コロナの影響で解雇に! 米国内で転職できますか?

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Q.私は、日系の流通サービスの会社で「E-1」ビザにて勤めていましたが、コロナパンデミックの影響で流通量が激減してしまいました。それでも会社は頑張って私の雇用を継続してくれていましたが、先月とうとう解雇を余儀なくされてしまいました。日本に帰ることを考えていましたが、そんな矢先、知り合いを通して他の会社への再就職を紹介がありました。子どももいるので、できればコロナの状況の中、日本に面接に行くことなく、アメリカで転職手続きができればと考えています。何か良いアドバイスをいただけますでしょうか?

A.あなたが米国内で他の会社に転職できるかどうかは、転職先の会社が「E」ビザの条件を満たしているかによります。「E」ビザの条件を満たしていれば、アメリカに滞在した状態で転職が可能になります。転職先の会社が「E」ビザの中でも、①「E-1」ビザの条件のみを満たしている場合、②「E-2」ビザの条件のみを満たしている場合、また、③その両方の条件を満たしている場合で手続き方法が異なりますので、以下に説明します。

「E-1」ビザの条件を満たせば米国内で完結できる

まず、「E-1」ビザは、日米通商条約に基づき、貿易業務に関わる会社の管理職、専門職のためのビザです。「E-1」ビザの条件は、スポンサーとなる会社が日本国籍を持っていて(株式の50%以上を、米国市民権もグリーンカードも保持していない日本人、あるいは日本にある会社が所有している)、日本との間で相当量の貿易が行われていることが主な条件となります。「E-2」ビザも、日米通商条約に基づいており、日本国籍を持つ人か日本にある会社が、会社設立のために米国に投資を行う、もしくは米国に現存する会社に投資を行う場合、その管理職として業務を執り行う投資家、あるいは従業員(管理職・専門職)に与えられるビザです。「E-1」と「E-2」の違いを端的に言うと、「E-1」ビザの場合は、当該会社が日米間の貿易により日米通商条約に貢献しているのに対し、「E-2」ビザの場合は、米国への投資により日米通商条約に貢献しているという点です。①の転職先の会社が「E-1」の条件のみを満たしている(日米間の相当量の貿易は行っているが、十分な投資は行っていない)場合、および③の「E-1」ビザ、「E-2」ビザ両方の条件を満たしている(日米間の相当量の貿易を行っていて、なおかつ十分な投資も行っている)場合、「E-1」ビザの雇用主変更の申請を移民局に行うことにより、「E-1」ビザのスポンサーを、アメリカに滞在しながら新しい会社に移行することができます。「I-94」が有効である限り、あなたが前の会社を辞めた日から60日以内ならば、この申請が可能です。申請期間は約3カ月から、長い場合は、コロナパンデミックの影響もあり、6カ月を超えることもあります。認可が下りるまでの期間は、アメリカ国内に合法的に滞在することはできますが、就労はできません。申請期間に関しては、「Premium Processing」を利用し、通常の申請料金(460ドル)に2500ドルを追加で支払うことにより、申請期間を15日に縮めることができます。ただし、(2500ドルは比較的高額であることから)「Premium Processing」は申請途中で選択することもできますので、前述の手続き期間内に様子を見計らって、「Premium Processing」に切り替えることも可能です。この申請が認可された後は、あなたの前の会社のビザの有効期限内であれば、アメリカからの出入国も可能になります。あなたの配偶者と子どもは、この切り替え申請を行う必要はありませんが、「I-94」の有効期限に注意し、必要に応じて延長申請を行う必要があります。

「E-2」ビザへの切り替えは大使館・領事館面接が必要

一方②の、転職先の会社が「E-2」ビザの条件のみを満たしている(十分な投資は行っているが、相当量の日米間の貿易は行っていない)場合、雇用主の変更、および「E-1」ビザステータスから「E-2」ビザステータスへの変更申請を同時に行うことになります。申請期間などは①、③と同じですが、大きく違うのは、あなたの前の会社のビザの有効期限内であっても、(パスポートに貼られているビザのタイプとステータスのタイプが一致していないため)アメリカからの出入国ができないこと、またあなたの配偶者と子どももこの切り替え申請をあなたと同時に行う必要があることです。アメリカからの出入国を行うには、本申請の認可後、パンデミック終息の頃合いを見て、日本のアメリカ大使館にて面接を受け、「E-2」ビザの発行を受ける必要があります。あなたの場合、転職先の会社がいずれの条件を満たしているかを調べ、前述の申請期間内(前の会社を辞めた日から60日以内)に速やかに申請を行うことが重要と言えます。

※このページは「2021年4月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。情報は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
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