに顧客(納税者)に提供する予定です。
「Form 1099-DA」は、通常の証券報告書と異なり、取得価格(Cost Basis)が含まれない場合が多い点に注意が必要です。
また、「Form 1099-DA」は主に個人納税者向けに発行されますが、法人であっても、取引形態や契約内容によっては対象となる場合があります。
自身の管理が重要
ブローカー側にIRSへの報告の義務はありません。しかし、納税者自身の申告義務がなくなるわけではありません。つまり、法人も含め、デジタル資産の売却や交換で収益が生じた場合、帳簿管理と取得価格の記録が不可欠です。そのため、帳簿上の裏付けや証しょうひょう憑の保管、取引明細の記録は引き続き必要です。複数の取引所やウォレットを利用している方は、早めにデータを整理し、取引履歴や正確な価格を一元的に把握できる体制を整えておきましょう。
日本の収入の報告
日本の年金や生命保険金の受け取りはIRSに申告すべきですか?
(CA版2026年2月号掲載)
日本の年金や生命保険金を受け取ったら、IRSに報告しなければならないのか?は、なかなか分かりにくいテーマです。今回は申告方法、税金の計算、二重課税の回避という三つのポイントから整理してみましょう。
所得の報告
アメリカでは、海外で得た収入や資産もIRSに報告する義務があります。日本での所得も報告対象になります。日本の年金や生命保険から収入を得てアメリカで受け取る人は、タックスリターンで、「Form 1040」に記載する必要があります。また、日本の銀行口座や生命保険の貯蓄が一定額を超える場合は、FBARやFATCAという追加報告書を出すことも求められます。知らずに報告しないと、思わぬペナルティーを受ける可能性もあるので注意が必要です。
税金の計算
日本の年金や生命保険による収入は、必ずしも全額が課税対象になるわけではありません。元本は自分のお金が戻ってくるだけなので課税されません。課税対象は年金や生命保険で追加に増えた額だけです。元本ではなく、利益部分だけが所得として扱われます。
二重課税の回避
二重課税を回避する上で最優先されるのは日米租税条約(Japan-U.S. Tax Treaty)です。租税条約に基づき、対象となる所得はどちらの国が課税権を持つのか、またはどちらが優先かを判断します。次に、条約の規定に従って課税関係を整理します。条約上、日本で課税されるべき所得は日本で税金を支払い、アメリカ側では課税されないか、金額が調整されます。
課税権は、まず条約によって決まるという点が重要です。その上で、条約の適用後もなお日米双方で課税が生じ、二重課税となる部分が残る場合には、調整手段としてFTC(Foreign TaxCredit/外国税控除)を利用します。FTCは課税権を決める制度ではなく、条約や国内法の結果として生じる二重課税を解消・軽減するための制度です。なお、条約の適用を主張してアメリカでの課税を免除または軽減する際には、場合によって「Form 8833」の提出が求められますが、全ての場合で必須というわけではありません。
「Form 1040」2025年度の改定
2025年度の個人の確定申告での変更点を教えてください。
(CA版2026年1月号掲載)
IRS(内国歳入庁)は、2025年課税年度より「Form 1040」(個人の所得税申告書)を大幅に改訂しました。主な変更点をご紹介します。
状況をより正確に報告
まず、納税者の状況をより正確に把握するためのチェック項目が増えました。例えば、納税者が戦闘地域に滞在しているか、申告が自動延長の規定(Treasury Regulations §301.9100-2)に基づいて行われているか、または納税者や配偶者が年の半分以上をアメリカ国内に居住していたかどうかなどを確認する欄が新設されています。さらに、納税者または配偶者が亡くなっている場合にそれを明示する項目も設けられました。
扶養家族に関しても、より詳細に把握するための欄が追加されています。扶養家族が納税者と半年以上同居していたか、アメリカ国内に半年以上居住していたか、フルタイムの学生であるか、あるいは恒久的な障害を有しているかなどをチェックする形式です。既存の子ども税額控除やその他の扶養家族控除に関する確認欄も引き続き設けられています。これにより、IRSが扶養家族の要件をより明確に判定できるようになります。
年金とIRA分配で新項目
また、年金やIRAの分配に関しても新しい確認項目が追加されました。分配がロールオーバーであるか、慈善寄付であるか、または特定の年金給付に該当するかなどに加え、申告者が聖職者であり「Schedule SE」を提出しているかどうか、そしてIRA控除や追加子ども税額控除をあえて申請しない選択をしているか否かを示す欄が設けられています。これらの情報は、税務当局が申告内容を自動判定する際の重要な判断材料となります。
さらに、社会保障給付に関して、「Line 6d」が新設されました。ここでは、納税者が夫婦別申告であり、年間を通じて配偶者と別居していたかどうかを確認する項目が追加されています。この項目は、社会保障給付の課税対象額に直接関係する重要なポイントです。夫婦別申告で年間を通じて別居していた場合、課税基準額は0ドルとなり、最大で85%の給付金が課税対象となる場合があります。
その他、フォーム内の構成も一部変更されました。24年版ではページ1の上部にあった「配偶者が別申告で項目別控除を行っているか」「納税者が二重ステータス(Dual-Status Alien)か」を確認する欄が、25年版ではページ2に移動し、それぞれ独立したチェックボックスに分けられています。また、新設の「Schedule 1-A」で集計されるOBBBA法関連の控除に対応する行も追加されています。
今回の改訂は、申告内容をより早く正確に処理するためのステップといえます。従来のフォームに慣れている方は、早めに新しい様式を確認しておくと安心です。
IRSの小切手での還付廃止へ
小切手での還付金の受け取りができなくなるというのは本当ですか?
(CA版2026年1月号掲載)
IRSは、個人納税者への紙の税還付小切手を段階的に廃止し、電子的な還付方法へ移行すると発表しました。25年9月30日以降、還付金は原則として銀行口座への直接入金(ダイレクトデポジット)またはデビットカード・デジタルウォレットなどの電子手段で支払われる予定です。
IRSは、紙の小切手は紛失・盗難・改ざん・郵送遅延のリスクが高く、処理コストも大きいため、電子化によってより安全かつ迅速な還付を実現できると説明しています。行政効率化を目的とした大統領令(Executive Order 14247)に基づき、段階的な移行が進められます。
今後、紙の小切手による還付を希望しても対応できない場合があるため、銀行口座をお持ちでない方は早めに口座開設をご検討ください。すでに口座をお持ちの方は、申告時に口座番号とルーティング番号を正確に入力することが大切です。電子還付の準備を早めに整えておきましょう。
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石上洋◎米国公認会計士
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校を卒業後、大手監査法人、現地会計事務所パートナーを経て石上・石上越智会計事務所を設立。税務をメインに事業を展開。 アメリカでの会社設立・確定申告・タックスリターンは「石上、石上&越智公認会計士事務所」へ 米国公認会計士・石上洋さんのインタビュー |
※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。


