グリーンカードにてアメリカに長年滞在していましたが、2年半ほど前に親の介護のため、日本に帰国しました。いずれはアメリカにまた戻ってくることを予定していたので、「ReentryPermit(再入国許可証)」を取得しました。しかしパンデミックのためアメリカに戻れず、「Re-entry Permit」の有効期限も切れてしまいました。私のグリーンカードは、もう失効してしまっているのでしょうか? 親の介護もまだ続いているため、長期で日本を離れることができません。今でもアメリカに戻れるチャンスを手放したくないと強く思っています。何か手段はあるでしょうか?
A.あなたの場合、できる限り早期に米国に戻り、「Re-entry Permit」の更新を行うことが重要だと考えます。以下、詳しく説明します。
米国を長期で離れる際は 「Re-entry Permit」を申請
まず、「Re-entryPermit」は、米国外に長期にわたって滞在していても、米国に戻る意思があるのを示すことにより、グリーンカードを保持できるシステムです。この「Re-entryPermit」がない状態でグリーンカードを保持するには、連続して180日以上米国外に滞在しないことが一つの条件になっています。また、180日以内であっても、出入国を長期にわたって継続して米国外での長期滞在(例えば、過去5年のうち2年半以上)を続けると、米国での永住の意思を放棄したと見なされ、グリーンカードを失う可能性があります。例えば、日本に連続して5カ月間滞在し、再度日本に5ヶ月間滞在するといったことを繰り返すような場合、米国への入国の際にグリーンカードを失う可能性が大いにあります。この場合は、入国審査官にグリーンカードを取り上げられ、コンテスト(異議申し立て)を行うかどうか問われます。コンテストを行わない場合は、一般の観光者と同じように、観光のステータスによって入国を許可され、90日までの滞在資格が与えられる形になります。コンテストを行う場合は、移民局の裁判所にて、米国での永住の意思があるかどうかが問われ、この意思がないと判断されれば、永住権を失うことになります。
この判断においては、米国での永住の意思があることの客観的な状況証拠(例えば米国に会社を持っていて、米国市民の従業員が多数いるなど)があるかどうかが吟味され、判断基準は、比較的厳しいものとされています。
「Re-entry Permit」を申請した場合は、1回の申請で最長2年まで、米国外に滞在することができます。また、その間の米国への入出国も自由です。2年以上米国外での滞在が必要な場合は、2年以内に米国に戻り、米国滞在期間中に再度「Re-entryPermit」を申請する必要があります。
コロナ禍を理由に再入国が認められる可能性はある
あなたのケースでは、「Re-entry Permit」の有効期限が切れたからといっ て、その時点でグリーンカードが失効したことにはなりません。グリーンカードは、仮にグリーンカードの有効期限が切れていたとしても、自ら放棄の手続きを行うか、米国入国の際に入国審査官に取り上げられない限り、失効したことにはなりません(ただし、2年条件付きグリーンカードはこの限りではありません)。従って、米国に入国し、「Re-entry Permit」の更新手続きを行えるチャンスがあります。
確かに、「Re-entry Permit」の有効期限が切れているため、入国の際にグリーンカードを入国審査官に取り上げられる可能性があることは否めませんが、コロナウイルスのパンデミックを理由に入国審査官が更新を許可する可能性は大いにあります。ただし、「Re-entryPermit」の有効期限が切れた時期がパンデミックの前である場合などは、パンデミックが理由にならないため、入国審査官の判断も厳しくなる可能性があります。また、パンデミックの終息が進めば進むほど、入国審査官の判断が厳しくなることは容易に推測できるので、特にあなたの場合は、早期の対応、つまり米国での更新手続きを行うことが必要です。米国に入国後、「Re-entry Permit」の申請を完了(2〜4営業日)すれば、すぐに日本に戻ることもできます。
ここで不便となるのが、申請後、米国内にて指紋採取を行わなければならないことです。この指紋採取は、申請後、約2〜3カ月後に行われます。そのため、再度この指紋採取のために米国に来なければならない可能性はあります。しかし最近では、移民局はこの指紋採取を免除する場合が多く、特にあなたのように、過去5年以内に指紋採取を行っている場合には、免除される可能性が高いです。従って、あなたの場合、指紋採取が免除されればこれを米国で待ったり、指紋採取のために再度、米国に来る必要はなくなります。
※このページは「2021年7月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。情報は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
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