アメリカ学生・留学ビザ(Fビザ)とは
アメリカでの留学を目的に、フルタイムの外国人留学生に与えられる学生ビザ。
- 有効期間:4年制大学で通常5年(ただし、留学先学校のプログラムによる)
- 更新の可否:一度入国してD/S(Duration of Status)というスタンプをもらえば、「I-20」が有効な限りアメリカ国内での更新は不要。一度出国してビザスタンプが失効している場合、再度アメリカ大使館で申請する必要あり。
- 取得にかかる時間:アメリカ大使館での面接の予約からビザ取得までで最低2週程度
- 費用概算:360ドル
- 配偶者の扱い:F-2ビザ
- 配偶者の労働可否:不可
「F-1ビザ」の申請方法
高いレベルの教育を求めて、世界中からアメリカに留学する学生は後を絶ちません。その際に必要となるのが学生・留学ビザなどと呼ばれる「F-1ビザ」。「F-1ビザ」の取得には、1セメスターで12単位以上履修するフルタイムの学生であることが条件で、アメリカの学生・留学ビザの申請は次のように進みます。
①留学を希望する学校(語学学校、高校、大学、大学院など)が、アメリカ移民局からの承認校(学生・留学ビザのスポンサーをできる学校)かどうかを確認。
②入学に必要な学力、英語力、学歴などの証明や各種必要書類、願書を学校に提出。合格すれば、合格通知と入学許可証(「I-20」)が発行される。
③アメリカ大使館で面接を行い、学生ビザを申請。この時、留学中の滞在費や学費を賄う財力を証明するために、銀行の残高証明なども提出。また、留学後・学校卒業後は帰国する意思の表示を求められることがある。
アメリカの学生・留学(F-1)ビザは、基本的に学校から「I-20」が下りれば取得できます。特に弁護士を雇わなくても、学生個人あるいは留学斡旋会社の仲介で取得することが可能です。
学生でも期間限定で働けるOPT
原則、留学期間中の就労(アルバイト等)を禁止している学生(F-1)ビザですが、学業修了後に期間限定で働ける「OPT」(Optional Practical Training)というプログラムがあります。これは専攻分野と関連のある職種で実地研修するためのアメリカの労働許可で、その取得には最低1年間「F-1」で学位(准学士号、学士号、修士号)取得のために就学していることと、仕事は専攻分野に関係するものであることが条件となっています。OPTで働ける期間は1年ですが、学歴を上げるたびに取得できます。つまり、2年制大学卒業(準学士号取得)後にOPTを取得し、その後4年制大学に編入・卒業(学士号取得)してからさらにOPTを取得。そして大学院に進学・卒業(修士号取得)して3回目のOPT取得、ということができるのです。ちなみに、「Science」「Technology」「Engineering」「Math」の理系学部を修了すると、通常1年期限のところ、追加で2年間のOPTがもらえます。
知っておきたいアメリカ学生・留学ビザ(F-1ビザ)申請・取得の注意点
・「F-1」は留学のための学生ビザのため、特に語学学校や大学の学部は年齢が高すぎると取得が困難。明確な決まりはないものの、40歳を超えると学生ビザの取得は難しくなる可能性があります。
・単位だけを与えるような運営の実態がない学校や不法就労は摘発対象。摘発されれば、留学生は強制帰国となります。
・「F-1」保持者は、アメリカ国外に出る際には出国許可の取得を忘れずに。
・留学中に他校に編入する場合、編入先から新しい入学許可証「I-20」の取得が必要です。
・「F-1」ビザ滞在中は、学歴を上げていくのが好ましいです。語学学校の通学歴が長いのは好ましくありません。
・授業に出席していながら成績が悪いのは問題ありませんが、出席日数が少ない上に成績が悪いと問題視され、「I-20」の取り消し対象になることがあります。
・アメリカの各学校には、学生ビザの関連業務を行う「DSO」(Designated School Official)が勤務しており、「I-20」の取得から卒業後のOPTまで、DSOを通じて手続きを進めます。
・学校によっては在学中の学生の健康保険保持を義務化しています。
・「L」や「H-1B」などの就労ビザと違い、アメリカに永住する意思がない(=修学後、留学終了後は速やかに日本に帰国する意思がある)ことが取得条件です。
(取材協力・監修:関谷直樹弁護士/ライトハウス・ロサンゼルス版2017年9月16日号掲載)
※以下、過去にライトハウス・ロサンゼルス版のコラム「移民法Q&A」に掲載された学生・留学ビザ関連記事をご紹介します。
Q:アメリカの留学先の学校からI-20が下り、すでにそれを受け取っています。いつ学生(F-1)ビザを発行してもらえますか? またビザがもらえたら、すぐにアメリカに渡りたいのですが、どれくらい待つ必要がありますか?
A:学生・留学(F-1)ビザはI-20発効日よりさかのぼって120日前から発行することができます。ただし、F-1ビザでアメリカに入国できるのは、留学先の学校が始まる30日前からです。
Q:渡米後、すぐに学校に届け出をしなければなりませんか?
A:アメリカに入国してから30日以内に、学校のインターナショナル・スチューデントオフィスに、住所と電話番号を知らせる必要があります。またその後、住所や電話番号を変えた場合も10日以内に届け出をしなければなりません。
Q:留学中、休みを利用して、しばらく日本に帰ろうと思います。どれくらいの期間帰ることができますか?
A:休暇が5ヶ月以上になる場合、たとえ現在持っている学生(F-1)ビザの有効期限が切れていなくても、アメリカに戻る前に新しい学生ビザを取得する必要があります。
また、アメリカにいる間に、留学生としてのステータスにおいて違法な行為をした場合、再入国の際にはそのビザは無効になってしまいます。
F-1ビザに関する最新情報は、米国国務省のウェブサイトで知ることができます。
Q:移民局からまだオプショナル・プラクティカルトレーニング(OPT)の許可が下りるのを待っている状態です。その間に日本に帰り、アメリカに再入国することはできますか?
A:はい。就職先を探しに行くという理由で一時帰国し、アメリカに再入国することができます。
Q:移民局からOPTが認められた場合、いったん日本に帰り、再びアメリカに入国することはできますか?
A:以前は、大学卒業者であれば雇用主が決まっていなくてもOPTに準じた有効な雇用認可書(EAD)があれば、ほぼ問題なくアメリカ国外に出られ再入国もできました。しかし、移民・関税執行局(ICE)がアメリカ入国の管轄になり、この規則は変更されました。
ICEでは、学生が就職先を確保する前にアメリカから出国した場合、OPTを終了したとみなし再入国できないとしています。就職先が決まった後にアメリカを出国する場合は、学生(F-1)ビザのステータスでアメリカに再入国できるとしています。ジョブオファーがあった雇用主のもとで働くためにアメリカに戻ることになっていれば、出国前に実際に働き始める必要はありません。
したがって、OPT期間中の学生がアメリカを出国する場合、雇用主があることを証明できる書類のコピーを携帯することが重要です。また最近の給与明細のコピー(もしあれば)や、アメリカでの雇用主がその個人の雇用を承認している手紙などのコピーを携帯するのも賢明です。
Q:OPTは学校を卒業するたびにもらえますか?
A:より高いレベルの教育機関に入る際は、そのたびにOPT期間が1年間もらえます。つまり、1度就職した後に学校に戻って学士号(BA)を取る場合、1年間のOPTの資格が得られます。
OPTに関するその他の注意事項としては、まず移民局からOPTカードを受け取るまで働き始めることができません。次に、OPTが下りてもあなたはまだ学生(F-1)ビザステータスです。したがって住所変更した場合は必ず、学校への届出が必要です。またアメリカ国外に出て旅行する場合は、必ず裏書されたI-20と有効な学生(F-1)ビザの他、雇用を証明する書類のコピーを携帯するようにしてください。
なお、F-1ビザやOPTに関する情報はICEのウェブサイトで知ることができます。
(2008年2月1日号掲載)
Q:F-1ビザ保持者です。留学期間中、日本で1学期間休暇を取る予定ですが、何か問題はありますか?
A:留学生は、日本に帰って就職活動に励んだり故郷の家で過ごすために、1学期間、あるいはそれ以上の休暇を取ることがあるかと思います。しかし、休みを5ヶ月以上取る場合、保持している学生ビザの有効期限がまだ残っていても、アメリカに戻る際に新しい学生用ビザを取得しなければなりません。
またアメリカでF-1ビザを使用している間に学生ステータスとして違法な行為を行った場合、それ以降に再入国する際、ビザの有効期限が過ぎていなくてもその学生ビザは無効となってしまいます。
(2006年2月16日号掲載)
Q:学生ビザ(FまたはMビザ)や訓練生ビザ(Jビザ)のもとでもらった収入について、アメリカの社会保障税やメディケア税を払う必要がありますか?
A:学生ビザ(F-1やM-1)、J-1ビザ保持者として、アメリカに一時的に滞在している非居住の外国人(Nonresident Alien)は、そのビザのもとで認められた仕事をすることができますが、これにより受け取った報酬について、社会保障税とメディケア税を支払う義務はありません。社会保障税とメディケア税は源泉徴収されたり、収入をもとに納税する義務はありません。
この免税は、F-1ビザ、M-1ビザおよびJ-1ビザ保持者が、カリキュラ・プラクティカルトレーニング(CPT)およびオプショナル・プラクティカルトレーニングのもと、移民局に認められているキャンパス内での雇用により得る収入についても同様のことが言えます。
詳細については、IRS(歳入庁)のウェブサイトにある、「社会保障税とメディケア税に対する外国人の義務(Alien Liability for Social Security and Medicare Taxes)」をご覧になるとよいでしょう。
この規則が自分にも該当するかもしれないと思われる場合、この税制上の優遇措置を雇用主か今後雇用される予定の会社に知らせてください。これにより、雇用者と従業員の双方にとって、一定額の金銭を節約することができます。
もし既に、収入から源泉徴収されている、もしくは雇用主かご自身がこの金額を納めているなら、IRS はこの金額を払い戻すか、税額控除を与えるでしょう。
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