- 永住権から市民権に切り替え。 申請のプロセスを教えてください
- 米国の市民権取得を計画中、その申請方法は?
- 米国での永住権を取得後市民権取得のプロセスとは
- 米国外に長期滞在した後に米国市民権を取得するには?
- 米国市民権申請の資格・方法とは?
- 米国市民権を取得するための、必要条件と取得プロセス
Q:私は、アメリカ人の夫を通してグリーンカードを取得しました。また、2019年の冬が2年の期限付きグリーンカードの有効期限で、10年間有効のグリーンカードの申請を行いましたが、コロナパンデミックのため、遅れに遅れてつい先日、10年のグリーンカードがやっと送られてきました。今後政治がどう変わっていくかも心配なのでアメリカ市民権の申請を考えているのですが、申請方法について詳しく教えてください。
A:一般的に、アメリカ市民権を申請する資格としてはまず、永住権を取得してから5年を経過している必要がありますが、米国市民と結婚した場合は3年でよいとされています。
アメリカ市民権申請は、3年間または5年間の期間満了の3カ月前から申請を開始することができますので、配偶者がアメリカ市民でない場合は、4年9カ月で申請が可能になります。あなたの場合は、永住権を取得してから2年9カ月を経過していれば、アメリカ市民権申請の開始が可能です。ただし、永住権取得から3年ないし5年の期間が経過するまで、宣誓式には参加することができません。ただ、実際には現在、全ての手続き完了まで約1年を要しているので、現在この3カ月の期間が経過していないために宣誓式の参加を延期されるということはありません。また、この規定の3年ないし5年のうち、合計してその半分(3年の場合は18カ月)以上は米国に滞在していなければなりません。加えて、この規定期間の間は米国に継続的に居住する必要があり、もし米国を長期間不在にすると市民権の取得ができない場合があります。
詳しく説明しますと、①6カ月未満の不在は米国に継続的に居住していると見なされます。②6カ月以上1年未満の不在の場合は、米国における継続的な居住を放棄したこと見なされ、市民権の取得に影響を及ぼす可能性があります。この場合は、申請者が米国における継続的な居住を放棄していないという客観的な証拠を提出することにより、市民権申請が認められる余地がありますが、この立証責任は申請者にあります。特に最近では、審査が非常に厳しくなり、このカテゴリーに入るケースの場合、申請書に説明や証拠書類が添付されていない場合は、申請書自体が審査に入る前に送り返される場合もあります。③1年以上不在の場合は、市民権を申請する条件としての継続的な米国での居住条件を満たさないと見なされます。ただし、出国前に、「N-470」という申請書を移民局に提出することで、海外に居住している期間も米国に滞在しているのと同じように換算されます。これは、「Preserve Residence」と呼ばれる申請方法で、米国軍隊に属している、米国政府機関、米国の会社からの派遣、あるいは宗教目的による場合などがあたります。ここで言う米国の会社は、会社の50%以上が米国市民に所有されている会社を指します。
これらの条件を満たしている場合、「N-400」という申請書類に写真(2枚)、パスポート、グリーンカード(表裏)のコピーに申請料765ドルを添え、市民権申請ができます。市民権申請後、約2カ月で指紋採取の通知が来ます。指紋採取の後は、約6〜10カ月程度でインタビューになります。ここでは、前述のアメリカ滞在期間の確認がなされるとともに、アメリカの政治や歴史に関するテストを受けることになります。このテストは、6割以上正解すると合格です。
市民権の面接の際の問題が変更。事前の勉強がより重要に
ここで注目されるのが、2020年12月1日以降に市民権を申請した場合は、面接の際に出題される問題が新しくなったことです。今まで10問出題されていたものが、20問出題されることになり、問題の内容も常識的に誰でも知っているような内容が減り、アメリカで小中高の義務教育等を受けていないほとんどの人にとっては、事前準備をしておかないとパスするのが困難と言える内容に変わっています。ただ、問題と解答は公開されているため、事前に勉強(問題と答えを暗記)をしておくことができるので、パスするか否かは、勉強次第ということになります。
あなたの場合、事前の勉強に加えて、特に気を付けた方がよいことは、婚姻関係が継続されていることを証明できる書類を多く準備しておくということです。例えば、婚姻後のJoint Tax Return、保険、共同名義の車や不動産、あるいは賃貸借契約書、写真など、夫婦生活が継続されていることを証明する書類を十分に準備してインタビューの臨まれることをお勧めします。
最後に、インタビュー後、約1〜2カ月で宣誓式になります。ここでは宣誓式を行い、帰りに帰化証明書を受け取ることになります。アメリカのパスポートの申請もこの場で行えます。ただしパンデミックの間は、面接の終わりに個々に宣誓を行うことで宣誓式を省略するのが一般的になっています。
(2021年1月16日号掲載)
Q:グリーンカードを取得し5年が経ちます。米国市民権の取得を考えているのですが、その申請方法について詳しく教えてください。
A:アメリカ市民権の申請資格として、まず永住権を取得してから5年を経過(米国市民と結婚した場合は3年)している必要があります。期間満了の3カ月前から申請を開始することができるので、永住権を取得してから4年9カ月(米国市民と結婚した場合は2年9カ月)を経過していれば申請の開始が可能です。また、この規定期間(5年ないし3年)のうち、合計してその半分(5年の場合は30カ月)以上は米国に滞在していなければならないため、もし米国を長期間不在にすると、市民権が取得できない場合があります。
詳しく説明しますと、①6カ月未満の不在は、米国に継続的に居住しているとみなされ、②6カ月以上1年未満の不在の場合は、米国における継続的な居住を放棄したとみなされ、市民権の取得に影響を及ぼす可能性があります。②の場合は、申請者が米国で継続的に居住することを放棄していないという客観的な証拠を提出することで申請が認められる余地があります。しかしこの立証責任は申請者にあるため、特に最近は審査が非常に厳しくなりました。このカテゴリーに入るケースの場合、申請書に説明や証拠書類が添付されていないと、申請書自体が審査に入る前に送り返される傾向にあります。
③1年以上米国を不在にした場合は、市民権を申請する条件としての継続的な米国での居住条件を満たさないとみなされます。ただし、出国前にN-470という申請書を移民局に提出しておくことにより、海外に居住している期間も米国に滞在しているのと同じように換算されます。これは、Preserve Residenceと呼ばれる申請方法で、米軍に属していたり、米国政府機関、あるいは米国の会社からの派遣、そのほか宗教目的による場合などがこれに当たります。ここで言う米国の会社とは、会社の50%以上が米国市民によって所有されている会社のことを指します。N-470を提出するには、提出前の1年間は継続して米国に滞在している必要があります。宗教目的の場合に限っては、帰国後に提出することもできます。
必要書類と申請料金の内訳、犯罪の有無もポイントに
上記の条件を満たしている場合、N-400という申請書類に写真(2枚)、パスポートとグリーンカード(表裏)のコピー、そして申請料の680ドルを添えて送付し申請すれば、約6週間で指紋採取の通知が来ます。ここで、過去に犯罪歴がないか確認されますが、問題となるのは軽犯罪以上なので、スピード違反などの軽犯罪に達していないものは問題になりません。
軽犯罪の中で、却下の対象(その可能性がある)となるのは、ドメスティック・バイオレンスと道徳に反する犯罪(Crime Involving Moral Turpitude)の2つです。ドメスティック・バイオレンスとは、夫婦(離婚後の前夫・妻を含む)間、あるいは恋人間の暴力行為を言います。また道徳に反する犯罪には、麻薬に関する犯罪(Controlled Substances)、詐欺(Fraud)、窃盗(Theft)、および暴力に関する犯罪(Crime of Violence)などが含まれます。従って、飲酒運転等の犯罪歴があったとしても、裁判所から下された条件を満たしていれば、それを証明することにより、ほとんどの場合市民権を取得できます。この証明には、裁判所から発行されるDocket Reportsなどが有効です。ただし、執行猶予期間(通常3年)内だと、期間が終了するまで認可を延期される可能性があります。また、仮にドメスティック・バイオレンスや道徳に反する犯罪を犯していても認可される可能性はあるので、そのような場合は、専門の弁護士への相談をお勧めします。
面接とテストありテストは6割以上正解で合格
指紋採取後、約3、4カ月で面接になります。ここでは、前述のアメリカ滞在期間の確認と共に、アメリカの政治や歴史に関するテストを受けます。このテストは、口頭と筆記のどちらかで行われ、6割以上正解すれば合格です。出題される問題はほとんど決まっているので、事前に準備ができます。移民局のサイトにある例題100問に加えて、アメリカの大統領、副大統領、カリフォルニア州の知事、カリフォルニア州の上院議員2人の名前がよく出題されます。また、「日本とアメリカが戦争した場合どちらを守るか?」といった問題が出題されることもあります。50歳以上でグリーンカードを取得して20年以上になる場合、あるいは55歳以上でグリーンカードを取得して15年以上になる人は、通訳の同伴が可能です。面接後、約1、2カ月で宣誓式が行なわれ、帰化証明書を受け取ることになります。
(2013年7月1日号掲載)
米国での永住権を取得後、市民権取得のプロセスとは
Q:私は、6年前に仕事を通して米国での永住権を取得しました。現在、日本人と結婚を考えています。永住権申請には2~3年が必要と聞きましたが、彼女は現在日本に住んでいますので、このままでは何年もの間、離れ離れの生活となってしまいます。米市民との結婚であれば結婚相手に永住権を取ってあげやすいと聞いたので、市民権取得を考えています。申請のプロセスについて、教えてください。
A:米国市民権申請の資格としては、まず永住権取得から5年(米国市民と結婚した場合は3年)以上経過している必要があります。期間満了の3カ月前から申請を開始することができますので、永住権を取得してから4年9カ月(同2年9カ月)経過していれば、申請開始が可能です。なお、同期間のうち通算してその半分以上(5年の場合は30カ月)米国内に滞在していなければなりません。また、申請3カ月前にはアメリカ国内に滞在する必要があります。
さらに、米国に継続的に居住する必要があり、長期間(例えば6カ月以上)不在にすると、市民権の取得ができない場合があります。通常、不在期間が6カ月以上1年未満の場合は、継続的な居住を放棄したと見なされ、市民権取得に影響を及ぼすおそれがあります。ですから、過去5年間のうち2年6カ月以上米国に滞在していても、連続して6カ月以上米国を離れていたことがあると、取得できない可能性が高いと言えます。
この場合、申請者が米国における継続的な居住を放棄していないという客観的な証拠を提出することで、申請が可能になる場合があります。この証拠を提示する責任は、申請者側にあります。審査が厳しくなっているため、このケースに該当する場合、申請書に十分な説明や証拠書類が添付されていないと、審査前に申請書が送り返されることもあります。
市民権取得の申請に必要な条件
市民権取得の申請をするためには、次の条件を満たす必要があります。
① 18歳以上であること。
②居住者として所得税を申告し、その支払いを行っていること。
③過去の結婚で生まれた子供と別居している場合、養育費支払いの証明を提出。取り消し小切手、所得税払い戻し、元配偶者からの証明も必要。
④道徳に反する犯罪を起こしていないこと。過去5年以内に逮捕歴があったり、過去に重罪で逮捕されたことがある場合、その最終処分の供述書を裁判所から取り寄せる。さらに、更正しているという供述書が必要な場合もある。
⑤ 18歳から31歳までの間に永住権を取得した男性の場合は、面接時に18歳から26歳までの間にアメリカの義務兵役に登録していた証明が必要となることもある。
なお、DV(家庭内暴力)や道徳に反する犯罪歴があっても、認可される可能性はあります。飲酒運転などの犯罪歴も、裁判所から下された条件を満たしたことを証明すれば、ほとんどの場合は取得できます。この証明には、裁判所から発行される「Docket Reports」などが有効です。ただし、執行猶予期間内の場合、期間終了まで再申請を待たされる可能性があります。
市民権取得のためのインタビューとテスト内容
市民権取得の申請プロセスは、書類「N-400」を記入して移民局に提出し、指紋採取を行った後、 インタビューと筆記テスト(口述試験の場合もあり)を受けます。インタビューでは会話能力が測られ、ビザ関連資料について質問されるほか、筆記テストで英語の読み書き能力が測られる場合もあります。
また、米国の歴史、政治に関する基礎知識が試されるテストも行われます。難易度はアメリカの小学4年生程度です。口述か筆記のどちらかで行われ、通常6割以上正解で合格。出題問題は、ほとんど決まっているので、事前にしっかりと勉強しておくことが大事です。
なお、インタビューの際に通訳を付けられますが、以下の条件が必要です。
●身体の障害を証明できる
●50歳以上で、合法的な永住権保持者として20年以上、米国内に居住
●55歳以上で、合法的な永住権保持者として15年以上、米国内に居住
合否はその場で知らされ、合格者には宣誓式の通知が郵送されます。通常はインタビュー後、1~2カ月で宣誓式となります。指定日に指定された会場で行われる宣誓式に出席します。会場では、アメリカの国家に関するビデオを観た後、宣誓式を行い、帰りに帰化証明書が配布されて米国市民となります。 申請料は、指紋押印の85ドルを含めて680ドルです。市民権取得の手続きには、現在4~6カ月を要しています。
(2012年12月16日号掲載)
Q:私はグリーンカードを保持しており、アメリカに10年滞在した後、日本の会社から仕事のオファーを受け、日本に2年滞在しました。先月、アメリカに戻り、今後はアメリカでずっと暮らす予定なので、市民権の申請をしようと思います。私は、申請を行うことができますか?ちなみに、「Re-entry Permit」は取得しています。
A:あなたの場合、日本での滞在期間中に、アメリカを訪れたかどうかが問題となります。
市民権を申請する資格として、まず、永住権取得後4年9カ月が経過(米国市民と結婚した場合は2年9カ月)している必要があります。また、申請前の過去5年間に、合計してその半分以上は米国に滞在していなければなりません。米国市民と結婚している場合は、2年半ですが、市民権取得の時まで婚姻を維持している必要があります。また、この期間中は、米国に継続的に居住する必要があり、長期間不在にすると、取得できない場合があります。
①連続して6カ月未満の不在の場合
米国に継続的に居住しているとみなされます。
②連続して6カ月以上1年未満の不在の場合
米国における継続的な居住を放棄したとみなされ、市民権の取得に影響を及ぼす可能性があります。申請者が米国における継続的な居住を放棄していないという客観的な証拠を提出することにより、申請が認められる余地があります。この立証責任は、申請者にあり
ます。特に最近、審査が非常に厳しくなり、このケースの場合、ほとんど認められていないのが現状です。
③連続して1年以上不在の場合
市民権を申請する条件としての継続的な米国での居住条件を満たさないとみなされます。
長期国外滞在の場合にはPreserve Residence の申請を
注意していただきたいのは、「Reentry Permit」は、あくまでグリーンカードを失わないためのものであり、米国市民になる権利を保持するためのものではないということです。米国市民になる権利を保持するには、出国前に「Preserve Residence」の申請書を移民局に提出しておく必要があります。この申請を出国前に行っていれば、海外に居住している期間中も、米国に滞在しているのと同様に換算されます。
ただし、Preserve Residenceの申請を行っても、連続6カ月以上の海外滞在は免除されても、過去5年間の合計でその半分以上、米国に滞在していなければならないという条件は免除されません。もしPreserve Residenceの申請も行っていれば、日本での滞在期間は2年ですので、今すぐに市民権取得の申請ができます。
仮にPreserve Residenceの申請を行っていなかったとしても、2年間のうちに、たとえ1日でもアメリカに戻り、“連続して”半年以上アメリカを離れていなければ、やはりすぐに市民権の申請が可能です。しかし、Preserve Residenceの申請を行わず、アメリカを連続して半年以上離れていた期間があった場合には、すぐに市民権の申請を行うことはできせん。アメリカに戻った日から数えて、4年半待つ必要があります。
米国市民権申請のための条件を満たしている場合、「N-400」という申請書類に写真(2枚)、パスポート、グリーンカード(表裏)のコピーに、申請料680ドルを添え、申請を行うことができます。申請後、約6週間で指紋登録の通知が来ます。ここで過去において犯罪歴がないかどうかの確認がされます。
次に、約2~3カ月でインタビューになります。ここでは、前述のアメリカ滞在期間の確認がなされると共に、アメリカ政治や歴史に関するテストを受けることになります。このテストは、口頭と筆記のどちらかで行われ、通常6割以上正解すると合格です。出題される問題は、ほとんど決まっていますので、事前に勉強しておかれることをおすすめします。
移民局のサイトにある例題100問に加え、アメリカの大統領、副大統領、カリフォルニア州知事、カリフォルニア州出身の連邦上院議員2人の名前がよく聞かれます。また、「日本とアメリカが戦争した場合、どちらを守るか?」といった興味深い問題が出題されることもあります。
このインタビューでは、50歳以上で、グリーンカード取得後20 年以上になる場合、あるいは、55歳以上で、グリーンカード取得後15年以上になる人の場合、通訳を連れて行くこともできます。
最後に、インタビュー後、約2~3カ月で宣誓式になります。宣誓式当日に米国市民になった証明として「Naturalization Certificate」を受け取ることになります。
(2011年6月1日掲載)
Q:米国市民権の取得方法、資格について詳しく教えてください。
A:市民権申請の資格としては、まず、永住権取得から5年以上経過(米国市民と結婚した場合は3年)している必要があります。期間満了の3カ月前から申請を開始することができますので、永住権を取得してから4年9カ月(同2年9カ月)経過していれば、申請を開始することが可能です。
ただし、永住権を取得してから5年(同3年)の期間が経過するまで、宣誓式に参加することはできません。しかし、実際にはすべての手続きに約1年を要していますので、今のところ、この3カ月が経過していないということで、宣誓式の参加を延期しなければならないということはありません。
また、この規定期間(5年ないし3年)のうち、合計してその半分以上(5年の場合は30カ月)は米国に滞在していなければなりません。また、この期間中は、米国に継続的に居住する必要があり、長期間不在にすると市民権の取得ができない場合があります。
詳しく説明しますと、(1)6カ月未満の不在であれば、米国に継続的に居住しているとみなされます。
(2)6カ月以上1年未満の不在の場合は、継続的な居住を放棄したとみなされ、市民権の取得に影響を及ぼす可能性があります。この場合、申請者が米国における継続的な居住を放棄していないという客観的な証拠を提出することにより、申請が認められる余地があります。しかし、この立証責任は申請者の方にあります。特に最近、審査が非常に厳しくなり、このカテゴリーに該当するケースの場合、申請書に説明や証拠書類が添付されていない場合は、申請書自体が審査に入る前に送り返される傾向にあります。
(3)1年以上不在の場合は、居住条件を満たさないとみなされます。ただし、出国前に、N-470という申請書を移民局に提出しておくことにより、海外に居住している期間も米国に滞在しているのと同じように換算されます。これは、「Preserve Residence」と呼ばれる申請方法で、米軍に属していたり、米国政府機関、米国の会社からの派遣、宗教目的による場合などがこれに当たります。このN-470を提出するには、提出前の1年間は継続して米国に滞在している必要があります。
DV・道徳に反する犯罪歴は申請却下の対象に
これらの条件を満たしている場合、N-400という申請書類に写真(2枚)、パスポート、グリーンカードのコピー(表裏)に申請料675ドルを添え、申請を行うことができます。
申請後、約1~2カ月でフィンガープリント(指紋押捺)の通知が来ます。ここで犯罪歴が確認されます。過去の犯罪歴で問題となるのは、軽犯罪以上で、スピード違反などの軽犯罪に達していないものは、問題になりません。また、仮に軽犯罪であったとしても、申請却下の対象(その可能性がある)とされるのは、Domestic Violence(DV)と道徳に反する犯罪の2つです。道徳に反する犯罪には、麻薬に関する犯罪、詐欺、窃盗、および、暴力に関する犯罪等が含まれます。
なお、飲酒運転等の犯罪歴があっても、裁判所から下された条件を満たしていれば、それを証明することによって、ほとんどの場合は市民権を取得できます。この証明には、裁判所から発行されるDocket Reports等が有効です。ただし、執行猶予期間内(通常3年)ですと、その期間が終わるまで、認可を延期される可能性があります。仮にDVや道徳に反する犯罪があったとしても、認可される可能性はありますので、専門の弁護士に相談することをおすすめします。
フィンガープリントの後、約5~10カ月でインタビューになります。ここでは、前述のアメリカ滞在期間の確認と共に、アメリカ政治・歴史に関するテストを受けます。このテストは、口頭と筆記のどちらかで行われ、通常7割以上正解すると合格です。
出題される問題はほとんど決まっていますので、事前に勉強しておくことをおすすめします。移民局のサイトにある例題100問に加え、アメリカ大統領、副大統領、カリフォルニア州知事、カリフォルニア州選出の連邦上院議員2人の名前がよく聞かれます。また、「日本とアメリカが戦争した場合、どちらを守るか?」といった興味深い問題が出題されることもあります。
このインタビューでは、50歳以上でグリーンカードを取得して20年以上になる場合、あるいは55歳以上でグリーンカードを取得して15年以上になる場合は、通訳を連れて行くこともできます。インタビュー後、約2~5カ月で宣誓式となります。ここではアメリカ国家に関するビデオを見た後、宣誓式を行い、帰りに帰化証明書を受け取ることになります。
(2008年7月16日号掲載)
Q:アメリカでの市民権を取得するためには、さまざまな条件があると聞きました。具体的にはどのような条件が課せられるのですか?
A:市民権を取得するにあたり、次の条件を満たす必要があります。
1)英語を読み書きし、話し、理解する能力があること
2)合衆国の歴史と政府について正しい知識があることを証明できること
3)永住権保持者として過ごした期間で、1年のうち最低半年は実質的にアメリカ国内に滞在していたこと
4)永住権保持者として過ごした期間、善良な居住者であったと証明できること
5)帰化の申請に先立つ5年間、合法的な永住権保持者としてアメリカ国内に居住していたこと(米国市民と結婚して永住権を取った場合は3年間)
6)18歳以上であること
また、市民権を取得する外国人は、以下の条件も満たす必要があります。
1)居住者として所得税を申告し、期日までに払っていること
2)過去の結婚で生まれた子供と別居している場合は、養育費支払いの証明を提出すること。
取り消しの小切手、所得税払い戻し、元の配偶者からの証明も必要
3)過去5年内に逮捕歴がある場合、もしくは、過去に重罪で逮捕されたことがある場合、
その最終処分の供述書を裁判所から取り寄せること。さらに、更正しているという供述書も添えること
4)18歳から31歳までの男性の場合は、18歳から26歳までの間に義務兵役に登録していたか。
面接時に証明が必要となることもある
Q:市民権申請の取得プロセスについて教えてください。
A:まず、申請書類N-400を記入して移民局に提出し、移民局からの通知で指紋採取を行い、書類提出から数カ月後にインタビューと筆記テストを受けます。インタビューでは会話能力が測られ、自分のビザ関連の資料について質問され、筆記テストでは英語の読み、書きの能力が測られます。
また、アメリカの歴史、政治に関する基礎知識を試すテストも行われます。難しさはアメリカの小学校4年生程度というところです。
合否の結果はその場で知らされ、合格者は宣誓式の通知を郵送で受け取ります。そして、指定された日に指定会場に出席し、帰化証明書が発行されてアメリカ市民となります。申請料は指紋押印の70ドルを含めて現在400ドルですが、7月30日をもって675ドルに値上がりする予定です。市民権の取得には現在6カ月から1年を要しています。
Q:市民権を申請中です。すでに試験には合格しており、あとは宣誓式の日を待つのみですが、まだ、宣誓式の指定日の通知が来ていません。この夏に旅行に行く予定があるので、宣誓式がいつあるのか教えてください。
A:7月末までの宣誓式のスケジュールは、連邦裁判所のウェブサイト(http://www.cacd.uscourts.gov)にて入手できます。「General Information」をクリックし、さらに「Naturalization」の項目をクリックして、最新の情報を入手してください。なお、日付は変わることがあるため注意が必要です。
(2007年6月16日号掲載)
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