Q. 私は、昨年日本に帰国し、現在日本で暮らしています。今秋に、在米中に知り合った彼と結婚する予定です。グリーンカードの申請の手続きを日米どちらで行うかを考えています。ただ、日本のアメリカ大使館は閉まっているし、アメリカの移民局も閉まっていると聞きました。今回のコロナパンデミックが終息するまで待った方が良いのでしょうか? できることならば、早く彼と一緒に暮らしたいです。また、私の婚約者はコロナパンデミックのため、一時的に仕事を失い、現在収入がありません。グリーンカードのスポンサーになるには、ある程度の収入が必要と聞きました。彼はスポンサーになれないのでしょうか?
A. 米国市民との結婚によりグリーンカードを取得する際には、日本にて手続きを行う方法と、米国にて手続きを行う方法があります。日本で手続きを行う場合は、アメリカ大使館は確かに現在、緊急の場合を除いて面接を行っていませんが、面接は手続きの最後(申請開始からおよそ1年~1年半後)に行われるため、申請は今から始められます。アメリカで手続きを行う場合も、アメリカの移民局は申請者が移民局に直接赴かなければならない面接などのサービスを停止していた(6月4日から徐々に再開)だけであって、書類の受付や処理は継続して行っているため、こちらの方法でも今から申請を開始することは可能です。
日本からの申請と、アメリカでの申請の手順
日本にて手続きを行う場合、最初に米国市民である配偶者が、アメリカの移民局に「I-130」という書類を提出します。この手続きには現在5~7カ月を要しています。この「I-130」の申請が認可された後は、ケース(ファイル)が、National Visa Centerに移され、ここで申請者(あなた)の資料を提出します。その後ケース(ファイル)が日本のアメリカ大使館に移され、面接を受けます。前述のように、今から手続きを開始しても面接は約1年~1年半後ですので、その時までにアメリカ大使館が面接を行える状態になっていれば良いです。この米国大使館での面接は、日本人である配偶者(あなた)のみで行うことができます。面接をパスした後は、パスポートに半年間有効のビザが付与され、米国入国の際に空港で今度は1年間有効のスタンプが押されます。この時点で法的にグリーンカード保持者となり、実際のカードはその後1~2カ月程度で郵送されます。次に、米国にてグリーンカードを申請する場合、前述のように申請を行うことは可能ですが、移民局に直接赴く(In Personの)サービスが停止されていたため大幅に遅れる可能性があります。従って、申請を開始することはできますが、その後、指紋採取、面接をすぐには受けれない可能性があります。指紋採取は、最近ではコロナパンデミックに伴い、過去に指紋採取を行っていた場合には、その記録を用いることによって免除されている場合もあります。6月4日から指紋採取、面接も徐々に行うとされています。いずれにしても、いったん申請書を移民局に提出すれば、その時点でアメリカに合法的に滞在できますので、あなたの場合、仮に指紋採取、面接が大幅に遅れてしまった場合でも、彼と一緒に生活することはできます。また申請後3〜6カ月程度で就労許可および一時渡航許可を取得でき、面接までの間も就労、海外への出入国が可能になります。
収入が足りない場合は連帯保証人を探す
米国市民の配偶者の収入に関してですが、あなたの場合、彼以外に「Affidavit of Support」にサインしてくれる連帯保証人(Joint Sponsor)を見つけることにより申請が可能です。「Affidavit of Support」は、移住者がアメリカの公共の福祉に頼らなくても生活ができるように、グリーンカードを申請するスポンサーがその生活を保証できることを証明する書類です。申請にあたっては、「I-864」という書類を提出する必要があります。この連帯保証人は、申請者と血縁関係にある必要はなく、アメリカ市民あるいはグリーンカード保持者であれば良いとされています。年間の収入条件は、スポンサーになる人の収入は国が定める貧困レベルの125%以上、アメリカ軍人として働いている人は100%以上で良いとされています。現在カリフォルニア州の貧困レベルの125%の額は、連帯保証人が独身で同居していて子どももいない場合は、年収(Gross Income)で2万7150ドル、扶養家族などが1人増えるにつき5600ドルずつ増えていきます。例えばスポンサーが夫婦で扶養している子どもが1人いたとすると、年収で3万8350ドルとなります。なお、この条件を満たすためには、仮に連帯保証人を付けなくとも、所有している資産を用いることもできます。この場合、上記の金額から不足している額の5倍の資産があれば良いとされています。
※このページは「2020年6月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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